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魔法が完全に的(敵の魔獣)に当てられないと不安な新入学生たちの奮闘


~サンクチャリ迷宮 一階層~


えー、着いた場所は水辺、草原、所〃木が自生していてのどかな印象を与える場所でした

ルネア君が目を大きく見開いて感動している声を上げ、アルト君はやたらと嬉しそうに周りを見渡して、カフィーユ君は不安そうに眉を顰め俺の服の裾を握り締めてる…

そんなに怯えなくとも、ここはまだ一階層だしそんな魔獣や魔鳥の影も気配もしない

更に分ちゃんも何も言っていないから、まぁまぁ安全なんだけどな


先輩たちは方々に散り、何かをしゃがみ込んで迄採取しているようだ


俺も採っていいのだろうか…


『にゃあぁーん、あれは採取しているんじゃにゃいにゃ。』


【あれは精霊達に力を貸して貰うための物で、簡単に言うと挨拶をしているんだ。よく見てみればわかるが、果物を埋めたり、精霊語を話しているだろ】

・・・あはい

分ちゃんとスミレに二人して突っ込まれてしまった

俺には分らんが、やる必要があることをしている、らしい

カフィーユ君が不思議そうに先輩たちの方を見ながら俺に、先輩たちのあれは何をしているのか聞いてきた


「なんか、精霊達にお願いしているんだとか…ってスミレが言ってるよ」

「へ~…お願い、ですか」

「うん。らしいね。いざとなったら力を貸してくださいねーとかそういう感じなんじゃない?」

「不思議、ですね。」

「ね。」


だって魔法はあくまで自分の魔力と、外の空気中の魔祖を組み合わせて想像した物事を現象として出すものだから、何かにお願いとか、ああやって果物とか埋めるなんて行為しなくてもいい物だから…不思議で仕方がない

思わずまじまじと見ていたら、スッと地面や水、そして空中から光の粒が先輩たちの周りに漂ってきた


「あれは何?」


俺がそう聞くとカフィーユ君達はきょとん、としてどれ?と聞いてきた

…どうやらルネア君達にはあの粒子の集まりが見えないらしい

俺とルネア君達がそれぞれ、困惑しているとスミレが答えを教えてくれた


『あの光はニャー達、精霊の子供にゃ!精霊が見えたり契約してないと見えにゃいのにゃ』


・・・・・・?!

せ

精霊って、子供、作るの?!


『にゃー、正確には、子供みたいなもの、にゃけど。』


【精霊は召喚、契約する前は形が定まっていない為、よくああやって粒子状態でそれぞれ地面や水の中でのんびりしていることがある。契約状態にならなくてもある程度自分の意志で形を変えることはできるが、定まってはいないためよく所々粒子化する】


『人間の赤ちゃんが歩くの覚える様にあの光の粒もみゃー達の姿や精霊術を見て覚えてくにゃ。ミャーも、ショージの命やショージがミャーと解約したら、粒ににゃって、また違う精霊に生まれ変わるにゃ。』


ふぇえ、つまりあれは子供、というか赤ちゃんなんだ…

先輩たち鬼畜…赤ん坊に戦闘させるだなんて鬼畜…

というかスミレさらりとおっそろしい事を言うな…

それってあの粒子も誰かの生まれ変わりってこと?


『そうにゃ。』


【粒子状態でもあれは精霊の為精霊術で呼びかけるとそれなりに力を貸す。そういう物だ】


うは…赤ん坊でも働かせる異世界、鬼畜い・・・ww

じゃあスミレたちはあの粒子と実体化とを繰り返しているんだね


『そうにゃ。ミャー達には、あれは子供に見えるにゃ。大人と子供を繰り返すにゃ。』


へ~…、そうなんだ

老衰とかなくていいね

なーんて思っていたらカフィーユ君に何が見えたのかと聞かれてしまった

あぁ、ごめんよ、ほっといたりして…


「先輩たちの周りに、細かい光の粒が見えてね、あれは何、ってスミレに聞いたんだ。」

「あぁ…スミレさんに聞いていたんですね」

『にゃ!?ミャーはスミレ、にゃ。スミレさんじゃにゃいにゃ!』


スミレ、それはね、名前の後ろに、“さん”ってつけたり“様”ってつけるのはね、自分より相手の方が上なんだと表したい時に着ける、丁寧な物だから否定しなくてもいいんだよ?礼儀として付けている物だからね?


『にゃ?』


スミレは俺の契約精霊だから、カフィーユ君からしてみたら、スミレ“さん”とつけて呼びたかったのかもしれないよ?


『にゃう?』


スミレは精霊だから、上下関係とか他人に敬語とか使わないからぴんと来ないのかな?

よくわからなそうに首を傾げて俺の方を見てきた

うーん…わからないなら、そういう物だって思ってくれていいよ?

スミレは俺と契約したから、それだけで特別に区別付ける為に名前に“さん”をつけてる、それでいいよ


『みゃぁん、そうにゃのにゃ?』


うーん、まぁそれでいいよ(諦め)


俺がスミレにそんなことを言っていたらカフィーユ君がハッと何かに気付いた様に2時の方向に向いた

その次にルネア君が気づき、俺も気づいた

何かが向かってくる気配がするのだ


俺が三人の前に強化ガラスをイメージして透明の壁を作り出し、同時に俺も弓を作り、弦を引いた


何も番えていないように見えて、影の矢を番えているから問題ない

いつでも放てられるようにして、引き絞る

そして射程距離内に入ったから遠慮なしに射貫いた

暫くすごい勢いでこちらへと向かってきていた、何かは地面に落ちたようで少ししてから細かい粒子になって2、300km位先でかすかに光った


「お見事ですショージ様」

「す、すごいです!あんなに早く動いていたのに、あの小さな魔鳥をこの距離で落とすなんて!」


ルネア君とカフィーユ君が誉めてくれたので俺が照れつつも頭を掻いているとキョトンとしているアルト君はわけわからなさそうにしていた


「え?え?まちょうって、なに?」


アルト君や人間の先輩たちはわからなさそうにしていたがエルフたちは俺の方を見ていた

何見てんだよ、金取るぞ


「さっきこっちに向かってきた魔鳥…魔獣の鳥バージョンみたいなのがすごいスピードで来ていたから迎え撃って射貫いてあげちゃった」

「…そ…れは凄い事をするね」

「あと数分したらここにたどり着く所だったよ」

「そ…そうなの」


ちなみに魔物は地中からもやって来るぞ、気を付けてね

とある迷宮のとある階層のある魔植物、おめぇだよ

なんだよ地面からこっちを食おうと向かってきやがって植物や魔物なら素直に真っ向から向かってきやがれってんだ


あれ以来俺は地中にも気を付ける様にしたからな!

今だって影を使って地表、土魔法で振動を感知して警戒中なんだからな!!

この野郎め!


俺は文句を思い浮かべながらも再び弦を引いた

今度は土属性の魔法を使って作った矢だ

キラリと錨のように“かえし”がついている、空気抵抗考えると酷そうだけど、今回はその矢を4本纏めて番え、放った

すると矢は木を避け、そのまままっすぐ飛び、時々木を避けながらそれぞれ近くにいた魔獣を射抜いた


遠くで何かの音がした後、獣の驚いた声がする

そしてしばらくしてから光の粒子があちこちに見えた


「え…えっとぉなにがあったの?」

「魔獣がいたから射貫いた。」

「…ショージ君、凄いね。驚いた」

「頼もしいでしょ。魔法なら任せて。」


俺はそう言って弓を消し、無手に戻した

皆して俺を誉めてくれたからかスミレが調子に乗るなと尻尾で俺の目の前を邪魔したり、擽ったりしてきた

その後階段を目指して進む中、俺は近くにあった木の実が気になったから俺はすぐにそっちに行って階段を魔法で作って木の実を取った


アルト君とルネア君が俺を追いかけてきて何しているのか聞いてきたけれども見たらわかるでしょう?木の実搾取ですよ!


ちなみに先輩はとっくに先に行ってしまいました

許すまじ、とも思いたくなるけどお互いに邪魔しない、と言ったからね、知らんもん

俺も好きにさせてもらうもんねーだ


「この木の実は何になるんですか?」

「この木の実は魔力回復薬の材料になるよ」

「では沢山採っておきましょう!」


カフィーユ君がそう言ってバサッと羽を広げ、飛んできた

うぉお、かっこいい!羽が蝙蝠の羽だし、羽ばたくことも少ない

そして何より凄くヴァンパイアっぽい!(ポイ、なんて言ったら失礼かもしれないけどね)


「て、手伝います!」

「僕は木に登れないからここで休んでるね」


ルネア君は自分の脚力だけでその場でジャンプして、枝に飛びつき、クルリと枝の上に乗って木の実を取ってくれた

うぉお、ルネア君やるなぁ!俺も出来るけど俺のはフックショット使わないとそれは出来ないからなぁ…ま、俺は今回階段作ったけどね


アルト君の周りには一応何かあっても大丈夫なように影分身の俺がそばにいるよ


そしてしばらく採取したら次は隣の木へと移り、採取して時折射貫いて、魔獣狩り(もどき)をしていった

皆が俺より早く気付くけれども、俺が気づいたら手当たり次第に弓で射貫いていたり魔法でやっつけているから、魔獣や魔鳥は俺の攻撃に馬鹿みたいに当たり、地面に伏してさっさと粒子へと返っていった


そのおかげで俺達は平和そのもので、のんびりゆったり歩いていられるのだった

・・・特筆するべきことがなく、俺は皆がいるのに守りながら本当に階段付近まで行けてしまった


「ショージ様、今もう4時何ですね」

「え?あ、本当だ、うん、そうみたいだね」

「お部屋にいつ戻れるのでしょう…」

「…あー…迷宮は5階層に行かないと、迷宮から出られない様になっているんだって。」


ルネア君が漠然と、困惑しているような顔をした

疲れちゃったかな?まぁまだ7歳だもんね、疲れちゃうよね


「疲れちゃった?休む?」

「いえ、僕は平気なんですがアルト様が…」

「…ご、ごめんね?ちょっと、疲れちゃった…」

「じゃ、休憩にしようね。美味しいフルーツポンチ作ってあげる!」

「あ、あはは…果物のお菓子か何かかな?」


もっと気を使ってあげなくちゃいけないね

いけない、いけない

俺は少し強化ガラスでドーム型にして光魔法を使う

これで外敵から身を守れるね

そして土属性の魔法でテーブルと椅子を4脚だし、大きめなソファーを斜め後ろに出した


これでキューリャさん達も休めるね


俺がその後フルーツポンチを8人分出してあげた

皆にそれぞれ配ったら皆して不思議そうに器を動かしたりフルーツを眺めたりしていた

まぁこれもこっちとしては異世界の物だからわからない、不思議に思うのは仕方ない

試しに俺が普通に一口食べて見せると恐る恐る皆も食べて驚いた後美味しそうに平らげた

アルト君は特にフルーツが切ってあったから食べやすかったと誉めてくれた

へへへ、そういう物なんだけど、まぁ褒められたらうれしいよね


十分休憩になったというので、そろそろ二階層へと行くことにした


「皆もそろそろ魔法を使って魔獣を倒してみようよ」

「え、で、でも上手く出来るかわかりませんし…。」

「そもそも僕魔法使えないんだけど…精霊術もまだ習ってないし」


不安そうなルネア君とアルト君は否定的だけど、俺だけが魔法レベルやレベル上げても仕方ないじゃあないか

せっかく来たんだから、パーティ全体がレベル上がって欲しいよね


「アルト君にはパチンコ貸してあげるから、石を飛ばして退治すると良いよ。」

「あ、うん。が、頑張る…でも動いた的に当てたことないし触ったのだってミーシェちゃんと遊んだっきりなんだけど…」

「大丈夫、的外れないように俺が土魔法で拘束するから皆頑張ってみて。」

「「「う、うん…」」」


なんだかまだ不安そうな三人だったけど、分ちゃんに聞くまでもなくここの魔獣は弱い

だって俺でさえ射貫けるようなスピードや感知魔法使わずにいられる位暢気に飛んでいるんだもの…多分、大丈夫だとおもうな

【サンクチャリの迷宮は難易度2つ。割と、初級者向け。】

・・・あはい

分ちゃん、難易度ってどうなってんの

【迷宮は難易度ごとに行ける魔法レベル、職業レベルが決まっている。】

待って職業レベルってなに

【職業レベルはその職業としてどれだけ経験を積んだか20段階に分かれて記されるもの。昇次の世界で言う所の職歴。】

あ、はいはい…成程ね

【迷宮難易度は次のようになってる】


【迷宮難易度0~3】

【初級向け、あらゆる魔法、職業レベルでも入れる】

【備考;ちょっと能力に自信のある子供でも潜れるレベル。】


【迷宮難易度4~6】

【中級者向け、魔法レベル3から、職業レベル10からしか入る事が推奨されない】

【備考;魔法レベル7以上の人が同行しないと魔法レベル3未満の者は入れない。】


【迷宮難易度7~11】

【上級者向け、魔法レベル6以上、職業レベル14以上からしか入ることを推奨されない】

【備考;迷宮に入る職業は少数になり、よく冒険学校、魔法学園、国のお抱え学園の上級試験とかにも使われるとんでもない迷宮が多い。同行者に最低魔法レベル9以上が独りつくこと推奨】


【ちなみに、昇次が教頭に行かされた迷宮難易度は7】


おいなんだと

あんの爺なんて事させてくれやがったんだ

絶対許さないぞ


【迷宮難易度は全部で20だけど、迷宮難易度17~20はほぼ略攻略者が少ない。ただ管理が難しい、場所がヤバイ、魔物、魔獣がうじゃうじゃいるその他理由で、難易度が決まる。管理しきれてない、攻略されてない、完全攻略された、そういう理由で色々と変わってくるため冒険者協会やら迷宮難易度協会などが定めるがあてにはならない事が多い。】


ふーん、そういう物なのか

ちなみにダンジョンは?

【ダンジョンははっきりしていてダンジョンの階層が10階層未満の物が初級、20階層以下が中級、21~30階層が上級、31~40階層が、超級。41~50階層がレジェンド級。51~60階層が国の管理級。そこに行くなら立場のある物の名前入り許可証が必要】

・・・ダンジョンすげぇ細かい…

【ダンジョンは人工的に管理されている物。だからキッチリそう規定が決まっている】

ふーん、そういうものなんだ

【ダンジョンは休憩所が設置されており、命の泉と呼ばれる噴水がある】

更に休憩所完備、すげぇな


【3階層ごとに設置され、そこには必ず薬屋、錬金術屋がいる】

ほー、そいつは楽だぜ

成程、3階層ごとに休憩するところにありそこには店がある、と?

良いね 良いね、最初はそういう楽なところが行きたかったなぁ…

…爺による強行突撃にいきなりレベルの高い所行かされたことは根に持つぞ


「ショージ君、パチンコ貸して?」

「あ、うん ごめん ごめん。はい」


俺が土属性の魔法でちょちょいッとパチンコを作り、アルト君に貸してあげた

階段を下りつつも、無駄に緊張しているような三人を宥める為適当な話題を振ってあげた

これで少しは緊張ほぐれると良いんだけどね…


~サンクチャリ迷宮 二階層~


一階層と大差ないような、同じような長閑そのものの景色の中、仰々しくも長ったらしい精霊語を歌い精霊術を使ってなんか…ウサギみたいな魔獣?と戦っている先輩たちがいたのを見つけた

おー…精霊術の術語を、本当に歌を歌うように唱えて、杖や指輪から精霊達の力を借りて魔獣?にむけている


・・・見た目ウサギに見えるけど、あれ魔獣?

【否。】

違うのかよ

じゃあただのいじめじゃん 可哀そうに

【マジックアイテムをかじるだけの普通の動物。その為精霊術使う者たちにとっては害獣】

あー・・・うん、無視安定

【一応バングルもマジックアイテムだがいいのか】


俺が叩いたらそれこそ可哀そうだろ、虐待だ

ただの弱い者いじめはしません、ルネア君達には俺の強化ガラス状のバリアの効果がまだ持続してあるから問題ないしね

【なるほど】


「さ、皆行こ。」

「え、え?え?ほ、ほうっておいていいですか?」

「いいですよー?あの子達害のない子達だから。」

「は、はい」


ルネア君とカフィーユ君がソローッと先輩たちの方を気にしながらも通り過ぎる

アルト君もやや気にしながらも通過し、先輩たちが凄く睨んできたり悪口を言ってきたけれどもスルー安定だよ、だってその子たち俺には無害なんだもの

ただの弱い者いじめは興味ないし手伝う必要なんざない

勝手にやってろ


そう思っていたらひょこ、ひょことよたよたとさっきのウサギの耳先が折れている子が俺たちの前にやって来た

そしてあわあわしているルネア君達へと向かっていき、ぽふ、ぽふと頭をぶつけて来ていた…けどなんだか様子がおかしいな


・・・・・?襲う、でもないし、ルネア君とアルト君にしか向かって行ってないよ

俺は避けられた…しょんぼりだ…ぐすん

真ん前に俺いるのに、態々遠回りして俺のすぐ後ろにいたルネア君とアルト君に頭をぶつけているし俺が一歩近づくとパッと散会してからまた二人へと寄っていく


「あ、あの、ショージ様、この子達どうしたら」

「…避けられた…俺動物に人気なのに…なんなんだろうね」

「え、えと、えと害はない、ですっよね?ふあ、あわわ」

「え、えーと、どうすれば?」


皆が困惑しているとスミレがぴょんと俺の肩から飛び降りてくるりと空中で回り態々人型になった


『にゃー…アルト、抱っこしてみるにゃ』

「え、えぇ?!お、女の子が急に?!」

「あ、ルネア君とカフィーユ君は初めてかな。この子はスミレちゃんだよ。精霊は人型に成れるし、変化すると他の人にも見えるようになるんだよ。」

「「へー」」


まぁ精霊なんてそうそう魔法レベルⅠの時に契約しないようだし、無理もないよねー

…マジごめんよ、出来る訳ないと高をくくってうっかりやらかして…

スミレはそんなことどうでもいいといってアルト君にウサギを抱き上げろといった

そんな事ってスミレェ・・・


「抱き上げる…こ、こうかな」


そっとアルト君が座るとウサギたちはアルト君に群がった

(と、言っても3匹だけど…)

アルト君がそのままウサギを抱き上げると、ウサギとアルト君が緑に光った


「わ!」

「うぁ、ま、眩しいです!」

「うう…」


ルネア君とカフィーユ君が目を隠し、眩しさに呻くけどアルト君は別の事で驚いているような声を出してウサギをしばらく見つめていた

そしてしばらくしてからアルト君を中心に、なんか見たことの無い魔法陣が展開して何処からかふわりと緩やかにリンゴみたいな果物が一つ落ちてきた


え、どうするんだとか思っていたらアルト君はウサギの方を見て一つ頷き一口リンゴを食べた

あ、それを食べるんだ、と俺が驚いていたらアルト君の腕の中のウサギも同じリンゴもどきをシャクシャクとアルト君の手から食べだした


・・・??餌付けでもしたのかなとか思っていると、他のウサギたちもアルト君の膝へと飛び乗り、キュアキュア鳴きだした

そ、そういう鳴き声なんだ・・・このウサギたち…

アルト君はその鳴き声を上げているウサギたちにもリンゴもどきを上げる様に抱き上げて食べさせてあげていた


リンゴがなくなると緑色の光が弱まり、代わりに緑色の首輪をアルト君が最初に抱き上げたウサギの首に吸い込まれていくように作り、今度こそ消えた

そして次々に赤、水色の首輪がウサギの首に巻かれアルト君のバングルの近くに細い腕輪ができた


・・・?


「あ、アルト様、それは…」

「さっきその子達の首輪が新たに出来ましたよね、それと何か関係が?」

「あー…えーと、どういったらいいのか…」


アルト君が困惑して俺を見てくるけど、いや俺だって聞きたい位だよ

むしろ俺何もわかってないぞ?

何だろう、あの魔法陣・・・とか思ってた位だぞ?

何でも知ってるわけじゃないしむしろこっちの世界の常識知らない位だし


いやまぁそれなりにドラゴニア家にお世話になってるから知識は付け焼刃位には何とかワンチャンあるし、分ちゃんに聞けばわかるけどさ

と言う事で分ちゃん頼む、さっきの現象をおせーてください

【アルトがそのウサギをテイムした】


「テイム?」


思わず俺が疑問になりつつ呟いたらスミレが頷き、分ちゃんも肯定した


【そう。簡単に言うと、●ンスターボール投げた】

こらこらこらこらアウト!その表現アウトおおおおおおおおおおお!

捕獲、もしくは捕まえた、それだけでいいでしょ?

その言い方はあかん!だめ!

【はっはっは、何をいまさら】

でもダメです!直接的な表現●パクリは駄目

【じゃあ簡単に言うと戦うペットをゲットした】

う


うん、まぁそれ、なら・・・いいのかな?うん、まぁよしとしよう


【昇次は面倒臭がった】

うるせぇ、テイムとは何ぞや

【テイム;魔力、精霊術関係なしに、魔獣、動物、聖獣関係なく生き物を従えることのできる術の事】

ポン、と分ちゃんが表に出て皆の目にも見える様に紙に文字として出てきた


「セ、聖獣?ってなんですか」


ルネア君がそう聞くと分ちゃんが勝手に書き換わった

【聖獣;国やその地域ごとに決められている、あがめられていたりする、益獣。悪い物を追い払ったり、光属性の魔法などを使ったりする物もいる為、信仰の対象として扱われたりする獣の事。】


【テイムした生物に名付けをすると、テイムした生物には首輪が、契約者には腕輪が付けられる。契約者の腕輪に宝石がついているが、色が7種類あるだろ。色ごとに、テイムした生物が魔法、精霊術、どちらともどの属性なのかが分かるようになっている】

へ~、そんなもんなのかと思い、アルト君の腕輪を見てみた

ルネア君とカフィーユ君も同じように覗き込んでいる


「あ、数字がうっすら見えるね」

「え、あほんとだ!赤と青、緑に数字の“1”が1ずつ浮かんでみえる」


【テイムした彼らは呼ぶと出てきて用事が終るとその腕輪へと帰っていく事が出来る】


「「「へー」」」


俺達が物珍しくて驚きながらも分ちゃんに教わってたらスミレが不満そうにつぶやいた


『ミャーが最初に気付いたニャ…酷いにゃ…ショージのおバカ!』


・・・スミレがそう言ってプイっとそっぽを向いたから俺は慌てて謝った


「ご、ごめん!スミレは偉いなー、すごいねー?」


猫の姿の時はささみやにゃおチュールでご機嫌取りできるからいいけど少女姿のスミレにプイッとそっぽむかれるのは少し罪悪感がした

いや、此れでも中身結構な歳いっているお兄さんだからさ

いつもの様に食べ物で吊って機嫌直してもらうなんて事したら、ヘタすりゃ感覚的にはお巡りさんに通報されてしまいそうなくらいだ


冷や汗だらだらな内心をスミレは見透かすようにぴく、と耳を片耳動かしてつーんとそっぽを見たままだった

あー…完全怒らせちゃったかな…


『…ミャーが、教えたかったにゃ!』

「あ、えと、スミレ、教えて?」

『後でもんぽちにゃ』

「…はい。」


もんぽち、ありがとう・・・

俺から言い出すんじゃないからこれは俺の気分的に大丈夫

セーフ…セーフと言う事にしておこう


スミレとひと悶着合ったけど、なんとかご機嫌を直してくれたのか、スミレはえへんと胸を張りテイムについて話してくれた


『簡単に言えば、生きてるものを飼育していくもんだニャ。馬とかと同じにゃ!戦ってほしいとか身を守って欲しいとか言えばその腕輪から伝言伝わって、言う通りしてくれるにゃ。アルトがこの子達を戦わせたら、経験値がこの子達の倍、アルトにとる事出来るにゃ』

「え?この子達の魔法レベルは?」

『勿論この子達にも、ハイりゅにゃ。』


・・・思い切り噛んだ

ちょこっと恥ずかしそうに耳をぴくぴくさせつつ何事も無かったかのように、スミレは説明を続けた


『にゃ…テイムするには、テイムしたい生物が自分から仲間になりたがるか、アルト自身が認めさせるかしかにゃいにゃ。野生の動物を餌付けしても効果はあるにゃ。戦うもよし、餌付けするもよしにゃ。テイムした子がある程度強くにゃったら、召喚士専用店ってお店で二匹を合成する事が出来るにゃ。』


嫌合成ってものじゃないんだから、言い方・・・

せめて合体とかさぁ…フュージョンとかさぁ…


『にゃ?じゃあこう』

「うん分かった、それ以上はいけない。スミレ、お黙り。」

『ニャ…』


こう、から始まる、二つの物が合わさる物事を表す言葉は嫌な予感しかしないので俺は即座に止めた

スミレを黙らせるため俺は桃を出してあげた

ピタリと止まり、桃に齧りついたスミレは、なんだかがっかりしたようだった

多分、あのキキョウさんの出してくれた桃もどきを想像して齧りついたら違ったからがっかりしているんだろうね


「えーとつまり、この白い…ボールラビットは、アルト君のペット、でいいのかな?」

「ざっくり言うとそれでいいと思うよ」

「この子たち、ピュリアラビットだよ」

「「「え?なに」」」


何それ聞いたことないんですけど

【ピュリアラビット;マジックアイテム大好きな小柄なウサギ。性格は温厚でいて、よほどのことが無いと食って掛からない。ちなみにアルトが捕獲した子達は成獣でこれ以上は大きくならない。召喚士初心者向け生物の内の一種類。どちらかというと愛玩動物】


まぁ可愛いしね

俺がウサギに触ろうとしたらなぜかピキュアピキュアと鳴いた

そしてアルト君に助けを求める様にアルト君の背後に逃げてしまった

・・・な、なけるぜ…


「あのね、この子たちショージ君の魔力が多すぎて怖い、って言ってるんだ」

「多すぎる…?」

「うん。」

『この子達はマジックアイテム大好きだけど魔力自体はあまり好きじゃニャいんだニャ。あくまでマジックアイテムの周りの魔祖が好きにゃんだにゃ。魔力は魔祖とすぐにくっつくから苦手にゃんだにゃ。好物取る悪い奴にゃって本能で分かるんにゃ』

「・・・お、おう」


俺にどないせいと…

そう思ってがっかりしているとスミレがウサギに向かってなんか説得し始めた


『みゃーが、一緒にいて抑えてあげるにゃ!だから怖くニャいにゃよ?』


ウサギがキュアキュア鳴いて、スミレが何度か話すと納得してくれたみたいで、あまり俺は近くに行かないように言われてしまった・・・

俺、異世界に来て初めてなんだが…ここまで動物に嫌われたの…

ぐすん…(´Д⊂

【ドンマイww】


分ちゃんに脳内で笑われた…落ち込んでるのに、こいつ…


『アルトはこの子達に認めて貰えたから召喚士ににゃったにゃ!精霊達も認めれば、召喚士に力貸すにゃよ?ミャーは、ショージの契約があるからいやにゃけど。』

「そうなんだぁ…ふふ、よろしくね、ピピュイ。」

『キュア!』


アルト君がそう言って緑色の首輪をしているウサギに話しかけ、嬉しそうにウサギも答えた…いいなぁ、とか少し思ったので俺は無言でスミレをポンポンと叩いた

なんで撫でたいと思ったのにスミレは人型なんだ、うぅ…


『後で一杯にゃでるにゃ!』

「…そうだね」

『ショージ、この子達に戦う機会作ってあげるにゃ!』

「ん、はいはい。じゃあちょうどいいのがいるね。」


俺は近くに来ていた牛の様なまだら模様の紫色の魔物を引き寄せた

カウボーイさながら縄を回して輪の中に魔物の角をひっかけて、魔法で拘束

その後俺達の目の前5mの距離へとひき寄せた

怒ってるんだろう、グムモォーとかなんか息巻いてる


「お、お、おこってましゅ!おこってましゅよ!?」

「噛んでるw落ち着いて、大丈夫だからw」

「ははは…さ、流石に本物の魔獣は、迫力が違う…ね」

「お、落ち、落ち着けば、だ、だい、大丈夫…」


三人の震えようww

思わず笑いたくなった俺は悪くない

俺は念のために一応、5mの所にまっすぐ結解張っていて皆にも個人的に結解張って防御してるから2重に魔法展開しているのにね


「大丈夫、魔物はあそこまでしか俺に近づけない様にしてるから、俺の周り5m位に、まっすぐ線を張るように結解張ってあるし、ルネア君達にも同じ防御結解張ってあるから」


俺がそういうと三人は少しだけ、ホッとしたようだった

ハハハ、ガチガチ歯を鳴らしているのを見て凄くほっこりしてる俺は可笑しいんだろうね

更に安心するように安心材料として俺は鞭を生み出して見せた


「危ないと思ったら俺が引き留めといてあげたり俺も手伝うよ」

「絶対やりすぎないで下さいね、ショージ様!僕らまだ死にたくないです!」

「カフィーユ君、死にかけなら俺治せる薬持ってるから安心して」

「不安だと言う事が分かりました」

「冗談だよ。光魔法の防御魔法だから、ある程度の怪我なら治療してくれるはずだよ。」


俺が冗談交じりでそういうとカフィーユ君が苦笑した

そしてキュポン、と小瓶の蓋を外し血のように赤い液体を剣状態にしてキリッと魔物を睨み付けた


敵対している魔物は俺なら発見次第魔法で拘束した後解体ショーしたくなるくらい大きな牛に見える

…カルビ…八ツ…あー…焼き肉喰いたくなってきた

こう…ジュ―ッと金網で…ゴクリ


「ブムォ?!ぶぎゃあああああああ!ぶぎゃあああああああああ!!」


おっと牛もどきが何やら暴れ出したな

仕方がない、俺はもう少し拘束を強めることにした

牛もどきに対し俺は影から煙玉(眠り玉)を出して牛に向かって投げた

勿論、パチンコで


バシュ、と音を立てて角に当たったら牛もどきがビクンと体を震わせその場でよだれを垂らせながら横に倒れた


「ナイッシュー…さ、最初は暴れたら怖いよね、どうぞ!」

「「「……は、はい!(ショージ様/くんの方が怖い…)」」」


ほぼ何事もなく牛を攻撃して反撃されない安全な怪我のないもはや解体と言ってもいい様な位に安全な戦闘とも言えないような戦闘を済ませました

ただ俺もびっくりしたのは、この牛倒したら魔石が出てきました、やったね

そして牛が粒子になり魔石と角を落としたのを回収したら(俺にくれようとしたけどルネア君達に譲ったよ。自分で初討伐した記念だしね)、お代わりの牛たちが息巻き怒りながら走ってきたけれども俺が全部檻を作り収監した後に一匹ずつ生きた牛の魔獣を討伐させた


こういうのは戦闘を何回も経験したりしてゆっくりと慣らしていく方がいいよね

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