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親方は魔道具作りには厳しい

親方たちの見送りを背にしながら工房を後にして、エフィールさん達の待つお屋敷に帰ることにしたので馬車に乗って颯爽と屋敷へと向かった


~自宅~


夕食時、エフィールさんとランドロークさんにねだられ今日工房であったことをお話しすると嬉しそうに笑われて、相変わらずやんちゃだな、とランドロークさんに頭をぐりぐりと撫でまわされた

うぬう…ランドロークさん、もう少し加減してくれませんかね…

ある程度は慣れたけどそれでも首が取れるかと思う位にグラグラと揺すられるのは痛い


暫くはランドロークさんに学園の話をせがまれ、いっぱい話していたら誉められ、再びぐりぐりと頭を振り回される刑処されたww

さり気無く光魔法で痛みを取り除きつつもじゃれていたけれども、メニーさんが止めてくれたのでランドロークさんがやめてくれた


メニーさん、怒ると怖いけれども基本的には良い人だよ

俺にも優しいしね


夕食後は執事さんの…えーと

【ウィルソン】

そう、ウィルソンさんだ!ウィルソンさんとキューリャさんの二人に貴族らしい礼儀作法や目利きのお勉強を教えてもらった

後、植物の勉強ね。今更、とか思わなくもないだろうが、俺だって知らない植物なんて五万も十万もある


幾ら図鑑そのものをコピーできるとはいえ、分ちゃんが記憶しているしわかっているとはいえ俺自身調合に使うかもしれないし覚えといてスラスラと言える位じゃないとね

後実際に記憶しておかないと似たような草を見分けるとかに必要だったりするかもしれないから、何があっても大丈夫なようにしないとね


分ちゃんに頼りすぎて、魔法が使えない種族にされたらわかんなくなったなんてお笑いにもなりゃしないし、何も対策してないよりは多少心得ておいた方がいいに決まってる


勉強が終ったらスミレと共にお風呂へと入って、今日はぐっすりと眠れた

余談かもしれないけれども、キューリャさんが入浴剤代わりに薬効のある実をお店で買ったらしく、湯船に浮かべてくれてなんだかゆず風呂に入ったみたいで気持ちよかった

しかしスミレには不評で凄く嫌そうに俺を見ていて、なんだか悲しそうにニャーと一鳴きして文句を言った


そして、桶を出してその中にお湯を張らせて別にお風呂を作り出しそっちでお風呂を済ませるという何とも悲しい別風呂状態になった

しかも暫くスミレは俺に近寄らないまま、眠った

猫専用のちぐらみたいな小さい箱に入ってそのまま俺とは別に寝た

ちょこっとだけ寂しいまま、久しぶりに一人寝をした俺でした


―翌日―


クリスタルチェビィという、一見 は?と思うような名前の15㎝位の背丈の生きたさくらんぼうみたいな魔獣がいます

頭の上にヘタというか、茎みたいなものがあり、二つの丸い生き物?が体を寄せ合い行動している魔獣だ

チェビィ=チェリーだと図鑑の画像を見て思った俺だったが分ちゃんもそれで覚えても支障はない、と言っていたので俺は透明な見た目をした、やや大きいさくらんぼうが生物になったような物だ


なんでいきなりそんな、事を説明し始めたかというと、だね


今現在、俺の部屋として与えられている部屋のベッドの上で俺の目の前にいるからです


『ニャ…ニャにを平然とショージのベッドにいるにゃ!ふしゃー!』

「「ちゅりやあああああああ!」」

『にゃう!?』


スミレが威嚇するとクリスタルチェビィは丸い体を二回り位大きくして甲高く鳴いた

スミレもびっくりしたらしく、びょん、とその場でジャンプして俺のベッドの上にいる魔獣から目を反らさないようにしながらも棚の上に移動した


どうやらかなり警戒しているようだ


というか一応変な見た目の生きたさくらんぼうだが、この子は確か魔獣と言っても大して強くないのだ

出来る事と言えば、体当たりと些細な水や火の初期魔法。それだけだ。この子の魔法は本当に、それだけで火や水は俺の出すフレアや掌一杯のちょろちょろとした水をだすだけなので脅威にもならない


コロコロとした丸い体に、小さくて不釣り合いなくらいの4つの足が四足歩行できるようにくっついているだけなのだ

顔はヘタに見える茎にあるらしいのだが、どう見ても目らしいものも口も、ない


「…えーと」


なんで朝から、魔獣が俺の部屋にいるんだろうか…


『しゃー!にゃー!!』


スミレが思い切ってクリスタルチェビィに爪を立てて引っ掻いた

するとクリスタルチェビィは驚いたようで変な声を上げながらもスミレに向かって水を出した

水鉄砲の威力少ないような、ちょろちょろとした水がスミレの方へと出ている…が、やはりというかスミレの方向を向いているだけで、その…スミレに届くことはなかった


更にびしょびしょになるベッド。俺がおもらしでもしたかのようになってしまうので直ちにやめて頂きたい


「「ちゅりあ!」」


クリスタルチェビィは鳴き声がダブって聞こえるのでとてもうるさい


思わず耳を塞いだ、がその時図鑑にはない物が視界に入った

人間ならば首の部分なのか、茎の下の部分というか、さくらんぼうならば実と茎の境目というか、付け根に見える所に細長く白い何かがくっついているのを見つけた


これは…とっていいのだろうか

何だろう、細長い白い物がくっついている、というか縛り付けてあるというか…

【むしろ早くとってやれ】

あっはい。分ちゃんが言うので俺は白い何かに手を伸ばした


「「ちゅり!」」

『ふにゃ?!ショージ、触っちゃ駄目にゃ!あぶにゃかったらどうするにゃ!』

「「ちゅりぃいい!」」

『ふしゃー、フーー!』


俺が白い何かを取ろうとするとクリスタルチェビィは丸でさっさとそうすればいいのにと言わんばかりに俺にすり寄ってきて、茎の部分に見える顔?首?を差し出すかのように垂れた


ヘタだけにへたん、とうなだれているのだろうか


…ごめんなさい、今のは忘れてください

【審議拒否】

うん、やめて

地味に傷つくのでそれ止めて、お願いします


【体感温度が3度下がった】

それお前関係ないし下がっていません

【昇次が寒いダジャレを言ったのが悪い】

ごめんなさい


そんなくだらない事を分ちゃんと話しながらもクリスタルチェビィから取り出したものは手紙みたいで伝書鳩状態に丸まっていて縛り付けているだけだった

広げてみるとその手紙は羊皮紙半分程度のメモみたいなもので、なんとアルト君からのメッセージだった


「スミレ、この子アルト君の契約魔獣だ。攻撃も威嚇もストップ!」

『ミャ?!…スンスン…ニャにゃ!本当にゃ!アルトの匂いにゃ!』

「「ちゅり!ちゅりぃい!」」

『…にゃ。紛らわしいにゃ!』


俺が慌ててスミレを止めるとスミレがクリスタルチェビィの匂いを嗅ぐ

お前は犬か、と思った物の、それでなんか納得したらしくびっくりした、脅かすなと言いたそうに鼻息を荒くし、不服そうにその場で丸まった


スミレを落ち着かせてから俺はとりあえずびちゃびちゃになっているベッドと服を奇麗にするため魔法を使い朝から苦手な風系の魔法で乾かした上に奇麗に着替えた


ハァ、朝から疲れたと思いつつもアルト君の手紙を見て見る事にした


『お久し振りです、ショージ君。僕とルネア君、カフィーユ君の三人で生徒会の先輩たちに連れられてダンジョンに行った時仲間にした魔獣の、クリスタルチェビィという子が、首の部分に手紙をくくりつけると手紙を出したい人に配達してくれるというので試しに手紙をお出しすることとなりました。いつ頃この手紙が着くのかはわからないけれども、僕達は毎日生徒会の先輩やショージ君のお兄さんにお勉強を教わってます。ダンジョンにも行ってます。ショージ君も大変だろうと思うけれど、気負わないで適度に休んでね。』


うああ…(ジーン…としたぁ)


俺は急いでアルト君の手紙に返事を書くことにした

一か月間も新着なしで自分が一番ヤキモキしつつも日々魔石合成をしている事と、レシェルナさんには悪いんだけれども感覚がつかめず失敗作しか作れていないと言う事、そして何より失敗しまくり材料が切れてしまった事、まだかかりそうなことを書きクリスタルチェビィに結び付けるとクリスタルチェビィは嬉しそうに一鳴きして器用に小さい足で窓まで歩いて何かに吸い込まれるように姿を消した


俺らが影に入る時のようにズズズと姿が縮み跡形もなく消えた

恐らくアルト君の所にかえったんだろう

メニーさんがノックして声をかけてくれたので食堂に行き、少し遅れたけれども朝食を取った

朝食はランドロークさん達も俺に合わせてくれたのか、俺が来てから食べたので遅くなってしまった

悪いな、とも思うけれども二人して気にしなくていいと言ってくれたので朝食を取り、紅茶をくれたので飲んでのんびりしてからメニーさんの呼んでくれた馬車で工房へといった


~工房~


親方は珍しくももう起きていて俺を見るなり魔道具はちゃんとつけてきただろうなと聞かれたので俺はちゃんと魔法無効化する物を無効化する魔法解除されない魔道具のベルトを着けているよと言いきり、実際に見せた

親方はそれでいいと頷き、俺とヴェル、リーファに今日やることを言いつけた


「ヴェル、ショージ。お前らはアシッドチェーンを造れ。リーファはリングディーアだ」

「「ういーっす」」

「はい」


アシッドチェーンというのは一応籠手の分類にされている魔道具だ

鎖を腕の関節部分と手首にあるリングの間に、鎖が縦、クロス、縦の順で通してありリング同士を繋いであるデザインの軽装な魔道具でそれでいて魔法事態を記憶して使用者の使う事が出来ない魔法を使えるという魔道具だ

その為冒険者から一般庶民にまで人気な物だがそれゆえかなり頑張らないと買えないような魔道具でリングの部分にあるアクセサリーの色で、価値が変わる


青、赤、黄、緑、紫の順で価値や魔法の蓄積量が変わり一番最後の紫色の物は2万位魔法が入る


ただし、作る側のこっちとしては紫色以外ただの失敗作だ

失敗作のガラクタに優劣をかろうじてつけただけに過ぎない

ガラクタ(緑)、屑(黄色)、ごみ(赤)、ごみ以下(青)だ

一番下の青なんて在庫処分する時に大売り出しで何かを買って貰った時におまけに着けるのも悪い気がするくらい、粗末な物なので、作ったら親方のげんこつアンド説教確定だ


その割には紫色になるのは難しく、うまく作れるようになれば親方から小遣いが貰える


俺でさえ100回に一回作れればいい方だったりするので作り甲斐は、ある


「今日こそ、紫色造るぞー!」

「「おー!」」

「リーファ、お前は別の物だって言ってるだろ」

「はーい」


多分いつものノリでリーファは合わせてくれただけだと思う

ここにお世話になっていた時、しょっちゅう俺とヴェルとリーファはつるんでいたし、しかたない


そのリーファが作るよう言われたものはリングディーアだ

リングディーアは指輪型の魔道具で、効果は防寒、更に魔石に魔力を籠めると氷の尖ったアイススパイクが20個出せる、それだけのシンプルな魔道具だ

水を指輪に着けると魔石がその水を吸い、凍らせる事が出来るある程度の期間なら再利用可能な魔道具の一つで割と貴重な“使える”方の魔道具だ


お値段も手ごろな方なので主婦とか冒険者に人気なのでどの魔法道具店でも工房でも売り出してある人気魔法具だ

その為うちでも在庫が少なくなってきたり大量注文されると作ることがある

今回もそのどちらかだろう


俺とヴェルは材料を抱えてリーファと別れ、アシッドチェーンを作り始めた

・・・

・・

・

数分後

俺達が作ったアシッドチェーンは緑と黄色にしかならなかった(なぜだ…、何が悪いんだ)

10個も作って3対7で緑多めだけれども失敗作には違いない

昼食も挟んで真剣に作ってこれなもんだから、悔しくて仕方がない

やはり、学園の皆には散々オーバースペックだのチートだの言われていても、俺の実力なんてまだまだこんなもんだと突き付けられている気がする


「緑色多めだな、だがまだあめぇ」

「「うぐぐぐ…」」

「ま、まだ見習の域を脱してねぇって事だ。がははは」


悔しいけれどもその通りなので、俺とヴェルは歯噛みしながらもまた新たにアシッドチェーンを作っていく

しかし気が散っていたのだろうか、魔力は入り力が無駄に込められたか不明だが、失敗作の中でも酷い方の赤い色の物ができてしまった


「うっわ、どうすんだよショージ!赤なんて作ったら親方が…!」

「やっべ、影にしまってごm」

「こら悪ガキどもぉぉぉぉ!」

「「ぎゃー!」」


俺が誤魔化そうと影の中に放り込もうとしたがそれよりも先に親方が俺らの失敗作のアシッドチェーンを見つけて雷を落としてきた

文字通り、雷を雷魔法で出し、俺ら二人の上に落としてきたのだ

ビリッと来る、と身構えていたが、ちっとも痛く無くて思わずキョトン、としてしまった

隣で同じように雷に打たれたヴェルがしびれて痛そうにしているので手加減してはいる物のいつもと変わらない位の魔法のはずだった


しかし俺には全然気にならない位、それか何にもされていない位だったので不思議に思っていたら分ちゃんが答えを教えてくれた


【マジックエルフは魔防耐性が強く、魔法による攻撃はほとんど軽減される。これ位の者なら蚊に刺されるのと変わらない】

あ(察し

俺がキョトンとしているのを見てヴェルは親方が手加減をしていると思ったらしくムスッとして文句を言った


「親方ショージに手加減してるだろ。ずりぃ」

「そんな事して何のメリットがあるんだ馬鹿が」

「ショージ、お前魔道具で防いでんのか?ずるいぞ、俺にもなんか作れよ」

「いや、俺はこれで通常。ヒントやるなら、俺の種族」

「あ」


ハッと気付いた様に驚き、納得して貰えたようだ

ちょっと前まで、同じように雷にしびれていた俺としてはなんだか物足りなくなってくるぐらいだがこれは種族の差がだから、ありがたく恩恵にあずかっておく


「そっか、種族の特性なら、しょうがねぇな」

「ん。俺も初めて実感した」

「ほぉー?だったらお前は当分こっちだな!」

「いでぇ!」


親方はにんまり笑って拳骨を落としてきた

頭を押さえて痛いところを摩ると少しだけこぶができていた(くそう)

そこから親方の説教が始まり仕方なくもう一回作り直しになった

そりゃあうっかり赤い色のアシッドチェーンなんか作ってしまった俺らが悪いんだけれども…好きで作ったわけじゃないんだよ(言い訳になるから言わないけどさ)


夕方になりもう屋敷に帰宅した方がいい時間になった頃になってもアシッドチェーンは黄色や緑色の物しかできなかったので悔しくてもっと作りたいとわがままを言ってキューリャさんや親方を困らせてしまった


「ショージの気持ちはわかるけどお前の両親が心配しちまうだろ」

「ウググ…」


親方が苦笑して髭をしごいた

親方の困った、というポーズでよくやる仕草だ(そうさせているのは俺だけれど)


「ショージ様、もうじき馬車が来ます」

「…それは、分かってますけど」

「いつでも勝手に来て作ればいいだろうが」

「そうだけど、キリのいい所で終わらせたい」

「いつになればキリがよくなるんだよ」

「紫色ができれば!」

「おい」


親方と兄弟子たちが呆れているのか、ハアッとため息ついた

ヴェルも同じ考えなのだろう、頷いていたから俺は間違ってないと思う


「…ショージ様、この近くに新しい書店が出来たとメニーから聞きました」

「新しい書店?!行きます!」


俺はそそくさと片づけを始めた

魔道具を分解、洗浄、クリーンの魔法で奇麗にできる物はして、出来ないものは手で奇麗に掃除して決められている道具箱にいれたり場所に片付けた

そしていつもの服装に魔法で着替えて、キューリャさんに早くとせがんだ


「…変わり身はえぇな…」

「さっきまで駄々こねてたの誰だよ」

「何の事かな!ははは。」


呆れている親方たちを尻目に俺はワクワクしながらもスミレを撫でながらも馬車を待った

キューリャさんも苦笑してもう少しで来ると言ってくれた

そして後でアシッドチェーンをまた作らせてくれるように頼んでいたら親方がしかたないって言って許可をくれたのでよしっと思っていたらちょうど、馬車が来たから乗り込んだ


キューリャさんが手綱を持つ人に新しく出来た書店によってくれるようお願いしてくれたので書店前で卸してくれた

2時間ほどでまたこの書店に来て欲しいとお願いしているのを横に聞きながら書店の外見を見つめていた


~書店~


店内は広く、二階建てと豪華な物だった

一階は文房具や小物、雑貨に魔法陣が書かれている巻物や、一寸したものがおいてあった


「一階は雑貨屋仕様、二階が書店になっているようです」

「見て回って面白そうなものは買いたいです」

「はい、ではそのように。」


ワイワイと賑わっている店内をぐるっと一周して興味をひかれた物や面白そうな物を買って影の中に入れて置いた後、ついでにルールウド君達にお土産としていくつか目星しい物を購入した

そしてワクワクしながらもキューリャさんと一緒に二階の方に行ってみた


異世界物では王道の、書物は貴重品だという定番の流れを忘れていたよ

紙を何枚も使っている書物は貴重品だし、何よりも高額な趣向品なのだろう


身近に本が沢山あるし、屋敷内には書庫もあったし、頼めばいろんな本をくれたりしたし、特に貴重品という観点ではなかった

なんだかんだ言いながらもこの世界では俺の他にも俺の世界にいた人が来ているので本がかなり普及している物だとばかり思っていた


何があったかというと、二階の方ではガラスケースに錠前迄つけて本が一冊一冊飾られていたのだ

本の横にはその本の内容が書かれたものが一緒に飾られていた

奥に行けばガラスケースの本が高額になっていき、ガラスケースから欲しい本を店員に言って取り出して貰うスタイルだった


面白そうな内容の本を何冊か取り出して貰って、手前の方にあるガラスケースの本は一般人でもギリギリ手が届く範囲から、頑張らないと手に入らない物で20リルド~5ユルの間で奥のガラスケースの物は2グラン~30グランドとかなり高額で手が出ないものだ


俺も金を散々もらって貰いすぎだと思う位だったのに…30グランドと言えば、大体日本円にすると300億位だぜ?しかも、本一冊だけで、だぜ?たっけぇ…

いやマジで怖いな、うかつに素手で触る事が出来ない位だぜ?!30億だって早々にお目にかかれないほどの物なのに、ただの本一冊で…1グランドで10億だからな?それを、30もいるなんて…それこそ貴族の中でも上位の方じゃないと気軽に扱うなんてできるはずがない


そりゃ、ガラスケースで保管するよな…(遠目)


俺は中間位のガラスケースの本を2冊、手前の方の本を数冊購入して影の中に入れた

最後のケースのある所で、何者かが会話している声が遠く、壁にさえぎられたようにくぐもって聞こえてきた

壁の向こうに部屋があるのかな、と思っていたがよくよく考えればきっとこの裏に店員さんの休憩室とか、在庫とかがおいてあるに違いない、と考え俺は黙って置いた

うっかり上司の悪口とか言っているのを客に聞かれてしまったら気まずいもんな、うん


俺が勝手にそう思って一番奥のガラスケースの壁の向こうの会話が微かに聞こえてきた

同時に凄く疲れてきた気がしてキューリャさんにお会計を頼んだ


「お願いします、俺、なんだか疲れちゃって…」

「では私が戻ってくるまで、ここでお待ちください」

「はい、すみませんキューリャさん…」

「いえ。かなりお疲れならどこか休める所に移動しましょう。私が探してまいります、お待ちください」


キューリャさんがそういって座れる所ないしは休める所を探してくれることになったので俺はガラスケースに触れない所の、ただの壁に寄りかかって待って居ることにした

するとどこからか、良い匂いが微かにしてきたのでつい周りを見渡した、ら俺の視界の端ににこやかな店員さんがいるのに気が付いた


【警告、昇次今すぐこの場から離れなさい】

【警告、この場から離れろ】

【警告しまs-】


俺はなんだか唐突に眠たくなってきてしまい、その場で壁伝いに座り込んでしまった

なんだか、力が入らない…どうしたんだろう…

俺はだんだん暗くなっていく視界に、瞼が下りて行っているのをぼんやりと理解した

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