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苺の国のパルフェ魔法女学園  作者: ビリリねこ
第三章 聖騎士 対 魔女
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第44話 奥義の手前



 パルフェ魔法女学園、首席魔法使いレイ・フランベールは、剣を対峙する者にまっすぐに向けると、


「もう謝ったって許さない」


そう言い放った。

 そして、先ほどまでとは違う本気の殺意を放出する。


 旧友であり、ピカビア聖騎士学院生徒会長のチェルシー・キルスターシュは、それを受け慎重に剣を構えた。


 呼吸を整えると、レイはチェルシーに向かって猛然と走った。

 チェルシーには、なんの考えもない怒りに任せた突進に見えた。


 あと一歩でお互いが剣の間合いに入ろうかという瞬間、チェルシーの背後、一歩うしろの辺りに魔法陣が現れた。


(何ッ!?)


 チェルシーは聖騎士学院初等科で唯一「心眼」をマスターしていた。

 それゆえに背後の気配を完璧に察知できる。

 レイはそれを知っていた。

 今回はそれが仇となった。


 アンチマジックフィールド内に突如現れたその魔法陣に、気を取られ、隙が生まれた。


ガァンッ!


 丸太がぶつかったような衝撃が走る。

 レイが横にないだ一撃は、チェルシーの剣を打った。

 チェルシーは剣を構えたまま左へ大きく傾く。


(追撃がくる)


 なんとか反撃できる姿勢まで戻ろうと試みるが、その前にまた重い一撃をもらう。

 崩れた姿勢で追撃を受けた事で、さらに大きく崩され、2、3歩バタつくチェルシー。


(マズい)


 レイの剣はあまりに重かった。





 レイが使っているのは、魔力を使った身体操作だった。


 剣などを振るう際、通常筋力を使って加速し威力を出すが、そのような体の使い方では体格や身体能力に恵まれた者が有利になってしまう。


 もちろん基礎的な身体能力を鍛えるのは重要だが、自分より才能に恵まれた者に勝つ為には別の方法が必要だった。


 体格で勝る聖騎士に対抗するため、300年前に現れた天才的な魔女が、ある程度筋力に左右されない戦い方を発明した。


 それは体の中を魔力で締め付け、関節の遊びを取る方法だった。


 この身体操作を納めた者は、インパクトの瞬間、関節の遊びが無い状態のため、腕や、肩、腰などから抜けていく力が、逃げずに相手に伝わるようになる。


 また、一つの動きに体全体を連動させることができるため、剣を振る場合、剣先に全体重を集める事が出来た。





 2、3歩バタつきながらも、チェルシーはレイの3撃目をなんとかかわした。

 しかし、かわした先にあったチェルシーの剣に、レイの剣が絡みついた。


 チェルシーの持つ剣の内側のつば元にレイの剣が押してられる。

 そして、旋回するような動きを混ぜながら、チェルシーの体が前へとツンのめるようにレイは剣を振った。


 バタついた勢いがまだ残る体に、その動きが加えられたことで、チェルシーは剣を持つ両手を先頭にして、転けそうになるほどつんのめった。

 直後、チェルシーの剣のつば元にあったレイの剣が、チェルシー目掛けて反転した。


 それを喰らい吹っ飛ぶチェルシー。


 聖女の光の加護が発動した。

 致命傷だけは避けたものの、衝撃は体にそのまま残された。

 チェルシーは大の字に倒れた。





「おおー!」

「いいぞ一魔女ー!」

「やったー!!」

「うおおフランベール!!」


 歓声が巻き起こる。


「レイ選手の剣がチェルシー選手を捉えたー! チェルシー選手ダウン!!」


 実況の吟遊詩人が叫び、場外で見守る審判がカウントを始める。


「いやーレイ選手のすごい剣撃でしたが、一撃目の直前にチェルシー選手の背後に魔法陣のようなものが見えた気がしましたが、あれはなんだったんでしょうか? ミリさん」


「アンチマジックフィールドの中では魔法は使えないからね、魔法が発動したように見えるアイテムか何かを使ったんだろうね。それにしてもレイっていう選手は剣術の腕前がすごいね。驚いたよ」


 未知の魔法の存在は世間や聖騎士には知られたくない情報のため、世界最強の魔女ミリはとぼけた事を言って誤魔化そうとした。

 とは言え誤魔化せるものではない。


「今の……、魔法だったよな?」

「解説もアイテムか何かだって言ってただろ、アンチマジックフィールド内だぞ……」

そんなアイテム、聞いたことないけど……」


 困惑する聖騎士学院生徒たち。


「未知の魔法か、まあ、そのぐらいのことはあるだろうとは思っていたよ」

「それにしても今の剣撃、あの重さはなんだ?」

「なんにせよ、魔女相手にダウンを取られるなど、あまりに不甲斐ない」


 口々に呟く聖騎士学院教員たち。


「おいおい、どーすんのこれ……」


 作り試合の段取りとはあまりに違う状況であり、レイが明らかに切れているのを察して顔面蒼白のべル。

 すると突然誰もいないのに真横から声がかかった。


「ベル! 久しぶり!」




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