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記憶の回帰〜Oath of Karma〜  作者: 儚威
第1章 セイクリッド学院編
19/48

第19話 巡り合わせ

 翌朝、学院の掲示板前には人だかりができていた。


「各クラス成績上位者及びライトサイド候補選抜戦出場者――」


 貼り出された紙に、吸い寄せられるように近づく。


「Ⅲ組成績上位者」


 1位 エリック・フロストフォード

 2位 ソフィア・ムーンハート

 3位 セオン・クレスト


 3位にいる自分の名前を、何度も目でなぞった。


「……やった……!」


 ソフィアが両手で口元を覆った。声が震えている。


「おめでとう、ソフィア。一緒に頑張ろう。」


「あなたたちのおかげよ。ずっと、出場できるか不安だった。」


「僕は元々確定してたから、そんなに驚かないけど。」


「ちょっと、エリック。」


「はいはい、冗談だよ。三人揃って選抜戦、悪くないね。」


 いつもの調子で、エリックが笑った。


 視線を横に移すと、他のクラスの掲示にも結果が並んでいる。


 Ⅳ組の一位には、当然のようにリン・レステニアの名前があった。Ⅱ組にはグラディス・エバフォールとシャルマ・ノイスの名前が続く。


「問題はブロック分けだね。」


 エリックが、少し声を落として言った。


「一緒に出場できたとしても、同じブロックになったら選ばれるのは1人だけだ。結局は蹴落とし合いだよ。」


 そうだ。候補生になれるのは3人。三人一緒になれるほど、都合のいい話じゃない。


 リンも、グラディスも、シャルマも――少しだけ戦いを見てきたが、どれも本物の実力者だった。


「続いて、ブロック分けを発表する。」


 試験官が新しい紙を貼り出した。


 Aブロック――エリック・フロストフォード

グラディス・エバフォール

ネイサ・ホウン

ドルフ・ライネン


 Bブロック――ソフィア・ムーンハート

シャルマ・ノイス

キエイ・ミルファン

マクリム・ブルバン



 Cブロック――リン・レステニア

セオン・クレスト

フィア・グレイス

オーウェン・ハルト


 自分の名前の隣に並ぶ「リン・レステニア」の文字を、俺は静かに見つめた。


 同じブロックになるのが嫌なわけじゃない。ただ、今の自分の実力を考えると、少し、複雑な気持ちだった。


「同じブロックか。」


「うん。」


 いつの間にか、リンが隣に立っていた。


「セオンと同じブロックになれて、ボクは嬉しいよ。」


 それだけ言って、リンは静かに立ち去った。


「リンと一緒のブロックになったのね。」


 ソフィアが背後からそう言ってきた。


「ああ。ソフィアは――シャルマ・ノイスと一緒か。魔物討伐で5位だった。」


「ええ。エリックとセオンのブロックに比べたら、まだマシな方だと思うけど。」


 その声には、少しの安堵と、少しの緊張が混じっていた。


「あの闇魔法と、本気でやり合えるのかな……楽しみだな。」


 どこからともなく、そんな声が聞こえてくる。Aブロックの結果を見た誰かが、グラディスの噂をしているのだろう。


 選抜戦を目前に、学院全体が浮き足立っていた。


 ◇


 選抜戦まで、残り二週間。


 エリックは氷魔法の精度をさらに研ぎ澄まし、ソフィアは花の魔法に新しい型を加えていった。リンは剣を振り続けているという噂だった。グラディスもシャルマも、それぞれのやり方で仕上げに入っているらしい。誰も、この二週間を無駄にはしなかった。


 俺は、学院の訓練場に籠り、何度も魔法を放ち続けた。


 たまにバルスケの森へも足を運び、実戦の感覚を確かめた。


 今必要なのは、限界まで魔力を練り上げる精度だ。


「――ッ!」


 魔法を放つ。何度も、何度も。


 村のみんなを思い出しながら、証明してみせる。


 そして、変えるんだ。この手で。


 二週間は、あっという間に過ぎていった。


 そして――選抜戦当日を迎えた。

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