やはり工房内ではそれほどでもない
数十時間後、角の方に沢山巣を張っていた蜘蛛の巣や虫を退治し、奇麗に整理整頓し、材料も木箱を持ってきてその中身も突っ込んでいるだけだったので一から全部纏めて種類別に区別し、分かりやすくした
キューリャさんも手伝ってくれて、顔を真っ黒にしながらも煤けた炉を奇麗にしたり大釜を洗ったりしてくれた
俺が腕をまくり、最後に酒の瓶や樽を空き瓶専用の木箱にいれたり、場所を移動させ積み上げたりして掃除し、空になった物を紐でまとめているとギイッと扉が軋み誰かが来たことを告げた
「んぁ?!何、だと?!奇麗になってやがる…さては!」
「こ、こいつぁまさか!」
独り言でけぇな…と思いつつも俺はのんびりと扉を開けた人達が来るのを待って居た
バタバタッと駆け寄る音を聞きながら手を洗って奇麗にした
「「ショージ!」」
バン!と大きな音を立てて工房の方と店の方を隔てている扉が勢い良く開かれた
俺の兄弟子の中で俺に技術を一緒になって教えてくれた、親しい二人だ
近所のお兄ちゃん、位には俺も親しくなったと自負しているし、三人でよく親方に怒られた仲だ
「ヴェル、リーファ!久し振り!」
「お前、帰ってきてたんだったら顔出せよ!」
「久し振りじゃねぇか、ってかお前の事大好きお兄ちゃんや妹ちゃんは?」
俺の事を見るなり俺に抱き着いて、キューリャさんにグイッと掴まれて猫のように襟首をつままれている、小人族の一部、フェアリスタント族というらしい俺と同じくらいの背丈の、深緑色の髪色を短髪にしている少年にみえるのが、ヴェルことヴェルランディア。
悪戯や玩具大好きで俺のアイディアが面白いらしく、滅茶苦茶面倒見がいい上に俺に構ってくれる、いい小人だ(ちなみに成人はすんでいて、魔法の適性は火だそうだ。)
ヴェルは材料を発掘したり採掘したり、採取したりがとても苦手で、どちらかというと根こそぎ取りたがり、うまい事で採取する事が出来ない反面、戦闘に特化していてどんな武器でも使いこなせるのだ
リーファは反対に大人しく、採掘や採取が得意で解体も出来るが戦闘はからっきしで運動音痴なのだ
リーファの見た目は三つ編みにした長い髪をお団子にまとめ、後ろで帽子で纏めている、一見女の子かなと思わなくもないが声が低く割とがさつなところもあり、ヴェルと共に色々と新しい魔道具や魔武器を作っては試しにとふらふらとあちこちに行きたがる節がある(勿論、親方に怒られる)
そして俺も含め、二人は弟弟子に色んな事を吹き込んで悪戯や新しい道具を勝手に作り出すものだから親方に悪ガキ三匹、なんて呼ばれたりすることがあった
勿論俺は不服だけどね!
「今回俺だけだよ。学園に行ったら一寸色々とあってさぁ…迷宮に言ったんだけど魔石が魔獣に壊されるトラブルがあってさ、魔石合成っていう物をおばあさまに習ってこいって校長先生直々命令されて戻された。」
「うわぁ…魔石合成なんて、俺らでも出来ねぇじゃん!」
「魔石合成は称号がないと難しいから問答無用で作らせてもらうどころか教えてもくれない、あれだろ?おやっさんでも出来んのかわかんねーやつ。」
いやさすがに出来るとは思うぜ?だって親方だもの
俺は汚れた窓を拭きながらも一応必要とされている技術称号は獲得しているらしいし、今おばあさまに習っている途中だけども失敗続きで材料が切れたので今日と明日はヒマになったことを伝えた
「魔石合成って確か魔石を4つ使って一つ大きな奴にする奴だろ?」
「そうそう。」
「なんでそん位がお前にできないんだよ」
「馬鹿言え、俺魔力微調節するの苦手なのに、かなり細長―く出し続けないといけないんだぞ?」
「「あぁ…」」
リーファが凄く同情したような表情で俺を見ているが、俺だって変わって貰えるなら代わって欲しい位だよ…頭の中はち切れそうなくらい繊細な作業が多くて疲れるんだもの
しかもコツは一向に掴めないし、レシェルナさんもわかりやすく言って教えてくれてはいるんだけど…どうにも、感覚がつかめないんだよね
「二階から針に糸を通すくらいの無理難題だよ」
「それもう諦めたらいいんじゃね?」
「帰ってきた意味なくなるだろー?それにもうここまでやったんだ、頑張って何が何でも魔石作んねぇと、まずい。」
「疲れる話題は良いよ。学園生活のこと聞かせてよ。」
リーファが気を利かせてくれたのか話題を変えてくれた
しかし、俺まともに学園生活送ってないんですけど?!
俺が学園早々に変な先生(勿論プー太郎の事)に絡まれた話や、同級生に規格外扱いされただけでなく授業中に新しい魔法をうっかり生み出して偉い人(くそ爺)にえらく気に入られてしまった事なんかを愚痴入りできかせたら二人ともめっちゃ笑ってた
ははは、当の本人の俺には笑えないんですが、それは…。
ヴェルが新しく生み出した魔法について出して見せて欲しいとねだってきたので俺は鑑定して欲しいと適当な、納品には使えない魔道具を掴みお願いしてみた
【ママカドマ(アレルド生産 レア度1)取扱説明書】
【ママカドマ 成分分析書;鉄3割、白玉陽樹の皮4割、七色光琳の樹液2割、毛皮1割で構成されている。失敗作】
うんそうだろうとおもった
失敗作じゃなかったらきっとこれは凄い魔道具になれていただろうに、勿体ない
「へ~、これが、新しい魔法?鑑定魔法かー」
「うん、それだけじゃないよ。分ちゃん、会話して」
「「????ブンチャン?」」
俺が紙に向かっていつもの様に言うと先程迄書かれていた分析結果が消えて“分ちゃん”が出てきた
【無茶言うな。】
「会話してっていうのは無茶じゃないじゃない。ねー、お昼なんだと思う?」
【食いしん坊か!さっき食ったばかりだろうが。少し待ってなさい!】
「まぁ食べてきたばかりだけどさぁ…」
と、まぁ軽―く雑談してみせるとただの鑑定魔法だと軽んじていたらしい二人が目を見開き言葉をなくした
はっはっは、すげぇあほ面。面白れぇーww
「…ま、魔法に自我があるのか?!」
「すっげ!なにこれ!なんだこれ!!あはははは!ショージは本っと、予想外な上に変なことするなww」
「分ちゃんっていうんだ。分析魔法だから、分ちゃん。」
「「よろしくー」」
【お、おう…(困惑)】
お、珍しくも顔文字じゃなく、文字で(困惑)なんて書かれてる
どうした分ちゃんwwと思って脳内の方に聞いてみたらこう返って来た
【この世界で“私”はイレギュラーみたいなものだ。それをあっさりと受け入れられて困惑する。ルールウドも言っていたように、“私”は“魔法”であり“魔法”には通常自我も意識もないのだ。唯々使われるもの、道具。手段。そこに自我を付与するのは昇次位で、それを平然と受け入れるのはルールウドやミーシェ位の親しい者たちだけかと。】
リーファとヴェルは俺の悪友だから問題ないぞ?俺の奇行に慣れてる人の内に入るからな
【あ・・、なんか納得した】
納得されたwww
脳内で分ちゃんと会話していたらリーファが紙の方に話しかけた
「分ちゃんは、何ができるんだ?」
【基本的には解説、解析。そのほか、他人が使ってきた魔法を解析し、魔法に介入できたりする】
「じゃあ相手の魔法を乗っ取ったりできるんだね」
【そう。】
その後はリーファとヴェルが俺抜きで分ちゃんと会話しているのをちょっと友達同士が仲良くなって寂しい気分になりつつも眺めていた
いるよね?わかるかな…俺の友達の、何々君だよー、んでこっちが幼馴染で友人の何々君だよーって紹介してあげたのに俺を介さずあって遊ぶ位の仲のよさになっておいてけぼり喰らっちゃう、そんな感じ…
俺は何とも言えない感じになりつつも窓を閉めて掃除用具を片付けた
フー…奇麗になるとやっぱり気持ちがいいね
「ずごごごご…っごが!」
「うるせぇ鼾だなぁ…」
そうだ、いいこと考えたぁ、とニタリと笑って俺はそばにあった、磨り潰すと辛味が増す、ヘルレッドの実(食べても問題はないが七味トウガラシやタバスコみたいな感じで薬味として使われる、辛いブルーベリーみたいな粒の木の実)をナイフで少しだけ削り、乳鉢で磨り潰してそこにエレルドという、粘着質なアロエみたいな多肉草の葉(食べても別状はないが苦い)を少量加えておいて、混ぜた
え?どうするのか?ふっふっふ(黒笑)
【それを親方の顔に塗るんだろ】
そこまではしねぇけど、口に入れたろって思ったぜ
俺が何を考えたのかが分かったのか、すぐさまリーファが止めてきた
「おい、おいショージそれ不味いって!」
「さすがに怒られる位ですまねぇよ」
「だーいじょーぶだろー…ちょっと、塗る位だからさ」
俺がそっと筆でその混ぜた液体を親方の唇に塗った
起さない様にそろそろと、だがしっかりと塗る
口にリップグロスのように奇麗に濡れたつやつやな唇の出来上がりだぜ
「うわ、やりやがった…知らねぇぞ、俺」
「俺も!でも反応気になる…」
「こんなくらいなら、問題ないはず!」
「「さすがにバレルだろ」」
わくわくワクワク…俺はそそくさと親方からは見えないような角度にある棚の後ろにこっそり隠れたらヴェルとリーファも俺に続き慌ててそれぞれ隠れた
わくわく、と思ってじーっとみていると、数分後…
「ぐがあ、…っふしゅるるる…」
「……寝たままだなー、クッソぉ…早く反応しろ、おやっさん!」
「「ショージ、しー!しー!」」
「…」
俺は二人に咎められたので渋々と黙っていると、寝ている親方がついに、待ち望んでいた行動をとった
ペロッと舌で口を舐めたのだ(やったぜ)
「「「(舐めたあああああああ!)」」」
やったぁ!と思わず三人してガッツポーズを取った
「ぐあ、が!?ぺ!ぺ!ぬぐああああああああ!」
ははははは!www
親方は文字通り飛び起きて大慌てで洗面所へと駆け込んでいった
思わず俺は口を押えて爆笑するのを我慢した
誰か、笑い声を出さなかった俺を誉めるべきだと思う
暫く息ができないほど笑っている、リーファとヴェルだったが他の兄弟子や弟弟子が騒ぎに気付きそっちを見ているぞ、いいのか?
え、皆には俺が見えないよう透明になってるから問題なんかないよ?
【魔法をそんな事に使うな、馬鹿】
ふひひ、さーせんw
「うぐぁああ…利いたぁ…おぉい!誰だこんなくだらねぇこたぁあする不届きもんはぁ!」
ひゃーw怒ってる、怒ってる!
震えあがっている弟子たちはいっせいに自分じゃない、とアピールしだした
はははww怒ってる親方は頭に血が上っているかのように真っ赤になりかんかんに怒っているのが目に見えて分かる
おー、こわ!俺は透明になり隠れているから問題ないけどねww
「……ぉい!ヴェル!リーファ!悪ガキども前に出ろ!」
「「違います!」」
「うるせぇ、前に出ろ!」
半泣きになりつつリーファとヴェルが恐る恐る親方の前へと進みだした
俺の代わりに怒られて可哀そうではある。でも俺もお前らの代わりに怒られたことあるんだよな、うん。そん時のやり返しだと思って諦めてくれww
「「やったのショージです親方あ!」」
「あってめ!お前らだって笑ってたじゃねぇか!」
あ しまった
つい声が出てしまった
「ショージ!お前かあああああああ!」
親方は問答無用で俺に向かって魔法無効にする粉薬をぶっかけてきた
透明化したり影の中に隠れる俺対策だとかで一晩で街中の魔法無効薬を買い占めた親方にそこまでするとか大人げないと思ったが俺はその対策で新たな魔法道具を作ったりなどいい遊び相手になって貰っていた
だが俺は今回、バレると思わなかったのでその対策を忘れていた
もろ魔法無効薬の粉薬を被ってしまったのだ
「げほっ、うげっ、ぺ!ぺ!」
「こんの悪がきがあ…あ?」
「「ははは、は…ぁ?」」
俺が口の中に入った薬を吐き出しているとなんか皆して固まった
うぐぁ、あーもう油断した
もろ粉かかった…くそう!
「…お前、何その格好…」
リーファがそういうから俺は首を傾げ、何か変かと聞いた
いやまぁ粉だらけだから笑われこそすれ(しかも原因が間抜けだ)そんな反応される覚えないんだけどな
まるで知り合いだと思って声かけて肩まで叩いたのに他人だった時の様な反応をされた
へんなの
「?けほっ、なんだよそんな間抜けな顔して。」
「…お前、マジックエルフ、だったっけ?」
「あ」
し、しまった!!!!!!!!
俺さっき自分で言ったよな、魔法無効の粉だって!?と言う事は勿論種族が変更しててもバレない様になっている、身を守る魔法で種族が今までのと同じハーフに擬態していた魔法、それすらも解けると言う事だ…
俺のバカあああああああああああああああああ!
しかもリーファに言われるまで気が付かなかったああああ!
「…よし忘れろ」
「「できるかあああああああああああ!」」
「…あー…おいお前らショージはお前らと同じ俺の弟子だ、この事は誰も他言無用だからな!外部の奴らに漏らすなよ、いいな!」
「『はい!』」
うああああああああああ…もうなんか、はい
ごめんなさい
やらかしました
親方と兄弟子、弟弟子たちに迷惑かけるわ…まじごめんww
いやぁ、ちょっと前までハーフだったもんだから慣れなくてなぁ
てへぺろ☆
「ショージなん、水くせぇな、なんで言わなかった…いや、いえねぇよなぁ。」
「ん…マジックエルフは乱獲されるからな…。」
止めろ、そんな怖い事言うなよ
散々脅されてたんだぞ、学園で!その割には大した種族差の実感なくって、久しぶりの工房ではしゃいで身バレしたけどさぁ!
「うーん、ごめん、俺ちょっと特殊な体質でさぁ。種族が変わる体質なんだ。ちょっと前まではハーフエルフだったんだけど、ちょうど学園にいる時に種族変化してたの忘れてた。んで、工房に来てちょこっとはしゃいで魔法無効薬の対策忘れてたーww」
「「忘れんな、そんな大事なもの!今のお前にこそ大事だろうが!!」」
「めんごめんご!」
「お前は気楽だなー…とりあえず魔法無効薬は水で洗い流して来いよ」
ヴェルがタオルを渡してきたので俺は一つ返事で粉を落としに洗面所の方へといった
鏡を見て見ると、ダークエルフっぽい銀色の髪色とちょこっとメッシュの入っている様な紫色の髪が前髪に交じっていた
そして、目尻から耳の部分に魔術語に似た古代魔術語が浮き出ていた
何より目立つのは、目だ
目の色が、白みがかった銀色なのだ
それは、マジックエルフの種族全体に共通して現れる特徴として図鑑にも載っていた
夜行性のマジックエルフは夜でも見えるように、逆に天敵を見つけやすいように、目が特殊になっているのだそうだ
パッと見、白内障っぽく見える気がする…そして耳が少しだけエルフのように長い
嫌エルフはエルフで変わんないけど、俺はハーフエルフだったからそんなに耳長いとは思わなかったんだよね
「おー…なんか、凄く、違和感…。」
「いいからはやく粉落とせ」
「いで!」
親方から文句が飛んできたうえに更に魔道具が投げられた
キューリャさんがキャッチしてくれたけれども、魔道具を投げるなんてどんな扱いしてんだよ、全く!
それはよく見たら俺がよく試行錯誤していた時に作った、一時的な魔法無効を無効にしてくれる魔道具だった
おうふ、俺の作った試作品でしたw
それならば別に投げつけてもいいな
俺はクリーン魔法を使い、身を奇麗にしてから魔道具であるベルトを身に着けた
すると鏡に映る姿が見慣れた、ハーフエルフの時の俺に変わった
耳は普通の人間より少し長めになっただけの、髪の毛もミーシェちゃん達と大して変わらない赤紫色で短髪、そして何の特徴もない平凡な顔になった
「いやー、うっかりしてたーww」
「お前位だよ、そんな暢気なの…いいか、家に帰ったらお前の自分で作った正規の魔道具を付けとけよ!」
「本当だよ!従者さんも、こいつうっかりするから気を配ってやれよ!」
「も、申し訳ありませんでした…。」
あ、こらやめろヴェル!キューリャさんは悪くないだろうが!
いじめか?よくないぞ、そういうの!
【原因はお前だ、馬鹿】
アッハイ、反省します
「キューリャさんまじごめんね?」
「いえ、失念していたのはこちらです、申し訳ございませんでした。ショージ様がここ最近無い位に、はしゃいでおられるので、つい気を抜いてしまい…申し訳ありません」
俺が間抜けをしたせいで従者のキューリャさんが怒られたと言う事は変わらないのに、キューリャさんは優しいなぁ…
全く悪くないのに注意されて謝らせてしまった
此れからは気を付けます、反省もするよ!
「キューリャさんごめんなさい、うっかりしてた」
「いえ。」
タオル使う必要ないんだけど、まぁ動揺してたんだろうな
顔をついでに洗っておこう、せっかくだから使わないとね
顔を洗ったあと戻ると親方たちのいる所に戻るとヴェルがガシっと俺の肩を掴んできた
え、何まだ怒られんのと思ったらある意味怒られた
「お前俺らいけにえにして自分だけ逃げようとしてたな!」
「そうだよ!なんでばらすんだよお前!」
「なんでじゃねぇよ馬鹿!親方に悪戯したのお前だろ!」
「兄弟子なら弟弟子の分も怒られてくれたっていいだろ」
「「ふざけんな!」」
リーファにも怒られたww
当の親方は頭が痛いと言いたそうに額を押さえて呆れていたけど鼾掻きまくって寝こけてる方が悪いんだい
「あー…とりあえず、誰が、どういう悪戯噛ましたんだ。言え。」
「ショージが、親方の鼾がうるさいからってヘルレッドとエレルドを混ぜた物を塗ってました!」
「俺達は止めました」
「おいリーファ、ヴェル!ひでぇ!」
「ひでぇのはおめぇだ、ショージ!」
ゴチッと親方に思い切りげんこつ落とされた
ぐぉおおおおおおおおおお…いでぇ…
俺が思わず頭を押さえると親方は俺の耳を引っ張り、そのまま悪戯した罰としてブロンズソードを10本作るように言ってきた
なんでも他国の人に頼まれた注文品なんだそうだ
いてぇ…上に、面倒くさい…
「ったく、ろくな事しやしねぇな!リーファ、ヴェル!お前らも同罪だ!お前らはサンドソード20本!」
「「うげえええ…」」
「文句あんのかあ?」
「「…………ありません」」
「うはww大変だねww頑張ってw」
「「…………………」」
うわ、怖い。兄弟子二人に思い切り“お前が言うのかよ”と、“お前のせいだろうが”って言うような目で見られたww
へへへww巻き込まれてやんのww
【反省はしてないな、お前…(+_+)】
してるよー?ただ親方に悪戯するのは止めないよー?
【 こいつ…懲りてない…(― ―゛)】
俺はそういう奴だからな!
俺は親方に押し付けられた銅板と鉄の塊を影の中に一時的に放り込み、面倒くさいながらもブロンズソードを作った
「あ、おい、ショージ!マジックエルフは温度差不味いんだろ。大丈夫なのか」
「おう、レシェルナさんが一時的に温度差に強くなれる魔法薬作ってくれたんだよ。俺も作り方習ったし、これからは俺自身で作れるし材料も貰った。一々参ってたら魔石合成なんて出来ねぇだろ?」
「あ…そっか。そうだよな、悪い。」
「心配してくれるのは嬉しいから謝んなよぉ」
リーファが心配しつつも濡らしたタオルをくれたので俺は嬉しかったぞ
でもまぁ俺も一か月間、魔法で風を纏わせて温度変化させないような物も出来る様になっているし、更にはレシェルナさんも魔法薬でこの種族全体の弱点である温度差に弱いのを何とかする物を考えてくれていたってだけだ
そして俺は無難にブロンズソードを言われた分きちんと作り上げた
魔力変化はなかった
親方に小言を貰いながらブロンズソードはそれでいいと言われた
一応、まぁ、ブロンズソードはそこそこ大量にできるようになっていないと、魔道具や魔武具を造らせないから親方の工房に厄介になっている人たちには一通りできるようになっている
ただ単純に、作るのが面倒だから10も20も注文を受けると誰もやりたがらないのだ
俺にお鉢が回って来たのも、仕方がないね
俺だって面倒なだけだなーとか思っただけだもん
「ショージ終ったら手伝え」
「だが断る!」
「「断んな!お前のせいでこうなったんだろうが!」」
「やーだよ。」
「「……」」
無言で二人が目で会話し、なにやら頷き合い、俺の両肩にそれぞれの手を置かれて引きづられ、炉の前に立たされた
幾ら耐熱対策しているとはいえ、じりじりとした熱気は伝わってくるんだぞ、ふざけんな!
あちいわ!バカあああ!
「ぎゃー、あっちぃ!なにすんだ馬鹿!」
「「うっせぇ、手伝え!」」
ギャーギャー騒ぎながらも本気で嫌がっていないと見るや、サンドソードの材料を押し付けてきたヴェルに、俺は強制で二人の手伝いをさせられることになった
サンドソードはブロンズソードの上位版みたいな扱いで、そんなに変わらない
面倒な作業が少し増えただけで、相変わらず初級編と言っても過言ではない位の数があれば唯々面倒なだけのものだ
ヴェルは鍛造が苦手なので、俺にフォローをするよう言ってきたって訳だ
苦手なだけで、全くできない、なんて訳では無いのだが(大体そんなの親方が無理やりできないのはやらせないし、ここにいる以上は俺以上には出来るに決まってるだろ)単純に面倒臭くなっているだけだろう
35分位かけて10本のサンドソードを作り上げた
面倒だったなーと思いつつリーファとヴェルと俺でなんとか20本作り上げたので親方からちゃんとお小言を貰った後許して貰った
そして、その後は課題を貰い、そのまま魔道具を作ることにした
「数日しかいれないならお前は納品することになっている魔道具を作って貰うぞ」
「へーい」
「じゃ、これらを造れ」
「うわ、とんでもない量なんですけど」
親方に渡されたものは腕輪型の魔道具10件、箱型魔道具10件とか言う鬼畜っぷりだった
しかも一つ一つ複雑ではないが材料がレア度高いのでレア度が高い物が出来る模様
うん、改めて思う
俺が規格外なんじゃない、親方が規格外なんだって。俺にこんなに作らせるから、俺も一つ一つに驚かなくなるんだよ
そしてガラクタだって大量になるのも致し方がないよね!
魔道具を依頼された場合、ある程度の弟子にこれならやらせてもいいと思ったやつに親方が話を振り、作らせて最終チェックを親方がしてから納品する
まぁそこではじかれると俺の場合影送り、他の人の場合は解体ボックスで魔石に解体されリサイクル、ないしは廃棄物扱いされて費用を自己負担するかガラクタを俺のように自分用として確保するかする流れだ
俺は失敗した魔道具であるガラクタを影の中に放り込んでいるし、問題はないんだけどね
俺とリーファが親方に押し付けられた納品の魔道具を作っているとヴェルと共にスミレがさぼっていたのでもれなく悪戯をしてやろう、と思った
スミレは俺がそんな事を考えた途端になーなーと可愛い子ぶって擦り寄り鳴き、フルーツ上げるから許してと言ってきた
作っている時は大人しくしていたけれども休憩するたびに可愛い子アピールしてきて仕方ないから許してあげることにした
だがしかし、ヴェル、お前は駄目だ
後で悪戯の刑だ。どうしてくれよう(黒笑)
…そう思いながらもモクモクと魔道具を作っていった
途中でお昼休憩&お昼寝をして、その時にヴェルにヘルレッドの実をちょこっとだけ切って料理に混ぜ、俺が出したので即やったと、ばれたのでヴェルに思い切り仕返しされた
しかも同じヘルレッドで仕返しされた。めっちゃ辛かった…
そしてお昼寝を済ませた後は再び親方に言われた納品の物をひたすら作ったよ
リーファと共にヴェルに悪戯して、親方に怒られる、何てこともありつつも色々とやっていたら夕方になった
夕方になってしまったので、バンクルでエフィールさんが帰っておいでとメッセージを飛ばしてきたので今日はもう帰ると親方に言うとくれぐれも明日は魔法解除を無効にする魔道具を持ってくるようにと念を押された
その後はエフィールさんの館に帰ることにしたので馬車に乗って屋敷へと向かった




