↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
記憶の回帰〜Oath of Karma〜  作者: 儚威
第1章 セイクリッド学院編
9/48

第9話 違和感

  ―― 数分前 ――


【セイクリッド学院の学長室にて】


「ストライト様、変な魔力を感じましたか?」

 グリムが静かに尋ねた。


「ヴァリアンの森方面から……今まで感じたことのない炎魔法の気配がしました。魔物討伐の予定はありましたか?」


「いえ、確認されていません。」


「聖騎士を5人ほど連れて確認しに行きましょう。」


 ―――


 森の中は静寂だった。

 やがて開けた場所に出た瞬間、聖騎士たちの動きが止まった。

 2人の学院生が倒れていた。体を何かに貫かれたまま、息絶えている。


「学院の制服……!」

「調べます。」


 ストライトは2人の体に手をかざした。


「『魔法洞察(マジックアナライズ』」


「炎の矢(フレイムスピア)……炎魔法によって殺されています。」


「魔物は名前のある魔法を使えない。つまりこれは——人間か魔族によるもの。」


 聖騎士たちが顔を見合わせる中、ストライトだけは別のことを考えていた。


(学院にいた時に感じたあの魔力……一体何者だ。)


「この森の調査と近隣への聞き込みをお願いします。私はこの2人の身元を確認して、親御さんに会いに行きます。」


 ストライトは沈んだ表情のまま、2人の顔を静かに見つめた。


 ◆◇


 翌朝、学院は騒然としていた。

「マルコ・グリムウェルが行方不明で、手下の2人が何者かに殺されてたって……」


「あの森、最近は魔物の出現も少なかったのに……。」

「魔族が出たんじゃないか?」


 生徒たちはその話で持ちきりだった。

 ―――


 その頃セオンは、学院の門の前で静かに風を感じていた。

「……気持ちいいな。」


 入学してから初めてだ。こんなにリラックスできているのは。

 昨日はいろいろあったが——お母さんからの手紙も読めた。


 セオンへ


『手紙ありがとう。無事に入学できたみたいで本当に良かった。クラスのみんなとすぐ仲良くなれたなんて、さすがセオンね。大変なこともあると思うけど、無理はしないで。またセオンの笑顔を見せてね。』


 母より


 ありがとう、お母さん。


 また——本当の笑顔を見せに帰るよ。


 俺は絶対的な自信を持って、学院へ足を踏み入れた。

 大丈夫だ。【魔法が使えない】俺が疑われることはない。


 ―――

「来たぞ……。」


 教室に入ると、生徒たちが不気味そうにこちらを見た。


(傍観していただけの、加害者。)

 やり返したい気持ちはある。

 でもそれで台無しになれば元も子もない。

 席に座ると周りは静まり返った。マルコがいなくなっても、誰も声をかけてこない。誰も隣に座ろうとしない。

 まあ、いつものことか。


「ねぇ、隣いいかな?セオン君。」

 振り向くと、白みがかった髪の男子が立っていた。

「エリック・フロストフォード。セオン君に謝りたくて。」


「なぜ、マルコたちがいなくなった今になって。」

「だって、セオン君と話したら殴られるって聞いてたから!」


「正直なんだな。」


 俺は静かに言った。


「許さない。」


「なんで?」

「俺はこのクラス全員に裏切られたんだ。体の傷は治せても、心の傷は治らない。」

 エリックは静かに頷いた。


「……確かにそうだね。僕はただ許してもらって、責任を逃れようとしてただけかもしれない。」


(最初からそのつもりだったくせに。まぁもういいけど…)


 •••


「ところでセオン君。」

 エリックが少し首を傾けた。

「なんで一人称、『俺』になってるのかな……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。