夢の中で新たな仲間?ペットを飼いました
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『あ、ショージ兄ちゃん来た!』
『ン・・・ミーシェちゃん・・・?』
『うん!』
俺がふと目を覚ますとミーシェちゃんが覗き込んでいた
ミーシェちゃんは嬉しそうに笑って、ぎゅーっと俺に抱きついてきた
抱きつかれて困惑しつつも、俺はミーシェちゃんの頭を撫でてみた
『えへへ~、あのねあのねミーシェね、ショージお兄ちゃんにあげたい物在るの!』
『?上げたい、物?』
『うん!だから、明日はミーシェがお出かけして良い?ルー兄様だけ、ショージお兄ちゃんとお話しするの、狡いんだもん、ねぇいい?』
『いやいや、ミーシェちゃんのしたいようにして良いんだよ?俺は君に体を貸してもらっているんだから。』
俺がそう言うとキョトンとした表情で俺を見上げてくる幼い子供に少し悪い気がしてくる
こんな何も分からないような子供の体を無断で(一応家族や本人からは了承を貰っている物の、俺的には無断で借りたようなもんだ)借りてるなんて、罪悪感が半端ないよ・・・
ミーシェちゃんの場合、まだ幼いのに俺みたいなのが急に来た訳だから成長に悪影響を及ぼさないと良いんだけれど・・・
い、いかんいかんついネガティブになってしまう
ミーシェちゃんはよく分からないが取り敢えずお外に出れると聞いて俺の手を小さい両手で取り引っ張った
『こっちきてー?ショージお兄ちゃんが起きる時ね、これがパアアアって光ったの!』
『ン?これ水晶玉か・・・』
『うん!でね、ユニコーンさんがね、お外にこれを触れば出れるよって教えてくれたの』
『そっか、これでお互いのどっちかが外に出れるんだね』
『お外に行くと、起きるんだって!ミーシェ起きる!』
『うん、ルールウドくんにも会いたいでしょう?触ってお外に行きなよ』
『ルー兄様意地悪だけど優しいのよ。ミーシェおべんきょーキライだから・・・』
『そっか。でも大事な事だよ?』
むすっと小さな頬を膨らませて嫌そうな顔をしているミーシェちゃんにロリコンじゃ無いけれども頬を突きたくなってしまう
・・・可愛いなぁ、子供ってどうしてこんなに可愛く見えるんだろう
あ、そこの誰だか知らないけれど、ロリコンとか思った奴!
こんな事思っててもロリコンじゃ無いからな!
断じて違うからな!
俺はどちらかというとエルフママさんがタイプだ
って何言ってるんだろう俺は・・・
ここにはミーシェちゃんと俺と、ミーシェちゃんの出した(らしい)ユニコーンしか無いのに、変だな・・・誰に言い聞かせてる気で説明なんてしたんだ?
まぁ疲れたんだな、きっと。分からない事は考えないことにしとこう
さて、そんな訳の分からないことは放り投げておいて、俺はミーシェちゃんにせがまれていつの間に出来たのか分からない本棚から絵本をとりだして読み聞かせをしてあげた
その本は俺の世界での絵本でなんと【親指姫】だったので懐かしく思いながら読み聞かせしてあげた
やはりというか何というか、ミーシェちゃんはこの絵本の文字が読めず、適当に絵を見てお話を考えて楽しんでいたらしい
退屈させてしまって申し訳なく思う反面、想像力は魔法の威力やら効果範囲の大きさに繋がる訳だからか、子供だからなのかは分からない物のその想像量はたくましい物で、いつの間にか絵本事態は終わっているのに親指姫が悪い奴と戦って皇子と王国を護っていく英雄譚的な物になっていた・・・
やはり、子供だしそういうのに憧れるのかな?
俺も小さい頃は憧れたなぁ・・・ヒーローとか、戦隊ものに夢中になって、良く近所の悪ガキを相手に遊んでたっけ・・・
悪ガキが勝手に悪戯して近所でも怒らせたらヤバいと有名な頑固な猟主さんを怒らせて俺に罪をなすりつけたりしたこともあったなぁ・・・勿論俺は仕返しにあいつらの鼻先に水鉄砲で水かけてやったけどな
・・・何故かその後俺も一緒になって親に怒られたけど
と、そんなことはどうでも良いか、今はミーシェちゃんに童話を読んであげないといけないよな、次は何を朗読するんだろう
『ミーシェちゃん、次は何が良い?』
『うーん、とねぇ・・・これ!』
『シンデレラかぁ・・・分かった、おいで』
俺はシンデレラを朗読した後、ミーシェちゃんにせがまれるまま4つも童話を朗読した
良くそんな童話を出せたなとも思った
俺はそんなに童話なんか読んだ憶えも無いんだが、何故か夢の中だろうここでは童話だけでも10冊もあった・・・前世と言って良いのか分からないが、前の世界にいた時の俺も知らない童話だって合った
凄ぇな、夢の世界。なんでもありかよ
ふと腕を見ると起床する時間の7時5分前になっていた
ミーシェちゃんも俺が腕時計をみたので同じく自分の腕を見て、一寸がっかりした表情になってしまった
『もう一寸で起こされちゃう・・・もっともっと絵本読んで欲しかったのに・・・』
『ミーシェちゃんさえ良かったらまた読んであげるよ。また今夜にね』
『!うん、また読んでね、ショージお兄ちゃん』
ぎゅーっとミーシェちゃんが抱きついてきたので頭を撫でてあげるとくすぐったそうにして頭を俺にこすりつけるようにすり寄せて、それから水晶玉の方に触った
可愛いなぁ、妹がいたらあんな感じなんだろうか・・・
あいにく俺は弟がいるけれど妹はいなかったからなぁ・・・
しかも弟は生意気で可愛げの欠片も無いから海外旅行行って勝手にその土地が気に入って、そこに住むようになった馬鹿は知らん
・・・ミーシェちゃんは水晶玉に触って、吸い込まれる様に消えていった
水晶玉が光り、俺が今いる場所は一気に色あせてクリーム色の背景に、うす水色の綿飴のような雲、ユニコーンや可愛らしい本やおもちゃなどがあった、少女趣味全開だった部屋が急にシックな黒と白の部屋に模様替えした
まるで俺の好みに合わせましたと言わんばかりに一気に変わったその部屋の模様替えに少し驚き同時に納得した
成る程、夢なのだからこの場にいる人物の好みに合わせるのかと納得して、試しにコーヒーを飲みたいなと思って見た
すると勝手にガラス製のテーブル、俺のお気に入りのコーヒーカップに2、3人位成人男性が座っても余裕になるくらいの大きさのソファーにクッション等が出てきた
・・・まぁまぁ俺の好みだ
特に、クッションがふわふわしていて、ソファーにも合っている形、色で統一されている
ソファーに座り背もたれと背中の間にクッションをおく
俺はソファーにもたれかかって、コーヒーカップから湯気が出ているので美味しそうな香りのするコーヒーを口にした
・・・俺の好きなコロンビア産のコーヒー豆のコーヒーだった
何もかも俺の好みだ、夢の中最高
これならミーシェちゃんが来るまで、ゆっくりと時間をつぶせるだろう
俺は次に、ルールウドくんの教えてくれた今はミーシェちゃんの起きている世界の本を見たいなと考えてみたら、テーブルの上に3冊でてきた
便利だな、夢の世界
俺はその本をとって開いてみてみると、ルールウドくんが教えるときに開いてた本だったのでじっくりとコーヒーを飲む傍らで本を読んだ
読書は好きなので苦にならないし、勉強にもなるし、予習復習にもなる
夢の中でも思うように魔力を使えるのかは疑問だったがやってみるとフレアがキチンと掌の中に出せたと言う事はこれで自主練も出来るようだ
熟々便利だな、夢の世界というのは
どうせミーシェちゃんが来るまで起きることは出来ないのだし、元々ミーシェちゃんの物なのだから俺は大人しく夢の世界で魔法の練習や勉強をしていよう
腕時計は7時5分をさしている
まだまだ余裕はあるようだ
その後魔力を掌以外に集める練習もしてみたり、本を見ながら色々とやったりしたりと遊んでいた
そしたら夢の中だからか今の俺では出来ないはずの無属性魔法で教本代わりにしている本にあった召喚魔法というのが試せた
夢の中、何でもありだな、本当に
扉のような物が出てきて、その扉から出てきたのは小さい猫のような生き物だった
・・・・・・・
ミーシェちゃんなら喜ぶんじゃねぇかな
猫好きそうだし
猫のような生物に、2対の白い羽が生えている
可愛くはあるがなんだこれ本に載ってないぞ、こんな生物
『・・・えっと』
俺が困惑してて頭を掻いたらその猫もどきは同じように前足で頭部を撫でた
・・・うわ、可愛い
まねしてるのか、この猫もどき
試しに、俺はコーヒーカップをもってみた
猫もどきはキョロキョロと周り見渡して、同じ物が無いと分かるとなんと小さいコーヒーカップをだし、同じように前足を両方使い、カップを挟み込み持ち上げた
持ち上げはしたが、上手く自分の顔の前には持って行けるように足が出来てないのだろう、ぷるぷるしてコーヒーカップを持ち上げるだけで、よたよたとよろけて上手く飲む仕草を出来ることは無かった
たったそれだけだがどうだ、と言い出そうにこっちを見てるのが、可愛かった
『・・・・・・可愛いな、お前』
『にゃぁ!』
うりうりとなでると猫もどきはもっと撫でろと言いたそうにないた
なんだこの可愛い生物は・・・
俺は本をこれ見よがしに開いてみた
まねしたい猫もどきなら本を引っ張り出し開くのかと思ったのだが、猫もどきはなんと背中の小さい羽を動かし俺の隣に来て、左前足で俺の膝を叩いた
『・・・乗って良いか聞いてるの?』
『にあー』
『いいよ』
『にゃ!』
まるでそう言われるのを当然だと言わんばかりに膝に乗ってくる猫もどきは俺を見上げて鳴いた後、本を一緒に読むような仕草をした
さっきからなんだろう、真似したがると思ったんだけど、今度は一緒に本を読み出したよこの猫もどき
『にゃ!』
猫もどきがほんの一ページに右前足を置いた
先程この本のページみながら魔法を試したといったけれどそのページには【召喚魔法は使い魔となる精霊を召喚者が選べない、また精霊側は動物の姿に似通った物で出てくる場合もある。また召喚された精霊は名前を付けることで何時でも召喚者の近くに出現できる力を得る】と記載されていた
名前を付けろとそう言うことか?
『名前付けて欲しいのか?』
『なぁーん!にゃぁー、みゃー』
『・・・後で良いか?』
『ぐるる、ふーーー!』
何だか不服げだ
今すぐつけろと言いたそうに喉を鳴らし、爪立てて膝にしっかりと攻撃してきた上、尻尾がブワリと大きく膨らんだ
どうやら俺は猫もどきを怒らせてしまったらしい
仕方なく、俺は猫もどきの名前を考えることにした
幾つか適当に候補を出して口にする度に、猫耳をぺたんと下げて不服そうに一鳴きして嫌だと抗議してくるので思い付く限りペットにありそうな名前を挙げたが全部もれなく却下された
お高くとまってるこの猫もどきのご機嫌を伺うようで段々俺も疲れてきた
ネーミングセンスが無いのをおいといて、犬猫の名前を思い付く限り全部出し尽くし、もうゴン太とかで良いんじゃ無いかと思いだした頃、猫もどきがまるで妥協するなと言い足そうに、俺の頬を猫パンチして殴ってきた
『おうふ・・・何だよ、不服ばっかりいってお前が妥協しないからだろ』
『ふーーーーーーー!』
まるで先程の思考がバレたかのようなタイミングで猫パンチされたのでつい文句言ったら猫もどきは再び威嚇して膝に爪を立てた
地味だがそれ痛いンだ、止めてくれないかな・・・
あ、もしかしてコイツ・・・!と思い、猫もどきを持ち上げて下の辺りを見てみた
そして思い切り顔面を蹴られた
『いで!』
『ふしゃあああああああああああ!』
『ごめん、ごめんて!』
猫もどきは俺の顔を蹴り飛ばした後華麗に着地した後俺の顔めがけてジャンプし、顔面を爪でめっちゃひっかいてきた
痛い、めっちゃ痛い!爪尖りすぎで、痛い!
ちょっと確かめたかっただけだってのに・・・痛ぇ・・・
『ッてぇ・・・お前女の子だったのかよ』
『にゃ!』
『一寸確かめさせてくれたって良いだろ?』
『ふーーーーー、ぐるる・・・!』
猫もどきは再びジャンプしたそうな感じで俺の顔をめがけて何時でも飛びつけるぞと言い足そうに尻尾を振り、尻を上げて上半身は寝かせた
良くある、猫の飛びかかる前動作だ
これ以上引っかかれて溜まるか、何か猫じゃらし的なモノがあるかと周りを必死に探すと手の中にいつの間にか猫じゃらしが握られていた
勝った、第三部、完!
その言葉が頭を占めた
これがあれば俺はこの猫もどきをかわせるぞ
試しに猫もどきの目の前で猫じゃらしを振ってみる
最初は興味なさそうにしていた物の、猫もどきは次第に猫じゃらしから目が離せなくなり、目だけで追い掛けだした
獲物のように時々止め、くすぶるように動かし猫もどきを引きつける
『ほぉーれどうだ』
『にゃ!みぃ!みゃー!』
『はっはっは、散々人の顔をひっかいてくれたからな~どうしてくれよう』
猫もどきを猫じゃらしで翻弄する
ふっふっふ、猫もどきは猫じゃらしの前に抵抗できずににゃーにゃー鳴きながらも捕まえようと必死に翻弄されだした
暫くじゃらしにじゃらしていたら猫もどきがはっと何かに気付いた様にぴたりと動きを止め、顔を前足で誤魔化すように拭った
フフフ、誤魔化そうと必死な姿も可愛いな
『みゃぁあ、ぐるる』
『おっと、また不機嫌か?』
『にー!』
猫もどきは再び俺の膝へ飛び乗り、本を名前の項目をペしペしと叩いた
早く名前を付けろと言いたいのだろう、先程より雑に、そして文句を言いたそうにニャーニャー鳴いた
と、いってももう俺には思い付かんぞ・・・
もう適当に花の名前で良いか?こっちの花の名称じゃ無いからわからんだろ
『あー・・・サクラとか』
『ふー!』
『らん』
『なぁーん』
『すずらん』
『・・・・・うー』
不服そうにそっぽを向く猫もどきに、いよいよ俺は頭を抱える
そもそもそんなに花の名称なんか知らないんだよなぁ・・・
その後も思い付くまま花の名称を口にするが、猫もどきはそっぽを向いたり講義を言うような鳴き声だけで、もう此奴の名前を猫という名前にしてやろうかとすら思った
するとやはり嫌そうに、俺の顔をめがけて猫パンチが繰り出されるのでよけた
『じゃ、スミレなんてどうだ』
『みゃぁーん!』
どうやら最後の最後で絞り出した花の名称で、お気に召して貰えたようだ
鳴き声のトーンが嬉しそうに高かった
すりすりと体全体をこすりつけ、先程とは打って変わって甘えるような仕草をした
『ふぅ・・・やっとか・・・もうネタ切れだったぜ・・・』
『みゃーん?』
『にゃーん、じゃねぇよ』
まるでかわい子振るみたいに何言ってるか分かんない、と言いたそうに猫もどき基命名スミレは目をくりくりさせて俺を見上げてきた
しっかり小首を傾げて、俺の服を両前足で軽くひっかいてるのがまたあざと可愛い
すみれを撫でるとごろごろと喉を鳴らして俺の手にすり寄った
まぁったく、猫はこれだから・・・さて、と。この猫もどきはどういうこと出来るんだ?
俺は先程スミレとじゃれつく前にどかした本をもう一度開いてみた
【精霊は召喚者と同じ姿になることも出来、召喚者が命じればどのような姿にもなれる。精霊は普段召喚者以外の生物が認識は出来ないものの召喚者と同じ姿になれば他の生物に認識は可能になる。】
『へー、じゃあスミレも俺と同じ人間風になれるのか?』
『みゃ!』
まるで頷くように首を縦に動かし、俺の膝から降りて目を閉じた後、くるんとその場で飛んで見せた
ジャンプして、くるりと空中で周り、スタッと床に降りる頃には猫もどきは人間の姿になっていた
最初からそうしてくれれば良いのにな
人間になったスミレは金色の目と細い瞳孔、猫の時の毛色と同じ白くて肩位の長さの髪の毛と白くて小さい猫耳、尻尾、そして淡いスカイブルーのワンピースを着ているやや釣り目のかわいらしい少女になった
『どーだ!なれたにゃん!』
『・・・よかったね』
『にゃ?!・・・おにゃーはよろこんでにゃーの?』
『おにゃーって・・・あぁ、俺って事?』
『みぃ!そうにゃ!』
生意気そうだと思っていたらやはりこの猫もどきは生意気な口調だった
でもどこか愛らしい様に感じるのはやたらと俺に懐いてるからだろうか
俺はこの少女を自分の隣に座らせ、どうした物かと考えようとした
しかしスミレは俺の膝に、俺と向かい合って座りだした
『あの、スミレちゃん?何で俺の方を向いてるのかなぁ?』
『にゃーは召喚者のそばにいるのにゃ!にゃーはスミレ、気に入ったにゃう!召喚者の名前教えて欲しいにゃぁ~』
『・・・俺の名前は昇次っていうんだよ。』
『しょーじにゃね!』
何でこの子は一々語尾にニャとかつくんだ、露骨に狙ってんじゃ無いか?とか思わなくは無いが話す度にピコピコと猫耳が揺れてて可愛いとか尻尾が嬉しそうに揺れてるとか言いたいことは色々とあるモノの、俺はグッと黙っておいた
俺は無言で撫でといた
スミレはにゃーにゃーと鳴いて目を細め、嬉しそうに耳を揺らしていた
猫もどきの時も頭を撫でると嬉しそうにしてだが、人間に近い姿なら顕著だな
口元がにやん、と笑っている
『で、スミレは何ができるんだ?』
『にゃ?にゃーは精霊にゃ!人には見えないニャ!』
『・・・うん、そうみたいだね、本にも書いてあるし。で、他は?』
『ニャ・・・ッ猫や動物たちに話が聞けるにゃ!』
・・・駄目だ、何か有効なことが一つでも書かれてないか、探った方が早い
俺は再び本に目を通した
『にゃぁ・・・僕も一緒に見ていいにゃ?』
『いいよ』
『みゃぁ♪』
ごろごろ喉を鳴らすスミレを撫でながら本を読む
何か一つでもメリットを見つけないと、可哀想だしね
【召喚した精霊の知能は召喚者の魔法レベルによって変わる。その為この魔法は最低でも魔法レベルⅣまで使うことを控えた方が良いだろう。魔法レベルが低くても召喚は成功することが多く、その場合は精霊自体が知能低く召喚される】
・・・・・・・俺の魔法レベルが低いのに、出来る訳無いだろと思いつつ半信半疑でやらなければスミレはもう一寸賢かったかも知れないと思うと、何だか申し訳なくなってきた
【なお、精霊は独占欲が強く一人の召喚者が2体以上の召喚を行う場合、先にいた精霊に邪魔されることが多い。精霊は魔力、精霊術を目に見える為、召喚者にその利点を貸し与えることが出来る。】
お、メリットあった?と思ったけれどその後に【ただし精霊側が与えたいと思うことが必要】と書かれていたので思わずスミレを見てしまった
俺に見られたと分かったのか、不思議そうに俺を見上げてきたスミレと目が合った
・・・スミレに期待するのは止めよう
彼女は俺だけに見えるマスコットキャラだ。そう思うことにしておくことにして、本を思わず閉じた
デメリットしか見当たらない気がして、俺がうっかりで召喚してしまった彼女に申し訳けなく、そのことを考えて落ち込みたくなくて・・・
うん、誠に勝手なことだよ?分かってるよ?でも、こうなるとは思ってなかったんだよ・・・
うん、もう勝手に魔法レベル高そうな魔法は試したりしないよ
魔力増やす練習だけしとこう
俺が本を置いたらじーっとスミレが見てきたので猫じゃらしを振ってみせると両手で猫じゃらしを白羽取りするように挟み込んで止めた
猫もどきの時は掴みきれなくてするっと猫じゃらしが抜けてたのに、しっかり両方の手で挟み込んでいるせいで抜けなくなった
あぁ、人間だから掴んだら動かなくなる訳だね、うん
ふっ、ならば次には・・・
俺は小さめのボールを土属性の魔法で生み出し、風を纏わせて転がした
忽ちスミレは猫もどきに変身して土のボールを追い掛けだした左に転がしスミレが追い掛けるので今度は右へ、また左へとコロコロ動かした
スミレが必死に追い掛けるけれども土のボールは惜しいところまで追いつきボールに前足が届きそうになると俺がボールを引き離すよう動かして意地悪する
するとコロコロと動いて追いつきそうで、追いつかない状態でスミレは嬉しそうに追い掛け回している・・・こうしてみるとまるで犬みたいだな
スミレが飽きるまで土のボールを転がしてあげる
土のボールは魔力でコントロールしやすいので(多分、俺の得意属性って奴が土属性も入ってるからだろうな)地面をコロコロと移動させることで魔力のコントロールを意識してスミレの相手と魔力の操作をしてみる
スミレは暫くボール遊びに夢中になってくれたので、子犬を相手しているようにボールを必死に追い駆けてるのを可愛いなと思いながらも、俺は再び魔法のことが書いてある本を開いて読んでいた
召喚魔法以外の、何か今の俺でも出来そうなことを見ておきたい
色々とあるみたいだけれども、基本的には魔法は何でもありで、術者のイメージが大事、と言う事しかろくに書かれてないが付与魔法やらなんやらと色々とあって魔法って何でもありだと思ってしまう
一般的に生活魔法とされる無属性の魔法もありとあらゆる魔法を、他の属性には当て嵌まらないからと言うだけで一括りにして読んでいるだけだから色々と凄そうな魔法もあった
例えば無属性の魔法の中で初級編として本で紹介している“相手との距離を測る魔法”は、この相手というのが人じゃ無くてもいいらしい
詰まり、魔物やアイテムとの距離を測ることもこれ一つで可能
さらには建築の時の基礎を謀りながら作るときも、傾斜を測るのもこれで可能
はてには移動中の物とだって距離を測り、そこから考えればある程度攻撃を此方が準備することだって、逃げることだって出来ちゃう
一見聞いただけだったら何それ、意味あるのと聞きたくなる様な魔法だって使い様はいくらでもあるということだ
それにはイメージが大事な訳だけど、そこは頑張って想像するしか無いよね
わくわくするなぁ、早く俺も学校とやらにいけるようになるか、魔法を使える環境でレベルを上げて格好いいことをしてみたい
魔法レベルが低くてスミレの時に失敗してしまったみたいにならないように慎重にしなくっちゃいけないけれど、早く魔法を使いこなせるようになってミーシェちゃん達の家族・・・えっと、ドラゴニア?家に迷惑を掛けないようにしたいからね
スミレが飽きたらしく、俺の膝の上にひょいと乗ってきて、ごろごろ喉を鳴らし丸まった
『もう良いの?』
『にゃぁ~』
『その姿だとお話しできないの?』
『面倒くさいだけニャ』
『話せない方が、面倒くさくないの?』
『勝手に勘違いしてくれるから、楽なのニャいやにゃらいやって教えてるにゃン』
・・・た、確かにスミレはやけに自己主張の激しい猫もどきだとは思ったけどこんな事考えてたのか・・・可愛い見た目に惑わされた気分だ・・・
まぁ仕草が一々人間っぽいなとは思ったし、少しでも話せるなら良いか
猫の姿になってくれてた方が持ち運びも出来るしね
そう考えて深く考えないことに決めた