第47話 試合終了、の後
「ここで10カウント! ダブルノックダウンで引き分けとなりました!!」
吟遊詩人が叫ぶ。
「魔女と引き分けだなんて、チェルシー先輩も大したこと無かったな」
「あんな人が生徒会長でいいのかしら」
「もう先輩とは思わないわ」
聖騎士学院の生徒たち。
「こんなバカなことがあるか!」
「聖騎士学院の面汚しめが」
「彼女は退学にしましょう」
聖騎士学院の教員たち。
しばらくして、医療チームが闘技場へ入り二人の怪我の状況を確認した。
聖女アルマナの光の加護のおかげで、特に異常はなく、チェルシーとレイの二人は立ち上がり観客に礼をした。
選手たちに観客から拍手が送られる。
「レイ先輩大丈夫っぽい?」
「聖女さまも言ってたし大丈夫なんだと思う、けど心配」
「でもさー、聖騎士と引き分けなんてすごいよねー!」
魔法女学園の生徒たち。
「うう、よくやったぞフランベール!」
「見事よ! ケーキ奢っちゃうわ!」
「よーし! 今日は宴会だー!」
魔法女学園の教員たち。
こうして、「聖騎士学院」対「魔法女学園」の御前試合は終わった。
◇
「一族の恥め」
チェルシーの父であるルシェミ・キルスターシュが、会場中を映す映像室で一人呟いた。
「自分の子供に向かって酷いこと言うじゃないか」
「本当に」
ルシェミが声の方を見ると、映像室のドアが開けられ、世界最強の魔女ミリ・ヴァレリアンヌと、王国第一聖女アルマナ・シトロンルージュが立っていた。
「今は機嫌が悪いんだ、用事なら後にしてくれないか?」
ルシェミが興味なさそうに言った。
「そういうわけにもいかないんだよ」
「そう、妖精プリムの居場所をお聞きしたいのです」
二人の問いかけにルシェミは、
「妖精など知らん。さっさとどこかへ行け」
苛立ちのにじむ声で答えた。
それを受けて聖女アルマナとミリは一歩部屋に踏み込んだ。
「この辺りにいるという有力な情報を掴んだのです。協力してくださらない?」
「隠し立てしても無駄だよ。妖精プリムをだしな」
二人の言葉に反応せず、場内の映像を見つめ無言のルシェミ。
突如、剣を抜いてアルマナに斬りかかった。
ガァンッ!
アルマナは手に持っていたホーリーロッドの両端を掴むと、剣を受けた。
そしてすかさず前蹴りでルシェミの腹を蹴り飛ばす。
映像室の奥にかかるカーテンまで吹き飛び、片膝立ちで着地するルシェミ。
「アルマナはな、見た目は20代ぐらいにしか見えないが、60年以上生きているベテランだよ。不意打ちなんて通じるわけないだろ」
ミリの言葉にルシェミが嗤う。
「お前たち今のを見たな? 辛相に暴行を働いた罪人を始末しろ!」
カーテンの後ろがモゾモゾと動いた。
そして、10人の聖騎士たちがまろび出た。
無言でアルマナとミリに襲いかかる。
ご丁寧にもアンチマジックフィールドが広範囲に展開されている。
「どうしてこんな人数で、私たちを止められると思うのでしょうか?」
「知らないよ、私に聞くなよ」
聖騎士たちの斬撃をひらりとかわし、一人また、一人とロッドで殴打していくアルマナ。
そして、夢の世界へと旅立つ聖騎士たち。
しかし、その隙にカーテンの裏にある隠し部屋へと逃げ込むルシェミ。
「その部屋の奥にプリムがいるよ!」
「こらアミティア危ないってば!」
「キャラメリーゼ、下がれ!」
映像室のドアから学園の生徒と教員、そして妖精の3名? が姿を覗かせていた。
その声を聞いたミリが、
「あの奥だね! ここは任せたよ、アルマナ!」
眼前の聖騎士を蹴散らし、ドアへと突き進んだ。
その重いドアを開けると中は真っ暗だった。
二、三歩奥へと進む。
ドアが閉まり、ガチャリと鍵がかかる。
そして部屋が明るくなった。
振り返ると、ドアの前にはルシェミが立っていた。
大きな赤い絨毯が敷かれたその部屋の反対側には、聖騎士の中でもトップクラスの才能を持つものしかなれない、青い鎧を身に纏ったロイヤルガード5名を従えたプリムがいた。
「憎っくき魔女の棟梁、ここであなたを始末させてもらうわ」
プリムが上機嫌でミリを指差した。




