校長先生はとても楽しそうです
名刺によると眼鏡主任さんの名前はエルルストさん、というらしい
言いにくい!噛みそう!エルルストさん…うん、ある意味忘れられない名前になりそうだ
狡いと言いたそうな視線を浴びながらもケロッとしている表情の、エルルストさんに、あぁ、校長先生と何処となく同じ匂いを感じるな、なんて考えつつもとりあえずは頷いておいた
こういった人には何を言っても無駄だから(いい例が校長先生)
手続きも新たに口座も出来たので早速今影送りにしている怖い様な金額のお金を俺の口座に入れて貰う事にした
「早速貯金したいんですが」
「畏まりました、こちらにお出しください」
エルルストさんがそう言ってカウンターの向こう側から出したのは小さな革袋だ
一瞬不安に思った物の、よくよく考えればこの異世界では大体の通貨は金貨や銀貨などの小銭が主流。紙の束である紙幣タイプではないためこういった袋で十分なのだろう
俺は影の中から理事長先生のくれた(押し付けられた)2グランと校長先生に同じくもらった(押し付けられた)3ユルドを袋にいれたら何故か他の職員さん達がものすごい目を輝かせて俺の方を、まじまじと見ていた
見られた…え?こんなにまじまじと見られるもんなの?
【昇次の貯金額が多かった】
あ、確かに!でも俺だってこんな大金いつまでも持って歩きたくないんだもの仕方ない
【うむ、仕方がない。多少の視線は我慢しておけ】
うん、そうするよ
「失礼ですが、ショージ様…ご金額はこれで合っていますか」
「うん、あっているよ。だってパブリックがご褒美上げたからね」
「…校長先生、こういう物はご本人様か、その従者様だけに行うご確認ですので…」
「でも後ろの他の子達が気にしているみたいだったからねー。」
「…教育しなおしておきます」
エルルストさんがそういうと職員さん達は真蒼になりがくがく震えだした
う、うわぁ…相当怖いんだろうな
マジで怯えているよ、この顔は…
い、一体何が行われるというのだろうか(ゴクリ)
教育という名の、お仕置きですね 分かりますん…
「ではこちらでお間違えがないですね」
「は、はい。」
「では確かに、お預かりいたします。」
そう言ってお金を持った袋をどこかへとスッと消した
おお、と思ったけれども分ちゃんがただアイテムボックスに入れただけで驚くんじゃないと言ってきたので少しだけ反省した
「後ほど指輪の方にもこの金額がショージ様の口座へと振り込まれたことが色で伝わるようなっています。指輪が青く光ってすぐにまたその透明の色になるので、そうしたら振込完了です」
「あ、は、はい。分かりました、お願いします」
「はい」
ふぅ、これであの大金からは解放された
何とかなってよかったと思いながらも校長先生が椅子から降りるのを手伝ってから俺もおりて学園銀行受付を後にした
うーん、朝からなんだか疲れるなぁ…でもずっとあんなに大金を持っておくよりましだと思う事にしよう
エレベーターで自室に戻ろうとしたが、がしっと左手首を掴まれて校長先生に止められてしまった
「…なんです?」
「ねぇショージ君。生徒会室に入ったことがあるんだよね?」
「…?え、あぁはい。一応?」
「フフフ、なら、贔屓はよくないよね?」
お、おう…?なんだかすごく嫌な予感がバシバシするんですが、これは…もしかして
あの…これ、この会話の流れは…もしや…
「ねぇショージ君風紀委員室へ一度おいで。」
おいでと言っておきながらも校長先生、俺の左手首を放す気がなさそうですよ
た、助けてルールウド君~!ヘルプミー…
【大人しくドナドナされる昇次であった、まる】
いーやー…おたすけー…
【結構余裕ありそうだよな、お前…】
え、うん、一寸自分で言ってて楽しかった
【言ってないけどな。口に出してないし】
うん
分ちゃんとの雑談を楽しみながらも若干ふざけ合い、校長先生に腕を引っ張られながらひたすら歩かされること十分、銀行の部屋からまっすぐ右側の廊下を突き進み、5つの扉を通り過ぎて6つ目の扉の前で校長先生は止まった
その扉はぱっと見普通の扉には見えるものの、金色の板に螺鈿の様にきらきらとした複雑な光明の文字で書かれたプレートのかかっている扉だった
そこには当然と言えば当然だが、『風紀委員専用室』と書かれていた
うわぁ…予想通りで言葉もない
校長先生がノックをして入るよーと気軽に声をかけて勝手に中に入った
校長に手首を掴まれている俺もまた連行されるようにして風紀委員の拠点であろう室内に入っていくのだった…いやマジで助けてルールウド君
風紀室は中に入ると左右に開く、いわゆる観音開きなタイプの大きな扉があって、その前には教室にある机と椅子があり、その上には一冊のノートが乗っていた
「?ノートですか」
「うん、ノートだよ。そこには活動記録が書かれているんだ。誰がどういう活動をしているか、今空いているのか、魔法で描かれているから簡単に消したり、書き換えたりできるんだ」
このノートはいわゆるホワイトボードのようになっているらしい
生徒会の木札のように外出とかがわかるようになっている、という感じだろう
ふうん、そんな物なのかと思っていると校長先生がペンでさらさらと俺が校長と共に室内見学に来たとかいた
いやまぁそうなんだけど、そこに俺の意志はないと付け足したいね
手首掴まれてそのまま連行されたんだからしかたない
ノートに書き込んだ後椅子からひょいと降りて校長先生は観音開きの大きな扉に手を触れ、魔力を少し流した
「この扉に魔力を流すことがカギとなっているからね。」
「あぁ、はい。」
魔力は指紋認証レベルでよく使われているからわかりやすい
魔力波長も個人で違うし、もろそんな感じ。他人が勝手に真似できないしね
扉に魔力を流すとギギギと軋んだ音を立てて扉が開き、室内が見えてきた
大理石の様なつるつるした床に、清潔感のあるライトグリーンがかった、白めの壁
大き目な明り取りの窓が天井近くにあり、色付きガラスでよくわからないけれども絵が描かれている
真っ赤なカーペットが真ん中にあり左右に長椅子がおいて居る
一言でいうなら・・・・・
え、外国の映画とかでよく見かける、教会?である
赤いカーペットの先には教卓みたいな段差があり、その上には机と椅子がある
その後ろには祭壇が―…と言いたいところだが、後ろには扉があり、扉を挟んで左右に大きな本棚や魔道具が並べておいてある
扉の前の机には水晶玉が固定されていて、動かせない様になっている
【この水晶玉は校長室と繋がっているため校長室にいながら伝令を伝える事が出来る】
成程、ホットラインか
【うむ。】
電話がない異世界ならではのホットラインね、それは大事だね
俺が周りをぐるりと見渡していたら長い椅子の背もたれの部分で見えなかったのか、何処からか鼾が聞こえてきた
「…?鼾?誰か寝ているんですか?」
【教卓の前の右側、その席の椅子に、生体反応あり。】
どうやら爆睡しているのがグゴゴゴ、ッフシューと何とも気の抜ける音がする
校長先生はにこやかな顔を崩さずに さぁ?なんていっている
それでいいのか校長先生…
気になったので試しに近づくと、鼾の主は…クマのような小さく丸い耳を頭から生やし、大柄な筋肉質の男性が窮屈そうに椅子のひじ掛けに頭を乗せ、長椅子に横たわりグーグーと寝ていた
制服はぴったり体型には当てはまっているもののなんだかそれがかえって違和感を感じる、気がする
「あぁ、…ふふ、仕方ないなぁ。ショージ君、彼はね、シュティーア君。こう見えても彼はまだ10歳で見ての通り、熊人種という獣人族の一種だよ。彼はね、君たちと同じく転生者なんだ。仲良くしてあげてくれると嬉しいな」
校長先生がそう言って隣の長椅子からブランケットを執事さんに言ってとってきて貰った後寝ている…しゅてぃーあ?君にかけてあげた
くまじんしゅ、とは何だろうかと思い分ちゃんに聞いてみた
【熊人種;文字の通り、熊の強靭な肉体、体力、獰猛さを兼ね備えた獣人族。往々にして子供でもその力は軽く車をひしゃげられるほどの力を持っている。】
ひ、ひえ…子供なのに、車をゆがめられるとな?!おっそろしい…
【仲間意識が強く、さらに家族や一族といった物を大事にする反面それらが傷つけば敵をとことん追い詰め嬲り殺しにする】
ひょえぇ…怒らせないようにせんといかんな
【獣人種はみな光魔法、土魔法を持っている者に優しいぞ。精霊と近い感覚。優れた感性と嗅覚や視覚で自分や自分の組織にとって敵か味方かを見分けたりするのが得意】
お、おう…まぁ俺もよほど失礼な事されない限りこっちからは攻撃とかしないけどさ
【怖がられることの多い獣人種も多いが、それなりに優しくしてやると恩をあだでは返さないのが多い。獣人種は礼儀正しいのも多いぞ】
それを聞いてよかったよ
まぁルネア君見ててそんな感じだろうなとは思うけどね
「…ん」
あ、起きた
むくっと起き上がる、シュティーア君がぼーっとしたままで、こっちを見ている
「………………………」
「?」
「………………………?校長先生…?」
「あぁ、うん。おはよう。シュティーア君」
ぼんやり校長先生と俺を視界に入れていたのに、やがて目が覚めたのか首を傾げた
もごもごと何かを口ごもりながらも俺と校長先生の間を行ったり来たり、うろうろと彷徨わせていたシュティーア君は困惑している
「……誰?」
漸く言葉が出た時には、俺を気にしながらも長椅子にきちんと座り直し、少しだけ意識的にだろうけど、俺から距離を放したのだった
うん、第一印象はこの子、口下手なのかな、だった
悪い子じゃないだろうけど、会話が苦手なのかな?
今も俺をちらちら気にしながらも俯いている
「ショージ君だよ。君と同じ、転生者でノブレに気に入られたんだ。でも僕もこの子欲しくなっちゃった。仲良くしてあげてね。」
「……はい。(こく)」
「ショージ君は精霊と契約していてねー、猫なんだよ。」
「………………(こく)」
シュティーア君が頷いて、一方的に校長先生が俺の事について話している状況が5分続いて、唐突に話すことが無くなり、誰も話さなくなってしまった
シュティーア君は興味深そうにチラッと俺の方を見ただけで、うつむいて黙ってしまった
俺も何も言うことないし、ね
「…シュティーア君は悪い子じゃないけどシャイなんだ。」
「そうなんですね。」
「…(ぷいっ)」
うん、シャイなんだよね、そうだと思った
シュティーア君は耳がうっすらと赤く染まっているし、時折俺の方をちらと見ている物
俺は少し考えて、栄養剤を取り出し、スミレに飲ませてあげた
『にゃー!んまんまにゃー!』
スミレが光って、その光に驚いたのかシュティーア君が俺の方を見て、俺がしゃがんでいるのに気付き、スミレの姿を視界に入れた
すると面白い位に動揺して触りたそうにしては止めて、視線をうろつかせているのを繰り返した
『にゃ?』
スミレがそう鳴くと、ぐっと眉を寄せてスミレから視線をそらし、震えだした
触りたいのを我慢しているようだ
「よかったら、抱っこしてみる?」
「…!…、………いい。」
シュティーア君は迷った挙句に漸く呟くようにぼそりとそれだけいった
どうやら困っているようだし、かなり迷っているようだったので俺はスミレを抱きかかえて撫でてあげた
『にゃー、ゴロゴロ…』
「……………っ、…!ぅぅ」
低く唸るような声を喉の奥から出しながらシュティーア君が困惑している
さて、シュティーア君の意地は何分持つのだろうか
・・・
・・
・
『にゃーん!にゃー、にゃ!待つニャー!』
現在スミレはシュティーア君の操るリモコン型ネズミで遊んでもらっている
結局持ったのは最初の4分だけだったな、シュティーア君…
スミレは可愛かろう?ふははは、俺の子だからな!
『にゃー!』
ばしっと両手でネズミを捕まえたスミレは、満足そうにもふもふと鼠のおもちゃを噛んだり揉んだりしている
「……可愛い…」
「抱っこしても大丈夫だよ」
「…………し、しても壊れない?」
「俺光魔法使えるからスミレが怪我しても治せるし、スミレは柔じゃないぞ」
『そうにゃ!ミャーは強い子にゃ!もふもふするのかにゃ?』
スミレは俺には浮気だなんだというのに、自分は良いのかシュティーア君の足元に座ってニャーと鳴いて、両前足をくいくいっと軽く上げて空中を引っ掻くようにふった
あざと可愛い、10点
スミレの可愛さに誘われたのか、おずおずとしゃがみ込んで腫物を触るかのようにそっとスミレの頭に触った、途端にひっこめた
「わ、わ!……ぅ…」
『にゃー?』
スミレも戸惑ってしまう程、素早く手を引っ込めた
いやそんなに勢いよく引っ込めなくともいいのに…
そう思っているとボタンを押すように人さし指だけ立ててスミレに近づけた
あぁ、そうやると…スミレは精霊だが、猫ですので?
『はぷ!』
「…ぅあ!?」
寄り目になったスミレが小さな口を開けて齧った
うん、まぁ、そうなるよね
校長先生なんかはいつも通りに、にこにこして何もしていないが特に咎めるような事はしてこなかった
スミレに指を齧られたまま右往左往しているシュティーア君は少し滑稽だ
「スミレは猫だからそんなことしたら噛まれるよ?」
「え、あ、あぁ、お、おう」
おお、戸惑ってる 戸惑ってる
漫画だったら目が渦巻きになって分かりやすく混乱しているんだろうなww
俺はスミレに咬むのやめなさい、というと素直に口を開けて解放した
しかしおろおろしっぱなしのシュティーア君はまだ困惑しているのか指は解放されているのに手を引っ込めるのを忘れているようだった
じれったいったらないね
俺はその引っ込めようとしていない手を掴んで、スミレの頭の上に乗せてあげた
「………」
あ、固まった
石化魔法を使っていないのに、面白い位に固まった
暫くじーっと見ていたらゆっくりとぎこちなく、頭を撫でだした
おお、どうなる、とじーっと見て居続けた
「………………」
『にゃー、うにゃ、うにゃー…』
「…………………」
『なーん!』
無言でひたすらスミレを撫で続ける事10分
スミレの方がなんだか飽きてきてしまったようで一寸不服そうにニャーと鳴いても止まることはなかった
ではいつ止まったのかというと、俺がスミレを抱き上げて無理やり止めさせた
やや残念そうに、寂しそうにスミレと俺を見てきたけれどもごめんね、スミレが嫌がっているからね
「ごめんね、猫って沢山撫でるとストレス感じる生き物だからそこまでにしておいて欲しいかな…?」
「…ん、こっちこそ、ごめん。」
「犬なら一杯撫でられてもいいかもしれないけど、スミレは猫だから、一寸飽きて嫌そうにしてたから。スミレ、ご褒美ににゃおチュールあげるね」
『にゃにゃ!にゃーん!』
俺はシュティーア君に言いながらも我慢していたスミレにご褒美を上げることにした
魔法でにゃおチュールを出して口を切ってからスミレへと上げると必死にぺろぺろと舐めて美味しそうにしていた
シュティーア君はスミレがよほど気に行ったのか、食べている時もじーっと見ていた
うん、気持ちはわかるんだけどさ、凄くわかるけど!
スミレは少しだけ気まずそうだよ…
「………この子は…」
「…?うん、なぁに」
「…………この子は、精霊なのか?」
「うん、俺の契約している、スミレっていう精霊だよ」
『にゃーん!』
スミレは返事をするかのようににゃおチュールを舐めるのやめて、一鳴きした
その姿はまるで どやぁ!と言いたそうに見えたので俺は撫でたいのを我慢した
さっき散々撫でられていたし、それに本当に撫ですぎてストレスになったらスミレがとても可哀そうだしね
シュティーア君との会話するために話題として自ら触らせる、けなげな位に協力してくれたんだから、俺が我慢してあげないとね
スミレがにゃおチュールを食べて(舐めて)いる間は触らないよう注意してあげると素直に頷いたので大丈夫だと安心した
スミレをじーっと見ながらスミレの事をたくさん聞いてきたから答えられるものなら応えたり、スミレ本人(本猫)が答えたりした
「…猫、好きなの?」
「……動物は俺が近づくと怯えさせてしまうから…。触れられないんだ」
「あー…それは、君が同じように動物たちと触れ合うのが怖がっているからじゃないかな」
「……」
『にゃむにゃむ…にゃ、ニャー…精霊でも怖がられたらやにゃ!』
「………う…」
シュティーア君はスミレをちらちら気にしてやがてしょんぼりと俯いてしまった
そんなに怯える必要性ないんだけれどもなぁ?
精霊達は話せばわかってくれるし、頭を撫でても喜んでくれるというのに
「触ったら、こ、壊しちゃう気がして」
シュティーア君が悲しそうにしながらスミレを触りたそうにして見ている
いやもうやめてあげてね、うちの子散々触らせてあげたでしょという思いがふつふつと湧き上がってくる気がする
【それは契約しているスミレに影響されているだけだ】
あっはい
というかうちの子そんなに柔じゃないぜ、失礼な!
【獣人種は幼少期、よく力加減を間違えてしまう事からなるべく物を触らないようにする者も多い】
あーはい、なるほどね
手加減が苦手なのはなんとなく、分からんでもない
車でさえ潰せるのだからそれもそうなのかもしれない
でもそんなに怯えなくともいいんだけどな
しばらく目を泳がせているシュティーア君をぼんやりとみているとがやがやと賑やかな声が扉の方からしてきたので複数の風紀委員のメンバーがやって来たようだ
牧野さんいるかな、と思っているとふよふよとテディベアの精霊君がやって来た
『あれれー?なんでいるのぉー?』
『校長に連れてこられたにゃ!』
『そうなんだぁー?』
『にゃ!お部屋を見て回るのにゃ!』
スミレとテディベアの会話を聞きながら和んでいると扉が開いて風紀委員さん達が入って来た
その中にはリッツ君とリッツ君の飼い主基、契約している子もいた
(勿論、テディベアの契約している子もいた)
「…シュティーアが起きているなんて珍しいね」
「…ん、起きたら校長とこの子がいた」
シュティーア君がそう説明したらなんだか皆が苦笑して納得したような雰囲気になった
シュティーア君はいつもこの場所で寝ているんだろう、なんだか皆半分呆れているという表情だった
「昇次君、いらっしゃい。」
「あ、牧野さんこんにちは。」
何人かと共に牧野さんがやってきて、挨拶されたから挨拶を返した
にこにこしてご機嫌っぽい牧野さんだけれども、すぐにスミレを見て驚いた表情になった
「おや…猫、かい?」
「ううん。俺のぺ…契約した、精霊のスミレだよ」
「精霊…精霊というと、契約した者や、精霊使いとかの特殊な職業でしか見えないはずだけど…」
「うん。俺の作った栄養薬で誰でも見えるようにできるんだ。」
俺がそういうと皆黙り込んで驚きを現した
牧野さんはケロッとして おやおやー、なんて言っているけど、なんだろうか
【普通の栄養薬はそんな効果がない。せいぜい精霊が元気になり、うっすらエルフや人間に知覚させる程度になるだけだ。ぼんやりなんかここにいる、カモ?と分かる位。さらに昇次の作る栄養薬のような効果のある薬は中々手に入らない分類に入る】
あ…
俺またやっちまった系ですわ
リッツ君の飼い主さんが先程よりも若干引きつった顔で精霊に、上げたのかと聞いてきたから俺は頷いたら うわぁ…と言いたそうな顔になった
「?なにか、あったのか?」
あ、シュティーア君には引かれてないっぽい
よかった よかった
【特にわかっていないだけだ】
あっはい
俺がうかつなことを言えないなと思っているとルールウド君がメッセージを送って来た
『ショージ、銀行はまだかかるの?』
いいえ、銀行にはもうとっくに行きました、金額も納めました
校長先生に風紀委員室に連れてこられていて更に牧野さん達がいます
と、送っていい物かどうするか…
うーん、と考えているとスミレがありのまま素直に送ればいいというので銀行に行き、その帰りに校長先生が風紀委員の教室に連れてきたことをルールウド君に送ることにした
すると数分もしない内になんだか影がもぞもぞしてきた
誰か来る?と思っていると、ルールウド君がズルッと俺の影からやって来た
「「「「「うわ!?」」」」」
「おっと、驚いた」
「?!」
風紀委員のメンバーは目を見張り俺の影から少し離れた
牧野さんも若干俺から離れて、警戒したのか少しだけ雰囲気を変えて影を見てきた
うーん、まぁ、そうなるのかな?
ルールウド君がズルッ、と全身を腕の力だけで何とか出して、影から這い出てきた
「ショージ、風紀委員室なんてないよ。」
「え、それ言うためだけにやって来たの?メッセージでいいじゃない」
「いや、まぁそうじゃなくて…。もごもご…」
?ルールウド君はなぜか、小声でなんかを呟いていて、後半何を言っているのか聞こえなかったのだけれども、なんだか少しだけ不機嫌そうだった
なんて言ったのかを聞き返そうと思ったら、ルールウド君が校長先生に俺をもう自室に戻していいかと聞いてきた
「うーん、せっかく来たのだからもう少し見て行かないかな?ほら、ショージ君の知り合いも来たことだし」
「ショージは生徒会に入るのでいいです!」
「おや困ったな、僕も欲しいのだけど?」
「だからってこんな…やり方が汚いですよ。銀行に行くっていうから…!」
????なんでそんなに怒っているんだろうか
まぁ、確かに銀行に行くだけだしと思っていた所に急にこの教室に連れて来られた時はルールウド君にヘルプ!と思ったけど嫌な事をされたわけじゃないしな…
ただ教室見て、寝ている人起こしたから会話しただけだしな…
特になんもしてないぞ、校長先生
何しにつれてきたんだと疑問に思う位に何もしてないぞその人
ルールウド君がなんか校長先生に文句を言っている間に俺はスミレを抱っこしていたのを下ろして椅子に座り、テディーベア君とリッツ君とお話ししていた
『風紀委員って楽しい?』
『『楽しいよ』』
『そっかー』
『体験期間が早く来れば分かるのにねー』
『そうでちゅね』
何だろう、この精霊達のほんわかのんびりとした会話は…
可愛いな…ルールウド君と校長先生はお互いにひかないような会話をしているんだけどね
俺は精霊達の会話に耳を傾けていると牧野さんがグリーン茶を出して俺に持ってきてくれた
うん、それは俺、いらない
「あー…俺、グリーン茶はそのぉ…」
「あぁ、苦手かい?」
「…うん。なんだか好きになれない」
「そうか…じゃあ粉紅茶を入れてあげよう」
「粉紅茶?」
「インスタントコーヒーみたいに粉状なった紅茶だよ。」
それなら好きになれるかもしれないと思っているとルールウド君が俺の腕を引いて牧野さんから少しでも放そうとしてきているのか、俺と牧野さんの間に自分が割り込んできた
「飲み物は結構です。ショージ、ルネア君達がショージの部屋で待って居るんだよ、早く行こう!またせたらかわいそうだよ!」
「え、あ、うん!牧野さん粉紅茶はまたあとでお願いします」
「ほら早く早く!!」
グイグイと俺の腕を引いてくるルールウド君に連れて行かれるまま、エレベーターの所までやってきて肩の力を抜くようにため息をつかれた
そんなに力入れなくてもいいのにね?と思いつつも大丈夫かと聞いたら誰のせいだと思っているのかと聞かれてしまったので思わず苦笑して黙ってしまった
スミレがニャーン、と呆れたように一鳴きするとルールウド君はスミレを抱き上げてぶつぶつと文句を言い出した
まるでスミレに言い聞かせるかのように文句を言っているもんだからスミレが可哀そうにもにゃーにゃーと鳴いて慰めているのを横目にエレベーターへと乗り込み俺の部屋の階層に行くようにキューリャさんに動かして貰った
俺の部屋に行くとルネア君達と理事長先生が俺の部屋にいた
生徒会のメンバーでいるのはコントロル君と生徒会長さん、遊技君とテンツアー君、そしてキキョウさんだった




