俺は何もしてないから感謝されて戸惑うのですが?
遊技君が俺に一つの剣を渡してきてこれを鍛造しなおせるかと言ってきた
そんなことしなくてもいいのに何でそうさせるんだろうと首を傾げた
スミレがさっきから剣をまじまじと見ていることから、治す必要ないのにね
「できないの?」
「だってそんなことしなくてもこれまだ使えるよ?」
「これ刃が欠けちゃっているんだもの。使えないよ」
「………………………刃が欠けてても使えるよ?」
「え?」
まぁパッと見かけ方が酷いだけの、剣だけどさぁ…
これどう見ても魔道具なんだよなぁ…
俺が治したらこれはもう普通の剣に戻ってしまうのだけど、それでもいいってこと?
『そんにゃ事したらもったいにゃい!』
うんそうだよね?だってこれ・・・
「これ魔道具だもの。これはわざと刃を欠けてあるんだよ?」
「…………………………そう、なの?」
「そうだよ?この剣を振って風をわざと巻き込ませて、そのまま魔力を風に乗せて遠くまで飛ばすものだよ。なおしちゃっていいの?」
俺が聞くと遊技君はまじまじと俺に差し出した剣を見つめた
魔道具には見えないかもしれないし、確かに一寸だけ薄汚れているけれどもそれは磨いたら直るし…
「…え、遠距離用の魔道具だったの?!」
「…ブルローネ君は、知らなかったの?鑑定眼とか鑑定魔法はないの?」
「ボクの鑑定魔法はこれをただの剣と判断したんだよ」
「…幻影魔法がかかっているからね」
「ふぁ?!幻影魔法…?」
俺は分ちゃんの出した紙を剣にくるっと巻いて、幻影魔法を解いて欲しいとお願いしてみたらパチッと静電気が発生して姿を変えた剣が現れた
剣は青銅色の青みがかった刀身に、鋭い刃
俺たち子供の手の中にすっぽり収まる短剣に、刻まれた魔法文字
魔法伝導率のよさそうな柄の素材
刃が、錨のように棘のような“かえし”があり、そこから魔祖を微量に吸収できるようにデザインされている物
いわゆる機能美がある形だ(とおもう)
「ねー、本当に、俺が直していいの?俺が直したら魔法が使えなくなるよ?」
俺がそう聞くと目を大きく開いてぎゅっと剣を抱きかかえて一言
「やっぱりだめ!」
遊技君はそう言ったので俺は頷いてそのまま剣を返してあげた
「でしょ?」
「うん、ごめんね。これこっちの親がくれたんだけど、刃がかけててボロボロだったから…魔道具だなんて知らなかったんだ。これ…要らないからくれたんだと思ってばかりいたけど…」
「きっとお守り代わりにくれたんじゃないかな?だってこれ最近まできちんと手入れされているみたいだし、盗まれない様に幻影魔法かかってたし。」
「…盗難防止、だったんだ。知らなかった」
まぁその盗難防止策が自分の上げた子供にまでばっちりと効いちゃうなんてちょっとしたハプニングもいい所だよね…
まぁ直さないけどさ
「魔道具は貴重だからな、仕方がないんじゃないか」
「うん、たしかにそうだね…防犯防止用の幻術も見抜けないような、鑑定魔法で少し悪いことしかかったよ…あぶない、あぶない。ショージ君ありがとね!」
「いいよー?なんもしてないし?」
テンツァーさんに遊技君がさりげなくフォローを入れてあげるとすぐに元気になった
いやでもほんと、俺はなんもしてなかったしね?それなのにお礼言われても、ねぇ?
分ちゃんに魔法を解いてもらっただけだし
「…ショージはどうやって魔道具と見破ったの?」
「簡単だよ?見破ったって程の事じゃないよ。」
「うん、だからどうやったの」
俺はもう一度だけ遊技君に剣を貸して貰った
そしてそのまま空を切るように振り下ろす
プオン、と音が鳴った
「この持ち手の部分に、魔術語で“魔力を伝導させる”ってあったの。ほらよく見て。」
俺がルールウド君に剣の持ち手の部分の素材に魔力を刀身、隅々にいきわたるよう記載されている魔術語を指した
皆がまじまじと見るとルールウド君がぽつりと納得の言葉を吐き出した
「あぁ、たしかに。これはわかりやすいね」
「でしょう?それにさっき変な音出てたでしょ。あれは中に魔祖を組み入れて魔法にするための出口から空気が入ったからじゃないかなーって思うのだけれども。」
「なるほどね」
「あと一番はスミレがこれみたそうにしていたからかな。」
『みゃう、みゃーは魔道具みるのが好きみゃのにゃ!』
等と供述しており・・・なーんて言ったってわからないんだろうから言わないけどさ
俺はスミレを撫でてから遊技君に剣を返した
貴重なんだから大事にして欲しいよね
「そっか…鑑定魔法でも、何でもなく見抜けることで、気づかなかったのか…それは自分で見つけたかったな。でも、いいや。ちゃんと使い方分かったし、これからは大事にするよ!」
「うん、そうした方がいいと思うよ。幻影魔法かける?」
「…ううん自分でかける!」
「そっか」
遊技君がそういうので俺はここまでだね
ルールウド君がカマキリの雄の鎌をもって、後何が欲しいかを二人でうんうん言いながらも俺が拾ってきたり収穫して来た物の中から選んでいると分ちゃんが短剣に向いている素材をいくつか教えてくれた
「分ちゃんがねー。カマキリの鎌とこのルルイエの枝とセレージュの木の実を合わせると刃の大きさが40cmの短剣で、闇魔法の通しやすい物が出来るって。それかカマキリの鎌にこのレックス草とまたたき草、レインドの根を組み合わせて刃の大きさが50cmのククリナイフが出来るって。カマキリの鎌とヒカノ草を合わせてもいいかもね。どうするー?」
「…うーん、ごめん、僕ショージが言った植物半分もわからないや」
「おー…これが、またたき草。」
俺はまたたき草をもって教えてあげることにした
またたき草は俺の世界で言う所のシロツメクサみたいな小さい花を咲かせる、一つの茎に沢山の葉っぱを付ける草だ
「んで、こっちかルルイエの枝」
2階層で襲ってきた魔獣が落とした部位を見せる
ルルイエの枝と呼ばれる、枝のように見えるこれは実は魔獣の尻尾だったりする
枝と言っても割と太さのある直径15cmくらいはある、細長い棒状態のものが黒から灰色にグラデーションがかっている物で、結構魔法伝導率がいいのだ
「これがレインの実」
青色のストライプ柄の線が入っている、マンゴーのような木の実の中には、水溶液がたっぷり入っているけど飲み水にはならないから注意だ
じゃあ何に使われるかというと錬術や武器を作る時に焼けた鉄を冷やすときに使う物だ
魔祖がたっぷり入っているから魔法を使ったり魔力を流す武器に使うと魔法抵抗値が低いのだ
「レックス草はねーこれ!」
犬とか猫の手に似ている葉っぱの中に薬になる汁が入っている、ぷっくりしている葉っぱで触るとぷにぷにしている、気持ちよくてずっと触っていたくなるような草なのだ
「…柔らかいの?」
「うん、触ってみる?」
「ぷにぷにしてるね」
「肉球触ってる時みたいな感じで好きなんだ。レシェルナさんのおうちで触ってから虜なんだ。スミレの肉球並みの感覚たまんない」
俺がそういうとスミレは丸で失礼な、と言いたそうな感じの顔をしてうなん、と嫌そうに鳴いてささやかに、小さい声で抗議した
ぷにぷに…あーたまんない…
コントロル君が触りたそうにしていたから一本上げると暫く触って真剣そうに頷いた
「これは無限プチプチみたいなもんでとんでもなく気持ちいいな」
「うわ、わかる!それ凄い分かる!」
「これはやめらんねぇわ…」
「いいよね、柔らかいし、何より弾力がいい」
コントロル君が頷き、俺もしばらくぷにぷにしていると呆れた表情でスミレが俺の手からレックス草を叩き落した
己ぇ…レックス草はストン、ぷにんと跳ね返り影の上に落ちた
『にゃー!しょーじにはみゃーがいるにゃ!はい!すきにゃだけぷにるといいにゃ!』
…ただの嫉妬ですか、そうですか、どんだけあざと可愛いんだお前
んじゃえんりょなくぷにるかなとスミレの肉球をぷにぷにし続けた
その行動を見て何となく精霊であるスミレが叩き落したと言う事が分かったらしく、コントロル君他多数が呆れたような、微笑ましそうな笑みを浮かべていた
「草にまで嫉妬すんのかよ、精霊って」
「うーん、そうみたいだね。構って欲しかった、のかな?」
『にゃー!』
「ニャーじゃないよスミレ…」
俺は再びレックス草を拾ってぷにぷにしたいのを我慢してぐっとこらえてそのまま影に入れた…触っていたら再びぷにりたくなるのが目に見えているからだ
遊技君がセレージュの木の実をもってこれは何だと聞いてきた
「それはセレージュの木の実だよ?」
セレージュの木の実は磨り潰し粉にすると魔法を使えばその魔力や魔祖を補うことが出来る素材なのだ
セレージュの枝は木を叩いて繊維を取り出し、その繊維を編み込むことで魔力を服に通すだけで好きなだけ物理防御を上げる事が出来る優れものだ
勿論俺は枝も樹液も木の実を少し分けてもらい、光魔法で回復してあげたぜ
「レインドの根はね、この根っこの部分を磨り潰してセレージュの樹液と組み合わせて使うと相性がいいんだよ?で、根っこを乾燥させてカマキリの鎌と組み合わせれば行けるって分ちゃんも言ってたし」
レインドの根っこの部分を入れた瓶をみると摘み取ったはずなのにレインドの葉っぱがすでに二枚小さくちょこんと芽吹いていた
レインドの根っこは割と再生力が強く、気を抜くとすぐ葉っぱが芽吹くと図鑑にも載っていたので俺は瓶から取り出しプチッと千切っておいた
遊技君達は色々と知りたそうにしているのでさっき言った分の草の説明をしなくてはいけないかとも思ったが清爽君がヒカノ草の鉢植えを持ちあげて、まじまじと見ながら説明してくれた
「これはヒカノ草ですね。採取の仕方もお見事です。ヒカノ草はごく一部の限られた所にしか生息できないほど外部からの刺激に弱く傷ついてしまうと薬効が打ち消されてしまう大変扱いに注意を要する草です…。なるほど、根を傷つけずに土ごと移しましたか。」
「分ちゃんがアドバイスしてくれたから言われるままにやってみただけだけどね」
確かに分ちゃんが摘むならと言って注意点が多い、扱いにくい薬草だけれど重宝するし、レシェルナさんにも褒められるからとこの方法を選んで頑張って植え替えたんだ
「ちなみに昇次さん、このヒカノ草は迷宮の何階層に自生していましたか」
「一階層だよ。えーと、木の根のそばに生えていたかな。とるのは少しだけ土魔法を使って木に退いてもらった。もちろんその後は戻したけど」
「……やり方が斬新ですね。ですがいい考えだと思います。」
やったぜ、褒められたぜ、流石は分ちゃんだ
そんなことをちらと思っていたら頭の中でドン、と大きめな青いウィンドウにでかでかと【<(`^´)>】と顔文字が浮かび上がった
分ちゃんは表情を表現するのは構わないけど本当何処から顔文字を見つけてきているんだろうか…あと唐突にそういうことするのびっくりするからできればやめてね
「ルールウド君どうする?何で造る~?」
「うーん、そうだなぁ…じゃあやっぱりルルイエの枝とセレージュの木の実の合わせた短剣かな?闇属性の魔法をよく使うしね」
「わかったー」
俺はルルイエの枝とセレージュの木の実、カマキリの鎌を残して他を全部しまった
そして土属性の金属鍋を出して、ルルイエの枝、セレージュの木の実、カマキリの鎌を入れた
後でじっくりと鍛錬しないとね、と思いつつ鍋をそのまま影に入れるとすぐさま数人が抗議してきた
「えー、今すぐやるんじゃないの?」
「今すぐやるのかと思ってたが、やらないのか」
遊技君が不満そうに口を尖らせた後、ナイト君迄もが…っていうか君たち俺が何でも一人でできるとかなんか勘違いしていないかい?
俺は一人で鍛造はしないぞ?火加減苦手だしね…
というか唯々加工するのを見たいのか?それに俺は下手だぞ?
ルールウド君が大袈裟に言っちゃったから皆過度に期待しているだけだと思うんだよねぇ
「俺の部屋でじっくり作ろうとしてるだけだけど…」
「『見たい!』」
………………………………
何をそんなに期待しているのかはわからないけれどもそんなに期待されてもいい結果が出来ると言う物じゃないんだよなぁ…
もう、此れ絶対に見せないと満足しない奴じゃないか?
「そんなに期待しないでよ、俺ルールウド君が言うよりずっと成功率低いんだよ?」
「まぁーブラコン兄貴の言う事だしなぁ」
「コントロル先輩?誰がブラコンですか人聞きの悪い事言わないで下さい!」
「事実だろぉ?」
なんかルールウド君とコントロル君が口喧嘩しだしたのを聞きながらも俺はここですぐする気はないと遊技君とナイト君に言った
すると残念そうにして不満そうに表情を変えていた
「じゃあショージのお部屋に行けば作業見れる?」
「そ………こまでしてみたいの?」
「自分の武器になるんだから気になるじゃない」
「…別に、いいけど今日は疲れたから作んないよ?」
「そっか、初めて迷宮なんて行った物ね、疲れてるよね、ごめんごめん」
ルールウド君は思い出したようにそう言って俺の頭を撫でてきた
うーん、だから俺は何度撫でられれば気が済むんだ…
撫でやすい頭の形にでもなっているのだろうか、それとも撫で心地がいいのだろうか…
全く謎だなぁ、なんて考えてたらなんか勘違いしたのか遊技君が俺の袖を引いて可愛子ぶっているのか上目使いぎりぎりの目で見上げてくるようにして小首を傾げた
「ねー昇次さんボクも武器造るとこ見たいなー、駄目?」
「そこまでしてみたいようなもんじゃないってば」
「でもみたいんだもの」
「うーん…しょうがないなぁ、いいよ。」
遊技君のあざと可愛い動きに負けたわけじゃないけど、そこまで期待されたらもう別に見せてあげるのを渋らなくてもいいかなー、なんて思えてきてしまい、あっさり許してしまった
駄目って言われると余計に気になるもんだよね…ハァ
あ、それともあれか、貴族って作っている所あまり見たことないからか
そう考えたらなんか納得してしまった
「それで、いつやるの?」
「とりあえず今日はやらないけど…明後日とかかな」
「なんで?」
不思議そうな遊技君達はきっとやはり見たことないんだなーって思ったから素直に今まで作ってきた環境に近くするためだと言う事を説明して、更に用意するものがあると言って教えてあげた
「…色々準備があるから?ルールウド君はわかると思うけど結構大型の魔法陣かいたり、つなぎに必要な水溶液かき集めたり、レシェルナさんとお話ししたり、火の精霊も少し呼ばなくちゃ」
「そんなことしなくてもポンと出せていたじゃない」
おや?ルールウド君が魔法陣に気付いてなかったとは驚きだなぁ
レシェルナさんの工房にある魔法陣には気づいていたから、鍛冶場の方の魔法陣にも気づいていると思っていたよ
「失敗しても大丈夫なように魔祖や熱が逃げない様になってる魔法陣が必要なんだよ」
「あぁ、成程、暴走したら大変だからか…」
「そうだよ。火の精霊に呼びかけるのは彼ら俺にできない事出来るしね。」
「ショージにできないこと?」
「…そうだよ?俺にできないことなんかたっくさんあるんだから」
それは嘘だと言いたそうに顔を歪めている生徒会のメンバーたちは人を何だと思っていらっしゃるのかを小一時間話し合おうか?(にっこり)
こんな幼気な子供なのに、酷い人たちだなぁ
「今は、ね」
あ、酷い
ルールウド君迄なんか含みのあるような言い方をして誤魔化したし!
なーんて雑談しているとステフィム先生が来ない内の鐘が鳴ってしまった
分ちゃんに聞いて、今の鐘は大体授業の始まりの鐘なのか、終わりの鐘なのかをきいてみたらまぁ物の見事にHR≪ホームルーム≫の終わりの鐘と返ってきた
爺に付き合った結果がこれだよ!くそったれ!
くそ爺は今、校長先生とやらに怒られているに違いない(ざまぁみろ)
それ自体は何とも思わないけれども、俺は先生のブローチを借りているんだよな
どうしたらいいのだろうか…
「鐘がなっちゃったね、さてとどうしようか…。」
「ねぇ、ルールウド君」
「?どうしたのショージ」
「俺ステフィム先生にブローチ借りているんだ。ダンジョンの所から教室へと帰るのに俺は新入生だから道も知らないだろうし、生徒会室になら誰かしらいるから生徒会室に行くようにって貸して貰ったんだけど…」
「…あぁ、ならそのまま預かっておいてショージの部屋に先生が訪ねた時に返すか、明日の朝教室で返せばいいと思うよ。」
「そっか。それじゃ、そうしとこう」
ルールウド君のアドバイスを聞いてそのままブローチを預かっておくことにした
さてと、じゃ俺はもう自室に戻っていいのかな?
「自分の部屋に戻っていいのかな?」
「…うーん、なんとも言えないよねー…どうしたらいいのかな」
俺とルールウド君が困惑しているとシェンフ君が生徒会室へ行って図書館にいればいいのではと言ってくれた
勝手に生徒会委員でもない俺がそんなことしていいのかなぁ?
いやまぁ先生が言ったからという理由で勝手に生徒会室を通ったけれどさ
「そうだ、ショージ、生徒会の図書館から僕が本を持ってきてあげるからここで先生が来るまで待って居よう?」
「おー…持ち出していい物なの?」
「2冊までで、ちゃんと返してくれるならいいよ。」
「いいって。」
わーい、本が読めるってよ!
俺はさっそく取り上げられた植物図鑑を所望した
読む前に図鑑を取り上げられたことを根に持っているわけじゃないよ?ただあの図鑑が気になってるだけだよ?本当ですよー?
ルールウド君が図鑑を片手に俺の元にやってきたから俺は素直に席に座って待って居た
「ショージは本が好きだねー」
「分ちゃんがいない時から本をコピーして何時でも読める様にしてた位だしね」
「……そ、んなことしてたの」
「してたよー?あれ、いってなかったっけ」
ルールウド君はまるで初耳だと言う表情をしているけれども、大体何の魔法をどうやって使ってるかなんて鑑定眼でわかると思っていたし、特に言ってなかったかもしれない
「転写魔法事態は4年前くらいに覚えたよ?」
「…………………」
あれ、なんかルールウド君黙っちゃった
あぁ、図鑑が没収された!
ルールウド君が図鑑を俺の手から取り上げてしまった…
せっかく読めると思ってたのにい!(>△<)
「あー…図鑑があー…」
「転写魔法っていうのは結構魔力かかるんだよ?」
「うん、すごくかかるよね!」
「だから普通やろうと思わないし、そういう事ポンと人に言わない物だよ?」
「別に隠すことじゃないし、誰でも出来るでしょう?」
なんで俺は怒られているんですかねぇ?
ルールウド君は俺に言い聞かせる為なのか図鑑端々お預けになってしまった
解せぬ
転写魔法事態は無属性の魔法で、結構重宝してます
魔法をまねるのも、物を真似して出すのも転写魔法を応用している部分がある位だからね
いやぁ、本当に便利な魔法だよ、4年前に覚えておいてよかった
おかげで色んな事を確かあったような気がするなーと思うだけで頭の本棚から本をポンと思いだせるんだからそりゃぁ大助かりですよ
…分ちゃんがいるから転写魔法の本丸ごとはいらなくなっちゃうかもしれないけれど、俺事態本を読むの好きだからね、苦にならないのですよ
ルールウド君が呆れているのか、フーッとため息をついた
「転写魔法は無属性の魔法だからその実誰でも出来ると思っているかも知れないけれど、その規模や模写する者によって魔法レベルが違う物だからね!魔法クラスとかが模写ごとに変わる物なんだよ、だからショージの転写する者は結構レベル高いからね、周りの人とかにポンと言ったら駄目だよ。」
「…そーなのかー」
「「ぶふっ!」」
・・・おう、今吹いたやつ
もしかして東方〇〇〇〇知っている?
思わず拭いた方を見てみると遊技君とナイト君の若い子組だった
なんと…意外だな
いや、それとも予想外な返答だったのかな?
それで吹き出したとかかな?
ルールウド君は俺の頬をぐにーっと引っ張って言い聞かせるようにゆっくりと転写魔法を使う時は人前で使わないように気を付けるよう言ってきたからとりあえず頷いたらスッと放してくれたけど 凄く 頬が痛いです…
ルールウド君が図鑑を返してくれたので、さっそく開き、読んでいたらレインドの木の実とかもあって思わずまじまじと読んだ
「これバガモールの迷宮とバグの森周辺に自生しているってあるね」
「ねー、このバグの森ってどこにあるの」
「バグの森はこの学園都市の東側の森だよ。」
「へ~、そんな所があるんだ?」
ルールウド君が紙にざっくりとドーナッツみたいに二重丸を描いた
さらにそこにそれぞれの方角東西南北の辺りに楕円形の物を書き、東と南の方には緑色のペンで斜線を引き森と書いた
北と西にはそれぞれ違う色で北には青色、西には黄色い斜線をひいた
「学園都市の周りは大体大雑把に説明すると北には大きな湖があって、西側には砂漠が広がっているんだ。」
「砂漠!」
「そうだよ」
「うわいってみたい!」
「「え」」
え、って言われること自体がえ?と返したくなるんだけど
なんか変な事言ったかね、俺は…
「…僕とミーシェはドラゴンだから大丈夫だと思うけどショージはハーフエルフだからやめておいた方がいいよ」
「?」
「フロストエルフは暑さに凄く弱くて砂漠に行くと溶けるよ」
「溶けるとか大袈裟だよ」
「…本当に溶けるみたいに、皮膚が爛れるんだよ…それも、内側から。」
「こわ!」
え、砂漠こわ!え、てか溶けるの?え、俺溶けちゃうの?
俺はまじまじと自分の両手を見てみた
内側から溶けるとか…つまり…筋肉や骨からじわじわとってこと?!うっわ、こわ!
「血は薄まっているとはいえフロストエルフの母さんの血で輸血したりしたし、安全のために砂漠は避けた方がいいんじゃないかな?」
「うっかり行ってみたいと言った結果がこれだよ…」
「ふふ、でも短時間なら大丈夫な薬があるからそれ塗って授業に行く時あるからね。」
えー、生命の危機的な事があるような事をさせるのこの学園…
恐ろしい授業もあるのか…その時は徹底的に影の中に入っていようかな
影の中なら安全でしょ(多分ね)
南側にある森の方を指してこっちには何があるのかを聞いてみた
ルールウド君が図鑑をめくって南側の森にある植物を見せてくれた
「えーと南側の…あった、ここからだね」
南側の植物、と書かれていても東の森と一部同じ環境なのかいくつか重なって自生している植物もいるようだった
花や木、草の載っている図鑑は見ていてとてもわくわくする
「…ショージちゃんは変わったのが好きなのね」
「?そうですか?」
「図鑑をそんなに楽しそうに読むのなんてルールウド君位よ?」
「あとは必要になった時しか読まないよねー…つまんないもん」
遊技君もキキョウさんの意見に同意したけど俺は割と面白いと思うんだよなぁ
だってどういう風な物なのか知れるじゃないか
栽培したらどうするかとか考えながら見ると楽しいよ?肥料とか育成場所とか考えるの楽しいけど…え、これ変かな?
その後も引き続き図鑑を読んでいて時折ルールウド君に質問したり実物をキキョウさんに出して貰ったり、分ちゃんに具体的に栽培方法を聞いたりしてのんびりしていたらステフィム先生が戻ってきた
随分と遅かったけれども、何があったんだろうか
そして個人的にはこっちが最重要なのだけれども爺の処分はどうなったんだろうか
ぜひぜひ聞きたいなぁ(にっこり)
等という俺の気持ちが伝わったのか、ステフィム先生は苦笑した
ルールウド君も同じような表情をして図鑑を鞄の中に入れた後先生の方を向いた
「だいぶ遅くなってしまいましたが待って居てくれたのですね」
「ルールウド君達にそう言われたのでまってました」
「そうですか。」
ステフィム先生が微笑ましそうに目を細めて俺を見てきたけど何ぞ?
俺なんもしとらんよ?まだ…してないよね?
さっきまで大人しく図鑑読んでいた位だぞ?
「ショージ様、大変恐縮なのですが、迷宮に行って疲れているのを分かっていますがこれから校長室へご同行願えますか」
「え、俺何もやらかしてないですよ?いい子にしてましたよ」
「普段悪い事してるって自覚しているみたいな言い方だね」
ルールウド君がそういうので俺は思わずそっぽを向いた
そそそ、そんなことあるわけないじゃないかぁ、的な意味で…
「いえ、そういうわけでは…。ただ、校長先生が直接お会いして教頭がしたことを確認するだけの簡単な事ですよ。私はご一緒して迷宮にいたわけではないので教頭先生が言っているだけを真に受ける訳にはいかないので。」
「校長先生って…」
なんで俺そんな偉い人と会わないといけないんだ
なんだ?えらい人たちって暇なの?
他の事しろよ、俺の他に沢山規格外な奴なんて五万といるだろ
なーんて思い切り心の中で愚痴ると分ちゃんが自分が“規格外”だと自覚したなとか言ってきたので煩いと突っ返して黙らせた
「今日じゃないといけないのですか」
「そうですね、出来れば今からお会いして欲しい、と…。」
「わかりました。ルールウド君と一緒に行ってもいいですか」
「いいですよ。」
兄弟の仲がいいなーと言うような目で見られるけれどもこれ、何かあってもいいように一応、念の為にという意味もあるんだよね…
今日だけで1回狙われているし…怖いよ、この学園…
教員であるはずのステフィム先生が操られていたし…
だからルールウド君についてきて貰おうと思っているだけなんだけれど、何か可笑しいのだろうか…
ルールウド君と共に教室を出て行こうとしたらシェンフ君が生徒会室に言っているから用事が終わったら来るようにとルールウド君に言ってきた
そして生徒会メンバーと別れ、ステフィム先生の後に続いて移動しようとして、教室の扉を閉じたことで そういえばブローチを返さないといけない、と思ってブローチを先生に差し出すと先生自体も忘れていたようで、あぁと思いだしたように受け取ってくれた
校長室はどうやら教頭先生の仕事部屋の近くなのか前来た時と同じくらい上の階までエレベーターは上がっていった
柵が下がり降りられるようになるとステフィム先生がこっちだと言いながらも奥へ歩いていくのでおいて行かれないように追っていった
昨日通された教頭先生の仕事部屋の一つ前の一室、その扉にはネームプレートのように木製の可愛らしいプレートで子供の文字で可愛らしいフォントと色使いで“校長室”と書かれている物が扉の大人の目線の辺りに紐で吊ってあった
…えっと、子供の文字かな?お遊びで書かれたのかな?とか思えてしまう程、似つかわしくない字体と書かれている文字に少しだけ引いた
しかし躊躇なくステフィム先生はその子供の字体で書かれているプレートのぶら下がっている扉をコンコンとノックした
「ステフィムです、ドラゴニア第一皇子、第二皇子をお連れしました」
すると中から成人男性の声で入室許可の声がして扉が開かれた
どんな人がいるのかとドキドキしているとルールウド君から先に入り、後を追いかけるように入った




