第57話 助っ人
プラリネがロッドを天に掲げると、様々な種類の大量の花びらが弾けて、辺り一面に広がった。
そして渦を巻くような暴風と共に聖騎士たちにまとわりつき、動きを抑えた。
その隙に魔女たちはプラリネの後ろへと後退する。
「いくわよー!」
とてつもない風で身動きが取れない聖騎士学院教員たち。
その間にも、花吹雪きの渦がプラリネの頭上で集まり、大きな塊となる。
「はあっ!!」
プラリネがロッドを振り下ろすと、それはあらゆる種類の花びらでできた巨大な鳥となり聖騎士に襲いかかった。
「ぎゃー!」
「やー!」
「のわー!」
きり揉み旋回しながら吹き飛ぶ聖騎士学院教員たち。
様々な花の香りを振り撒きながら美しく飛ぶ、白鳥のような大きな鳥。
プラリネがさらにロッドを振り回すと、観客席から降りてきた第四聖騎士団にも襲いかかる。
「な、なんだー!?」
「ヒィー!」
「ママー!」
「ムーちゃーん!!」
騎士たちは続々と弾き飛ばされていった。
「今です! 気絶している聖騎士の腹を叩くのです!」
ノワゼット校長の声に反応して、魔法女学園の教員たちが動いた。
魔法を受けて昏倒する聖騎士たちの腹に1発入れるボワロンたち。
「しかし、すごい数だな、魔法協会や中等科、高等科は大丈夫なのか?」
「ミリさまや、会長もいらしゃいますし、大丈夫と信じましょう」
バニーユの問いに、ラブラージュが答えた。
◇
「子供とはいえ、やっぱり魔女だね君たち」
魔法女学園の生徒たちが全ての聖騎士学院の生徒のお腹を叩き終わり、勝利の歓声を上げているところへ、第四聖騎士団から10名ほどがやってきていた。
「上から見させてもらっていたよ。言葉でたぶらかしたり、人質を使ったり、卑怯な戦法が得意なようだね」
「え、そ、それは、本当のことだけど……」
「このおっさんたち何だよ」
「ど、どうする?」
「謝るのは?」
「怖いよー」
凄んでくる聖騎士たちに戸惑うベル、チエロ、ギャレット、デロワ、ギータ。
間合いを詰めてくる聖騎士に、後退する魔女たち。
逃げるか、どうするか、ベルが決めかねていると、背後から声がかかった。
「お主ら、子供相手に何をしようと言うのじゃ」
振り返るとそれはラクリマ姫だった。
その後ろには、黒髪の少年と、異国の騎士と、異国の聖女が立っていた。
◇
第四聖騎士団が魔法女学園の生徒たちに迫るのを見た、プリマピワット共和国ジェノベール騎士団筆頭、ミハイル・ヴェルミチェッリは即座に腰をあげた。
「ラクリマさま、ペンネさま、私に出陣の許可をいただけないでしょうか」
ラクリマ姫も、ヴェルミと同じものを見た。
「私はよろしくてよ、ミハイル」
ペンネ姫がヴェルミを見た後、ラクリマ姫を伺う。
ラクリマ姫がそれに対して頷き、立ち上がった。
「ヴェルミチェッリとやら、ついてまいれ!」
「はっ!」
「キヨメ、お主も行ってまいれ。魔女たちを守ってやれ。妹が学園に友人がおると言っておったのを忘れておったわ、わはは」
おもち姫がアカツブキ国随一の巫女キヨメ・ケガレに命を下す。
「承知いたしました」
キヨメが胸に手を当て頭を下げる。
「ラクリマ、キヨメも行っても良いか?」
「当然じゃ、心強いわ」
ラクリマが笑顔を返す。
「ねー、俺も行かなきゃだめ?」
ヴァンパイアのベンシーが面倒くさそうに言った。
「皆を守り切ったら小説を3ページ読むと言ったが、今働かないなら1ページに減らす」
「ラクリマのケチんぼ! 行くよ、行けばいいんだろ!」
ベンシーが頭を左右にブンブン振った。
「お主ら、ペンネとおもちを頼むぞ」
ラクリマ姫が、魔法重騎士4名と、ペンネ姫、おもち姫のそれぞれの従者に言った。
「御意」
深々と頭を下げる12名の従者たち。
それを見て、ラクリマ、ヴェルミ、キヨメ、ベンシーの4人は闘技場へと降りた。
◇
「姫さま、こいつらは子供とはいえ既に立派に薄汚い魔女なのです。制裁を加えなければ、聖騎士学院の生徒たちが浮かばれません」
先頭に立つ小隊長クラスの聖騎士が、笑みを交えて話す。
「子供に対して大人が制裁を加えるなどとは笑止千万じゃ。さっさと引くが良い」
ラクリマ姫のその言葉に露骨に顔を歪める聖騎士。
「聞け皆の者、姫様は魔女に操られている。捕えてお救いするのだー!」
抜剣しながらラクリマに斬りかかる聖騎士。
すぐさま、ラクリマの前に出るヴェルミチェッリ。
ベンシーとキヨメは、ラクリマを魔法女学園の生徒たちのところまで連れて下がる。
「他国の人間が邪魔をするなー!!」
聖騎士が斬りかかると、ヴェルミが迎え撃った。
二人の剣が交錯し、すれ違う。
剣を振り抜いた姿勢のまま、動かない二人。
……ドサッ。
一泊置いて、小隊長クラスの聖騎士は崩れ落ちた。
ヴェルミは鞘に収めたままの剣で打ち、聖騎士を気絶させていた。
「まだやるか?」
ジェノヴェール騎士団筆頭、ミハイル・ヴェルミチェッリは、プリマピワット共和国随一と言われるゴージャスルッキングフェイスで、残る聖騎士たちを睨んだ。




