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記憶の回帰〜Oath of Karma〜  作者: 儚威
第1章 セイクリッド学院編
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第17話 森の成果

「全員集まったな。」


 試験官の低い声が森の入口に響いた。


「これより、ライトサイド候補選抜戦への出場権を懸けた最終試験を開始する。」


 その一言で、空気がさらに重くなった。


「試験内容は単純だ。この森に入り、討伐した魔物の素材を持ち帰れ。魔物ごとにポイントが設定されており、獲得ポイントの高い者から順位を決定する。制限時間は一時間。危険と判断した場合のみ教員が介入する。それ以外は自己責任だ。」


 試験官が全員を見渡した。


「――位置につけ。」


 生徒たちが森の入口へ移動する。


 近くにソフィア、その少し先にエリックとリンの姿があった。エリックはいつもの笑みを浮かべ、リンは森の奥を見つめたまま動かない。


「――始め!」


 号令と同時に、生徒たちが一斉に森へ飛び込んだ。風魔法で加速する者、身体強化で木々を飛び移る者。誰もが我先にと奥へ駆けていく。


 俺は速度を上げなかった。


 バルスケの森で嫌というほど学んだことがある。焦れば魔力を無駄に消耗する。狙うのは数じゃない。一体で大量のポイントを持つ魔物だ。


 しばらく進むと、地面を揺らす重い足音が聞こえてきた。


 ドシン――ドシン――。


 木々を押し分けて現れたのは、通常種より一回り大きな巨大オークだった。分厚い筋肉、両手には岩を削り出したような大斧。


 巨大オークが咆哮を上げ、大斧を振り上げた。


「――火炎の球(ファイアボール)

 炎弾が胸へ直撃する。だが、巨体はわずかによろめいただけだった。


「グオォォォッ!」


 怒り狂った巨大オークが突進してくる。


「火炎の嵐(ファイアストーム)!」


 炎の嵐が巨体を包み込み、周囲の木々まで赤く染め上げた。それでも巨大オークは炎を押し切るように前へ踏み出す。


 大斧が振り下ろされる。紙一重でかわすと、轟音とともに地面が砕けた。


 その時、振り下ろした大斧が大木へ深く食い込み、巨大オークの動きが止まった。


 圧縮した魔力を掌へ集中させる。


「火炎の球(ファイアボール)!」


 放たれた炎弾が顔面へ直撃し、巨体が大きく仰け反った。


 間髪入れず炎を解き放つ。巨大オークは咆哮を上げる間もなく炎に包まれ、その場へ崩れ落ちた。


「ふぅ……。」


 息を整えながら右耳と魔石を回収する。魔導時計にはまだ余裕があった。


 その後も、ゴブリンの群れを焼き払い、コボルトの牙を回収し、森狼とは木々の間を駆けながら追走戦を繰り広げた。大物こそ現れなかったが、着実に素材は増えていった。


 やがて魔導時計が試験終了を告げた。


 ◇


 森から生徒たちが次々と戻ってくる。肩で息をする者、傷だらけの者、満足そうに笑う者。教員たちが素材を一つずつ確認し、得点を集計していく。


「では、結果を発表する。」


 試験官が掲示板へ紙を貼り出した。生徒たちが一斉に駆け寄る。


 1位 リン・レステニア 78ポイント

 2位 グラディス・エバフォール 59ポイント

 3位 エリック・フロストフォード 56ポイント

 4位 ソフィア・ムーンハート 48ポイント

 5位 シャルマ・ノイス 44ポイント

 6位 セオン・クレスト 43ポイント

 ………


 リンとの差は35ポイント。


「以上が魔物討伐試験の結果だ。」


 試験官の声が響く。


「改めて言うが、今回の結果は成績及び選抜戦への出場資格を得る。上位者はよくやった。だが、試験はまだ終わっていない。」


 生徒たちの表情が引き締まった。


「学院へ戻った後、10分間の休憩を挟み、筆記試験を開始する。」


 選抜戦への道は、まだ終わらない。

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