執行
アイリスが千影の幻影を見ている頃。ルビーは刀を拾い、アイリスに見せる幻影を操作していた。千影がアイリスを貶して、アイリスの心を折るように。しかし、アイリスは幻影を破壊して術を破った。
ルビーは千影によって殺すのを諦め、幻影に閉じ込めて捕らえることにした。
「死ねぇっ!!」
アイリスがルビーを狙って刀を振り上げた。その動作の隙を、ルビーは見逃さなかった。振り下ろされた刀を避け、アイリスに触れる。そして、彼女に自分の右腕を切り落とした幻影を見せたのだ。
そのまま幻影を操作し、アイリスにスムーズな勝利を見せる。ここまで深く引きずり込めれば、もうアイリスが幻影を疑うことはないだろう。今の彼女には、自分の勝利が見えている。そんな状態のアイリスを引きずり、ルビーは歩き出した。
だが、こちらへ駆けてくる気配。
「やあ、君達。この子の仲間かな。」
「アイリスちゃん...!」
「.....彼女は、負けたのか...」
シエラ、グランツ、そしてレオンが現れる。彼女らはルビーが引きずるアイリスを見て固まった。
「やめておくべきだ。ここでこの子を助ければ、君達まで共犯になる。」
「......知らないわよ。私が共犯とかどうでもいいの。」
「その通りだ。僕達は彼女を助けに来たんだ。」
ルビーはそれを聞いて、残念だと言わんばかりの顔を浮かべた。そして、3人に触れる。
「幻像。」
そのように、容易く3人は倒れた。レオンも、グランツも。シエラすら何も出来ずにその場に崩れ落ちた。
「.....仕方ない。君達は見逃そう。まだ魔法を使っていなかったからね。」
そう言いながら、ルビーはアイリスを引きずってどこかへ向かうのだった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「.....きろ。おい、起きろ。」
目を開けると、日光が差し込んできて眩しかった。ぼんやりと辺りを見渡すと、大勢の人が私を囲んでいる。こいつらは誰だ。何故、私を見ている。私は王城へ向かっていたはず。ルビーというのを倒して、そのまま千影と一緒の場所で死ぬために王城に───
「起きたのか。」
「.....え、なんで...」
そこに立っていたのはルビーだった。体がびくりと跳ねる。なんで、首を落としたはずのこいつがここにいるんだ。
「君が見ていたのは幻だ。僕に勝ったという幻を見せたんだ。」
「.....は...?」
思考が追いつかない。いつからだ。ルビーを見ると、両腕もある。つまり、最初片腕を切ったと思った時点でもう食らっていた。全て、彼の掌の上だったのか。
「....っ、それより...ここは...」
「ああ、説明がまだだったね。」
大勢の人々が何か叫んでいる。よく聞けば、それは罵倒だった。...私への。
「アイリス・ノア。君の死罪を執行する。」




