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第33話 計画



 放課後、まだ日が落ちそうにない時間帯。


 パルフェ魔法女学園のグラウンドの端には、ブランコが柱を挟んで2つずつ並んでいた。

柱はパンケーキを積み上げたようなデザインになっていて、クリームやフルーツのオブジェが盛り付けられていた。


「ねーランセ、今度の週末、収穫祭だけどどうする?」


 右端のブランコにて、ランセを座らせて、自身は立ち漕ぎをするピノが聞いた。


「え? そんなのもちろん行くけど、わー」


 ランセがピノの方を向こうとした時と、ピノがブランコを加速させるのが重なった。


「オッケー、ビートは?」

「はーびっくりしたー」


 驚くランセをスルーして、隣のブランコに乗るビートに声をかけるピノ。


「あ、私も行くよ、もちろん」


 楽しそうに座り漕ぎをしながら、結構ないきおいを出すビート。


「よーし、そっちはどーおー?」


 ピノが隣のレーンを見る。

 隣のレーンでブランコを潜いでいたズコット、ディタ、エレルが答える。


「そりゃあ、もちろん行くよ」

「行かない人なんていませんわ、ってわー!」

「右に同じよー、って漕ぎすぎだろ!」


 ズコットが立ち漕ぎをするブランコに二人乗りをするディタが、その筋力から生み出される加速に驚きの声をあげた。

 一回転してしまいそうなほどに漕がれたそのブランコを見て、エレルが突っ込んだ。


「あはは、よーし、じゃあ決まりね」


 ピノが笑いながら言った。

 6人は王都で開催される収穫祭に行くことになった。





 父から呼び出しがあり、チェルシーは家に帰っていた。

 チェルシーの生家は、美しい木目の木でできた大きなキューブを、幾何学的に積み重ねたようなデザインをしていた。

 キューブにはそれぞれ大きな窓が付いていて、ケーキやクリームのような要素は排除されている。


 内部も細かな装飾などはなくすっきりとしていて、何も描かれていないように見える巨大な前衛画などが壁を彩っていた。


 そんな家の父の部屋。

 足元がやや情報量の多いモダンなデザインの椅子に座る父の隣で、チェルシーは立ったまま話を聞いていた。


「チェルシー、今度の御前試合だけれど、お前に出てもらうことにした。コンディションを年末に向けて整えておくように」


 父であるルシェミ・キルスターシュが言った。


「はい、お父様」


 チェルシーは胸に手を当てて、ゆっくりと頷いた。


「それで、お相手はどのような方なのですか?」


 チェルシーは首を少し傾けて聞いた。


「パルフェ魔法女学園の首席さ、なに、お前の相手ではないよ」


 ルシェミは薄く笑って言った。


「そうですか、わかりました」


 言い終わると、チェルシーは目だけ斜め上を見て少し考えた。


「お父様、一つお願いがあるのですが、聞いていただけますか?」

「なんだね」


 チェルシーは、腕を後ろで組んで姿勢を楽にした。


「収穫祭に行ってもよろしいでしょうか?」

「収穫祭?」


 ルシェミは眉間に皺を寄せて言った。


「はい、生徒会で行くことになりそうなのです」

「そんなものは断ればいい。あのような庶民の祭りなどに行ってはいけないよ」


 不快さを全面に出しながら、ルシェミは言った。


「わかりました。ではそのようにして参ります」


 チェルシーはそう言うと、父の部屋を後にした。


(父上は本当にお変わりになられた)


 廊下を歩きながら、心の中でそう呟いた。





 翌日。

 ピカビア聖騎士学院、生徒会室。


「ジル、収穫祭行けることになったわ」


 生徒会長専用の重厚な椅子に座るチェルシーが、生徒会室に入ってきたばかりのジルに向かって言った。


「え? チェルシー様、ご興味がなかったんじゃ」


 新米生徒会員のジルがびっくりしつつ聞いた。


「どういう風の吹き回しだチェルシー」


 副会長で三年のリリエラ・スリーズが言った。


「お前からそんな言葉が出るなんてな」


 書記で三年のアジル・ドラムリンが言った。


「可愛い後輩が行きたそうにしていたのだから、先輩としては付き合わないわけにもいかないでしょう?」


 チェルシーのその言葉に驚きの表情を浮かべるジル。


「ありがとうございます、先輩!」


 ジルは大声でお礼を言った。


「うるさいねー、っていうかよっぽど気に入ったのね、ジルのことが」


 耳を押さえながらリリエラが言った。


「こんなののどこがいいんだか」


 アジルが冗談半分に笑って言った。


「こんなのって言わないでください、これでも頑張っているんですから」


 ほっぺたを膨らますジル。


「ははは、まあまあ、そんなわけだから収穫祭の日は空けておいてもらえるかしら」


「わかったよ、可愛い後輩のためだものな」

「あんまりこいつばっかり可愛がるとアナが怒るぞ」

「アナ先輩はそんなことで怒ったりしません」


 などと話していると、


「私のことで何かありましたか?」


 2年の生徒会員、アナ・シャンペルモが入室してきた。


 聖騎士学院生徒会は三年が3人、2年と1年が一人ずつの5名で構成されていた。

 聖騎士学院生徒会は収穫祭に行くことになった。






お読みくださりありがとうございました。

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