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苺の国のパルフェ魔法女学園  作者: ビリリねこ
第三章 聖騎士 対 魔女
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第36話 密談①



「ランセちゃーん!」


 ビートが人混みの中から現れた。


「あ、ビートちゃん」

「もー、急にいなくなるからびっくりしたよ! って、……?」


 ランセに話し終えた後、周りにレイやベルがいるのに気づくビート、そして二年生がいるのも。


「あ、」

「あ、」


 ビートと目が合うキースとマルシュ。

 以前、学校でキースとマルシュはビートがネイルをつけていたので、一年の癖に生意気だと絡んだことがあった。


「何? 知り合いなの?」


 3人の微妙な様子に、思わず尋ねるロザリエ。


「あー! ビートちゃんに魔法撃とうとした人だー!」


 ランセがキースとマルシュを指さした。


「えーっと、詳しく話してもらえる?」


 ロザリエが冷めた表情で、キースとマルシュを見た。





「まったく、早く謝んな」


 ロザリエは、キースとマルシュの後ろで腕を組んだ。


「あ、あの時はごめん」

「その節はごめんなさい」


 ビートに謝意を示すキースとマルシュ。


「い、いえ、もういいです」


 若干怯え気味のビート。


「行こう、ランセちゃん」


 そしてランセの手を取ってそそくさと、その場を離れようとした。

 ランセは、「ちょっと待って」と言ってから振り返って、


「さっきは、助けてくれてありがとうございました」


二年生たちにぺこりと頭を下げた。


「いいよ、なんかあったらまた言いな。そっちの黒髪の子もね。このお姉さんたちがなんでも助けになってあげるって言ってるから」


 ロザリエがキースやマルシュ、二年生たちを親指で指差しながら言った。


「やったー!」


 喜びを素直に表現するランセ。

 ビートも軽く会釈した。

 そして、手を振りそのまま別れた。


「ふーむ、一件落着だね」

「私たちにはお礼なかったね、いいけどね」


 ベルとレイが一年生二人を見送りながら言った。


「レイ先輩怒ってる?」

「わからん、けど怖い」

「レイ先輩怒らせるとは大したもんだよ、あのチビちゃん」


 二年生たちがヒソヒソ話す。

 そんなこんなで魔法女学園の生徒たちは祭りをあとにした。





 王都周縁の森の奥深く、小さな湖のある辺りは開けていて、空がよく見えた。

 街からは離れているため周囲に人の気配はない。


 祭りから帰る途中、ベルとレイは湖のほとりの低い草の上に座りくつろいでいた。

 夕方ではあったが、まだ日は高く沈む気配はなかった。

 緩やかに吹く風が、陽に照らされた秋の香りを運んできていた。


「おお、あれは」

「やっぱりね、来ると思った」


 二人に向かって近づいてくる人影があった。


「久しぶりね」


 それはチェルシーだった。

 三人は同じ幼稚舎に通っていた。

 ここは昔よく三人で遊んだ場所だった。


「まさか収穫祭に来ているとは思わなかったよ」

「ねー、お高くとまってる人はお断りの祭りなのに」


 サクサクと音を立てて歩くチェルシーと、座ったままのベルとレイ。


「下々の人々の生活に触れておくのも、聖騎士として必要な事かなと思ってね」


 言い終わると、ほっぺに人差し指を当てて、チェルシーは首を傾けた。


「感じわる一」

「あはは、相変わらずだね」


「ふふ、冗談よ」


 二人のそばまで来ると、チェルシーも草の上に座り込んだ。


「こうやってると昔を思い出すね」

「6年前か、まだ私たち子供で、ボール遊びが無駄に楽しくって毎日遊んでたよね。何があんなに楽しかったんだろう」

「ベル、私たち12年しか生きてないんだから今も子供よ? それにボール遊びだって、嫌いになったわけじゃないんでしょ?」


 チェルシーの問いかけにレイが答えた。


「ベルも私も、今バレーボールやってるよ」

「ああ、やっぱりまだやってたんだボール遊び」

「こらこらチェルシーくん、バレーボールはボール遊びではないのだが!?」


 ベルが訂正しようとするも、チェルシーは意に介さない。


「一緒でしょうに」

「真剣にやってるから違うの!」

「チェルシーそれ以上言うと私も怒るよ」


 自身の発する不快な物言いに、正面から対応してくれる二人を見てチェルシーは笑った。


「ふふ、変わってなくて安心したわ二人とも。ごめんなさいね、もう言わないから許して」


 チェルシーは人を不快にさせる才能があると自覚していた。

 気分よく話しているとつい、人を不愉快にさせると思われる言葉が口をついて出てしまうのだった。

 そのせいか幼稚舎に入ってからしばらく友達もできなかった。

 初めてできた友達がベルとレイだった。


 他の子たちは、チェルシーの物言いに対して苦笑いを浮かべたり、避けるようになるだけだった。でもこの二人は気後れもせず、怒って反論してきた。喧嘩になった。初めての経験だった。その時初めて他者と会話ができた気がしたのだった。


「これでも年を重ねてだいぶマシになったのよ?」

「ほんとかよー」

「さっき、他の聖騎士の子たちといた時は、立派な生徒会長に見えたよ」


 チェルシーは、レイの言葉に嬉しそうに笑みを返した。


「ほらねー、レイは見る目あるから一、誰かさんと違って」

「誰が見る目ないんですかー?」

「ベルも魔法女学園の生徒会長として立派だからおあいこだね」


 レイは荒れそうな場を納めようとした。


「いやー、そういう無難な物言いはよくないと思うなー」

「そうそう、本音が見えなくて不気味よねー」


 そしてなぜが二人から侮蔑の目を向けられるレイ。


「なんで私が責められなきゃならないの」


 レイはムッとした。


「あ、レイさん怒りました?」

「怒っちゃやですわ、レイさま」


 ベルとチェルシーがおどけて言った。


「いい性格してるよ二人とも」


 レイのその言葉をきっかけに三人は笑った。

 昔話に花を咲かせていると、


「そういえば御前試合の件聞いた?」


チェルシーが切り出した。





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