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苺の国のパルフェ魔法女学園  作者: ビリリねこ
第四章 聖騎士 対 魔女
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第51話 命を下す


「お前は……」


 弾かれた剣の重みに、冷静さを取り戻すリリエラ。

 収穫祭で、ベルと遭遇した時のことを思い出していた。


 リリエラから見たベルは、「ふてぶてしい魔女の生徒会長」という印象だった。


 ベルや他の3年生はレイと同じ鍛錬を受け、魔力による身体操作をマスターしていた。

 その身体操作で剣を振る者は、剣先に体重のほぼ全てを集めることができた。


(ッチ、一撃で痺れが……)


 リリエラは、手首を振ると剣を持ち直した。





「ねえ、あそこなんか揉めてる?」

「え? ほんとだ、私たちも行ったほうがいい感じ?」

「行ってどうするのよ」

「聖騎士の子たち、どんどん集まってるよ」


 魔法女学園の生徒たちが、ベルたちの所で何やら揉め事が起こっているのに気づいた。


「お姉ちゃん大丈夫かな……、ちょっと私行ってくる」


 ピノは立ち上がり行こうとした。


「私も行きますわ」


 ディタは、姉のキースがそこにいるのを確認していた。

 また、キルスターシュ家の元従兄弟二人がいるのも見えた。


「よーし応援に行こう!」


 ズコットが立ち上がる。


「マジで言ってんのかよお前ら」


 エレルは及び腰だ。


「ベル先輩には色々お世話になってるから、私も行く!」


 ビートが、先端に小さいショートケーキの付いたロッドを握りしめた。


「じゃあ、レッツゴー!」


 ランセは状況を理解できていない。

 魔法女学園の生徒たちはベルたちのいるゲート側へ向かった。





「リリエラ先輩、魔女なんかやっちゃってください!」

「ベル先輩頑張って一!」


 ベルとリリエラが対峙する東側には聖騎士学険、西側には魔法女学園、双方の学校のほぼ全員が集まっていた。


「一応聞くけど、こちらも引くから、そっちも引いてくれない?」


 ベルの問いかけに、


「ふん、そんな提案飲むわけないでしょ」


リリエラが答える。

 直後、拡声魔法が開技場内に響いた。


「聖騎士たち! 今こそ魔女どもを葬り去る時だ!」


 闘技場の真上、場内の様子を映す白いバネルの上に突如現れたルシェミが号合をかける。

 そしてモニターに映し出されたのは、王都の中心部、王立魔法協会の建物が聖騎士達に包囲されている映像だった。


 また、魔法女学園、中等科、高等科の校舎の前に、同じく聖騎士団と、装備を整えた聖騎士学院中、高等料の教員、及び生徒たちの姿が。


 その映像を見て、魔法女学園の教員達は目を見開いた。


「宰相の私に対する暴行及び、ロイヤルガードたちを卑劣な方法で死に追いやった罪! そして今、デウス殿に働いた蛮行! もう魔女たちの暴挙を許してはおけない!」


 転移してきた5000人ほどの聖騎士たちが、観客席の最後列に立ち並び、闘技場を包囲した。

 ルシェミは続けて大転移魔法で、観客たちや闘技場で働く者を、災害時の避難場所とされているスペースへ転移させた。


 それによって、魔女と聖騎士以外いなくなるはずだった。

 しかし、観客席の中にはマジックシールドが展開されている場所があった。

 それは貴賓席である。


「こんな楽しそうな催しを、見逃すなんてできませんわ」


 ペンネ姫が扇子を開いて口元を隠した。


「ほんにな」


 おもち姫がニッコリと笑った。


「わ、わしも転移されたかった」


 大王が冷や汗を流した。


「ダメに決まっとるじゃろ父上」


 ラクリマ姫が、冷ややかな目で大王を見た。

 それぞれの人物の後ろに立つ従者たちは、微動だにしない。


 開戦の準備が整うと、


「フレジエ王国宰相として命を下す! 聖騎士たちよ、魔女どもをまとめて始末せよ! 攻撃魔法の使用を許可する!」


ルシェミが叫んだ。





「……そこまでやるかよ」


 目の前の聖騎士学院の教員を、睨む魔法女学園の教師ボワロン。

 ベルたちのいるゲートとは反対側のゲートに、両校の教員たちは集まっていた。


「ははは、これでもうお前達もおしまいだ!」

「薄汚い魔女達に似合いの最後だな」

「今日であなたたちともお別れなのね、少しだけ寂しいわよ。フフッ」


 聖騎士学院の教員たちが抜剣した。





「お前ら、本気で命運が尽きたみたいだな」


 アジルが笑う。


「おとなしく降伏すれば、痛めつけるのだけはやめておいてあげるわ」


 リリエラが同情するような表情をした。


「魔女にしかなれなかったことを後悔して、牢屋に入ればいいのよ」


 アンが嘲笑する。


「先輩たち甘すぎます。まずは完膚なきまでに叩き潰すべきです」


 ジルが腕を組んで睨む。


「キース、もうお前と遊べないのかと思うと残念だよ」

「あはは、ディタと二人、向こうでも仲良くやってくれ」


 キースの元従兄弟のヴォルターとラルジュが言った。


「妹に……、手を出したら許さない」


 キースが元従兄弟ふたりを睨む。


「困ったね……、こりゃ」


 苦笑いのベル。


「私たち……、捕まるの?」

「私たち何も悪いことしてないのに」

「こんなのおかしいよ!」


 魔法女学園の生徒たちが口々に言った。


「こうなったら……、みんな、やるよ!」


 戦闘モードのキース。


「ああ、ただでやられてやるかよ!」

「そうよ、どーせなら暴れるだけ暴れてやるから!」


 ロッドを構える、ロザリエとユズ。


「頭真っ白だ……」

「ねえ、あれ見て」


 バニラの肩を叩くマルシュ。

 マルシュが指差した先には、大王がいた。

 席から立ち上がる大王に、従者が拡声魔法をかける。


「聞けーい! 魔女たち!」


 いつもの大王とは違う雰囲気に、皆の注目が集まった。


「聖騎士たちは、黒の妖精に精神を支配されておる!」


 王に相応しい堂々とした話し方だった。


「見事その精神支配を解き、この難局を乗り越えてみせよ! 魔女たちに、攻撃魔法の使用を許可すりゅー!」


 そして盛大に噛んだ。




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