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昇次攫われる?!

―ここから先は少し注意―

本編に関係あるような、ないような・・・

少しだけ、BL要素多め?人によっては不快な要素入りです

読んでも読まなくても良いようにはしたいけれど俺にそれが出来ているのかは分からない


それでもいい方はどうぞ―…

#########

―???サイド―

俺は同僚で相方として組まされている頭が一寸足りてねぇファービィと共にこの国で最近造られたばかりだという魔道具をケースに入れる作業をしながら親方が来るまで最近裏家業の連中でされている噂を話した


「西にでかい市場が出来そうだとよ、そこにこのとんでもねぇ魔道具を売りに出すんだと」

「ハー…。なるほど、それでこの国の目新しいこいつらを?」

「おう。見ろこの眼鏡。ブローチみたいな魔道具!あー、こんだけあったら好き放題酒や女が抱けるぜ?」

「うへへへへ、マジか。お零れも期待できそうだな」

「おうよ。さ、ササッとケースに入れて袋に入れるぞ」

「おう」


俺がそう言ってファービィと“商品”を少しでも見栄え良くするため安物のただのケースに入れてその上布切れに包み袋に入れていくと、親分が隠し扉からやってきて俺ら二人に声をかけてきた


「おいお前ら」

「「親分、お疲れ様です!」」


揃って立ち上がり頭を下げると俺らの前にドサッと麻の布袋を転がした

その大きさはちょうど子供が入る位の大きさだ

いつものことながら、今回の“市”のおまけに出すんだろう


「こいつもつんどけ。本なんて馬鹿たけぇ物を従者に買わせていやがった金持ちのガキだ。さぞや悪趣味野郎どもに受けるだろうよ。」


親分がそういうんだから、相当金回りの良いガキだったんだなー

可哀そうに、俺達みたいなわるーいお兄さんに見つかっちまうなんてこのガキは運が尽きたな

まぁせいぜいいい値段で取引されると俺達の懐に直結する位の影響になるからそこで貢献してくれや


俺らは何も言わずその袋を二人が仮で運び込み、荷馬車の厚底になっている所にあるほかの魔道具や“商品”と同じようにこの袋も投げ入れた

他の魔道具や商品たちを積み込み、業者代わりをしているリリックと共に居たを上にかぶせ、空になっている樽と瓦とかの荷物を乗せ真の“商品”を隠した


「よぉし、これで帰るぞ!リリック、出せ」

「へい」


俺たち二人が乗り込んだのを確認し、親分がリリックに命令するとリリックが鞭を叩きつけ、馬が走り出した

国から出る為の偽造した書類と許可証を見せ、門を通った

更にこまごまとした里や街を通過して先々で“仕入れ”をしている“得意先”をまわり、“商品”を回収していき、荷馬車の重さが行きと同じくらいになったところでアジトを目指して馬車が移動する


ガタガタと激しく揺れ動き尻が痛くなってくる頃、馬車を変えて荷馬車(の上にある板の部分だけ)を交換してそこでついでに業者代わりのリリックと、そこで待って居た仲間のシュリに変更した後ひたすら国の境の所にあるアジトを目指し走った


「なぁー、なんでこんな面倒な事しないといけねぇんで?」

「ばーか、万が一目を付けられでもしても他の奴らだ、と誤魔化せるからだろうが」

「そこまでしないといけねぇのかい?」

「だからおめぇは頭が足んねぇって言われるんだ。念のためって事だろ」

「ふーん」


ファービィがくだらない事を俺に聞いてきたから俺が親分にどやされる前にそそくさと教えといた

あんまり賢くない俺でもわかることを聞いてくるファービィは、よくしなくてもいいようなことを質問してくるから親分によくどやされ、機嫌を急降下させることに余念がない

そんなファービィと組まされる俺もついでに何度も胃液を吐きだした事か、考えたくもないぜ


~キューリャ視点~


ショージ様はこの頃の疲れが出たのか、何やら急激にお疲れになられたようなので店員に休める所はないかと聞くとスタッフルームを貸してくれるとの事なので、急ぎショージ様の方へと戻る


しかしその場にショージ様の姿がなかった


「ショージ様!ショージ様!」


お一人でどこかに行かれたのだろうか…見るからに顔色が悪くなりダルそうな印象を受けたというのに…一体、何処へ?と思って探索魔法をかける

しかしショージ様はお姿が見えない所か、魔力の波長が感じられなかった


「…ショージ様!」


二階の部分だけでなく、一階の方へと足を向け探してみたが全然見つからない

これは、考えたくはないが攫われたと考えた方が確実だろう私は影分身を使いこの事をお屋敷に知らせた


すぐさま来るというランドローク様を店の前でお待ちしていると何故かその横にメジェスト様迄いらっしゃった


「キューリャ!どういう事だ」

「旦那様、申し訳ございません、ショージ様が具合が悪いと申されたので休めそうなところを探している間少し離れた隙に攫われました」

「っち!月に一度の過剰睡眠か、それとも薬でも嗅がされたか」


メジェスト様がそうおっしゃり苦々しいお顔をなされた

ランドローク様も同じ顔をしているのでなんとも言えないがお気持ちは同じなのだと思う

攫われたであろう二階の書店の方へと行くとメジェスト様がいきなりしゃがみだした


「どうした、母さん」

「む、ここに、ショージの契約した精霊がいるからな。話しを聞こうとな」

「スミレ様がいらっしゃるのですか」

『にゃ!にゃーはさっきからいたにゃ!キューリャ、こっちこっちって教えてたにゃ!!』

「…どうやらキューリャに教えていたらしいがお前が気づけなかったから拗ねているぞ」

「…申し訳ございません、スミレ様。後でお詫びならいくらでもします」

『にゃう!こうしてる間にもショージが悪い奴にどんにゃことされるかわかんにゃいにゃ!こっちにゃ、早くついてくるにゃ!』

「ついてこいと言っているようだ」


スミレ様がそう言っているのだろう、メジェスト様がまっすぐに最奥の壁の所まで行きゴンッと壁を殴りつけた

ぐしゃりと壁がひしゃげた後をみるとそこには隠し部屋が現れた

更に床には不自然に土が盛られ、矢印の形になっていて箪笥の裏に印が続いていた


『その棚をどかしてたにゃ!』

「この棚の先に消えたそうだ」

「そうか」


バキャッと音を立てて棚を壊し扉が現れたので開けると階段があり外へと続いている

不味い、このままではどこに行ったのかわからなくなる

マジックエルフは希少ゆえ、一度血を抜かれその血が少しでも競売などにかけられると話題になり収拾がつかなくなる

そうなる前に、助け出さなくては!と、気ばかりが焦る


「孫の友人よ、どっちに行ったのか案内をせよ!」

『にゃ!…ちょっと他の精霊にお話ししてくるにゃ、待つにゃ!』

「うむ」


メジェスト様はスミレ様と話し、ここで少し待つようにおっしゃった

少しでも早く見つけ出し、助けないと血を抜かれるだけならましだが、売られでもしたらそれこそ大変だ、何とかしなくては…


どうか、国から出ていない、もしくはまだ追いつける距離でいてくれれば…

ショージ様、ご無事でいてください

ランドローク様とメジェスト様が苛つきつつもうろうろするのを見ているしかできない自分が目を離さなければ…!ここまでお二人が心を痛めることはなかっただろうと思わざるを得なかった


~???サイド~


荷物をアジトに運び入れて地下室の“商品”を入れる牢屋に入れて袋から出すと一丁前に魔道具なんかを身に着けてやがった

けっ、金持ちのボンボンが!俺達でさえ魔道具を身に着けることがなかなか出来ねぇっていうのにこういうガキが高価な魔道具なんざ身に着けられるわけがねぇ!

親の意向をもってして手に入れたに違いねぇ、いいとこのガキが!

気に食わねぇなぁ…!あんまりにも気に食わねぇからこれは俺が貰っとくとしよう

なぁに少し位ならくすねても問題ねぇだろ


「…あにしてんだお前」

「生意気な餓鬼から魔道具を没収してんのよ。」

「…ふーん。じゃおいらも!」


上着を探ると内側の胸ポケットの中にアシッドチェーンを3つも見つけた

さらに、今回“仕入れた”新しい未知の魔道具の物もいくつか服やズボンに隠されていた

こいつぁ当たりかもしれねぇ、と俺が思っていたら顔に出ていたらしく、同じ牢に入れた商品であるガキどもが怯え震えていやがった


「くは、このガキ予想以上に金持ちだぜ?」

「ぁー、確かに!いかにも身なりいいもんな」

「おいてめぇらなにしてやがる」

「親分、このガキ結構魔道具もっていやして」

「何?確かに一番いい身なりしていやがったからな」


親分が俺らをどかしてハーフエルフのガキの身ぐるみをはいじまった

誰が好き好んで野郎のガキの裸なんざ見たいってんだ?

なんて思っていたら親方がいきなり動きを止めた


「いよいよ俺にも月が回って来たな!はっはっは!おいお前らこれ見ろ」


うわ、と思うまでもなく親分が見ろと言ってきたさっきまでのハーフエルフのガキが、なんと希少も希少、絶滅危惧種に指定されているくらい超希少な種族の、マジックエルフのガキだった


さっきまでハーフだったってのに、あれは擬態だったのかよ


つい、ついこのガキから搾り取れるであろう利益ににやける

おまけなんざとんでもねぇ、こいつぁ今度ある“市”の目玉商品だぜ!

マジックエルフなんて数万年に一度、出会えりゃあいい方だぜ?

しかもマジックエルフの子供なんて絞りたい放題、搾り取れる金蔓じゃないか!


「この子供を殺さない程度に血を取れ。」

「「へい!」」

「特別丁重に扱えよー?いいー金の生る木だ、丁重になぁ」

「へへへ、こいつの血を数滴だけでも垂涎の目玉商品だぜ。」

「あぁ、マジックエルフの血液とポーションを混ぜて若返りの薬が作れるからな、ふへへ、酒も女も金も好き放題だぜ」


にやにやしてしまうが大事な金づるの体調管理は大事だからな、服もちゃんとしたものにしてやらにゃいけねぇ。上等品だしな

親分にいちいち言わなくてもパパっと適当に奇麗目の服を持ってくると親分は何も言わずにこの服で良いと言ったから戻ってきていたファービィとリリックが二人がかりで着せた

改めてみると中々見た目もよくなったからか、マジックエルフの銀髪と茶褐色な肌が衣装に映える


「ほぉ、いいんじゃあねぇか?高く売れそうだぜ」

「でもこのエルフの民族衣装、女児用っすけどね」

「まぁ商品は見栄えが良くないと困るだろ」

「ですね」

「特別牢にこいつを入れとけ。食事には毎食、これを混ぜろ」


親分がそう言って俺に渡してきたのは赤と緑の小瓶だ

赤い方には意識が混濁する程度の麻酔薬、緑の方は無抵抗になってこっちの言う事を聞くようになる奴隷薬だ

奴隷薬は強すぎると記憶喪失になるが、それも含めて俺らみたいな者には都合がいいからよく多用している薬だ


とりあえず小瓶から2滴づつ食事に薬を混ぜてやりゃあ従順な金づるの出来上がりだ

医学の知識もそれなりにある薬剤師、フォーヴェイが目を輝かせて欲しい物を見つけたガキみたいな顔をしてマジックエルフのガキを見てるがこいつ…まさか、商品に手を出すんじゃねぇよな


「あああ…何万に一人としてみたことの無い、あの希少種が、か、か、解剖したい…ハァ…魔法の威力や、生い立ち、仲間の存在ぃぃ聞き出したい…体の隅々まで解剖し、解明して私の研究に!!いやそんなのもったいない!ああああああ…欲しい!」

「おい、こいつぁ商品なんだぞ?てめぇのイカれたお遊びにこんな貴重なもんを使えるかってんだよ!」

「なんだと、失敬な!私の実験は貴重なんだぞ!」

「変な物を作り出しているだけだろ。化け物や手に負えない廃棄処分品ばかり作りやがって」

「お前の様な愚鈍で馬鹿な奴が未来の魔装学者や生物医学に暗雲をもたらすのだ。目先の事しか見えていない愚かな奴め」

「あんだとてめぇ!おめぇが失敗した処分品を処分してやってるのは俺らだぞ!ふざけんな、こんな貴重な上等品をおめぇのおもちゃにされてたまるか!」


俺とフォーヴェイが言い争いしつつてめぇの獲物を取ろうとして構えると親分がガンと壁を殴りつけて黙らせた

牢の中のガキどもが怯えてヒッとか息をのんだ音がするがそんなの知らねぇ

俺らが親分に謝ると親分自身がきっぱりとこのマジックエルフはフォーヴェルのおもちゃにはしねぇと断言してきた


そりゃそうだ、いつ会える事が出来るかわからない、どころか一生会う事が出来ねぇだろう希少種のガキだぜ?無駄になんかしねぇってんだよ

涙や血の一滴迄こいつには価値があるし、髪の毛を切ったりするだけでも十分価値があるってんだから当然それなりに扱うか、もしくは売るだろ


「…貴重なのはわかるし、私も薬剤師でもあり生物学にも明るい…勿体ないのもわかるが私も欲しい…」

「しゃーねぇな、血を10ccだけならお前にやる」

「「えええええ!」」

「流石はわれらがボス!こんな唐変木の役立たずよりはずっと私の見解にも明るいな!」

「いやお前の悪趣味には付き合いきれねぇ」


ははは、馬鹿だ、こいつ

親分だって本当はお前に時々引いてる時があるの分からねぇのかよ


俺らが特別牢にマジックエルフを入れて血液を採取するとフォーヴェルが目を輝かせてまじまじと血液の入った注射器を見ていて気持ち悪かった

マジでこいつこの貴重な血を無駄使いする気じゃねぇよな

思わずジトッとした視線を送ったら鼻で笑ってきやがった

親分なんでこいつ仲間にしてやがるんだよ


「市に出品するまでにこいつの血をできるだけとらねぇとな」

「へい」

「ふふふふふ…こいつで暫く稼げそうだぜ」


にたりと悪い笑みを浮かべながらマジックエルフのガキの髪の毛を一房切った親分は満足そうに牢屋から出て行った

あの髪で出品するための書類にそえる出品確認の承認でも取るんだろ

まあマジックエルフなんて希少な物の出店確認に髪を用意できる奴なんてまるごと本体を確保しない限りそうそうない事だけど、髪を確認に使うと大騒ぎになるだろうなぁ


早くこのマジックエルフのガキに起きて貰ってさっさと食事を食わせりゃ俺も休めるんだがなかなか起きやしねぇな、このガキ…


「マジックエルフはまだわからないことが多い、薬を強く嗅がせ過ぎたのかもなぁ」

「そう焦るこたぁねぇ、こいつが起きるまでのんびりしてようぜ」

「そうだな」


俺達はそのまま特別牢の鍵をかけて隣の待機所に入って暇をつぶすことにした

~キューリャ視点~


スミレ様の案内で行きついた先は隣国のとあるうち捨てられた教会だった

ここに来るまで時間がかかってしまったことは確かだがわれわれはドラゴンなので己の翼がある為これでも早く着いた方だと思う

メジェスト様とランドローク様というそうそうたるお二人が見得たとあって隣国の王が事情を聴きに寄越した使者と共にスミレ様の案内を受けランドローク様の子息が何者かに攫われたと聞くや否や使者に魔道具を介して隣国の王がその不届き物を打ち首にしてもいいという許可を頂いた


それからは空を飛び、スミレ様とその友人である精霊達の手を借りショージ様の居場所を突き止め、ようやく古びた教会にたどり着いた所だ


「お邪魔いたします」


私がそう言い、一応ノックをするとそれだけで扉がひしゃげて内側の床に扉が倒れるほど、老朽化が進んでいる建物のようだ

思わず私が使者を振り返り形だけでも立ち入り許可を貰おうとすると向こうからあっさりと頷かれてしまった


「…どうぞ、そのままお進みください。この教会はすでに国有地、そこに住み着く罪人はわが国でも退治するべき羽虫ですから」

「そうか。失礼するぞ」

『本来ならば拠点にされる前にきちんと見回りなどをさせておかねばならなかった所だが、手が足りんかった。すまぬな、ランドローク』

「なに気にするな。我が国にもそういう場所はいくつかある。お互い様だ。今度我が国にも見回りさせねば…」

『うむ』


ランドローク様が魔道具を介して会話されている隣国の王はそれなりに友好関係を結んでいる為今回の事が素早く対処されたのも、あるのかもしれない

スミレ様の姿を可視化の眼鏡にて視認するとスミレ様は相当焦っていらっしゃるようで(当然と言えば当然ですが)そわそわと落ち着きのない様子だったのだが、他の精霊にショージ様の居場所の手掛かりを貰ったのか、廃墟の教会の入口より左にある壁掛け絵画を指してメジェスト様に何かを話した


するとメジェスト様が絵画を左に2回転させ、押し込んだ


ガコッとはめ込まれる音と共に壁が上に持ち上がっていった

成人男性2人ほどが通れる位の通路が先にあって、魔法灯が光り足元を照らしている中、通路の先にあった階段を下りた


そこはどうやら独房のようで、物々しい鉄製の扉と魔法で逃亡防止の術か何かが掛けられている扉があり二重に警備されていた


私が“鍵開け”をするとあっさりと開いたことからそんな程度の物だと思われる


些細な事だ、気にもならない

牢屋の中には3歳~16歳までの子供たちが入れられていて、酷く怯えているようだった

メジェスト様とランドローク様が思わず顔を顰め、案内人の付き人は苦々しそうだ

擬態のまま牢の中に放り込まれていないかを見ながら(擬態のままならハーフエルフなのでマジックエルフであると言う事がばれてしまうよりはまだいい筈だ)奥へと進んだ


しかしショージ様らしき子供の姿は見当たらなかった


一番奥の独房には子供が二人入れられているだけで、両方ともショージ様ではなかった


「ふむ…この子らは、行方不明になったと報告された子息や子女だな。」

「我が国にも届は着ています。後で保護しましょう」

『むぅ…我が国にこのような扱いで閉じ込められていたとはな…何とも由々しきことだ』


牢の中にいないとなればこれはすでに別の場所に移されてしまったのだろう

移動させられたのならば牢の中にいた子供たちに聞いても無駄だろうと私は思っていたのだがスミレ様はこの地下に入ってからなんだか元気がない


『ニャー…ここ、嫌にゃ…。』

「む…、しかしショージはここにいるはずだろう?我慢してくれ」

『ニャ…精霊が入れない結解魔法がかかってて気分悪いにゃ…』

「そうか…もう少し、ショージが見つかるまで、耐えてくれ」

『頑張るにゃ…』


メジェスト様とスミレ様が会話をしているようで、何やら言い合ってからスミレ様が元気に足元をうろうろと探しまわっている様子が見られた

(おそらく)スミレ様がメジェスト様と大事な会話をしているので私たちは邪魔をするわけにはいかず何もせずに、牢屋の鉄格子を壊しておくだけに留めた

独房の鉄格子が私達の力には耐え切れず握っただけで3本くらい一気に、それでいて簡単にひしゃげた


音に驚いているのだろうか、中にいる子供が奥の方に逃げているのに、更に怯えだした


まぁ怖いというのは仕方がない

この状況下で、私たちが子供たちを脅かすことはないのだけれどもこの子供たちはそれ自体分からないだろうし、何より私達にそんな子供の相手をしている時間がない


「どうやらショージはここより奥の特別牢とやらに入れられたらしいぞ」

「なに、それはどこだ」

「それが分からないそうだ。ここは精霊達がとてもじゃないが、力が発揮できる所ではないようなのだ。そのためここにいる精霊は少ないのだそうだ。さらに特別牢の場所は結解魔法が重複してあるらしく、中に入って様子を見る事が出来ないと。」

「…っく!どこに扉があるのだ、その特別牢とやらは!」


扉があれば壊せるのだが、そうそう簡単に見つかるような仕組みになっているのなら特別牢の意味がないだろうし、そうそう特殊な罠が張ってあるわけがない

ここは…私が魔道具を使い秘匿されている部屋やトラップを調べるしかないか…と考えていると恐る恐るというように、私たちに声をかけてきた者がいた


「あのー…」


独房の中の子供が、ぽつりと何か意を決したように声をかけてきたのだ


「はい?」

「特別牢の開け方、教えます…。私、ここ長くいるので特別牢の開け方知っているんです」

「「何?!本当か!教えてくれ、今すぐに!!」」

「は、はい」


私が牢から出やすいように鉄格子を通りやすくするためぐしゃりと捻じ曲げて道を無理やり作った後、子供を出してあげた

子供は最初少し戸惑ったりしていたのだが、恐る恐るといった様子で牢から出てきて何の変哲もないように見える、特別な魔法人も魔法もかかっていない、通常の壁のように見える牢屋の奥の壁の前に立ち、そこに手をかざして小さい手でたたき始めた


「ここの壁を3回、その上の…」


子供では背が足りず、手を精一杯伸ばしつつ何やらプルプルと震えているのでこの国の従者の方が子供を持ち上げた

すると子供は先程叩いた所の少し上、ちょうど先程の高さでは届かない所を2回、明り取りの部分なのであろう所に手を高く上げて今度は7回も叩いた


それで扉が出てきたり、壁が開いたりしたりしない


「何もないですよ?」


従者の方がそういうと子供が困惑したような表情で首を傾げている


「…なんで?これで開いてたのに…」

「そう簡単にはいかないね、お嬢さん(汗)」

「むぅ…」


子供は凄く不思議そうに首を傾げて唸り、更にもう一度繰り返し壁を叩いてみた

しかし、ぺちぺちと虚しくも音がなるだけで、何も変化がない

…


「ただ単に、力が足りないだけなのではないでしょうか」

「「あ」」


この子供はまだ力も小さく、掌もミーシェ様やショージ様並みに、小さい

叩いていても私たちドラゴン族でもなさそうな子供の力や体重などたかが知れているのではないだろうか…この子供が、ドワーフとか獣人族か、安竜族とかではない限り…


ドワーフや安竜族などは見た目と精神年齢の成長が一致しないため子供に見えても実は成人済みとか平気である種族だからだ(…ドラゴン族も例外ではないと思うと言われるが、私たちは彼らの種族ほどではないし、きちんと成長もするし、見た目もきちんと分かりやすく成長する)


「…確かに相手は成人の人間ならば、この子供の倍以上の身長だし力もそれなりにある筈だな。」

「キューリャ…は、背も小さいからな」

「申し訳ありません、まだ成長期に達していなくて。」

「いや、仕方あるまいよ。ショージとの身長も釣り合うしな。」


結局従者の方に先程子供が叩いていた順に壁を叩いてもらうと先程は何も変化がなかったのだが、門のような扉の枠が浮き上がって来た

これは古代魔術語で封じられている様な魔法がかかっている

中にいる生物の気配や魔法、何もかもが分からなくしてある魔術がかかっているようだ

可視化の眼鏡や、魔道具でも見破れることができない魔術式のようだ


この古代魔術語の形式は、どこかに…解除する物がある筈だ

“鍵開け”の魔法を使い無理やり開けるとトラップが起動するタイプだなとおもい解除する事が出来る魔術語を探す

壁に沿い、魔術語の門から少し離れ壁と牢屋の些細な隙間に、とうとう解除することのできる物を見つけた


そこに魔力を流すと予想通り古代魔術語で書かれていた封印が解除されたらしく、ゴゴゴと重い物が床を引きずるかのような音を立てて壁が奥へと動き出した

奥に数センチ動いた後、上に吸い込まれるように壁が消え、そこに廊下が現れた

二部屋あるようで、扉が二つある


私はスミレ様を見てどちらにいるのかをお訊ねしようかと思っているとスミレ様はすんなりと奥の扉へと行き、カリカリと爪で引っ掻きだした


『にゃー、にゃー!ここにゃ!ショージの気配があるにゃ!』

「そこに居るのだな!」


メジェスト様がそういうとランドローク様が扉を掴み、投げ飛ばした

よほど脆いのか、扉のドアノブが壊れ、穴が開いてしまったので扉を無理やりこじ開けて壁ごと取り外し、音に反応したのか連れ去った連中なのだと思われる輩たちがどこからか続々と出てきたのでそいつらに向かって投げたのだ


「なんだてめぐはあ!」

「なにすんぎぎゃ!」

「ぐぎぇ!」


三人もいて鉄の塊に当たるとは、なんというか…間抜けだ

まぁおかげで無益な事をしなくて済むので構わないのだが一人くらい避けろよ、とも思わなくもない


「ショージ!」

『にゃー!』


メジェスト様がショージ様の寝かせられているベッドに駆け寄り、助け起こすとエルフの民族衣装を着させられたショージ様がぐったりとしていらっしゃった

それを見て焦るランドローク様が私にショージ様を診るよう、診せ易いように抱きかかえ方を変えた


「キューリャ、ショージに何か異変は!?」

「少々お待ちください」


ショージ様の着ている服の上からざっと“診察”し、ショージ様の血液が不足していること、寒さによる冬眠状態にあること、そして何より睡眠薬を嗅がされている事がわかった

このままでは低体温により病気になってしまう


「睡眠薬を嗅がされているようです。そして冬眠状態、何より血液が足りていません。」

「眠らせて血を抜かれたのか…急いで屋敷に向かい、温めてやらねば!母さんショージを頼む。義母のレシェルナ殿に先程のキューリャの言葉を伝えてくれ。」

「うむ!任せろ」


メジェスト様がショージ様を抱きかかえ、そのまま羽ばたき一つでこの場から脱出した

ドラゴン化は室内なのでできないが、本気になれば人型のままでもドラゴンの時と変わらない速度で飛ぶ事が出来る

そして、私と案内人と、ランドローク様が残り徹底的にこの古い教会内を捜索し連れ去ったであろう人物たちを見つけ次第掃除した


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