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普段優しい様な先輩が怒ると怖いって、はっきりわかった

最初こそ四苦八苦していたカフィーユ君とアルト君だったが俺が丁寧に教えてあげると何とか形になったし、親方からももう2、3回すれば形になるんじゃないかと言われた

けれども素人が作るんだからこんなもんだと思うんだよねー

なにより材料ないし!


ルネア君の方はもっと簡単な脛当てだから、脛の型になるように簡単に土属性の魔法で形状記憶させてから作り始めた

セレージュの木の実の殻の部分を叩いて繊維を取り出しそれを鉄の塊に混ぜつつ熱して叩いたりして形を整えたり色々加工するのをルネア君が必死にやっていた


数十分後・・・


「「「出来たー!」」」

「『お疲れー』」


俺はゴーレムを解除して分身解除してから親方との通信を切って、お手伝いしてくれた精霊達に木の実を上げてお礼を言った

スミレは少し、ピクリと髭を揺らし、とても気に食わなさそうな感じでふて寝して尻尾だけを動かして他の精霊達を見送ることなく別れた

一寸拗ねたようなので、俺はスミレに美味しいカリカリを上げるからと心の中で言ってあげたら少しだけ、気分を上げてくれたようでニャーニャーと鳴いた


首の下あたりを掻いてあげるとゴロゴロと喉を鳴らし、ごろんとひっくり返った

…ひっくり返ったから仕方なくお腹も撫でてやった

暫くニャーゴロゴロとご機嫌に撫でられていたけれども突然ハッとしてぺろぺろと毛繕いした後抗議をするように俺に向かってニャーと一鳴きした

さっきまでゴロゴロ鳴いてたのスミレの方なのにね?


「おーい小僧、お前分身は土魔法以外にもできるのか」

「あー…闇魔法と、光魔法での分身は出来るよ。」

「ほぉ、今見せることは」

「フルーツくれるならやるぞ」

「ほれ」


爺は美味しそうなモモみたいなのを出した

スミレがピクリと反応し、よだれをつーッと出してニャーニャー鳴いて欲しがった


『くれにゃ!』

「…スミレ、待て!」

『にゃー!にゃう、にゃにゃう!!』


スミレが大興奮して爺の手を持つモモらしいものを欲しがっているので抱きかかえて必死に止めた

すると何が面白いのか、爺がにやにやしながらモモを俺の方へ寄越した


「ちょ、大人しくして、スミレ」

「あぁ、これは精霊の大好物だからね、ははは、仕方ないんじゃないかな!」


校長先生がそういうとスミレがニャフーと鼻息荒く今にも飛び掛からんとしている

精霊の大好物ってことはわざとか、この禿爺…!!


「この爺…今の態とだろ!」

「ほっほっほ!なんの事かな?ほれほれー、エルフのお前もたまらんじゃろ?」

「…このくそ爺、禿げて死ね!」

「……ハァ、ショージ、口悪いよ?」


ルールウド君が頭を押さえながらもそんな事言ってきたけれども、俺は悪くないよ!


「この爺に非があると思わない?!ちょ、スミレ、待てってば!」

『ふにゃー!!にゃふ、にゃん、にゃにゃ!あれ食べたいにゃ!にゃーん!』

「あっちょっと!?」


するっと俺の腕をすり抜けてスミレは爺の手にあるモモめがけて浮いて、かぷ!と齧りついてしまった


くっきり小さな歯型がついたことでにやん、とさらに嫌なくらい深く笑った爺

爺…精霊を人質ならぬ精霊質(?)に取りやがったこと、覚えとけよ(怒)


「あー、喰っちまったのぉ、はっはっは!」

「やり方がきったねぇぞ!!」

「フルーツが欲しいと言うたのはそっちじゃろうが。ふぉっふぉっふぉ!」

「まじでくたばれ爺」


ギリイッと睨むもののケロッとしていやがるこの爺をぶちのめしてぎゃふんと言わせてやりたい…!!何とか一矢報いてやることはないですか、分ちゃん大先生!!

【無理だ、あきらめろ】

ちっくしょー!!


『にゃー、にゃむ、にゃ!はぐはぐ!あぐぁぐ!』


…くそ!スミレめぇ…おいしそうに食うじゃねぇか!グギギ…


「ルールウド君、この爺にランチャーを放つ許可を!!」

「駄目に決まってるでしょ」

「じゃあ唐突にこの爺のところ、だけを狙撃する許可を下さい!!パチンコで風穴開ける!」

「駄目だってば」

「c4!」

「どんなものかわからないけどロクな物じゃないよね、却下。」


くそぅ…くそぅ!!ルールウド君はケロッとしながらも俺の提案を却下しまくった

ハァー…と悉く却下されてむすっとしたままソファーへと座り込んだ


「ハァ、そんなことをするからノブレは嫌われるんだよ?」

「なんでじゃ、フルーツが欲しいと言うから出してやっただけじゃないか」

「断れないような状況にするのはよくないと私でさえ思うがね」

「これは精霊も好きじゃがエルフの好物なんじゃろぅ?なぜ好きな物を出されてここまで言われるんじゃ」

「「ハァー…」」


駄目だこの爺!手遅れだった、知ってた!

校長先生と理事長先生が頭を抱えたりウサギの縫いぐるみを抱えてため息をついた


スミレはぺろりと爺の持っていたモモみたいなフルーツを全部食べた

満足そうに口の周りを舐めてニャーン、なんて鳴いてやがる…

己スミレめ…結局一人(一匹)だけで食べやがった


「ショージ君、はい。」


シェンフ君がキキョウさんに作って貰ったのであろう、くそ爺の持っていたモモと同じようなうまそうなモモ(もどき?)をくれた

スミレが食べたくなったのも納得な味だった

凄く甘くってみずみずしい白桃のような味と、プラムの様な食感で美味しかった


「美味しい…!甘くって桃みたい!」

「うん、そうだね。エルフ族はそれをサラダみたいに野菜とクルミみたいな木のみと一緒に食べるんだって」

「わー、それも食べてみたい!」

「よかったね、ショージ」

「うん!」


シェンフ君まじ良い人!

結局俺もスミレと同じくぺろりと一個食べてしまった

スミレがいいなーという顔をしていたけれども俺は心の中でひっそりとお前さっき食べただろと言ったら可愛子ぶっているのか、なーん、と一鳴きした


全部食べたから魔法を使わねぇといけないのだろうけど、もう一回食べたかったなぁ…


「ショージ君、魔法で分身作って貰っていいかな」

「うんいいよ」


欲を言えばもう一度食べたかったのだがまぁ爺と違ってシェンフ君は誠実な方だからね

俺は魔法を使って闇魔法の分身と光魔法の分身を実体化させた


闇魔法の“分身”は影からずるりと出てきた、薄く黒い色彩の俺

――ただし分身字体が光属性を使えば俺と同じになる

光魔法の“分身”は鏡の様に左右反転している

――ただし分身字体が闇属性の魔法を使ったり光魔法を使い幻術を使えば同じになる


「さらりと違う属性魔法の同時展開をするのはやめようか」


シェンフ君は注意してくれたけど、そんなに難しくはないからなぁ…

分身魔法はそんなに難易度高くはないんだよな


「この鏡写しみたいなのは、実体化できているの」

『触ってもいいよ、握手でもしてみる?』

「わ、しゃべった」

『『いや話すよ?分身だもの』』

「見た目もそっくりに出来るよー?やってみる?」

「え」


俺がそういうと途端に影分身の方が光魔法を自分に振りかける

鏡写しの分身が光魔法の魔法で幻術を身にかける

するとたちまち俺本人でさえ引くほどに、そっくりになった


『『ドヤァ!』』

「うわ、きめぇ。そっくり過ぎてきめぇ」

「…しかも俺の使える魔法全部使えて、俺自身も別で動けるぜ?」

「お前ひとりで過剰戦力だってのにまだやれんのかよ、とんだ兵器だな」

「こんな事も出来る」


俺がそういうと二人がしゃがみ込み、さらにそこからポコン、と2人ずつ増えた

計6人の“俺”がいる


『『『『ジャジャジャーン!』』』』

『『ドヤァ!』』

「ふえんなきめぇ!」

「ど?面白いだろー?これは最大8人できるぜ?ただ…」


俺がそういうと不思議そうにキョトンとして皆して俺の方を見た

コントロル君が煮え切らないのが気に食わないと言うような顔をして眉をぴくっと上げた


「ただ、なんだよ」

「ただかなり制御がめんどくなるからあんまり増やさない様にしてる。」

「そりゃそうだろ、馬鹿か」

「ゴーレムより制御面倒なんだもん。あんましない。」

「それは自業自得だろ」


いやまぁそうなんだけどさ

魔法を解除し・・・


「どうしたんですか、ショージ様」


俺がハタ、と分身を見て止まったのを見てキョトンとしたルネア君

俺のその様子を見てルールウド君が慌てて俺の方に来て手で目を遮った

視覚的情報で思いつくことを防ごうとしている、ルールウド君なりの無茶なこと防止だって言ってたかな、なんか新しい事思いつきそうなもやもやした時によくされる事だ


「……んー…」

「…ショージ、思いついたことがあっても直ぐにそれを実行しちゃだめだからね!!」

「なんか、こう…面白い事出来そうな気が…」

「駄目だってば!早く解除して!」


んー、なんて言いつつなんか思いつきそうな…

例えば影分身を使って何か…こう…


「ショージ、ショージ!駄目だよ、分かってるよね!?」

「わかってるよ、でも思いついたらやりたくなってくるもんでしょう?」

「わかってないじゃない!えーと、えーとスミレちゃん!スミレちゃんショージの気を紛らわせて!」

『にゃー!にゃーにゃー!!』


ルールウド君が必死にスミレにお願いして、自分で俺の目を塞いでる

スミレは頼まれたのでスミレはニャーニャー鳴いて、俺の手を自分の頭にのせたり擦り付けたりしだした

あーはい はい、可愛い 可愛い…影分身…影…


「影…ねールールウド君影分身ってさぁ」

「っく、だめだったあ!」

「聞いてよ、影分身ってさ、影にはいれるのを応用して分身作ったじゃん」


俺がそういうとがっくりして落ち込んだルールウド君がぐてぇっと倒れながらも俺の目の所から手を放してくれた

何処か、凄く落ち込んでいるようだった

俺はさらに続けていいのかな?と思いつつも続けちゃう


「じゃあさ、影分身の応用で」

「応用しなくっていいから、それを実現しなくていいからね!」

「応用してさぁ、影の分身を他人の陰に潜ませ」

「駄目だから!!!!聞いてショージ」


思いついたらやりたくなってきた

うずうず…したように目で見ていたに違いない

ルールウド君がむにーっと俺の頬を引っ張って迄止めた


「駄目!いいショージ、思いついたこと直ぐに試しちゃダメ!」

『みゃー!みゃーん!!』


スミレも必死に俺の気を紛らわせようとすりすりと擦り寄ったり、俺の掌の下に潜りこんでぐりぐりさせたり俺の手を舐めてみたりしてきた

必死にアピールしているけれど、それ意味ないよと言ってあげたいな…


俺は前ルールウド君に貰ったノートを開いて思いついたことを書き込んだ

このノートはミーシェちゃんとの交換ノートだったのだけど、数冊余ったから俺のアイディアノートへと変化していた

思いついたことを箇条書き、ないしはササッとメモ書きにして書き留めているノートだ

雑多に書いてあるので全然まとまっていないし、殴り書きのメモみたいなものだ


言葉で思いついたことを描くだけじゃなく、絵でもパパっと想像した物を書いてたりするから落書きみたいなもんだけど、このノートは物凄い事になってる


「影分身を他人の影に入れてそこに本体が移動できたら凄い便利か、も?!」

「ショージ、め!」

「それは面白い発想だな!」


理事長先生はワクワクしている眼で俺の話を聞いてくれた

だから俺もつい・・・


「先生、試してみたいので先生の影貸して!」

「よかろう!」

「駄目だってば!!!ショージ、マクスェルに怒って貰うよ!」

「?!ぅえ…それは…やだ。」


ルールウド君がそういうので俺は渋々諦めた

すると理事長先生もなんだか残念そうだった


「なぜだね!こんな面白そうなことを思いつく生徒が、失敗するはずがなかろう!?失敗してもフォローすればいい!」

「そういう問題じゃないです、理事長先生…。」

「ならばこれは私が試してみればいいな、そうだな!ショージ君まずは私に影分身を実体化させる術を教えてくれ」

「聞いてくれない…」


ルールウド君がとうとう顔を覆ったままくったりとソファーに倒れ込んだ

マクスェルさんに怒られるのは嫌だけど、だけど…うずうずする!試したい

俺がそう思っていると校長先生がぽつりと呟いた


「ショージ君は、パブリックと同じ探究者タイプだったんだね。これは今回も増員無理かなぁ?やれやれ…」


俺が影分身の実体化をさせる方法を理事長先生に教えてあげると数分で物にしちゃう理事長先生が、俺にさっき思いついたことを試してみていいか聞いてきたから俺も頷いた

ズズズ、と俺の影に理事長先生の影分身が入る

視覚的には何とも気持ちが悪い光景だが俺的には一寸もぞもぞする居座りの悪い物を感じただけで別段なんてことない、不思議な感覚だった


理事長先生がキッチンにまで言って、俺達の視界からは消えた


「今から影に入ってリンクさせている影に入ってみるぞ」

「はい!」


わくわくして期待しているとゆらり、と俺の影が揺らいだ

じーっと見ていると影がぶれるのが凄くなってきた

やがて―・・・


「ぷあ!おぉぉ!!!成功だ!」

「人の影の中を移動できるなら、いつでも逃げられますね!」

「いや、これを使えば郵便の技術もさらに発展しそうだぞ!」

「おおおおおお!!」


俺がわくわくして理事長先生も目を輝かせる

それと反対に、なんだかがっかりしている、ルールウド君と生徒会のメンバー達多数(ナイト君とか直感さん、遊技君は割と興味深そうにしていた)だった


その後、逆に俺が影の中に分身を埋め込んで少し離れた所から先生の所へと出るような事をしてみた

ちょこっと難しかったけれどもできた


「ねーこれさらに工夫して、荷物だけを特定の人物にあげる事出来るかなー」

「面白そうだな!やってみるか!!」

「影分身は含めないでまずできるかどうかやってみる―?」

「よかろう、送れるかどうかやってみよう」


その場合近くにいればいいのかな?うーん、なんて悩みながらも俺は適当にテーブルに乗っている残りの鉄の塊を理事長先生に送るイメージをしてみた

うーん…こう…質量をもったものをそのまま…相手に送る…

手紙の封筒の中に送りたいものを入れるイメージ、そしてそのまま相手に先生を指定して…送る…


「お、おおお!?来たか?もぞもぞするぞ!」


先生がわくわくしているのか、目を輝かせて自分の影を見つめた

ポコン、と影が膨らんだ

理事長先生が影の中に出てきた異物を取り出した

俺が自分の影に入れた、鉄の塊だ


「送れたー!」

「おおおおおおおお!今度は私がやってみたい!」

「どうぞ!」


わくわくして待って居ると理事長先生の影に入れた鉄は一向に何にもならない


「ふむむ…。一向に動く予兆がないな。」

「イメージの問題かな。俺手紙に入れて鉄を相手に送るイメージしたよ!」

「うむ、やってみるか!」


少ししたらもぞもぞした感覚がしてポコンと浮き出てきた


「「できたーーーー!」」


影を通じて物流が移動、運搬できるならこれは画期的だぜ!

そしてこれで急いでけが人を治療されたりできたりとか夢が広がるぜ?


「ねぇ、それはボクにもできるもんなの?」


遊技君が聞いてきたけれども…遊技君は無属性適性…

闇属性の適性はないって言ってなかったっけ?

出来るのかな…試してみる?と理事長先生を見てみると、理事長先生はワクワクした目の輝いた子供のような目をして俺を見返していた


「試して…見たいんですか?」

「うむ!」

「遊技君って無属性だけでしょう?」

「うん、そうだよ?」

「どうなるかわかんないけど、面白そうだよね!」


二人して一気に色めき立って、わくわくしだした

暫くやっていたけれどもやはり無理だったみたいなんだけど、俺が影分身を使っての移動を遊技君とやってみると遊技君にも影移動ができた

その後、いろいろと試してみたけれども遊技君が自主的に影移動をしようとしても出来ないけれども俺の影や理事長先生などの影移動ができる人の影が中にいる時にならば荷物を移動できるようになっていたり、俺の分身に一時的に遊技君の許容範囲外の荷物を持たせる事が出来たりと、なんか色々なことが分かった


「うーん、楽しかった!本当に、なんだか昇次さんは便利だし規格外だねー」

「ソンナコトナイヨ―?」

「あ、コーラちょーだい」

「コーラ好きだね」

「うん。あ、それかフラペチーノでもいいよ」

「どっちでもいいよ。飲んだことないけど、遊技君は好きだもんね?」


俺がそういうとフラペチーノ?とかいう生クリームたっぷりのあの甘そうなパフェみたいなコーヒーと、コーラを出した

遊技君は嬉々としてフラペチーノを手に取りごくごくと飲んだ


それを見ていた校長先生は不思議そうに、理事長先生は面白い物を見t

…

俺の右肩に手を置き、にっこりとしている、シェンフ君の顔を見て俺はうっかり自分がやらかしていることに漸く気が付いた


「ショージ君、僕の忠告忘れているよね?」

「あ」

「あ、じゃないよね?」


あー…うん、ごめん、だって、その…(汗)

俺はにっこり笑って、影の中に隠れ…ようとしたけれどもシェンフ君がその前にガシっと今度は両手で俺の両肩を掴んで、影に潜らせない様にした


Oh…


シェンフ君はにこやかに笑っているようだけれども、目だけは真剣で笑っていなかった

こ、こわぁ…(((((;゜Д゜))))ガクガクブルブル)

シェンフ君は口だけ笑って、膝まで影に入っている俺の両肩を掴み、ずるりと影から俺を出した


あばばば…

【あわわわ((((;>△<)】

一寸分ちゃん遊んでないで助けてよ!

【魔法封じ、痛い!凄く痛い、激痛!】

分ちゃんが痛がっている…だと?!

あ、俺もなんか痛い!チクチクしていて、どうしようもない位背中とかに針が入っているような位、チクチクしている感覚がガガガ!


「あの温厚なシェンフ先輩をここまで怒らせるなんて、流石ショージだね」

「い、痛い!痛いです、ごめんなさい」

「悪い子にはお仕置きしないといけないよね?」

「ちょ、やめて痛い痛い!!」

「大丈夫、少し魔法封じ使っているだけだから。」

「ひぎゃあ」


なんか、こう…痛い><

地味にチクチクする痛みが、長く続いていて、気分悪い

ひえぇ…シェンフ君は、怒らせると恐ろしいぞ…(ごくり)


「人前で食べ物を出すときは、ルールウド君に聞くか、我慢して人に見られないようにして、ね?僕、そういったよね?」

「ごめんなさい…」

「ブルローネ、君も君だからね!」

「ふぁーい、ごめんなさーい!」


遊技君は軽く注意されただけで、何もおとがめなしで俺は地味に魔法を封印される、というこの理不尽さね…

まぁ俺は多少悪かったと思っているけどさぁ

うっかりでやらかしたんだから仕方ないじゃないか!!


「シェンフ、その位にしておいてあげて。マジックエルフは魔法が使えなくなると激痛に感じるから魔法封じは長時間使われるとトラウマになってしまって魔法使えなくなる。」

「反省してね。」

「はい…」


シェンフ君が痛かったのを解除してくれた

で、なんかサラッと恐ろしい様な事を言われたような気がするんですが、え、何?

俺サラッと命の危機だったの?

【シェンフ、己ぇ…ヽ(`Д´)ノプンプン】

…シェンフ君、俺の魔法である分ちゃん敵に回したっぽいぞ

そう思っていたら分ちゃんがポンと紙を出してシェンフ君に正式に抗議し出した


『ニャー…ショージ、大丈夫にゃ?』

「めっちゃチクチクした。分ちゃんも痛がってるし…恐ろしいね、怒らせるのやめとこ!」

『ニャ…最初から気を付ければいいにゃ』

「う…そ、その通りでございます…」


スミレにまで言われてしまった…とほほ…


俺は余った材料を影へとしまい込み、シェンフ君に一寸怯えながらもコントロル君に約束した料理を作ってあげること自体は許可をして貰った

ただしその時にはキチンとルールウド君に言う事と言われ、ちゃんと了解もした


ソファーで大人しくスミレの顎とか背中を撫でていると、ルールウド君が心配そうに眉を顰めて俺を撫でてきた


「魔力切れは大丈夫なの、ショージ」

「うん、スミレが一滴エリクシェルをくれたからすっかり元気になったよ」

「そっか。」


ほっとしている表情のルールウド君に思わず俺の方までへにゃ、と笑った

ルールウド君は心配性だなーとか思わなくもないがまぁしょっちゅう貧血や眩暈になっている俺がそれを言ったら駄目だろうしね、うん


遊技君がペロッと舌を出して俺に向かってごめんねと言うような顔をしながらコツ、と自分の頭を叩くジェスチャーをしたから苦笑しておいた

なんか、憎めないって感じなんだよなぁ、遊技君って


なんて事を思いながらソファーで休んでいるとナイト君が俺の袖を引いてきた


「?どうしたの」

「昇次さんは、道具作りが得意なのか?」

「あー…簡単な物なら、作れるよ。さっきみたいに、誰かが教えてくれたりすればそれなりな物が出来るし、環境とある程度何度か教わっている物なら一人ででも出来るよ。」

「…凄いな」

「魔道具も少しならできるよ…まだ未熟物だけどね」


エヘヘ、なーんて言って照れ隠しをしつつも影の中から俺が手慰み程度に作った魔道具のバンクルを出して見せた

ナイト君と遊技君の二人が目を輝かせて俺の持っているバンクルをみている


「それはなに?」

「これはね、手首に着けて魔力を流してごらん」

「いいの?わーい!」


遊技君に手渡すと嬉しそうにバンクルを付けて魔力を流した

するとバンクルが光って埋め込んである魔石から四角くて横に長い画面が空中に浮き出た

そしてその画面の左側の端っこに今現在の時刻、日付が描かれている

中央の部分には今この場所、つまり俺の部屋の地図があり、そこに居る人の名前が右側にズラーッとでている


「わーこれすご…この部屋の、図面?」

「そう。装着している人のいる場所の自動マッピング付きの、腕時計だよ」

「「「腕時計の範囲超えてない?」」」


シェンフ君と遊技君、生徒会長さんの声が重なった

そんなに驚くことだろうか

只の探索魔法に毛の生えた程度の物しかわからないんだけど、なぁ…

自動人数把握機能だって、そんなに高性能じゃないから、隠れている相手は反映できないし、この部屋の間取りも雑だし…


「因みにこれはミーシェちゃんもルールウド君も作れるよ」

「作れるけど魔術語入れる作業が細かくてミーシェはほぼショージが作ったでしょう?」

「でも途中まで頑張ったのはミーシェちゃんだから、ミーシェちゃんが作った物だよ?」

「う、うーん…」


ルールウド君がなんだか納得いかないような声を出して唸った

どうにもルールウド君は俺の能力を過信している気がしてならないよ

俺は普通に習っている事しているだけだったりするのにね?


「これ腕時計でいいの?」

「うん、だって魔力消費を少なくして、ざっくり今いる場所が分かって、時刻が分かればいいなーっていう子供が沢山いた物だから作った物なんだ。」

「時計の部分、小さくない?」


遊技君の付けているバンクルの画面を覗き込んでシェンフ君がそう言ったけれどもそこはとっくに解決済みなのだ

俺は遊技君に時刻の表示している所をちょっとだけ触ってみるようにと言うと遊技君が訝し気にしながらも浮き出ている時刻の部分を触った


すると時刻の数字が大きくなり、部屋の地図や人の名前が小さくなった

時刻の部分が大きくなっただけじゃなくて、タイマーやらもセットが出来るよ


「これ、大きくなったね」

「うん。左上の部分を見て。時刻の他にも、タイマーやアラーム機能、更にナビゲーションって言葉があるでしょう?」

「…あ、本当だ」

「これと同じバンクルを親とか親しい人に着けて貰って、その人の所にまで案内する機能なんだ。遠くに行ってしまう子供を呼び寄せたいけど何とかしろって親御さんが言うから」


そう、だからこのバンクルは俺と遊んでいるルールウド君の町の子供たちや親御さんはみんな持っているのだ

何でもかんでも俺に相談するのはどうなんだろうね…全く


「へ~…ルー君も持ってるんだよね、見せて見せて!」

「いいですよ?」


ルールウド君が自分の影から同じものを出して手首に着けてみせた

ルールウド君の作ったバンクルはチェックの布が一部に巻き付いているが、その他は全く同じ物だ


「ほわぁ、僕の付けてるのとおんなじだねー、でもなんか、ちがくない?」

「みんな同じだと見わけつかないから、喧嘩にならないかと思ったんだけど、外したら誰のだかわかんないって言われた…」

「あぁ、たしかに…」

「だから、自分のだってわかるように少しだけ変える事が出来る様にしたの。魔石の所をいじらなければ問題ないから、周りの所に塗料で絵を描いてもらっただけだよ。ルールウド君は布を付けたけどね」

「うん」


遊技君は良いなーと顔に書いてあるままで、ちら、ちらと俺の方を見てきた

顔に堂々と“欲しい”と書かれている…

“まて”をされている犬のように、じーっと俺の方を見てくる…(汗)


「…欲しいの?」

「くれるの?!」

「ブルローネ、何でもかんでも欲しがったら駄目だよ。」

「だってこれ欲しい!時計欲しいと思っていたんだもん!」

「まぁ、ダンジョンとか迷宮に入ると苦労するけどね?」

「でっしょー?!」


うーむ、それならば…

俺は魔石を取り出し、ゴロゴロと喉を鳴らしているスミレに水を出して貰って土属性の魔法で鉄と金と、魔術語を刻み込む機械を出した

更にペン型の金属加工塗料をいくつか、布と金属に張れる接着剤、輪っか状にするプレス機を出してあげた


「どうせなら皆で作ってみない?」

「「え」」

「やり方は簡単だし、これそんな難しい魔術語使わないから」

「「…」」


遊技君は目をキラキラさせて、シェンフ君は若干戸惑い気味に俺の方を見ている

俺は簡単に説明しながらも実際にやって見せてやるかと手元に只の鉄と金を縦に並べた

その鉄の塊は金塊みたいな形で、縦に長い鉄で、金も同じく金の四角い塊だ


縦に並べた後、二つの塊の間に、まずは魔石が入るような大きさの穴の周りを削る為に金属でも書けるペンで形をくっきりとなぞり、そこをガリガリと削る

そして魔術語で時刻表示させると刻んだり、簡単に今いる場所を絵で浮き出させるようにさせたり、色々とする機能を魔術語で刻みこむ


ガリガリと削りながら切り刻んでいると遊技君が裏側に刻まないのかと聞いてきた

今刻んでいる方が裏側になるからいいの、と応えると納得された

その後薄い板状のやすっちい毛皮でくるんで、プレス機にセットした


「その毛皮は何?」

「魔力伝導率がよくなる物だよ。毛皮で金属をくるんでおくと直接肌に触れないから、傷みにくくなるんだ。」

「へー!」

「で、後は魔石の方を内側にしてセットして、魔力を出しつつプレスすれば形ができるから、後は自分たちの好きに飾り付けて出来上がり。ね、簡単でしょ?」


プレスして見せた物は見事に潰れていて金属が輪になっているバンクルになっていた

毛皮は潰れて光沢もあり、目立たなくなっているおかげでそういうものだと思えばそう見えなくもない

同じ様にやっていた理事長先生と遊技君とナイト君が作っているのを見てわくわくした表情で他の皆もしたそうにしていた


「これは簡単だけど、そんなに多機能なの?」

「そうだよ。飾りつけした後、このバンクル同士、リンクさせるこの魔法薬を一滴全部のバンクルに垂らしてあげたら時刻もわかるし、今いる居場所も、仲間へのナビゲートも付いているのが、出来上がり―。」


結局その場にいる全員が完成させた

魔法薬を一滴、チョン、と垂らしてそれぞれが赤く光った

光が収まったのを見て皆に磨くよう言ったらハンカチで皆磨いた


「デザインを途中変えたくなったらどうしたらいい?」

「え…あぁ、気分によって変えたいなら、形状記憶魔法ってあるでしょう?あれでいくつか模様付きの布をバンクルに撒いてあるように想像して。衣替えできるよ。それか透明なフィルムを上から張ってそこに好きな飾りをつけていけばいいよ。透明なフィルムを出してあげるね」


俺が土属性の魔法で片面シール状態になっている、透明なフィルムを出して油性ペンもだしてあげると思い思いの絵を描き出した


「気を付けなきゃいけないのは、魔石の部分だけは開けとくこと。」

「はーい!」


裏に埋め込んでいてもプレス機によってうっすらとくぐもったガラスに覆われているかのようになっている金属が魔石を隠し切れていないが、見える魔石の部分に何かがかかると利きが悪くなるのだ、こればかりは要注意するしかない


皆が自分で作った、替えのカバーをバンクルに付けて形状記憶させる魔法を使うと今度は魔法を纏ったバンクルは黄色に光った

アルト君達新入生の人たちは校長先生や理事長先生、先輩たちにやって貰っているのを微笑ましく見ていた


数十分間、ひたすらいろんなカバーを作っては形状記憶させていく遊技君に、とっくに作り終えた直感さんが苦笑を溢してやっととめた


「これは、例えば…生徒会室とかにいても反応する物なのかい?」

「するよ。親御さん達がそうしてくれれば安心だっていうから。」

「なるほど…試していい?」

「どうぞー」


俺がそういうと壁を触って扉を出して生徒会長さんが生徒会室へと行ってしまった

シェンフ君とルールウド君達が自然とバンクルを見ていると生徒会長さんの名前の下に違う色で小さく“現時点;生徒会室”と“ナビゲートしますか”の表示が出た


「おおお!これすごーい!」


遊技君が嬉しそうで何よりです

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