魔法をすぐに使いたがるのはもう仕方ないじゃないか
「しょ、ショージ、怒った?」
「ううん、怒ってないよ。ただ、この箱型魔道具をどこに置こうかなって…。手持ちにあるのは8個しかないんだ。どこがいいかなって考えてたの。」
「「そ、そっか…」」
二人して明らかにほっとしたようで、大きなため息をついた
ふふ、こんなことで怒ったりしないのにね
空魔法の使えるテンツァー君とシェンフ君、直感さんが俺から箱型魔道具を受け取り適当に設置してくれた
これ、一つに魔力を籠めるだけで連動するので最初は置くだけでいいというと空魔法で瞬間移動のできる三人が手を挙げてくれた
やはり、羨ましいねぇ、空魔法!何より瞬間移動がかっこいい
【お前ない物ねだりだぞ】
それは言わんでよろしい
【思ったことを素直に言って何が悪い ヽ(`Д´)ノプンプン】
ない物ねだりだというのもわかってるけど、いいじゃん
格好いいなって思う事位いいじゃないかぁ…
分ちゃんと会話しつつぼーっとしていると置き終わったらしく、パッと三人が戻って来た
「終わったよ、ショージ君」
「…いつでもいい。」
「こちらも、置いただけですが終わりましたよ」
俺が最後の一つ、どれでもいいので魔力を籠めるようにと言うと生徒会長さんがみんなに下がっているように言ってから魔力を遠くから魔道具に流したのが分かった
すると赤く魔道具が光り、魔獣どもを長方形の魔導回線が囲い込んだのがはっきりと目に見えて分かった
「皆耳塞いで、伏せて」
俺が忠告し、皆が耳を塞ぎ伏せるのとほぼ同時にドゴーンと破裂音というか崩壊するような音がして、一気に囲まれている魔獣たちのいる、内側は真っ白に染まった
キーーンと耳鳴りのする中、濛々と上がる煙にさらに追い打ちをかけるように魔道具自身が自爆した
その為使い捨て、なんだけどねぇ…
箱の近くにいた魔獣どもも巻き込まれ、あっという間に囲まれた魔獣たちは魔石の山と化した
素材の方はどうしたかというと消し炭にすらならずに消えました
魔石がかろうじて残っているくらいの、更地の出来上がりです
草の一本もない、砂漠状態です
「「………う、うわぁ…」」
「「これは酷い…」」
遊技君とルールウド君が思い切り目を見開き、口を大きく開けて呆ける
生徒会長さんとテンツァー君が酷い、と言いつつも何もなくなった更地に落ちている魔石を拾いに行こうとしていたのでそんなことしなくとも風魔法で引き寄せたらいいといったら早々に引き寄せた
ゴロゴロと大小の大きさが様々な魔石が集まり、一寸した山が出来上がった
「ところでショージ君、先程の魔道具はもうないのかね?一個もないのかね?」
「ないです。いったでしょう、危険で、制作するのも大変で手間も時間もかかるし危険だし何より使い捨てなんですよ。他の魔道具造った方がましですから」
「…そうなのか…残念だ」
理事長先生が凄くがっかりしているが、それは仕方ないんじゃないかな
理事長先生が知らない魔道具を一瞬にしてあっという間に消し飛んだんだからね
後で設計図でも書いて理事長先生に見せてあげようかな…
俺がそんなことを考えつつもまだまだ魔獣の大軍に使えそうな魔道具や何かが無いかと考えていると爺がなんかにやにや笑ってこっちをみてきた
コッチみんな
さてさて魔獣の方は何とかなったんだから、問題の修理の方に行きましょうかね
分ちゃん、頑張ってくれ!
【任せろーバリバリ】
もうそれやっただろくどいわ!
【てへぺろ(≧▽≦)☆】
更地に変化してしまった元平原だったであろう所をひたすら歩…こうと思ったけどこの広い中歩くの辛いので(もう俺ひたすら歩いているし魔法もバリバリ使うし、階段のある場所まで行くのが遠くてだるいので)自転車を魔法で生み出した
しかしそれを見た皆、特に転生者組が一気に目の色を変えた
乗り物だとわかっている分、いいな、とかずるいな、とかそういう視線で俺を見てくる
「あ、ずっりぃ!何お前だけチャリ出してんだよ!」
「俺疲れたんだもん」
「いやいやさっきなんもしてなかったじゃねぇか」
コントロル君や…君、それを言ったら俺は君たち来るまでは同じことを一人でしているんだぞ?それを言っていいのかい?(にっこり)
「お前ら来るまで俺一人であの大軍並みの量の魔獣を相手してたし穴も魔道具も修復もさらに結解も張っていましたが、何か?」
「ぐ…それを言われると…」
コントロル君に口で勝った、第三部 完
勝った気分になったので仕方なく、俺は少々魔力を出し、自転車そのものをコピーした
転写の魔法は便利だねーww
そのまま転写魔法で人数分の自転車を出してあげたが、ルールウド君がにっこり笑って俺を呼んだので俺は嫌な予感がしてすぐに自転車に乗り逃げた
「ショージ、おいで」
「あー俺魔道具直しに行かなくっちゃあ!あー忙しいなー!」
「あこら、ショージ!!」
セ、戦略的撤退は恥ではありません(震え声)
自転車は皆の分出してあげたんだし大丈夫だよね、ね!うん良しそういう事にしておこう
俺は知らない、本当に知らない
さぁさぁ魔道具の方を修理しましょうねー!(滝汗)
俺は緊急連絡魔道具のある扉の中に急いで入り、そのまましゅうしゅうと煙を吐き出し爆発しそうなくらいにやばそうな魔道具を影の中へと放り込んだ
危ない、魔道具が自壊して修理なんてできなくなる所だった
修理が間に合えばいいけれど…今回ばかりはマジでやばくない?
【これは…修理、大変そうだ。頑張るけれども時間かかるぞ】
そこを何とか頑張ってください
【うむ。ちょっと昇次、起きていると魔力が乱れる。ちょい寝ててくれ】
お、おう、俺寝ればいいのね?
【そう。】
俺は目を閉じてそのまま寝ることにした
分ちゃんが言っているのだから必要な事なんだろうね
・・・
・・
・
「―じ、-ぉじ?」
「…んぅ?」
なんか、現在進行形で、体を揺すられているので目を開けてみるとルールウド君が呆れたような、怒っているような顔で俺を起こしていた
なんだろうとぼーっと目を擦りながらも考えていたらルールウド君が魔力の心配をしてきた
一応簡略化ステータスを見てみるとそんなに減ってない
【HP 1800/1800 MP 800/6000 魔法実行中】
とかなっていたけれども、それよりも、物凄く…眠い…なんでこんなに眠いんだろう…
「エリクシェル、つけてあげるね。もう!こんなになるまでほっといたら駄目だよ!所で魔道具はどこにあるの?修復中だったんじゃないの?」
「んー…」
「…んー、じゃわかんないよ。」
俺が目を擦りながらも影を差すとルールウド君は少し納得したようで そう、なんていっていた
理事長先生がルールウド君の肩に手を置いてここから出て置くように言い聞かせていた、様な気がするけれども再び眠気が俺を襲いそのまま眠った
【ただいま魔道具の修復率 59%、修理完了まであと10分位必要】
―;-;-;-;-;-;-;-;-;-;-;-;-;-;-;-;-;
ショージが僕たち生徒会の人ように小さいジテンシャを11台、教頭と理事長用だと思われる大きさの違うジテンシャを2台も出して早々にどこかへ逃げるように行ってしまった
もう!これじゃあ僕達が魔獣を退治する方を引き受けた意味がないじゃないか!
理事長先生が目を輝かせてこれ(ジテンシャ)はどうする物なのかを先輩たちに聞いてよろけながらも何とか乗った
最初乗る時って結構不安定なんだよね、これ…僕は好きだけど
後ろから支えてあげてゆっくりと乗れた理事長先生は嬉しそうに数回くるくると僕達の周りをまわっていて、こけた
どうやら止まり方が分からなかったみたいで、痛そうだった
シェンフ先輩がすりむいていたがっている理事長先生にポーションを付けて癒してあげたらまたすぐに乗りたがったのは流石としか言いようがなかったけれども(…好奇心旺盛な人だから、かな?結構な勢いで転んでいたのだけど…)先輩たちが止まり方を教えてあげるとすぐさまマスターした理事長先生はミーシェみたいに物凄くはしゃいで子供っぽく見えた
うーん…まぁ本人がここまで楽しそうならいいのかな?
少しの間、見たことの無いジテンシャに四苦八苦しながらも慣れていない先輩たちや理事長先生にジテンシャの乗り方を教えて、数分かけて漸くショージのいるであろう魔道具の設置している所へとやってきた
余談だけれども、理事長先生がショージにこの便利なジテンシャもアイディアを売って貰えないかな、とか言っていたからまたショージが困惑しそうだなとか思った
僕にはゴムという物が作り出せなかったけれども、理事長先生ならば生み出せそうな気がしてくる
もし生み出せるならショージが生み出すありとあらゆるものは理事長先生にも作れることになってしまうけれども…そこのところはどうなのだろう
「あー、異世界に来て迷宮にいるのに俺らが乗っているのは自転車とかすげぇ違和感…」
「はは、考えたら何のジョークかと聞きたくなりますね」
「でも便利なんだよねー、自転車。ちょっと出かける時とか荷物多くなった時とか。」
「「ははは」」
先輩たちはなんだか昔を懐かしんでいる、という風な感じで雑談をしている
やはりこのジテンシャは、先輩たちのいた世界の共通している乗り物だったみたいだった
ソルシエ先輩が僕を呼んだので振り返ると何故か真面目な顔をしたソルシエ先輩がそこにいた
「ショージ、絶対欲しい。ルールウド、勧誘頑張れ」
「…本人の意思を尊重します。」
ソルシエ先輩がこういうってことは相当ジテンシャ、気に入ったみたい
此れから、ショージは大変なことに巻き込まれそうで、お兄ちゃん心配だなぁ…
扉がぽつりと立っている場所へと理事長先生の案内の元何とかたどり着き、ジテンシャを置いて近寄ってみると、その扉の横にはなぜか盛り土が少しだけしてあった
どうやらこれはショージの乗っていたジテンシャの名残で、降りて早々に魔法を解除したらしいというのが魔力残渣で分かった
扉の向こうは忙しいのかな、と若干気を付けつつもそろりと音をたてないように気を使って開けてみたらショージは壁にもたれるように座ったまま、眠っていた
つい呆れつつも大きなため息をつき、ショージを揺すり起こした
修復作業、らしきものはしているように見えないからただお昼寝しているだけだろう
全く、人の気も知らないで暢気にお昼寝してるだなんて!
「ショージ、ショージ!」
僕が怒ってる、という声で強く揺するとショージはゆるゆると目をうっすら開けて僕を映したけれども、この反応の遅さはただ寝ぼけている為じゃない気がしてきた
そこで普段はプライバシーの為極力見ない様にしている、ステータスの方を見てみた
ショージは明らかに、魔力を使いすぎていて凄く焦ってしまった
慌てて扉の向こうにいるマクスェルにエリクシェルを貸してといい、一滴ショージへとつけつつ説教じみた言い方で注意をした
「エリクシェル、つけてあげるね。もう!こんなになるまでほっといたら駄目だよ!所で魔道具はどこにあるの?修復中だったんじゃないの?」
「んー…」
「…んー、じゃわかんないよ。」
ショージは半分起きているのか寝ているのかわからないような生返事をしながらも緩やかに腕を動かして地面を差した
地面、といったけれども、きっとそれは影を指しているんだとすぐにわかったので少し納得してしまった
ショージが地面を指すときは大概影の事を指していることが多いしね
きっと今も影の中で修復作業をしていたに違いない
それならば修理していなさそうに見えて、きちんと直していた所を僕が起こして魔力に乱れが起こってしまったのかもしれないと思い、謝ろうかと思ったら僕の肩を理事長先生が叩いてきて、ここから出ておいてあげるようにと言った
確かに、今難しい修復作業をしているなら僕は邪魔になってしまう
すぐに頷き、ショージに謝ってから外へと出た
エリクシェルを付けておいたから大丈夫だとは思うけれども…ショージは大丈夫かな
そのまま僕と理事長先生を残して、他の先輩達や教頭先生は下の階の様子を見てくるといって階段の方へと行ってしまった
僕とマクスェル、キューリャと理事長先生だけを残して皆行ってしまったので僕達はのんびりとショージを待つことにした
理事長先生は嬉々としてジテンシャを色んな角度から見ている
…フロストエルフの里にいる方のおじい様を彷彿とさせる
こうまじまじとジテンシャを眺めている姿を見ると、母方のおじいさまと意気投合しそうな人だな…
「ルールウド君はこれを作れるのかね」
「いえ、残念ながら。ゴム、と呼ばれるこの部分の素材が僕には作れないんです。」
「ふむ。先程はジテンシャと言っていたが全体を占めているこの黒いのが作れないのか」
正確に言えば金属の部分や組み立ててくっつく接合部分は何とか作れるんだけれども色々と出来ないのだけれども…
僕は理事長先生にそれをそのまま伝えた
理事長先生は少し残念そうな表情をしていたけれども、こればかりは僕だけじゃなくミーシェやおばあさま達も作れないのでショージだけの創作魔法だと思う
あぁ、でも他の先輩達はどうなのだろう
一応ショージのいた世界から同じように来たというのだから同じものが作れるのかな
「僕は無理ですが、ショージと仲のいい先輩達なら作れるかもしれませんよ。キキョウ先輩とか、ブルローネ先輩とか。」
「おそらく魔力量が足りないだろう」
「あぁ、そういう事もありますね。でも初めてジテンシャをショージが作った時は5歳の時ですのでそんなに魔力がなくてもいいと思うのですが…」
理事長先生が少し難しい事を考えているような顔をしてぶつぶつと何かを呟いて何やら唸りだした
暫くショージはかかるだろうから僕らはここから動く事が出来ない
魔獣が万が一湧き出てきてしまったら理事長先生を守りつつ僕とマクスェル達とでこの扉を守っておかないといけない
ハァ、気が重いなぁ…僕だってそんなに戦闘、得意じゃないんだけど…
ショージ、怒ってないから早く修理を終えてくれないかな…
―;-;-;-;-;-;-;-;-;-;-;-;-;-;-;-;-;
―ピチャ、ピチャと音がする
ん、なんだか、くすぐったい、様な気がする…
なんだろう、何か…湿ってる?…もしかして…?
『にゃーん、にゃぁーん』
【修復は無事終わった。お疲れさま。魔力回復をしてくれ、“私”は疲れたので、食事として魔力回復してほしい】
んと…(汗)状況的にはスミレに頬を舐め回され起こされた
そして早々に分ちゃんが組み立てする前に修復した報酬をくれといってきた
うむ…うむ、一寸待ってね、分ちゃん
エリクシェルを取り出し減っている方の瓶から一滴エリクシェルを掌に付けた
【っくー!あ”ぁー、うめぇ】
…いやそんなビール飲んだ時のような反応されても困惑するんですが
【魔法である私には唯一の栄養!魔力回復剤より私はこっちの方が好み】
…うん、そうかい。それでいいよ、もう…(呆れ)と思ってエリクシェルを影の中へと元に戻しているとスミレがさらに俺の頬を舐めてきた
はいはい、今度はスミレを相手してあげるから少し待っててね
俺もそんなにすぐ行動できるほど目が覚めたわけじゃないからね
『ミャー…起きたらミャーもご飯ニャー』
…それが目的かい、と半分呆れつつも俺は掌に水を出して顔を軽く洗った
いつまでもスミレの涎でてかてかは嫌だからな
タオルはないがハンカチできちんとふき取って、さっぱりしてから適当な果物を魔法で出してあげたら、もんぽちを要求された
今何時だろうかとバンクルの方を見てみるとすでに7時半にもなっていた
わお、そりゃお腹だって空くよねとやや慌ててもんぽちを出してあげた
『みゃー!はぐはぐ!』
まだ直さないといけない魔道具があるから移動するぞ、スミレ聞いてる?もしもーしと心の中で注意するとスミレは返事をしつつももんぽちを食べ続けていた
食べ終わったら勝手に来るだろうとやや諦めて俺は魔道具を設置しながら組み立て、終わったのでスミレを放置して扉を開けた
すると急にルールウド君が倒れ込んできたので慌てて抱き留めた
ほぼ反射的に受け止めたけれども思い切り、不利な態勢で受け止めたから腕痛い
「ちょ、ルールウド君大丈夫?!何があったの?」
俺が慌ててそう聞きつつも影の手を出してきちんと態勢を整えると同時にやや疲れているようなかすれた声でルールウド君が意識を取り戻した
「…ぁ、ショージ…修復は終わったの…?」
「う、うん。たった今終わった。もう設置も済んだよ。それより一体何があったのか聞いてもいい?」
「…魔力切れだよ。驚かせてごめんね」
ルールウド君がふらふらになりながらもそう言った
こんなに魔力が切れるほど何をしていたんだろうと周りを見ると理事長先生とマクスェルさんとキューリャさん以外はいなかった
特に、魔獣が俺のいる扉の方に魔できてルールウド君一人が戦ったりとかした様子が、魔石や素材が落ちている様子がないとのことで見当たらず、でも他の要因で魔力切れなんて起こす程魔法を使う理由がわからず、どういう事なのかさっぱりだったので首を傾げた
「なんでそんなになるまで魔法を使ったの?」
「…それについては私が悪かったのだ、申し訳ない」
「?理事長先生が、原因なの?」
「まぁハッキリ言えば、そうなるのだ。君が出したジテンシャを再現したくてな…」
アッ(察し
うん、なんか、色々と分かった
それだけ聞けば十分に、分かってしまった
ルールウド君に俺を待っている間ヒマだったから自転車を出してみろと言って無理を言ったんだね、理事長先生…
きっと人がいいからルールウド君は断らなかったんだね
実に分かりやすいがどうしようもない話だなぁ…
俺は簡単に自転車を作れるけれども、ルールウド君は何度やってもゴムが作れずにそこで躓くものだから理事長先生に何度もやるようにと強請られたか…
周りを見渡して生徒会メンバーとかを探し、誰か止めるような人いなかったのかと見渡すと皆は先に下の階へと行ってしまったとルールウド君が言った
「それで、ショージ君。どうだったのかね、魔道具は直ったのかね」
「最初に壊れただけあって、あともう少しで自壊する寸前だったけど、何とか直しましたよ。おかげで魔力消費が凄かったみたいだけど…途中、ルールウド君が起こしてエリクシェルを付けてくれたから、助かったよ」
理事長先生が眉を片方だけ上げて俺を興味深そうに見てくるけれども何もしてないよ?
直すのに頑張ったことを言っただけなんだけどなぁ…
そんな目で見られるのは大変遺憾です
ルールウド君が、眩暈がなくなったとみてから俺達も下の階層へと移動することにした
此れから下の階層は修理が簡単だと良いのだけど、どうなのだろうな
~サンクチャリ迷宮 7階層~
7階層にやってきました
生徒会のメンバー達の戦闘した後なのだろう、地面がえぐれていたり、草木が薙ぎ倒されたり、逆に地面が盛り上がっていたりする、燦々たる風景がちらほらと見える中魔石なんかは転がっていなかった
まぁ皆倒した後にキッチリ回収したのかもしれないが単純にそんなに数がいないのかもしれない
なぜならば、先程まで大量にいた魔獣の団体の姿が見えないのだ
ここは、異常じゃなかったってことかもしれない
異常じゃないならば生徒会メンバーはこんな迷宮位ならあっさり踏破できるだろう
ルールウド君並みに強い生徒達が戦っているんだから、あっさりこの階層を踏破してたっておかしくはない
「先輩たちはどこに行ったんだろう。」
ルールウド君は周りを見渡してそう言ったけれども、知りたかったらバンクルの方を見てみれば答えはすぐにわかるよ
せっかくみんな自分で作ったバンクルを持っているのだから繋げれば居場所が分かるようになっているんだからね
ちなみにバンクルを見てみるとどうやら二手に分かれているようだ
コントロル君とソルシエ君、シェンフ君とテンツァー君、ナイト君が爺と共に、一足先に8階層にいるらしい
遊技君、清爽君、生徒会長さん、キキョウさん、直感さんがこの階層にいてお掃除中という名の掃討戦?というか戦っているらしい
バンクル所持者は交戦中の時には名前の下に戦闘中と書かれるのだ
『ニャー、こんニャに散らかして!怪しからん奴にゃ!』
スミレはそう一言言って魔法を使い地面を均し、草木を生やしたりして地面の荒れ放題になっているのを片付けてあげていた
7階層は今までと同じような景色だったが、今までと違う所は精霊の赤ちゃん?なのか、光の球が所々に浮いている事だ
どうやら、精霊達も普通に浮かんでいられる位には、平気らしい
ちらほらと精霊達が浮いていて、俺とルールウド君の周りに集まってきている
『ここの階層には怖い魔獣とか沢山いないの?』
『そうにゃ!あんにゃに沢山の魔獣はいにゃいのかにゃ?』
『―いなーい!』
『―なーい!』
何処からか幼い子供の声で微かにキャーキャー言いながら俺の周りの子達(精霊だけど)がわちゃわちゃとなんだか楽しそうに話しながらここの階層には異常がない事を伝えてきた
『ニャー、こっちに人が来たにゃ?』
『―きたー!』
『―あっちいったよー?』
『―いったよー?』
“あっちに行った”と言われてもそれがどっちを指しているのかは俺にはわからないが、スミレは同じ精霊同士なのでわかるのだろうか、不思議と二時の方向へと顔を向けていた
試しに、俺はバンクルでナビゲートの機能を使ってみると、スミレのむいている二時の方向を指していた
凄いな、精霊…
唯一精霊の光に群がられていない理事長先生が遊技君達のいる方へと行ってみようと言ったのでそのままナビゲートを頼りに歩いて行った
道中は特に何もなく、また魔獣や魔鳥、その他に邪魔されることなくサクサク進めた
遊技君達がどこかのんびり気を抜きながらも戦闘しているのを遠目に見ながらも近づいて行ってみた
ナビゲートする人物として設定させた遊技君が俺達に気付いたのか、手を振ってきた
「昇次さん、もう魔道具の修復終ったの?結構遅かったねー」
「最初に壊れただけあって、あと一歩遅かったら自壊する寸前だったんだよ」
「…それを直せる昇次さん凄くない?」
「分ちゃんが頑張ったおかげだよ。俺はただ寝ていただけだしね」
というか途中で魔力切れしかけるほどだった位、頑張った分ちゃんには称賛の言葉が真っ先に来ないというね
【“私”はあくまでも魔法だから、仕方がない。昇次がその分エリクシェルで労ってくれ】
わかった、そうしてあげるよ
清爽君がやや不機嫌そうな表情をしていたけれども、俺に気付くなり、頭を軽く下げた
コーヒーでも出したらいいのかしらん…
俺はコーヒーをポン、と出して清爽君にあげて、自分の分も出した
「あげる。キリマンジャロで悪いんだけど」
「あ、ありがとうございます!丁度飲みたいと思っていた所です!」
「あー!ずるーい!ボクも ボクも―!」
「はいはい」
俺は近所の子供にあげるように遊技君にも生クリームたっぷりのコーヒーを出してあげた
キキョウさんが苦笑しているけれども喉渇かないのかな?
「ショージ!」
「ショージ君?」
……うわぁ
ルールウド君と生徒会長さんが俺を呼んだから何かと思って振り返ったら怒っていました
あー…その~…(汗)うん ふ、二人も喉でも渇いているんだね
…嘘です、冗談です、かなり二人とも怒ってます
怖いです、至急謝らなくてはいけないと思う程、怒ってます
「「魔力温存、してと言っているでしょう?」」
「………ぁい、ごめんなさい……」
「次魔法で何か出したら魔法封じね」
「ごごごっごめんなさいい、それだけは勘弁してください」
「駄目!そうでもしないとショージは魔法直ぐ使っちゃうでしょ!」
ルールウド君にお説教されてる、なう(ガクブル)
魔法封じは怖いので、それだけは勘弁してほしいと何度もルールウド君にお願いする羽目になってしまったが、最終的には魔法を使わないことを口を酸っぱくして言われ、何度目かの脅しで勘弁して貰えた
【あほ】
『にゃにやってるにゃ…ショージは時々馬鹿ににゃるにゃ』
ぐうの音も出ません
俺がすっかり俯いて自分の出したコーヒーも生徒会長さんにしっかりと没収された悲しみを背負いながらも反省させられていると理事長先生が励ましてくれた
理事長先生は良い人だよ…顔や姿が怖いけど…
外見、完全にマッドなサイエンティストさんだけど…
少しそんなバカなことをして場を和ませていると直感さんがこの階層には異常状態がなかったことを教えてくれた
精霊の赤ちゃんみたいな光の状態の皆から聞いている事と同じことを聞いた
そして、直感さん達はこの階層を詳しく隅々まで見て回り、何か普段との違いが無いか見て歩いていたらしい
しかしその異常もなさそうで、更にこの迷宮は全体的にレベルが低いので単調な作業になっていたらしい
遊技君なんかは退屈だったー、とかちょいちょい合いの手を入れてきた以外は完璧な報告だったと思う
そして何もない中、自転車を出したことを含めた小言を生徒会長さんに言われつつてくてくと歩いて階段の方へと向かうこと数十分後、俺としては漸くだけれども、階段を見つけたので小言が終ったのだった
…少なくとも今日はもう魔法使わないと、宣言させられた




