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異世界に来て初同郷者はっけ…え?

というか甚兵衛なんてスッとわかるだろなんでそう着たんだよと小一時間問い詰めたい


「あの…言いにくいんですが」

「あらなあに?」

「…それ、着方間違ってますよ…」

「?どう違うのかしら」

「…着物は右側の襟が上にくるように着る…」


深緑色の髪の毛の人が自分の着物…浴衣?ポイのを見て赤くなって慌てて一瞬で着直した


「やっだぁ、もう!そうなの?ちょっとなんで早く言ってくれなかったのよ、ジェルナったら!んもう!これでいいかしら」

「…左側の襟が前なのは使者を送る時の着方だから、しちゃだめです。」

「そ、そうなの?それよく知ってたわねー。…私でも知らなかったのに」

「俺の分析魔法、優秀なので」


ごめん分ちゃん、もともと知ってたけど分ちゃんのおかげで知ってることにした

【構わない、むしろそれが自然】

魔法っていえば何でもありだね

【何でもではない、けれどそこそこ知ってるのも何ら可笑しくはない】

流石分ちゃん頼りになる

【<(`^´)>】


俺がそういうと着物を正しく着直した子が俺にお礼を言ってきた

いやまぁ俺が落ち着かないから正しい方を教えただけだし、甚兵衛だから簡単に直せたんだけどね?これが不通に女性の着物だったら流石に無理だった

いや本当に。女性のは結構着付けの段階に時間がかかり手間も凄いかかるから直すの時間かかるんだよ


従妹の着付け手伝えといわれてちょろっと帯締めりゃ終わるだろと思って数十分かかったのにはうんざりしたっけな…


「ありがとね、でもますます貴方が欲しくなっちゃうわん。だって私の趣味の事分かってくれる子いなかったんだもの!」

「…そうですか」


もう何も言うまい、と俺はスルーしてスミレを連れてトイレへと行くことにし・・・


「どこ行くの?ついてってもいいかしら?」

「……お手洗いですけど?」

「あら、じゃあ私も行くわん」

「…ひ、ひとりで行けます!」

「あら、そんなこと言わないで、ね?ね、ルールウド君も構わないわよね?」

「……勧誘しないで上げてくれるなら…」

「あら、お手洗いだもの、しないわよ。ほら行きましょ」


助けて・・・ルールウド君は無常にも苦笑を漏らすばかりでスルーして席を開けてくれた

俺は一人で行こうとしたけれどもトイレまでぴったりくっついて来られては息が詰まりそうだった

ふぅ・・・


トイレに行き、用を個室で済ませるとにっこりと微笑えまれた

…コッチみんなといいたくなった


「あのね、一つ聞いていいかしら」

「なんでしょう」

「…今から変なこと聞くけれどいいかしら」

「なんでしょう」

「…君は異世界って、言われて何か引っかかるものある?」

「…?」


な、何を言い出すんだこの子と思っていると今度はまじめな顔をしてから周りに何かをしたらしく、魔法で水中にいるようなくぐもったような感じに聞こえるようにした

これ、助け呼べない様にしてる?

【そうでもない】


『みゃーがいるにゃ、すぐにルールウドも呼べるにゃ。安心していいにゃ』


…うむ、俺が思うより状況は悪くなかったな


「安心して、一寸した防音魔法だから。今から話すこと聞かれたくないからね。」

「は、ハァ…」

「私の話、一寸長いけど聞いてくれる?」

「どうぞ…?」


というか魔法張っている時点で逃がす気ないだろ

なんなんだ、全く…次から次へと…忙しいな


「私はね、こことは違う異世界の、地球という星の日本生まれなのね。」

「!」


まさかの同郷!

ここにきてまさかの同郷者を発見!


「その様子じゃ君も、そうなんじゃないかしら。まぁ今は私の話よね、私はねー、今は子供の姿だけど、日本では25歳のニューハーフだったのね。仕事はバーで踊ったり、お酒作ってたりしたのよん。である日仕事中にうっかり足を舞台から滑らせて転落事故。笑っちゃうわよねー、はぁ。で、次に目が覚めたら赤ん坊になってて、こっちの世界へ来てたわけ。最初は意味もわからないし、赤ん坊になってるし、もう何が何だか。魔法、という物があって重火器OKなんて日本じゃありえないわー。で、現状把握できて来たのが学園に入ってからってわけ。幸い私の家は裕福だった方だから、色々と知れたけれどね。」

「・・・」


そりゃあこんな学園にいるくらいですし、そこそこ金には困っていなさそうではありますが…この人の場合、赤ん坊で生まれ、記憶がある状態で一から放り出されたんだよね?うわ…うわ、ご苦労様です!

俺なんかとはだいぶ環境が違いましたね


「私の他に、数名、転生者が生徒会っていうチームに入っているわ。これは保護する意味もあるの。」

「?保護?」


え、てか数人いるの?異世界転生ってもっとなんか色々とあるだろ

色々とやらかしてる俺が言うのもなんだけどさ!

そんなに保護するほどいるなら転生者同士戦ったりしそう…(ぐったり)


「そうよ。私たち転生者はこの世界の人たちと違って魔力や想像力があるらしくて、ね?そういうのって悪い奴らにも当然目に付くわけ。他国から来ても何も言われないこういう学園や学校という場には転生者を狙って拉致するための子供工作員、そういうのもいるのよ。…だから、私はわざと甚兵衛を間違った方法で着て反応を見ているの。あなたの場合、分かりやすかったのだけれどね。だって、教頭先生に向かってバリスタだしたじゃない。私たち転生者の中にはわかりやすかったわ。」


バリスタはたまたま出しただけだけど、それはいいのか

てか、拉致って…マジでガチなのか?

子供工作員…拉致監禁…き(げふんげふん

止めておこう、色々と危ない気がする


「…えーと、貴方の名前を聞いていいでしょうか」

「あぁ、ごめんなさい。桔梗っていうの。これ本名なのよ、凄くない?」

「キキョウさん?」

「えぇ、花の名前の、桔梗。代々私の家計は茶道の家元やっててね。男でも女でも花の名前をつけることにしているのよ。貴方は?」

「昇次と申します。僕はお察しの通り桔梗さんと同郷の日本に居ました」

「えぇ、でしょうね。日本で何をお仕事なさってたの?」

「しがない一サラリーマンです。農家の生まれで田舎の小さい会社の広報でした」


えぇ、本当に小さい町の田舎で、周りは畑と田んぼだらけのド田舎です

むしろ遊ぶ、買い物に行く、医者に行くなんにせよトラックでバリバリ運転してく爺様ばあ様ばっかりの超つまらないど田舎ですよ


「あら、素敵!農家の生まれっていいじゃない!しきたりもしがらみもうるさくて家を飛び出てきた私と大違いだわ。結局早くに亡くなって…コッチに来てもう11年たつと、流石に…親不孝だったとおもうわ…少しだけ、ね。会う事が出来る、できないでやっぱり違うのかしら…」


と言う事は桔梗さんは11歳でいらっしゃる、と。成程?大変だっただろうに…俺はいきなりミーシェちゃんの体に乗り移る状態での異世界スタートだったからな

ルールウド君もいたし、色々と説明もされてすぐに別人格の俺を受け入れてくれる両親たちに、従者さんたち…本当にここは俺に都合がいい位に優しい世界だった


「ま、そんなの良いの。過ぎたことだもの、仕方ないわ。で、実は、教頭いるでしょう?あの人も転生者なのよ。私達よりずっと前に転生した方なのね。」


俺は驚き固まった

まさか、あの筋肉禿くそ爺が、俺らと同じ転生者だったとは思いもしなかったのだ


「ま、驚くわね。教頭と同時にこの世界に来た転生者が、いたのだけれど工作員に拉致されたことがあって数十年後に精神をコントロールされて、はむかってきたらしいの。それで…相当悔しい思いをしたらしくて、保護を目的に積極的にあちこちに目を向け情報を集め転生者を軍事に起用したり自分たちの都合のいいように使い潰されないようするために何人かの同士と共に学園を立ち上げてずっと教頭として尽力されてるってわけ。…まぁそれはもちろん教頭と、私たちの主観では、っていう話だけれどもね。」

「…他の人たちから見ればトンデモナイ化け物を集団で飼っているだけですしね」


俺がズバリそういうと桔梗さんは苦笑をして肩を済ませた


「実際、他校や他国からはそう思われているでしょうね。で、転生者として、同じ同郷として一つ警告よ。貴方…昇次君は、今後狙われるわ。確実に。テロ組織や、他国の者や、他の色んな奴らから、その力だけを目的に。自衛の手段は持ってるはずだけれど、奴らだってそれを凌駕する力や道具を持ってるのよ。例えば魔力を操れにくくする道具。例えば家族を人質に。例えば無理やり肉体関係を持ち、暴力をふるい、抵抗できなくする…そんなことも、なくはないわ。その時昇次君はどうするのか、考えて置きなさいな。それが出来るのなら、生徒会に入らなくても平気だと私が呼びかけるわ。教頭にも、私から言って手出しもしないさせない。」


お、恐ろしい事をさも当然のことの様に青信号は“わたってもいい”けれど“安全じゃない”と分かりきっていることを言われているような、顔で言いきった

その後笑って、俺の頭にポンと手を当てた


「…脅したりしているように感じたなら悪かったわ。でもね、これは事実だから…現実に、それがあり得るのよ。ここは日本じゃないのだから安全保障が確実にされて平穏に生きていける世界じゃないから…。こういうしかないの。多少やり方も説明も荒いのが、教頭の悪い所よね…でもまぁ、自衛手段があるのならそれに越したことはないし。万が一何かがあっても居場所が分かればいいのよ。生徒会メンバーは、学園を卒業しても大人になっても連絡できる手段を教頭や自分たちで確証しているので連絡がすぐに取れるのよ。貴方にもそういう何かがあれば何もいう事ないわ。」


・・・ん?待てよ、あの教頭も転生者というのなら…

同郷だと言うのだったらばなぜあのがらくたを知らないと言って、分ちゃんさえも騙せたんだ?分ちゃんは魔法で、俺の頭の中にいる時にすら外に出ていた時でも透明化や幻術状態を見破っていたのに…


【不快、まさか騙されていたとは…!ヽ(`Д´)ノプンプン】

そうなるよな?


「ちょっといいですか?」

「なにかしら」

「教頭、は…電話の子機の事なんで分からなかったのか知りたいのですが」

「私の着物と同じよ。実はちゃんと理解しててガラクタと分かっているけれども、あえて。知らない分からないふりをして異世界者かどうかを試しているの。異世界転生者は皆大体鑑定とかそういうの持ってるから。魔眼とか、…鑑定魔法をね。」

「…ってことは一杯食わされたと言う事でしょうか」

「そう…ね。まぁ否定はしないわ。知っているけれど、魔法で偽情報を流す。そしてそれを知らない、貴重だから欲しいと言う。それだけ見たら見事に騙されても仕方ないわ。」


【(#゜Д゜)ノ】

分ちゃんが表情だけでお怒りになっておられる

教頭、くそ爺!オコだぞ!分ちゃんオコだぞ!どうしてくれる!

いやまあ知らんがな、と言われればそこまでだがね…


「手荒なのは我慢してあげて頂戴な。手っ取り早く見分けがつくからいいのよ。異世界に来たから魔法の制御もある程度できてる子なら、鑑定とりたがるもの。便利だしねぇ」


そこは否定しないけれどね!分ちゃん便利だし!

【もっと褒めていいのよ】

だまらっしゃい、一寸でも誉めたらすぐ調子に乗るんだから…


「で、あ、そうそう。魔法の得意属性なんだけど、生前の暮らし方で多少左右されるみたいなの。私はバーで働いてたから土魔法、風魔法、水魔法なんかが適性属性であるわ。薬や錬金術に詳しいし、回復も多少使えるの。それと同じように、何人かは生前日本で培ってきたのが関係している適性がある子が何人かいるから想像してみると面白いかもしれないわね。昇次君は元農家で広報のお仕事だったから、土と光、それに闇と無が得意なのね…フフフ、本当に面白いわー」


な、なん…だと…

親父、お袋…あとついでに遠くにいる弟よ…

兄ちゃんはやっぱり農家から影響を受けてたらしいぜ?ははは…

無属性の魔法適性関係なくね?と思ったけどなんもいわんとこ…うん


まぁそれならばやたらと動物に好かれるのも若干仕方ないのかもしれないけどな

うん…昨日みたいに囲まれて動けなくなるのは勘弁して欲しいぜ


「で、どうかしら私とのお話は。興味を少しでも持って貰えればいいのだけれども。」

「…まぁ、はい。生徒会というチームに入ってやってもいいかもしれないとちょっとは思ったかもしれません…ね」

「ふふ、入ってくれたらば保護する目的と同時に自衛手段を教える為の訓練も早くに始められるから嬉しいわ。さ、そろそろ戻りましょう。いい時間になっちゃうわ」


パチン、と何かが弾けるような音共に周りの音がさっきよりクリアに聞こえるようになった…多分、魔法を解除したんだろう


「生徒会の皆、無属性の魔法が得意なのよ。頼っていいんだからね?お姉さんも頼ってくれていいのよ?」

「は、ハァ…その時はそうします…」

「うふふ。さ、心配そうにしているでしょうから貴方の教室に行きましょう。過保護な貴方のお兄ちゃんにちゃんと返さなくっちゃ。」


桔梗さんはそう言ってそそくさとお手洗いを出て行った

キューリャさんとスミレが不思議そうに桔梗さんの背中を見送る


「ショージ様、何を先ほどお話になられたのですか」

「生徒会についてです。あんまりそう悪くないチームなのかもしれない、それだけですよ」

「…危害はなさそうなので何も言わなかったのですが、何がそこまで心境の変化を…」

「あの人ね、俺が悪い組織とか国に捕まえられたりしないために生徒会が自衛手段を身に着けるまで保護してくれる生徒の集まりなのよって言ってくれたんだ。」

「……そうでしたか。」


俺は流石に異世界のことまではキューリャさんに言わずに(今ここではさすがにさっきの音が聞こえなくなる魔法?その魔法もないので)そう言って、魔法で出した紙にこっそりと異世界者の事を書いてわたした

キューリャさんはそれを見て少し納得したように頷いた

うん、俺を含めて転生者さん達の事を少しだけ、俺の事でキューリャさんやうちの家族は知ってるからね


「うん。事実、俺は結構派手に魔法使うから悪目立ちしてしまうでしょ、って…だからいつ襲われてもいいように早く生徒会メンバーに入って身を守る方法を身に着けてって…そんなに悪い話じゃないかもしれないなって…ルールウド君もいるし」

「…ショージ様のお好きなように。」

「今日明日考えてみようと思うんだ。手紙攻撃はもうこりごりだしね」


俺がそういうとキューリャさんは苦笑を、スミレは何度も嫌そうな顔をして頷いた


俺が教室へ戻るとルールウド君が心配そうな顔をしていたけれど、俺はそんなに不安になるような事ばかりなんですかねえぇ

フー、と思いきりため息つくとコントロル先輩とやらが俺を呼んだ


「おい、ショージキキョウから聞いたのか」

「雑談しただけですよ」

「ッは、雑談ねー?じゃあとっととチームに入れよ」

「…今日明日考えておきます、一旦持ち帰って検討させていただきたい」

「うはあ、ひっさしぶりにそれ聞いた!」

「僕もだ。」


途端に生徒会の人たちの数人が盛り上がった

キキョウさんもなんだか目を細めて隣にいる、メガネかけているなんか秀才っぽい子に話しかけている…多分、その子も異世界者なんだろう

【昇次に先程攻撃してきた子です】

…………………………まさかの眼鏡君、攻撃してきたのかよ!

お前かよ!偏見かも知れないが攻撃したのはもっと違う子かと思ったわ!


とててと軽く弾んだような軽い足音を立てて可愛い様な少年が俺たちの前の席に来てニコッと笑った

ミーシェちゃんみたいな、可愛らしい少女みたいな少年だ


「ねー、桔梗ちゃんとお話ししたでしょう?」

「…ハァ…そうですね。話しました」

「ボク達のチームに入ってくれる?」

「…検討します」

「なんでー?」

「もうすでに数人、チームメイトになってくれると約束してる子がいるんです」

「むー!じゃあその子も一緒に生徒会入ってよー!」


少年は可愛らしくぷくっと頬を膨らませた

そんな顔をされても困るんだよなぁ…

思わずチラリと不安になってカフィーユ君を見てしまった

当然、その少年と、俺の動向を見ていた人たちもカフィーユ君に視線を向けることになってしまい、カフィーユ君は気まずそうに眉を顰めた

流石に上級生、しかも実力者が多いのであろう生徒会のメンバーにみられて平然とは出来なかったようだ


「ショージ様、そんな顔されても困りますよ」

「ん、えと、ごめんね?つい…カフィーユ君、どうしたらいいと思う?」

「僕はショージ様に任せます。僕は基本的にどっちになっても困らないので」

「………」


前言撤回していい?やっぱりカフィーユ君はぶれないよ、うん…

俺に責任全部押し付けた…(´・ω・`)

少年がギラリ、と目を鋭く光らせて、満面の笑みを浮かべて俺の腕に抱き着いてきた


「ほら、いいって!ね~、ボク達の生徒会にはいろーよー」

「まだ断言できませんから。」

「かたくなだなー、チェー。るーちゃん君の弟君に早く入るよう言ってよ。教頭にお菓子貰いたいんだからさぁ」

「ショージが嫌なら無理して入れなくてもいいのではないかと?」

「ハー…」


少年は先程と打って変わって溜息をついてさっさと会話を切り上げてガタッと席を立ちキキョウさんの所へと行ってしまった

そうこうしていると、鐘がなった


ガタガタと生徒たちが座る

俺は前の席の子の従者さんに謝っておいたが、苦笑され、耳打ちで前の席の子に伝えてくれたので、前の席の子は俺に向かってにっこりと微笑んで、少しだけ頭を下げてくれた

いい子で良かった


「はい、席についてください。生徒会メンバーの方は攻撃性のない上級魔法と、得意な魔法を一人ずつ披露してください…くれぐれも、非攻撃性の魔法でお願いしますよ。」


先生がそういうと律儀に頷く…何だっけ、王子っぽい子の名前

【シェンフです。いい加減覚えろ】

一回で覚えられるか!

シェンフ君ねシェンフ君、はいはい。覚えたよ、忘れるまでは忘れないよ


そのシェンフ君は真っ先に立ち上がり教卓の前に立った

何するんだと思いついシェンフ君を見るとウィンクされた

ばっちり俺の方を見てウィンクしてきた気がするがそんなのは気のせいだよね、うん、そうだそうに違いない

きっとルールウド君とかコントロル君に向けてのウィンクだよ


…そんなことする必要性があるのかわからないけれど…


「僕はシェンフ・アルガードと言います。得意な魔法属性は、空属性かな。適性的に言うなら無と空と光だね。一番得意な魔法は」


そういうとふっと教卓の場所から消えた

そしてなぜか教室の真後ろの席へと現れた


「得意な魔法は、瞬間移動、かな」

「ひゃわ?!」

「おっと驚かせてごめんね?もう戻るよ」


フッと霞の様に消えたシェンフ君はフッと再び教卓の前に立ち現れる

何でもないような表情をしている

す、すっげー!か、か、かっこいい!


「しょ、ショージ?あれは単純に空間魔法だからね?そんな目で見なくても…」

「凄くない?!」

「い、いやまぁ凄いけど…ハァ。ショージはすぐに影響受けるんだから…」


俺がついつい凄いなーってシェンフ君を見たらフッと再び消えた

ふわあ、かっけー!いいな!いいなー!

分ちゃん今の俺も出来る?!

【不可能。あれは空属性の魔法と光魔法の組み合わせ。】

そっか、それは無理だね、でも余計に羨ましい!


「そんなに嬉しそうな顔されるとこっちが照れ臭くなっちゃうから、そんなに見ないでもらえるかな?」

「うわ、後ろ?!」

「そうだよ?あまりにもキラキラした目で見てくるんだもの。ふふふ、でも少しは興味を引けたかな」


なんとシェンフ君は俺とルールウド君の後ろの席にいた

か、かっけー!しびれるー!

空属性ってルールウド君がちゃんと教えてくれてなかったからあんまりイメージなかったけどこんな…こんな…便利そうだったとは!


俺はたまらず後ろにいるシェンフ君に話しかけた


「空属性ってすごいんだね!」

「…ふふ、そうでしょ。でも空属性よりも光魔法の方が少ないから希少なんだよ」

「ぱっと消えてぱっと現れる方が凄いよ!」

「…うーん…、空属性の少しだけ難しい分類の魔法っていうだけだよ?」

「俺空属性苦手だから余計凄いと思う!」


ルールウド君が頭を抱えて呆れたような溜息をついた

瞬間移動、かっこいいなー…俺も出来るならしたいぜ!

ステフィム先生がやや呆れた表情で、手を叩いたので、いつの間にか俺は席を立っていたことに気がついた


「はい、ショージ様苦手な属性の魔法に興味があるのはわかりますが授業中ですよ。」


ハッと気がつき思わず大人しく着席し手で顔を覆って黙った

しまった、はしゃぎ過ぎてしまった

は、恥ずかしい…////

【m9(^Д^)プギャー】

止めて、分ちゃん止めて!


「大丈夫?真っ赤だよ?」

「だいじょうぶです」

「ショージはよくこうなるから気にしなくていいです。知らない魔法で自分の不得意属性だから、はしゃいだんだよね?」

「やめて・・・」


ふおおおおおおおおお!ってゴロゴロと床を転げ回りたくなる位恥ずかしい!

ガチでこの話を止めて頂きたいのですが!!

なまじ俺も無意識で夢中に凄いと思ってしまったからすっごく恥ずかしいんです!


「ふふふ、ぼくもそんなに空属性知らないから教えてなかったからね。」

「だ、だから、もう!もうこの話もういいよ!ルールウド君止めて」

「ふふ、面白い。」


一通り弄られてしまったが、スミレのモフモフのお腹に顔をうずめてもう恥ずかしすぎてどうしようもないのを押さえようとしていたがどうやっても駄目だったのでスミレを撫でまくって気を静めた


『にゃう、くすぐったいにゃ!』


うううううう、恥ずかしかった…ふぅ。少し落ち着いた


いつの間にか教卓の前にいるシェンフ君が席に戻ると同時に次はその隣の席にいた黒髪ストレートで横髪をメッシュにして赤と青のアクセントのある、細い三つ編みを三つ四つあ見込んでいて後ろで一つにまとめているような髪の子が制服をだらりと着崩している格好で教卓の前に立った


…ストリートファイトとか、ラップとかしてそう…

一寸偏見入っているかもしれないけれど、なんだかそう思った


「……あー、俺は、テンツァー。得意な魔法属性は…空と、無かな。あとはなんだっけ?あぁ、魔法見せんだよな?こんなんどうかな」


そういうとふわりとその場で浮かんだ

う、浮かぶ位俺にもできるし!飛べるし!?とか思ってたらそのままなんと天井にさかさまにくっついて“立った”と思いきやそのまま天井に吸い込まれて、教室の床からにゅっと出てきた


とある猫型ロボットの通り抜けフープみたいな感じだ!か、かっけー!

いいなぁ空属性!ポー〇ルガンみたい!あのゲーム好きだったんだよな、酔うから途中で休憩しながら進めてて…結局友達に貸して帰ってこなくなったけど


「…うん、掴みは良い感じ?てか空属性なら何でもこうなる感じか?」

「…とある一生徒の反応ばかり気にしないようしてあげてください…誰とは言いませんが」

「あと…上級魔法見せるんだっけ?」

「はい、できれば。」

「…こんなのどう」


ふわりとごく自然な動きで何もない所からティーポットを出した

ついルールウド君の袖を引いて凄い凄いとさっきより小声で言ったらルールウド君は苦笑してうんうんと頷いてくれた

ただそれはどこか呆れたような感じだったけれども俺は気にならなかった


「何あれ、何もない所からティーポット出たよ?」

「あぁ、あれはテンツァー先輩のアイテムボックスだよ」

「あいてむぼっくす…」

「そういう名前の魔法だよ。ほら、似たようなの持ってるじゃない。スカーフとか、このブローチとかと同じ魔法だよ。物の時間を止めて、中にしまい込むの。」

「時止めとかロマンあるなー、凄くない?」


俺が思わずそう言うとコントロル君がやや呆れた声で凄くないとはっきり言いきった

コントロル君には俺、聞いてないですぅ!


「…まずまず好感触。俺のは終わり。」


ティーポットを再びどこかへとやったテンツァー君は満足そうに自分の席へと戻った

いいな、空属性…無属性で似たような事出来ないか今度試してみよう!


『ショージ…考えるだけ無駄ににゃりそうにゃよ…?』


やってみなきゃわかんないじゃないか、だってイメージと魔力優先の魔法だぜ?

わくわくするよね!


『ミャ…』


スミレが少し呆れている気がするがそんなの御構い無しで、どうやったら無属性で試せるか、再現が出来るか少しだけ考えていた

後で試そう


次に教卓の前に出てきたのはソルシエ君だった


「僕はソルシエ。得意属性は、闇と無。僕の一番の得意な魔法は、ちょっと特殊過ぎて見せられない。だから、普通に得意な魔法にする。闇魔法は、此れ」


そう言ってソルシエ君が出したのは自分の身長の高さの、影だけでできた大太刀だ

かなり、大きかった

スラリと抜いて見せた大太刀の刃は黒く、光っていた


「どう、格好いいでしょう?これ、影を切れるの。」


ちょっと自慢そうに、俺の方を向いて言うソルシエ君


…うん、なんかごめん

それ位なら俺驚くけど自分で似たような事してるし出来るからな…

何とも言えない…


「むぅ…反応、よくなかった。残念。空属性じゃなきゃダメか…僕の番はお仕舞い。」


ソルシエ君が若干トボトボと肩を落として席に戻った

…なんかごめん、凄かったよ、うん…


ソルシエ君の次は眼鏡をかけて黄緑色の髪をしている、秀才っぽい子が教卓の前へと出て行った


「ハダス、と申します。先程はいきなりすみませんでした。得意な魔法は嵐…風と空の合わせた魔法属性です。私の魔法は派手さも非攻撃性もないので魔法を使用するのは控えさせていただきます。…まさか、反撃されるとは思いませんでした」


この人怖い…マッドサイエンティストかな?

魔法を見せろと言う先生が顔を引きつらせて席へと戻るように言った位には引いていたよ

次に教卓の前に立ったのは先程机を蹴り飛ばし、大きな音を立ててた子だ


短髪の白髪に、鋭い三白眼、もはやコートみたいな裾の長い制服の上着をボタン止めずに着ていて、どっかの番長みたいだった

…制服が学ランならもっとそれっぽいのに、残念ですね


「…ファーレスだ。魔法適正属性は火、風、土。土から火薬を作り出し爆薬で教頭を振っとばしたことがある。…まぁ、奴はケロッとしてたがな」


なぬ、爆薬も効かないとかまじか!

己、頑丈な!ギリイ!

俺がやるまでもない、この人がやってたわ!ナイス!


「爆…魔法は、非攻撃的な物をお願いします」

「わかってる。これならどうだ」


ヒュルル、パンパンパン、と教室内で3つの花火が上がった

あー…奇麗だなー…狭い教室内でやるとどうなるか、それを考えてくれていればよりよかっただろうになぁ…ふふふ


「『えほ、ごほ、げほ!』」

「…悪い、忘れてた」


煙にむせているほかの生徒たちを尻目に言う事は終わりだと言いたそうに席に戻った

花火は奇麗だったんだけどね?羨ましくはないかな、うん


煙いしね…そして風魔法できれいな空気と入れ替えてくれるまで、ずっとむせていた子がいたけど大丈夫だろうか…


「はいはーい、次ボク自己紹介しちゃいまーす!」


ガタッと音を立てて教卓へと歩いていくのは先程俺にくっついてきた少女らしい少年だ

ボーイッシュな短めの髪が毛先だけ若干内巻きで、くるんとなってる明るいスカイブルーの髪色。それに合うように、いかにもお坊ちゃんみたいなレース付きのシャツとネイビー色の蝶ネクタイをしていて、リボンの端っこにバラの紋章が入っている

サスペンダーでつっている半ズボンに、斜め掛けの鞄を常に身に着けているのか下ろしてないのが気になる位だ


教卓の前に立った少年は、にぱっと笑って片手を銃の様に形作り上に跳ね上げる仕草をしたあとに口でバアン、といった


指先からおもちゃのような星形のような何かが飛び出た

……どうやってんだ、あれ

【無属性の魔法で、玩具のプラスチックの星形を出してるだけです】


「ボクの名前はブルローネ。楽しいおもちゃ、悪戯、だーいすき!えっとぉ、魔法適性属性は無属性!だけど無属性魔法ならなんだってできるぞー?魔法見せまーす!じゃーん!」


…元気な子だなぁ、なんだろう、テレビの子役を思い浮かべてくれるとわかりやすいかもしれない、なんとも言えない大人が思っている元気な子供を演じている子供っぽくみえる

片手をあげて、ぽんと音を立ててなんとローラーシューズを出してシャーッとその場で走って、廻ってみせた


教卓の周り、教室の中でシャーッと音を立ててブルローネ君はローラーシューズを走らせ、くるくると最後に教卓の前で回り、と待ってドヤっと自慢そうな顔をした


「どう、こんなの想像してなかったでしょー?」


・・・うん、そうだね

教室にいる生徒の大体半分は、驚いているね

ただ……うん、そうだね、はい

俺も似たようなのやってるし、スケボーも出来るしキッチンや調理場を作ってしまう位の事は出来るんだよなぁ・・・

ごめんね、少年…と思っていたらルールウド君がはっきりと言いきった


「あれくらいならショージの方が使いこなしているよね」

「シ!」

「えー?ボクのローラーシューズ凄くない!?」

「ないです。ショージの方が凄いですよ。」

「えー、じゃあ見せてよぉ!何ができるってのさ」

「見せてあげてよ、ショージ。」


…………あー、俺は何も聞こえない、聞こえない!!

俺は無言で耳をふさぎ、うつむいた

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