先輩に注意された後なんか剣術でぼこぼこにされた(痛い)
授業が始まる、鐘がなっているのでそのまま急いでエレベーターに乗り込み、急いで教室へといった
「ねぇルールウド君」
「うん?なに?」
「学園って、意外に危ない場所だったね」
「否定はしない。けれども授業は面白い所も多いし、知らない知識もたくさんあるでしょう?」
「そうだね」
俺とルールウド君がそう言いつつ教室へ行くと苦笑したステフィム先生と、授業の準備なのだろう、着替えを済ませた他の生徒たちが待って居た
わお、遅刻もいい所だ
「遅刻ですよ。」
「ご、ごめんなさい!」
「早く運動しやすい物に着替えてください、移動しますよ。」
「はーい!」
俺はキューリャさんに指を鳴らして魔法で着替えさせてもらった
ルールウド君達も着替えて、ぞろぞろと練習場へと移動した
練習場に着くなり先生はカートをどこから顔して一人一本ずつ木刀を取るようにと言った
従者さんたちが持ってきてくれたのを受け取り、先生が二人一組になるよう言うので俺は俺と同じく剣術が苦手なルネア君の所へ行こうと思っていたのだけれども、ルールウド君と遊技君が俺を誘ってきた
ええええええええええええ…
ルールウド君は知ってるじゃん、俺が剣術苦手なこと!
散々ミーシェちゃんにボロボロにされてたの、知ってるじゃん
何故!
なんて思いつつもルールウド君がやる気で、ステフィム先生に説得しだしたので俺はあっさりとルールウド君と組まされてしまった…解せぬ
しかもルールウド君は決まった途端にすっごくにこやかに微笑みながらも木刀を俺に構えるように言った
あ、すっごくやな予感がするのですが・・・
・・・
・・
「いた!」
「うわわ、ぎゃー!」
「ちょ、たんま、いた!」
「て、手加減しぁだ!」
えぇ、えぇ、ぼっこぼこにされましたよ
おのれぇ・・・容赦ない、です(ぐったり)
「ショージは隙だらけなんだよ。振り下ろすのも遅いし」
「んなこといったって、いだ!」
「今までショージには甘くしすぎたかもしれないからね!」
「た、たんま!これじゃあただのいじめだってば!」
俺が青痣だらけになった手を摩ると流石にルールウド君は少しだけ待ってくれるようだったので俺は急いで光魔法を使い治療をした
手の内出血はたちまち何事も無かったかのように消えて、きれいさっぱり元通りになった
「生徒会に入らないなら自衛できる手段を持たないとね」
「わー、すっごい横暴…大体俺剣術苦手なんだってば…」
「だから剣術を見切れるとか防御魔法を覚えたり体捌きをおぼえなよ」
「……えー…わかった」
あ、ちなみに先生は俺がべしっと一撃喰らって一度は止めたのだけど、ルールウド君に説得されて俺以外の子に生徒会の人たちが剣術を稽古してやることを認めさせたので手加減するよう、何かがあっても大丈夫なようにと監督するので手一杯になってしまった
己ぇ、ルールウド君…優秀だ
優秀なだけに先生もあっさり俺を見捨てて他の生徒の方へとかかりきりになっても大丈夫と判断してしまい、俺は見事にぼこぼこにされているわけですが、何か?
「…ショージ、それもう完治しているの?」
「してるよ、一瞬で痛みもとれてるから問題ないよ」
「じゃ、もう一回しようか」
「…て、手加減してよぉ」
「残念ながら駄目です。ほら今度はちゃんと僕にも打ち返してみなよ」
「んなもんできるか!俺苦手ぅわわ??!」
ルールウド君はその後も容赦ない一撃を連続して繰り出してきました、もれなく全弾当たっていたかったです、丸
木刀でなんで切り傷が出来るのですか、先生
木刀でなんでヒュン、と風切り音が出るんでしょうか先生
木刀でなんで同じ木刀が折れるんですか先生
言いたいことは山ほどあるが、まあ一言でいうならこれもう修行だよね?
授業とは一体…と言いたくなった
キキョウさんが止めてくれなかったら俺確実に魔法を使って逃げてた
「ルールウドちゃん、そこまでにしましょう?ショージ君がボロボロじゃない」
「スキが多いので狙って下さいと言っているようなものだから、つい」
「ショージ君はまだ新入生なのよ?そりゃぁ貴方の弟だけれども…」
「自衛手段の一つを身に着けないといけないでしょう?」
「まぁまぁ、ルールウド君落ち着いて。ショージ君の木刀を折るのはどうかと思うよ?」
「強化魔法使っていればそうならないはずですよ」
「まだ習ってないんじゃないかしら?」
ルールウド君が余りにも怒っているようだからか、キキョウさんとシェンフ君が止めてくれた
怪我だらけなので俺はその間に回復しておいた
まぁルールウド君の言う事はもっともなんだよね、スキが大きいってのも、動くのが遅いってのも、強化魔法を使っていいのかも考えるスキすらなくて、何とか木刀で受けていたらぽきっと折れてしまった
うーん、容赦ない…
「魔法使っていいってんなら俺もそこそこ反撃できるっての」
「ショージの場合魔法に頼りすぎなんだよ。」
「……ひ、否定はできない…」
要反省します…ぐすん
俺は折れた木刀を魔法で修復後、更に軽く強化もしておいた
「ショージ、治療終わった?」
「終わったよー」
「じゃ、構えて?今度はフェイント入れるからどれがフェイントか見極めようかー」
「ふぁ?!」
ルールウド君は容赦なくフェイント交じりに俺に向かって木刀で打ってきた
再びぼっこぼこにされてから木刀が離れるまで足や手、胴体に打ち込んだり、コツッと軽く頭にまで叩いてきた
…痛い、けど一応手加減はされているようで頭や胸部に対する攻撃はほんの少し気持ち軽く緩やかに攻撃してきたり、優しくしたりした
…その代わり足や手、腕には容赦ないです
痛いです
「ショージ様、大丈夫ですか?」
「大丈夫、気絶しない限り魔法で回復できるから…痛いけど」
「…ご無理をなさらないよう」
キューリャさんにさえ心配されるほど、ボロボロにされて悔しいです
グギギ…ここまで酷くやられたらもう、最悪一回でもどこでもいいからルールウド君に当てて反撃してやりたいな!
……そう思っていても苦手な剣術は一向にうまくいかずに、結局最後まで一回もルールウド君に当てる事出来ずに再び木刀を折られてしまい終わった
鐘が鳴りルールウド君のスパルタ剣術の後ステフィム先生がボロボロになっている俺に水をくれたので飲んでいたらキューリャさんが治療してくれた
「ショージ、大丈夫?」
「大丈夫?じゃないよ、痛いし、悔しいし!容赦してくんないし、木刀折れるし痛いし」
「ふふ、痛いって、此れでも手加減してるよ?」
「そうですか…」
ルールウド君による剣術の授業は終わったけれどもこれからも多分剣術はきっとやらされるんだろうなぁ、と予想が出来たので思わず手と腕を摩った
それを見たシェンフ君がまだ痛むのかと聞いてきた
「いや痛くはないよ。魔法には自信があるからね。ただ今後も剣術は厳しいんだろうなーって思っただけだから」
「ハハハ…まぁルールウド君はいきなりだったけれども、確かに自衛手段は必要だよ。」
「う、うん」
シェンフ君の言うとおり、自衛手段は必要だろうけど、痛いのは痛いんだ
慣れるまで時間がかかりそうだ…
生徒会に入ればこんな思いしなくてもいいのかと聞きたくはなるけれども、そうそう甘くないのが現実だろうから、これはきっと必要な事なのだろうと自分に言い聞かせたよ
教室に戻ると何故か清爽君がそわそわしながら俺の席へと来た
?コーヒーはすでに上げたんだけどもなんだろうか
「あの、昇次様もしかして料理も出せたりするのでしょうか」
「あー…どうだろ。やったことない…料理じゃなくてお菓子とかならあるんだけど…」
「ぜひ料理も出せるようならあの…か、か、カレーパン…を…」
「………」
カレーパン…美味しいよね、うん
サクサク衣の付いたパンに、カレー…(ゴクリ)
い、いかん想像したら食べたくなってきた
そう俺が思っているとポンと音を立てて俺の手の中に紙に包まれたカレーパンが出てきた
「あ、出せた」
「!!カレーパンまで出せるんですか…」
「あははー、みたいだねー。はい、上げる―。」
「!!!あ、貴方が神か!」
「いや俺さっきボロボロにされてたじゃないですか、それにカレーパン一つで大袈裟です」
俺は苦笑しながらもはい、とカレーパンを渡すと清爽君は嬉しそうに受け取った
しかしすぐさま遊技君に見つかり、つかつかと俺のとこに来て目を輝かせている反面、半分怒っていて、いいな、狡いと書いてある顔でカレーパンを指して叫んだ
「ちょっと、なにそれー!カレーパンじゃん!ずっるーい!」
「え、カレー…パン?!」
ざわ、ざわざわと生徒会の人たちの間に激震が駆け抜けたかのように、皆してカレーパンを見て驚いたりしていた
…そんなに驚くものがカレーパンに含まれていたのだろうか
あのナイト君さえも目を大きく見開くと清爽君の方へとやってきているくらいだった
「?カサロ先輩にあげたものが、そんなに珍しい物だったの?」
「?さ、さぁ?」
俺とルールウド君が二人して驚いているとシェンフくんが俺の両肩に手を置き、怖い位に笑ってこれからは魔法を使う時は十分に注意するように促した
怖かったのですぐ頷いてしまったけれども、なぜに?
「いいかいショージ君、食べ物を食材で出すことは、土属性の適性がある子なら誰でも出来るけれど、料理をそのまま出すなんて誰も出来ないんだよ!?それっていうのは料理には様々な工程があるからで、複雑なんだ!錬金術師でさえも、材料を作れるけれども薬そのものを出す事が出来ない。分かって欲しいのだけれども、君のその魔法は人に見せていいレベルじゃないんだよ。僕たちの中で土魔法の適性のあるキキョウが出したように、材料だって植物の苗から育てて、ようやく一つ二つだ。いきなりポンと木の実そのものが出せたり、更にその上の調合されたものなんかが出せる訳じゃないんだ」
………………?????
俺が頷いた後に少しして首をかしげるとスミレも一緒に首を傾げた
しかしシェンフ君とキキョウさんが何故か悔しそうにしていた
だって出せる物は出せる、それだけだもの
「わかってないね!!」
「だって出せるんだもの」
「だから、僕はね?ショージ君の魔法を使う時は、せめて…せめてこういう人前で出すのは控えて欲しい。そう言っているんだ…」
なぜ、俺はここまで言われないといけないんだ・・・?
確かに教室でやらかしたのは悪いとは思うけれども、カレーパンを欲しいと言い出したの俺じゃないし!と、一瞬思ってしまった
一寸むっとしたのが伝わったのか、スミレも俺の肩の上に載っているシェンフ君の手をカジカジと軽く噛んでささやかな嫌がらせをしている
「…まぁ言い過ぎたかもしれないけどね…。言い過ぎたのは謝るよ。だから齧るのを止めてくれないかな、些細だけどくすぐったいんだ、此れ君の精霊だよね」
「スミレ、やめてあげなさい」
『ニャー…!』
スミレはやや不満そうに一鳴きして大人しく首元に巻き付いて、ぺろぺろと自分の前足を舐めてから、顔をくしくしと拭った
シェンフ君はフぅ、と溜息をついてから注意している理由を言った
「…それというのもね、君の魔法に生徒会のうち半分以上が反応しちゃうから…君に依存したら君を純粋に生徒会に入るよう、勧誘できないからさ。君なしじゃいられなくなっちゃ困るんだ」
「………あぁ、そっか。それはすみませんでした。」
なんかすんません
俺の魔法、便利なんで。ふへへ(黒笑)
そう思っていたら清爽君がぽつりとつぶやいた言葉が痛烈だった
「純粋に、魔法の事に関しては我々、昇次様に適わないのではないでしょうか。守る必要性、あるのでしょうか、足手纏いになりそうな気がするのですが…。」
「「「……………」」」
「そうねぇ、昇次ちゃん魔法のバラエティ豊かだし、真似なんて事も出来るし…鑑定持ちでしょう?更に言っちゃえば、あの教頭に食って掛かって出したあれも相当だったし…」
生徒会のメンバー全員が押し黙ってしまった
実際少しそう思ってしまったのだろうか
それならば俺は今日のように色々と気苦労しなくなるから喜ばしいのだ
ステフィム先生だってそうに違いない
「いったん教頭に話を持って帰って改め直してはいかがですかぁ?」
俺がにっこりしていうとルールウド君がむにーっと俺の頬を引っ張ってきた
思い切り間抜けな顔をしている事間違いなしだ
「むぎゅーっ、にゃにふゅんにょ(なにするんだよ)」
「嬉しそうなところ悪いけれどね、僕達に手が負えないと思ったらあの教頭先生直々にショージを勧誘にくるってことになりかねないんだからね!」
「んぅえ、しょれぁやら!(ぅええ、それはやだ)」
「ショージが大人しくしててくれればいいんだよ。それと、ショージは絶対に僕ら生徒会メンバーと最低2人以上一緒に居ようね?日常で魔法は禁止!」
「おーぼーらー!(横暴だー)」
日常に魔法を使うな、なんて俺にはもう無理だ
だってスマホ並みに色々と使えるんだもの、便利なんだもの!
旅行とかで美味しい物を数日間だけ食べ続けている人が久しぶりに自分の今まで食べていたものを口にして満足できなくなるのと同じく、一度便利なのを味わい続けてからの水準落としは色々と無理なんだってパソコンでバリバリネットショッピングしているばっちゃが言ってた!
んんんんん…あ、そうだ、いい事思いついた
思いついてしまいましたよぉ?
分ちゃん!俺の世界にあった、あれってこっちの魔法でなんか似たようなものない!?
【…GPS、に似たような事が魔法でできないか?】
Yes!そう、その通りです
【…………ちょっと待て…………】
わくわくしながら待つこと2分
あの、授業始まってしまうのですが、まだですか分ちゃん
【まぁもちつけ。ただいま検索中だ】
だからどこに検索掛けてんだ分ちゃん…
【授業中も考えとく、だから焦るな。“私”もそんなにすぐ解決策を思いつくものじゃない。大体“私”は物を鑑定、分析、取り扱う際の注意を促す魔法でありこういったものは少し専門外なのだ、そこを何とかしてやっているんだから、昇次は少し待つべき。】
お、おう、ごめんなさい…授業中検索でもなんでもしていてどうぞ
【まぁそんなに今回の魔法を思いつくに魔力はいらない、と思う。不確定だが。】
お、コストいい?
わふぉーい、ますます分ちゃんや魔法に頼って生きてくしかなくなっちゃうんだぜ
「まぁすぐにどうこう出来る様な問題じゃないよね」
「なんでこんなにすぐ魔法が使いこなせるようになっているのかしら…というかこんなに便利なら私達だってそれなりに早く食べたいもの出せてもいいのに…」
「………とりあえず今日は様子見で、教頭に報告すればいいのでは?」
「そうだね。ショージ君、魔法はくれぐれもルールウド君にどの程度を使っていいか聞いてから使ってくれないかな。ルールウド君、常識の範囲内で頼むよ」
「そろそろ授業始まるしね」
なんだかしょんぼりしながらシェンフ君達は自分の席へと戻っていった
清爽君だけは俺にカレーパンのお礼を言って頭を下げていたけれども、上級生とちょっと親しくしただけなのに頭を下げさせる新入生って一体…という変な目で見られないかが不安です
ルールウド君とコントロル君に挟まれている席へと大人しく座っているとコントロル君が俺に向かって手招きしてきた
「なあ、お前の魔法って飯そのまま出るじゃん」
「う、うん、そうみたいだね」
「俺にも出して欲しいんだけどくれよ。」
「何が欲しいのかわからないけど、俺が出せるの俺の知ってるものだけだよ?」
「牛丼くいてぇんだよ」
「あー…あれ美味しいよね、中毒性ある気がするもん」
「だろ!」
なんて事はない、コントロル君も食べたいけど我慢していたものがあった、それだけだ
俺は後で生徒会室へ行き、魔法でご飯を出してあげると約束させられた
後、と言ってもお昼にだからこの授業が終わればすぐだ
ルールウド君にもそれならいいかと聞くと渋々頷かれた
生徒会室にいる時はご飯を出す魔法を使ってもいいと後で先輩たちにきちんと話を通し、許可を得て、返事を聞いてみてから、と言われたのでコントロル君にも伝えた
そしたら仕方なさそうに頷いたのでよほど牛丼が食べたかったんだろうか・・・
なんか、一気にコントロル君との距離が精神的に近くなった気がするが、まぁ牛丼を欲しがっている所やカレーパンを見ても過剰反応(全く知らない物を見た時の反応)じゃあなかったのでどうやらコントロル君も同郷みたいだし…多少はね
ステフィム先生が、鐘が鳴ってから黒板に魔術語を書きだし、この魔法はこういう効果を生み出したりーなんて事細かく授業をし始めるが俺とルールウド君、更に上級生達には退屈なものだ…だってそんなのとっくに理解しているからだ
俺はぼーっと黒板を眺めて、うつらうつらして・・・
・・
・
「・・・ョージ、ショージ、ショージ!」
「ぅあ?!」
ルールウド君に起こされたことでようやくハッと顔をあげると苦笑しているステフィム先生と、キューリャさんがいて、ルールウド君が困った顔をして俺の肩を揺すっていた
寝落ちしてたらしい…いや、だって、眠かったんだから仕方ないよね?
「ショージ、授業中だよ?」
「ぁー…ごめん…眠…」
「全く…」
ルールウド君が呆れた表情で俺をジトリとみて、ステフィム先生がルールウド君を宥めて黒板に書かれている文字を写すように言い聞かせた
うぐぐ…俺はそのままノートにかきこん・・・こん・・・
【昇次】
うわ、何?!急に分ちゃんがポップアップで出てきたから驚いた
つい俺がキョロキョロしたらルールウド君とキューリャさんがどうしたのかと小声でこっそりと聞いてきた
「ご、ごめん、分ちゃんが急に呼んだものだから驚いちゃって」
「そう。」
「ならいいのですが」
二人にごめんねと言って謝ってから分ちゃんにどうしたのかと尋ねた
【昇次、魔法を使われています。睡魔を引き寄せられ、“私”に直接影響を及ぼしています。】
え、そんなこと誰がしてんの、何のために
【ステフィム先生が睡眠攻撃をしています、“私”に直接攻撃されています】
…………嫌まさか先生がそんなことするはずないじゃない
そんな利益のないことするくらいならほかの生徒の事を面倒見ているよ、きっと
それにそれって授業が分ちゃんも退屈だから眠くなっているってだけなんじゃないの?
【昇次自身に聞く魔法ならまだしも、魔法である“私”にも効果のある魔法ですよ?】
「………」
まっさかぁ、と思う気持ち半分、分ちゃんの言うように、意思のある魔法に効果がある魔法…先生ならば色々と知っているのだろうかと不思議に思っているとコントロル君が今度は話しかけてきた
「どうした?」
「………なんでも、ないです、眠いなー退屈だなーって」
「…油断してっと痛い目あうかもしんねぇぞ?」
「んー」
適当に、返事を返して黒板の文字をぼーっと見ていると分ちゃんが再びポップアップで指示してきた
【黒板の文字を見ない様にして下さい。ステフィム先生自身が操られていることもあります。特定の人物にあてて書いてある魔法ではなく、文字を見ることで発動する魔法のようです。斜め横を見てください】
試しにみてみると生徒の半数が机に横たえているのがみえた
…ただ寝ているだけじゃん、変な分ちゃん
【なぜ疑問に思わないのかを考えるべき。ルールウドに昇次が起こされたとき魔法が一時的に緩んだ為“私”の感知に引っかかった。】
「………ルールウド君」
「?なに、どうしたの?わからないこととかあった?」
「…魔法で攻撃されてるって、分ちゃんが…」
「………うん。そうだね。周りを見てみたらわかるでしょう。」
ルールウド君はとっくに分かっているようだった
よくよく見てみると生徒会のメンバー以外は寝ているようだった
なーんてこったい、なぜこうなる前に止められなかったんだ
「…それでは次はこのまほ…」
がこん、とステフィム先生が教卓にぶつかって、そのまま崩れ、床に座り込んだ
そのまま床に倒れるステフィム先生は、白目むいて倒れている
「ちょ、痛そうな音したけど大丈夫?!」
俺が駆け寄ろうとしたらルールウド君とキューリャさん、コントロル君が引き留めた
「大丈夫だから安心して。」
「今助けに入ったら捕まえられると思うぜ」
「大丈夫ですので、ステフィム先生の所へ行かないでください」
三人に止められたので席へと座るとどこからか舌打ちが聞こえた気がした
『《心配してくれるなら近づいてくれた方がやり易かったのにねぇ》』
「残念ながらそうはいかないよね。ショージ君、黒板見ちゃだめだよ。念のためにこの魔術式を書いたノートもね。」
お、おうぅ…(困惑)
シェンフ君がそう忠告してくれたので俺はノートを閉じた
ルールウド君は俺に一応この席にずっといるようにと言った
何があると言うのだ…ドキドキ…嫌な意味でドキドキするね
俺が警戒していると分ちゃんがポップアップで黒板の横にいる、ステフィム先生に向けて魔法を放ちますかと聞いてきた
ステフィム先生がなんかあるの?と聞くと分ちゃんが単なる嫌がらせにしかならないけれども、操っている本人にも多少、衝撃が行くだろうといってきた
可哀そうだからそれはやめてあげる方向でと言ったら不服そうな返事が返ってきた
「さぁてどうするかねぇ…」
「さぁね。コントロル、君はそのままルールウド君と周りを探ってくれ。ショージ君はそのまま席に座っておいて。」
「へーい」
「仕方ないですね」
ルールウド君がキョロキョロして周りを見渡す
コントロル君は影から魔獣や魔物を出してどこかへそのまま行かせた
何処へ行かせたのかは不明
てか授業中でも容赦なしにこんなことしてくるっていうのは一体…
『《無駄なのにご苦労な事だね、まぁせいぜい頑張って探してくれよ。》』
声がどこからか聞こえてきて、そういって高笑いした
【昇次、ターゲットを見つけました。この魔法はそんなに離れて使えない。教室のすぐそばの廊下からの魔法とみた!また、これは中継地点として何人かこの魔法にかかっている可能性も見えてきた!どうする?やっちゃう?】
( ^ω^)・・・
分ちゃん、追撃、しかも影の投擲網で捕縛、無属性のとりもちつきで全員分おなしゃす
【ラジャー!任せろー!】
暫くしてから廊下から「ギャー、なんだこれはあああ!」「うわあああああ!」という声がかすかにして、ごさっと何かが倒れる音がした
「な、なに?」
「あらら、なんか倒れたわね」
キキョウさんと遊技君がそういったのでルールウド君が扉を開けてみてみるとそこにはこの件の犯人が横たわっているはずだ
「………先輩、こんなことになってますけど…」
「「「………ショージ君、説明して」」」
あははは、誰がやったのかと言う事がすぐにわかったようです
そう、俺がやったのです(分ちゃんの手柄だけどね)
俺は片手をあげて“待って”とアピールしてくるくると釣り竿のリールを巻き上げるイメージでくるくる巻き取る仕草をした
するとあちこちから“わあああああああ?”だの“きゃあああ”だの悲鳴?が聞こえてきたのを呆れた様子で見る先輩方
暫くくるくる回していたら分ちゃんが【主犯も交じっている、やりすぎた、てへぺろ】と言ってきたのでまじかーなんて思いつつも捕まえた全員を俺の教室までご案内(強制連行)してあげた
暫くして分ちゃんに捕まえられたのは12人もの生徒と一人の従者さんっぽい見た目の人
「しょ、ショージ…?この人たちは、一体…」
ルールウド君が若干引きながらそう言うので俺は分ちゃんを説明役にした
「分ちゃんがね、捕まえてくれたー。」
【<(`^´)>】
「…えっと、この人たちに、術が掛けられてたってことでいいのかな?」
【そう。半睡眠状態にして、昇次を連れて学園から出るよう指示されている。】
「えー…と、どういう魔術か聞いてもいい?」
【この魔法は術を最初にかけた人物Aに全く知らないBに同じ術を掛けさせて同じことを繰り返しさせ、どんどん人員を増やし目的の人物に近い者や接触する可能性を高めるもの。そして目的の人物、今回は昇次だが、昇次に術を掛けられた誰かが接触した時に眠りに誘う魔法を見せたりするよう仕向けられている。捕まえたと報告すれば、術を掛けた人物直々に回収しに来るはず。この魔法自体は術者に説いてもらうか、気絶回復薬を飲ませれば治る。しかもこの魔法は昇次が頑張ればマネできる】
頑張る気、ないです
そう思いながらもルールウド君と先輩方に分ちゃんの文章を見せる
するとぐったりしていた人たちがいきなり逃げるような動きをし出したので俺は大人しくしてもらうために水属性の魔法で巨大な泡を作り出し泡の中へと閉じ込めて置いた
「ルールウド君、この人たちどうする?」
「え?えーと…シェンフ先輩、どうします?」
「…うーん、そうだね。この中で最初に魔術を掛けられた人はわかる?」
「分ちゃん、最初の人だけ分離して」
【魔法使いが荒い!】
「ははは、魔法だから仕方ないでしょ。便利なのが悪い」
【仕方がないな…】
分ちゃんが一人の耳の長い人(多分エルフ)とそうじゃない人達に分けて泡をだしてくれた
耳の長い人は従者さんの格好でぐったりしている人だ
「さっきから、分ちゃんって言ってる。誰?」
ソルシエ君が首を傾げてそう言ったので俺は分ちゃんを紙に出してあげた
「分ちゃんです」
【正確には“私”は分析魔法です。】
「…魔法?」
【“私”は昇次のオリジナル魔法です。意志を持ち、自分で思考し、昇次をサポートするよう生み出されました。分析、解析、取扱説明書出せます。魔法が掛けられたものや、昇次に向かって使用された魔法、毒物、なんでもわかります。昇次の頭の中に潜み昇次だけに会話することも、こうして外に出て解説することも可能です。長文にはそれなりに魔力を消費しますが基本的な日常会話なら魔力はそんなに使用しません。】
「……………………………」
ソルシエ君は少し固まってからひと言
「…魔法に、意思…ありえない、ありえていいはずない」
そう言って笑いだした
こ、怖い!壊れた!!なんか笑いながらふらふらと壁に向かって歩いて頭をぶつけて夢なら覚めろと繰り返してるし、誰もがそれを止めないし!!なんか遠目になってたり白目になってたり、とある人たちなんかは興味深げに分ちゃんの文章を見てたりするし!!ルールウド君止めないし!!怖い、この集団
俺はつい影の中に隠れてしまった
だって怖かったんだもん!仕方ないだろ!
「…昇次様、一旦大人しくさせるので出て来てくれませんか」
清爽君がそう言ったので俺は影から出た
全く…今日一日でどれだけ精神的にダメージ喰らうんだよ
朝からずっとだもの、すっかり疲れちゃうよ…
「…やれやれ、ショージ君には驚かされっぱなしだね。ソルシエ、もうそれ位にしないと気絶しちゃうよ。やめようか。」
「…ん、少し、冷静に、なる。昇次、は、未知数。この位じゃ収まらない器。」
「…ショージ、おいで」
ルールウド君が呼んだのでそばに行くとデコピンを喰らった
いってぇ…思わず俺は額を押さえて摩った




