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先生を(間接的に、だけど)操る魔法があるらしいです

昇次「なんて恐ろしい魔法が…」

分ちゃん【仕組み自体は、難しい物じゃないぞ】

昇次「というか先生抵抗しなかったのかな」

分ちゃん【抵抗しないよう油断させたんだと思われ…】

昇次「まじかー…」


スミレ『ニャ…ルールウド、ショージは誰と話してるにゃ?』

ルールウド「さぁねぇ…。」

ソルシエ君に分ちゃんを見せたら、なんだか壊れてて怖かった

後デコピンを喰らった、いてぇ…


「痛い…」

「分ちゃんの事を簡単に人に言ったらだめだと、昨日の先生方の反応でわからないショージじゃないでしょう?ソルシエ先輩のあの反応も、意思のある魔法なんて珍しいし常識じゃ作れないほどなんだからね!」

「…ごめんなさい?」

「全くもう。ソルシエ先輩を治療してあげて。」

「…はーい!ソルシエ先輩怪我治すよー?」


俺がそう言ってソルシエ君の方へ行き、怪我が何もなかったかのように想像するとすっと淡い光がソルシエ君を包み込み、光が散ったと同時に怪我がなくなった


「…治った…?」

「治ったよー?」

「……ん。一応、礼いう、ありがと。」

「いえ、俺のせいっぽかったし。他に痛いところはあります?」

「…ない。光魔法は、希少、ゆえに貴重。早々気軽に頼れ、ない」

「俺は頼ってもいいですよー?」

「………頼りたくなったら、昇次、言う。」

「はい」


俺がそういうと少しだけ呆れた、と言いたそうな顔をしてソルシエ君が苦笑をした

そんな呆れた顔しなくてもいいのにねー、とスミレと雑談していたらいつの間にかいなくなっていたらしい、テンツァー君がフッとどこからか現れた


「今呼びに行った、教頭先生がこっちにくる…。ショージは、さっきの分析魔法?をよく使う?」

「へ…?あ、は、ハイよく使う…と思います。生み出したの昨日だし」

「…………昨日の、今日で使いこなしている、だと?」


てか教頭くんのかよ

呼びに行ってたっつーことは確実にあの筋肉爺くるじゃん

そう思いつつちょこっとゲンナリしていると廊下からどたどたと音を響かせてバン!と勢いよく扉が開かれた

扉がぐしゃっと紙のようにひしゃげて、さらにぺちゃんこに潰れたのはどうする気なのかわからないけれど、いいのかあれは…


「早速小僧がやらかしてくれたか!ガハハハ!」

「いえ、半分はそうかもしれませんが半分は被害者だと思いますよ」


シェンフ君が苦笑してそういうと筋肉くそ爺事教頭は俺を探し、ガシッと俺の頭を掴んだ

だあああああああ、おめぇは一々人の頭を捕まえにゃ話すらできんのか!


「おうおう小僧よぉやった!」

「いだだだだ!人の頭もぎ取る気か筋肉くそ爺!」

「はーっはっは!加減は苦手だ、する気もおきん!お前が耐えろ!」

「くそ爺!はーなーせー!」

「がはははは!」


ぐりんぐりんと人の頭を本当にもぎ取らんばかりに掴み撫でまわし(めっちゃ痛いんだからな!!)ひとしきり好き勝手にした後あっさりと俺を手放した

首痛い…この筋肉くそ爺…今に見てろよぉ(ギリイイイイ!)


「で?どういう経緯だ?」

「…はい。実は…」


シェンフ君が筋肉くそ爺に事情を話している間、俺は自分に回復魔法をかけて痛みを取った…首が折れるかと思うほどぐりぐりと回され、ちょっと痛かった

俺は玩具じゃねぇんだけどな、このくっそじじいめ…


俺は自分の席に座って大人しくしていながらも泡に包まれている人を見張るキキョウさんとナイト君の方へ行った


「あら、昇次ちゃん教頭とのじゃれ合いはもういいの?」

「一方的ないじめですがなにか?」

「んふふ、じゃれあいにしかみえないわよん。それにしてもこの魔法…凄いわねん。」

「…あぁ。昇次さんは水属性の魔法にも適性があるのか」


オウフ、ナイト君はあまり話さないキャラかと思っていただけに、話しかけられて驚いてしまった


「ないよ。不適正属性じゃないだけだよ。」

「…あらら…ますます私自信なくしちゃうわぁ…。私、水そのものを凍らせたりするのは得意なのに、生きたまま捉えるのって苦手なのよねぇ…溺れさせちゃったり、氷漬けにしちゃうのよぉ…泡で捕まえるとか考えたことなかったわ」


こ…氷漬け…なんて恐ろしいこと言いだすんだキキョウさん…

俺はむしろ氷作るのが苦手なんだけどな…

だからカフィーユ君やキキョウさんの方が凄いとおもうんだけどな

俺のはしょせん水や泡だけだしているだけだし


「俺は氷の方が作れないんですけどね。」

「え」

「あら」

「そんなに驚くことですか?」

「ごめんなさい?でも昇次ちゃん苦手な物がないと思い込んでいたから、ついね?」

「俺苦手な物多いですよ?空属性の魔法も、風属性も、火属性も苦手です。」

「……花火は真似できるのにか?」


ちょっと意外、という顔をしてナイト君がそう聞いてきた

俺は素直に頷いた後、どうして苦手なのかを言った


「だって火属性は加減が難しくって。ライターやマッチをイメージして火種をイメージするか、もしくはガスバーナーで火を出すかのイメージしかなくってさぁ…」

「…………………」

「花火はどっちかというと火薬を頑張って調整した感じだよ。火自体を頑張って出したわけじゃないから真似できたの、俺土属性なら得意だしね」

「…成程。納得した」


どうやら腑に落ちたようで、少しだけナイト君は頷いてくれた


本当に、火属性の魔法は苦手でうまくいかないんだよね

風もコントロール苦手だしうっかりで強くなり過ぎちゃうしね

あははーなんて話していたら遊技君がやってきてコーラを出して欲しいと言ってきた

いいんだけれど、“コーラ”の一言で反応した数人が俺の方を見てきたのですがそれは…


俺がコーラを出して遊技君にあげたら遊技君は美味しそうにコーラを飲んだ


「…その飲み物を出すのは、どうやるんだ」

「まず飲みたいものを想像するでしょう?で、水属性の魔法で水を出しつつ、味を想像するの。瓶入りコーラを例えて出すならまず、炭酸水を思い浮かべ、それを作りながら味と風味をつける。」

「…こうか」

「そーそー。そのまま、飲み物の香りと、口の中に残る後味を想像して?」

「……ん」


ナイト君は目をつむって、どうやら瓶入りコーラを想像したみたいだ

掌からこぽぽと湧き立て来た魔力が何とか瓶の形になり、中には水属性の魔力で溢れる水がでてきて、魔法が安定してきたのかじゅわあ、と音を立ててコーラの色と特徴的な炭酸がでている


「…できた。これはコーラなのか」

「君がそう思えばコーラだよ。飲んでみて。」


少し飲んで、頷いたところを見てみるに、ちゃんとコーラになっていたようだった

よかったね、ナイト君

するとそれを見ていたキキョウさんが少し考えた後魔法を使って瓶の中のビールを出して、少し飲んだ後眉を顰めた


「駄目だわ、ビールにならない。求めているビールはもっと苦みのあって爽やかな感じなのに…まるでノンアルコールみたいだわ…気の抜けちゃう味…」


キキョウさんはお酒を扱う職業だと言っていたからこだわるんだろうな…

それならばと俺はスカーフから気付け薬をだした


「これ飲んでみてから、もう一回ビールを想像してやってみて。」

「いいけど、何、それ」

「まぁ大したことない、ただの気付薬ですよ。何もない時に飲んでも平気だから、舐めてから想像して、出してみたらいいんじゃないかな」


そう言って手渡したものをキキョウさんが受け取り、わけわかんなさそうにしている物のちびっと舐めて驚いた顔になり、そのままぐびっと飲んで丸々小瓶一つ飲んでしまった


「美味しいじゃない、久々にビールを飲んだ気分になったわー!美味しー…」

「その風味と炭酸の味を思い描きながら水を出して。」

「え、あぁ、はいはい、こうかしら…」


キキョウさんの掌から水がごぽぽと湧き出る

俺がそのまま、黄色の色とビールののど越しを想像してもらいつつ瓶に入れるよう言うと少し躊躇していたようだけれどもうまく瓶に入れられたようだ


「そうそう、そのまま。それで最後に俺がアルコールを数滴混ぜるよ。まだ魔力を保っててくださいねー」


俺がキキョウさんの手の中にある便に、俺の魔法で作ったアルコール薬をスポイトで数滴入れてみせた


「はいかんせー!ビールの出来上がり。飲んでみて。」

「…こんなので本当になってるのかし…ぁら?」


キキョウさんが一口、恐る恐る飲む

すると目を見開いて、それから透明のガラス製のコップを出しそこへと注いだ

じゅわわわ、こぽぽぽと音を立てながらクリーミーな白い泡が蓋をする、黄金の液体

アルコール臭がふわりと漂う教室内に、キキョウさんだけじゃなく、直感さんや教頭までもが黙り込み、ゴクリと喉を鳴らした…


「お、おい」

「そ、それは…」

「わしが味m…いや毒見をしてやろうではないか」

「の、飲みたい…」


ふらふらと光に吸い寄せられる虫のごとく教頭とコントロル君、直感さんにキキョウさんと俺が囲まれる

うわ、まじめに怖い

お前らはアル中かよ


「あら駄目よ。これは私が出した魔法だもの、私以外が飲んじゃどんなことになるかわからないわ。ってことでいただきまーす、ん、ううん!!おいしー!!」

「ぐぐっ、ず、狡いぞキキョウ!」

「ビール一人占めだなんてよくありませんよ!」

「ああああああああ、俺にもくれぇえ!!」


絶望したかのような叫びや悔しがる阿鼻叫喚の三人を放置してキキョウさんはうっとりとした顔で俺をギューッと抱き寄せてお礼を言ってきた

いや抱き着く意味はないよね?!


「昇次ちゃんありがとー!もうあんたさいっこう!あの最後のなんなの?私の魔力になんか混じってきたけど」

「アルコールの種みたいな、菌みたいなものです。あの、近い…」

「それ淹れないとできないわよね、この魔法…」


少々残念そうに桔梗さんが言うけれど、そうでもないんだよね、これ

実はこれ自体なら誰でも出来る物だったりするんだ

だってこれ自体俺が作ったものだしね

多分これ位ならキキョウさんでも作れるんじゃないだろうかとは思っているんだが、本当のところどうなのかは不明だ


…だって俺は俺とレシェルナさん以外の人の調合を見たことがないから何とも言えないのだ、曖昧な表現になるしかないし、しかたないだろう


「はぁ、そうです。でもこの魔法薬は錬金術で生み出したものですよ。俺はそれを魔力に数滴混ぜる様にして、そのままキキョウさんの魔法と混ぜただけです。魔力に混ぜ込んだのはその方が完全に混ざるからで…よければ、これ上げますよ?これはアルコール類の香りと発酵を促すものなので…あのー…皆さん顔怖いのですが」

「「飲みたい!さーけ、さーけ!!」」


お前らは子供か(約一名子供だけど)と言いたくなるくらい筋肉爺とコントロル君が仲良く手を叩き謎の酒コールをしている…

君たち以外と仲いいんだね、知らなかったよ(知りたくないし興味もなかったことだけど)


そんなに飲みたいなら自分で作ればいいのに

簡単なのにね、一寸しか適性のない俺でも水属性の魔法をつかい何とか飲み物を出せるようになっているのだから上級生や魔法を使い慣れているであろう君達の方がずっと良質な酒なり飲み物なりが出せるだろうに…


俺がそう思っていると目が座ったキキョウさんが一言


「うるっさいわね、そんなに飲みたいなら自分で作ればいいじゃない」

「「「できないから我慢してんだろーーーー!!!」」」

「うるさいっつってんだろ」

「「はい」」


うわ、怖い

普段おねぇの言葉で柔らかく聞こえてる分、声が低くして真顔で言うの怖い

き、キキョウさん怖いですあと俺…いつ解放されるんでしょうか

俺はなんだか肩身狭くして怯えるしかない

そんな俺を助けてくれる(解放してくれる)声がしたのは散々三人が高々酒の事でわーわーと言い争っている頃だった


『《き、き、き…っきさまらぁぁ!無視するな――――――――!》』


すっかり忘れ去られていた、取っ捕まっている主犯のエルフらしき人の気絶している口から割と甲高い子供のような癇癪を起こしたような声がした

ごめんね、すっかり酒にコーラにと好き勝手盛り上がってて…


「おぉ、そうだった、忘れ取った」

「どうでもいいから酒寄越せ!」

「昇次ちゃんに出して貰えばー?ねー、昇次ちゃん?」

「出せと言われれば出します、けど…あの、苦しいんですけど…」

「あらごめんなさいねぇ、抱き心地いいからつい…」


漸くキキョウさんが放してくれたので自由になれた、よかったと安心していたらすぐさまコントロル君がガシッと俺の肩を掴んでそのまま腕を反対側の方へと回して無理やり肩を組んできた

こいつ絶対に俺に酒作らせようっていう目をしているけど、君子供じゃないのかよ(キキョウさんもそうだったけど、作りたそうにしてたから仕方なく教えてあげたんだぞ)


「なぁ、おい、昇次。いや昇次さん俺にもお一つアルコール類の飲み物恵んでくれよ」

「えー…自分で作れよ」

「作れたらこんなこたぁ言わねぇんだよ」

「なんで作れないの?」

「お前なぁ…普通、飲み水位に安全な、不純物抜きで安全な水を生成できるのは適正に関係があるんだよ!俺は水属性の魔法は不適正なの。」


俺は納得して、仕方ないからビールを…作ろうとして、ピタリと手を止めた

それを不思議そうに見るコントロル君がどうしたと聞いてきたから苦笑いした


「ごめん、魔力使いすぎた。多分もう2、3回水で飲み物作ったら眩暈するからもしよろけたら支えて貰えるかなーって?」

「……お前変なところに気ぃ使うんだな…。そんなのなる位ならことわりゃいいだろ?」

「だって飲みたいんでしょ?」

「いやそうだけど…」


コントロル君が呆れたのを隠しもせずそういうけれど、俺は短時間にもうすでに魔力回復薬2本も続けざまに飲んでいるので効果が少し薄れちゃうし、それでもあれだけキキョウさんに詰め寄っていた、飲みたいと顔に書いてあったコントロル君と直感さん(とおまけにくそ爺)に作ってあげるくらい訳ないしなー…なんて思っているだけだぞ?


「簡単だからすぐ作れるよー?」

「あー…確かに飲みてぇけど、無理させるようなもんじゃねぇしなぁ…」

「あ、じゃああと一時間待ってくれる?そしたらまた魔力回復薬飲んで回復できるから」

「あー…おう。てか一時間でいいのか?」

「そだよ。」


コントロル君と雑談していたらむすっとした顔のルールウド君と文句言いたいけど言えない複雑な顔をしたスミレがぺシペシと尻尾でささやかな嫌がらせをしているのを無視した

しかし尻尾攻撃ではだめだとわかったのか、把握したのかなぜだか俺の足元でくしゅん!とくしゃみしだした


『にゃ!にゃー!にゃ!くしゅん!くちゅん!』

「ほらショージ、スミレちゃんがくしゃみしているからコントロル先輩から離れて。」

『にゃー、くちゅん!…みゃー、にゃー!くちゅん!みー…』


…何だろう、唐突に気を引くために精一杯くしゃみの真似をして“全力で構って”と言っているかのようで、なんだか…その…

親ばかに思えるだろうけど、可愛いと思ってしまった

飼い主によくあるじゃん、うちの子可愛い、と思ってしまったのだ


ついしゃがみ込んで抱き上げて頭をなでるとスミレが可愛子ぶっている時に鳴くような子猫特有の甲高いなーん、と一鳴きして首をちょっとだけ傾げているのが、可愛かった


「そこに精霊いんのか?」

「そう。精一杯くしゃみしてて可愛かった」

「ペットを可愛がる親ばか飼い主かよ」

「可愛い物は可愛かったんだから仕方ないだろー?うちの精霊は子猫なんだよ。」


子猫が自分の気を引くためにやらかすことなんて可愛いに決まっているだろ!

それがたとえ気に食わない人と話しているから引きはがそうとしている事であろうことでも可愛いんだから仕方ないだろ!


「……猫好きだったのか。俺は犬派だ。俺の魔獣はオオカミ型とかが多いぜ。」

「まじかー…かっこいいよな、オオカミ!」


俺がそういうとすごく嬉しそうにしたコントロル君はやはり俺と同じく、親ばかならぬ飼い主馬鹿だと思えるほどに生き生きして狼自慢(?)をし始めた


「だろ!俺は親ばかじゃねぇけど賢くて何でも言うこと聞くこいつらにひたすら餌やりたくてさぁ!こいつら魔獣だから、くいもんは肉食とか魔力だったりで結構世話必要でさぁ」

「あー、でもそこがいいんだよな」

「そう!そうなんだよ!世話してる分だけ愛着湧くっつーの?さらに狼って群れじゃん?俺なんか10匹契約してんだけど、まぁそいつらがまた可愛いんだよ」

「うわ、10匹!?食費かかりそう…」


二人して話しているとどんどん盛り上がったのでコントロル君は結構、気さくな方の性格だと判明した

後きっと狼たちの健康管理ばっちりだと思う


「なんだ、お前いい奴じゃん」

「お前もそこそこ話わかんじゃねぇか」


スミレを抱きかかえながらもコントロル君と話してみるとなんと魔獣をペット扱いしてさらには重度の親ばか(無自覚)と判明した

スミレは最初大人しくしていたけれども俺がまだコントロル君と話しているつもりだとわかるととてもいやそうな顔をして再び気を引こうとニャーニャー鳴き出した


「ところで昇次、お前『にゃー』いく『みゃーん』亡くなった?」

「22だよ。」

「へ~、『みゃー!みゃー!』22!通勤『なーん』で工事『みゃー』落下物で潰された」

「うっわ、最悪っすねー。俺は人身事故。電車でぐちゃッと」

「うわ、一番迷惑な奴じゃねぇか」『みゃーっふにゃーん!』

「そういう『にゃー!にゃー!』お前も相当『にゃー』迷惑かかる奴じゃん」


あははー、なんて笑いながら談笑したいところだけれども俺はさっきからにゃーにゃーと抗議しているスミレを黙らせるべく、仕方なくポケットからある程度スミレが言うこと聞かなくなった時ようにと思って用意しておいたネズミ型のおもちゃを出した


ニャーと鳴き一目散に飛びつくスミレ

俺はリモコンを出しておもちゃを操作する

スミレはネズミを追いかけだして、捕まるギリギリで回避させると楽しそうに追いかけまわし、あちこちに走り回りルールウド君の方へと行ってしまった


「ごめんなー、ちょっとスミレが抗議してて聞こえ辛くって。」

「あー、精霊って魔獣を嫌う奴がほとんどだっていうからな。まぁしょーがねーよ。」

「これあれば追いかけて夢中になるから問題ないけどな」

「ラジコンのリモコンか?」

「そうそう、此れネズミのおもちゃを操作するんだ。猫だからすぐ食いつく。」

「おー…考えたな」

「だろー?」


どうしようもなくリモコンのおもちゃに翻弄されているスミレを放置し、コントローラーをいじりながらコントロル君(同年と判明)と話をしていたらルールウド君が俺の所に来てグイっと袖を引いた


「?ど、どうしたのルールウド君(汗)」

「べっつに~?」


…何やらルールウド君はとても拗ねていらっしゃるようです

ただコントロル君と話していただけなんだが…


子供が、他の兄弟に親を盗られた、というような顔をして俺の袖をつかみ、頬を膨らませながらもそっぽを向くルールウド君に、なんだか…ミーシェちゃんがよくやる表情だな、と思ってしまった


「なんだぁルールウド。そんな大好物を他の奴に寸前でとられたみたいな顔して。」

「…べつに…、そんな変な顔してませんよ。」

「ふふふ拗ねられちゃった」

「拗ねてないよ」


どうにもルールウド君はコントロル君に歯向かう姿勢のままのようだ

揶揄うコントロル君とそれを嫌そうにしながらもいら立っているルールウド君を見ているとなんだか遠く(外国)へ行った弟を思い出した

俺もよくケンカしてたなー、的な感じで生暖かく見守っているとムスッとしたルールウド君がむにっと俺の頬を引っ張った


「笑ってないで何とか言ってよショージ!大体コントロル先輩は昨日襲ってきたんだよ?」

「んだよ、もうそれは謝っただろー?」

「僕は認めてません!」


ルールウド君はなんか必死なんだけどコントロル君はそうでもないような感じでお座成りに返答しているようで、半分済んだ話を蒸し返されたなー、仕方ねぇ付き合ってやるかー的な感じのするような雰囲気を出している

コントロル君は両手を肩まで上げてやれやれと言う顔をしてため息をついたあともう一度適当に謝って見せた


ははは、揶揄われている子供みたいなルールウド君がなんだか愉快だ

そんな顔をしたルールウド君はあんまり見ないなーなんて思いつつスミレを相手していた

そんな俺らをキキョウさんと遊技君は不思議そうな顔をして見ていた


「ねー、なんでそんなにルールウドはつっかかるの?」

「そうよねぇ、普段ならそこまで嫌がったり露骨に口出ししなかったのに」

「ショージに悪影響だからです!」

「はぁ?」


なんでそう思ったし

結構気さくでいい奴だと思った時、ペット自慢しても問題なさそうだしお互いにペットの話で盛り上がれそうだぜ?友人に慣れそうだし、何より同郷だし?


「あらら、どう悪影響なのかしら…」

「ショージはすぐに影響受けちゃうからコントロル先輩の様に乱暴にならないか心配なんですよ」

「あ、てっめぇ日頃から俺の事そんな風に思ってやがったってことだな?」

「そうですよ。だってすぐに攻撃したり、問答無用でトラブル招いたりするし、喧嘩を売るじゃないですか。ショージもそうなったら困ります」


ルールウド君がワーワー言っている横で静かにキキョウさんがぽつりと呟いた一言は俺にとって苦笑をするしかないことだった


「トラブルっていう点ではもう遅いわよねー?」

「ねー。」


お、おう、なんか否定できないのがちょっともやもやします

俺は別にトラブルを起こそうと思っているわけじゃないんだが周りが勝手に騒いでいるんだぜ?魔法に一々驚かれるしやることなすこと否定されたり制限されたり…


解せぬ


「昇次お兄ちゃんコーラお代わりー!」

「こらブルローネ、昇次ちゃんは今魔力回復中なのよ。」

「あ、そうだった!ごめんね?うっかり忘れてたー」

「最低でもあと30分はまって欲しいな」

「ごめんね?昇次お兄ちゃんはポコポコ魔法使ってても平気っていう頭があるから、つい」

「ハハハ…まぁそれは否定しないよ。実際そう自分も少し思ってるし。あ、でも先にビールを作ってからね。」

「うん!なんだったらキキョウに作って貰うー!」

「うふふ、仕方ないわねん」


キキョウさんが魔法で出したコーラを遊技君に渡した

なんだかんだで遊技君も素直に一口飲んで満足そうだった

それを見てなんだかもやもやしたような、羨ましそうな表情を見ている直感さん

ごめんね、まだ魔力を回復しきらなくて、ビールを上げられる事が出来ないよ


「おい小僧」

「?ぁんだよくそ爺」

「ショージ、口が悪いよ」


なんかのんびりしてたら筋肉くそ爺に呼ばれたからそう反射的に言ったらルールウド君に思い切り注意されてしまった

なんで俺が怒られにゃいかんのだ

そう思いつつも筋肉爺の方に向き直ると魔法を使って縛って捕まえてるのが俺だから、そのまま縛った状態で教頭室へと連れてこいとのことだった


「…あー…これ連れてって言われてもなぁ…」


泡の中に閉じ込めている利用されただけの人たちと、ステフィム先生、そして…エルフ耳の、首に手形がくっきりと付いているぐったりしている人…

おい、筋肉爺、ばっちり手形ついてんだけど、何したんだよ


「俺教頭先生の部屋知らないんだけど」

「まぁそうだろうな、だから生徒会室でいいぞ。こいつらに連れて来てもらえ。」

「あいよー。」

「小僧の活動拠点になる所でもあるからなよぉく覚えとけよぉ」

「おい爺さりげなく勧誘すんじゃねぇ」

「がはははは!」


筋肉くそ爺は笑いながらひょいとエルフ耳の人を担ぎ上げ、そしてどっかに一瞬で消えた

そのままどこかへ行ったまま帰ってこなくていいです、なんて思っていたのだがあっさり期待は裏切られ、戻って来やがった

チッと、舌打ちでもしたくなるくらいにんまりとした表情で、エルフの従者さんをどこかへと放り込んできたのだろう、肩には担いだはずのエルフの従者さんはいなかった


【昇次。もう魔術の届く範囲にいません、この人たちを開放しますか?】

もうちょいこのままでいて、生徒会室に行ってから解放してやってくんない?

【ブーブー…わかった。でも今開放しても問題ないぞ?】

問題なくても筋肉爺が生徒会室に連れてけと言ってるしさ、いいんじゃないかそれで

【りょーかーい】


分ちゃんにそう言い聞かせる様に言うと泡だらけの人達をふわりと浮かせてそのまま空中をふわりふわりと漂うように運んだ


「それは…どうやるんだ」


ナイト君は興味津々のようで、そんなことを聞いてきた

泡で拘束したり運んだりすることも出来る、この魔法は誰にでもできると思うんだがな?

風属性に適性があれば似たような物なんてかなりあるしどの魔法も拘束する魔法があるじゃないか


変なの


「どうって、簡単だよ?ほら、石鹸なんかでシャボン玉作るイメージして、それをストローで浮かせているイメージするだけ。ストローなんかで吹きかけるとふわふわしたままになるでしょ」

「…成程浮くのはそういうイメージが…」


そう言ってなんか納得してくれたらしい

試してみたい、と書いてある顔をしているがそうそうそんな機会ないと思うけど…なんて思いつつ生徒会室とやらに向かって歩いていると筋肉くそ爺がナイト君の頭をガシッと掴んで撫でた


「なんだ、小僧ともう仲良くなったのかぁ?」

「痛い、加減しろ」

「加減なんて知らんな。それよりファーレス、ずいぶん小僧に懐いとる様じゃないか」

「………思いもしない魔法が出てくる、面白い。創作魔法である花火を真似された。興味深い奴で、色々と学べそうだ。」

「がはははははは!創作魔法を真似する、だぁ?そいつぁまたいいねぇ!ますます欲しい!チームに入れよう!」

「…いい加減手を放せ。」

「おうおうすまねぇな」


ギロリと睨まれても動じない筋肉くそだるま爺に俺は半分呆れつつもそのまま連れてかれるままに歩く

生徒会室というのはどこなんだろう、なんて考えていたが、みんなしてエレベーター(板)の真反対にある一枚の大きな鏡の前の壁にかかっている、タペストリーの様な壁掛けの布がある場所に立ち布の下の何もない様な壁へ手を差し入れた


そしてそこへ何の躊躇もなくごく自然に、当たり前の様にシェンフ君が魔力を流した

するとカチリと無機質なカギの回された音に似た何かの音がしてそのシェンフ君の手を当てている所にあった壁は左右に分かれ、扉のように開かれた


「す、すげぇ…」

「はっはっは、そうだろう、そうだろう!」


俺が思わずそう口にするとなぜか筋肉くそ爺がどや顔をして少しイラっとして、うざかったがそんなのも気にならないほど広々としている部屋が目の前に広がった


扉を潜らなくても廊下から見える所からのぞくと、ぱっと最初に目に付くのは壁一面に堂々と緋色の布がある事だ

緋色の布には様々な名前と思わしきものが模様のように細かく色んな色の糸で刺繍がされており、その壁に一番近い所にある物は奥に大きな机と豪華な椅子、そして書類などの山、ラック、ホワイトボードがある


その手前には名前の書かれたプレートがある食器棚にカップや皿が丁寧に入れてある

入り口付近の方には各個人の名前がある木の板と、コルクボードがありみんなそれぞれ自分の名前の木の板をひっくり返している

…いるかいないかわかりやすくする物なのだろうか

こう…タイムカード的な…


そのまま一歩歩き出し、部屋の中に入ると入口からは壁により遮られていた所にいきガチャッと扉を開ける音を出したシェンフ君が俺を呼んで気絶している人たちを連れて来て欲しいと言ったから素直に従って泡を動かした

そこは扉があり質素なベッドがいくつかあった


「ベッドの方に寝かせてあげたいけど、流石に全員は無理だから、適当に寝かせた後は床に布団を敷いて寝かせよう。数人…ベッドの数だけ解放してあげられる?」

「はい」


俺が泡に包まれている気絶している人達をベッドの数だけ適当に分け、そのまま魔法を解除してベッドに寝かせてあげた

布団を生徒会メンバーの数人でベッドのあるこの部屋に敷き、雑魚寝状態にしているが何とか全員寝かせる事が出来る様になった


「ありがとう、疲れてないかい?」

「大丈夫です。これ位なら大して魔力消費しないので。」

「ショージ、魔力回復薬もう飲んでいいころじゃない?」

「あ、うん。」


ルールウド君がそう言ってくれたので一応分ちゃんに聞くともう少ししてから飲めとの返答が返ってきたのでキューリャさんにもう少ししてから薬をくれと言った

キューリャさんがすでに手に魔力回復薬をもっているがまだいいと言うとすぐに頷いてどこかへとしまった

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