上級生の自己紹介タイム何故か一人の生徒に向けてアピールしだす…
俺は無言で耳をふさぎ、うつむいた
しかし無情にもルールウド君は俺の耳に当てた手を片方外させられた上に魔法を見せてあげてよと言われてしまった
「やだよ、見世物じゃないよ」
「いつも使ってるじゃない。あの伸びて飛ぶ奴でいいよ」
「あれは…」
「ほーら!ボクより無属性の魔法使いこなせないから恥ずかしがってるんでしょ?」
「ショージは凄いんですよ」
身内自慢…恥ずかしいです
「ゴムっていう、伸びたり縮んだりできる物も作れるし、金属加工に魔法を合成したり!ジテンシャっていう乗り物も作れるんです!凄いんですよ!!」
「そ、…それ、は…凄いかもしれない。いいなー」
「ショージ!ジテンシャ出してよ!あれならあんな無属性の魔法より早く動けるし!」
…んー…ルールウド君、なんか意地になってない?
皆がみんな、俺に注目してきて、なんだか恥ずかしい
「ショージ、ジテンシャ出して」
「駄目。教室の中だよ?」
「じゃあなんか違うのでもいいけれど、移動できて早いのだしてよ」
「そこまでこだわる必要ある?」
「ある!」
あるんだ…何だそりゃ…
俺が呆れつつも溜息をついてから狭くても乗れるもの、しかもそこそこスピードのある物、ねー?それを出して自慢したいんだね、ルールウド君…と考えた
「…じゃあ、スケートボードと、一輪車出してあげるよ」
「うん!」
ルールウド君は頷いたけど、俺はそれだしてどうしたらいいんだか…ハァ
まあ出してあげるけどね、他ならぬお兄様のお願いだからさ
音も立てずにすっと手を掲げてスケートボードを出し、そのままルールウド君にあげて、一輪車もそのまま出してあげた
「で、これどう使うの」
そうなるとおもったよ!だからだしてどうすんだよと思ったんだ!
俺はやや呆れながらも俺はその場で一輪車を乗って見せた
「…な、なんだか大変そうだね。」
「これバランスを保つのは大変なんだ。自転車のほうが乗りやすいよ」
「この板は?」
「……スケートボードはねー、…本当は外の方がいいんだよね…。行儀悪い事していい?」
「…ちょっとだけならね」
ルールウド君に許可を得て、俺は魔法で台を作りそのまま・・・
台に向かって走りスケートボードを片足で漕ぎ出し、台に乗ってジャンプし、空中でひっくり返り机の上に乗っかりそのまま教室の机の上や手すりの上、壁なんかを走りくるんと回って台の上の戻ってきた
「こう!」
「ショージさま!危ないのでそれはおやめください!」
やっぱりこうなるのね
【突然やりだす昇次が悪い】
どうしてもしろといったルールウド君に責任があると思います!
「今回俺悪くないもん」
「魔法を行使した時点で責任はショージ様がとるべきですよ。それとどういう物か、説明してからにして下さい!」
「はーい…ほら俺が怒られた」
今回俺は乗り気じゃなかったのに、やっぱり俺が怒られるんだ
ちょこっと理不尽さを感じるぜ
「ふふふ、面白そう、僕もやりたいくらいだ」
「聞いてた?これ外じゃないとだめだってば。それとルールウド君、俺が怒られたの聞いてた?」
しかしルールウド君はそのまま俺の言う事を無視してブルローネ君に向き直ると自慢げにどや顔を披露した
「どうです?ショージは凄いでしょう?」
「…ず、狡ぅーい!ボクもあれ欲しい!乗りたーい!」
「ね、無属性ならショージの右に出る者はいないでしょう?」
いやあれ別に無属性の魔法とかじゃない…
まぁ土属性の金属、ゴムを板にくっつけてそのまま乗っても大丈夫なように無属性の魔法で耐久性を上げたけどさ…
俺の目の前まで走ってきてスケートボードを奪いくるくると回し、“凄い”を連発している
「ムー、悔しいけど、これ面白そう…これちょーだい!」
「ショージ、上げてもいいよね?」
「…いいけど、人にぶつかんない様にして下さいよ。結構早いから。」
「はーい!えっへへ、貰っちゃった!」
嬉しそうにキキョウさんの隣の席に戻り何やら話している
スケートボードをそのまま鞄の中に入れ…た
すげぇな、あの鞄の中に入れたぞ?あぁ、スカーフと同じような物か
なんだかすぐに納得した
その次にはブルローネ君の隣の席のキキョウさんが立ち上がった
教卓の前に立ち、俺に向けてウィンクしている
「私はキキョウ。魔法適性属性は、水と風、土属性よ。私は…こんなのが出来るわね」
そう言ってキキョウさんが出したのは掌のうえに土をだしそこから枝を生やしその枝に水をかけて成長させた
掌から木を生やしたまま、木の実が実った
そしてその実を風魔法を使って空中で切り、そのまま風で木の枝を細長く切り楊枝にして木の実を生徒たちに配った
「どうぞ?甘くって美味しいわよん」
生徒たちはそう言われたのでぱくっと一口で食べて目を輝かせた
キキョウさんはその表情を見て満足そうに微笑み、今度は名指しで俺たちに配った
「ショージ君、ルールウドちゃん、コントロルちゃんもどーぞ?」
「いただきます」
「ちゃん付で呼ぶなよ…貰うけど」
「い、いただきます」
パクッと食べてみたら木の実は甘くておいしかった
モモに似ていて、少しだけスモモの様に酸味があって、でもさわやかな甘さで…触感は、カリッとしたリンゴだった
「おいしい!」
俺がそういうとスミレが食べたそうにこっちを見ていた
つー…とよだれが出ているので俺はハンカチを出してあげて、よだれを拭ってあげた
しかしそんなのをお構いなしで木の実を見ていた
『にゃぁ…おいしそうにゃぁ…ミャ―も欲しいにゃ!ショージ、出して欲しいにゃ』
仕方ないなぁ、と俺が木の実をコピーして、魔法でスミレに出してあげた
『みゃー!うにゃ、にゃ!』
はぐはぐと皮ごとかじりつき、カジカジと音を立てて木の実を食べるスミレは両前足で必死に木の実を持ち食べた
美味しいとスミレも感じてくれているようで何よりです
「あ、あ…お前、今何した?」
「何?変なことした?」
「お前…木の実だけを出しただろ、何したんだ?」
「?何って、さっき食べた木の実を真似して魔法で出しただけでしょ。」
コントロル君は何をそんなに驚いているんだ?変なの
そう思っていたらルールウド君はやや呆れた声で、ため息をついた
「ショージ…他人の創作した魔法って、基本的には真似できない物なんだよ」
「そうなんだ」
「そうなんだ、じゃないわよ…私のこれは木の実出すのに、土から育てる必要もあるのよ?」
「木の実だけで出せないの」
「「出せないの」」
そうなんだ、変なの、俺は出来ると思ってたのになと思いつつもスミレが食べている木の実をもう一つ出してルールウド君にあげた
ちなみにコピーは本をそのまま中身ごとコピーして頭の中に入れる、あのコピーをしまくってたらいつの間にか出来る様になっていた魔法だ
キキョウさんが笑顔を引きつらせながらも俺の出した木の実を見ながら訪ねてきた
「ところで、ショージちゃんは…魔法事態も、マネできちゃったりするのかしら?」
「え?あー…出来る時と出来ない時がありますよ?」
「あら、それはまた…どういう物が出来ないのかしら」
「仕組みがわかんないのとか、空魔法は無理ですねー。あ、でもこれは出来るよ!」
俺はそう言って先ほど見たばかりの花火を真似して見せた
勿論、煙や火薬のにおいを消して唯々打ちあがる花火に、ファーレス君をはじめ、ルールウド君さえも驚いた
「ショージ…」
「?何?」
「…言いにくいし、強要はしたくないけど、もう生徒会入った方がいいと思う」
「んー、そうだね、検討しておくよ。」
「…もしかして、その…瞬間移動なんかはマネできる?」
「それは無理。空魔法でしょ、格好いいよね。あ、でもね、俺キッチンが出せるよ」
「き…キッチンのどこが出せるの」
ルールウド君がそういうから俺は少しだけ考えて教卓の所に行き、キッチンを丸ごと作り出して見せた
一部分じゃなく、キッチンルーム全体をコピーしたものだ
「こんなくらい。」
「……………何それ、僕も知らなかったんだけど!」
「オーブンに、冷蔵庫、魔法の窯に…なにこれ、ポットに、調理器具完備、まるで寮のキッチン部分そっくりじゃない!」
「そうだよ、それ真似して作ったんだもの。」
「 」
キキョウさんが唖然としてその場で座り込んじゃうくらいには完備できてるよ
そしてルールウド君とステフィム先生が愕然としているのは何でだろうね
『ニャー、ショージ、これ使ったお菓子作れば売れるにゃ』
【さすがにそれはない】
う、うん、流石に売れないかな
そんなに甘くないと思うよと俺はキッチンを消しながらスミレにそう言った
「…………ショージ様、ある程度の大きさがある物を出すときはせめて私に一言言っていただけませんか」
「あ、ごめんなさい。」
ステフィム先生が胃を押さえて、痛そうにしているので俺は魔法で水を出して、その水に回復する魔法をかけてステフィム先生に渡してあげた
「この水で痛みを抑えられるはずですよ、どうぞ」
「…ありがとうございます」
ステフィム先生が水を口にしたのを見届けながら席へと戻った
水を飲んだステフィム先生は驚いた表情をしてからお腹をさすった
きっと痛みが引いたんだろう、よかったね
そんなことをしていたら授業が終わり、鐘の音が鳴った
キキョウさんは教卓の前で呆けて座り込んだままだが…大丈夫だろうか
「ハァ…ショージには驚かされるばかりだよ」
「大した事してないよ?」
「『しているから!』」
何故か生徒たち、上級生、先生の声が一斉に上がった
何故だ、解せぬ
「ハァ…あ、ショージさっきの魔法ってどのくらい魔力消費するんだい」
「大体200位だよ。ほら。」
ルールウド君に簡略化したステータスを見せると乾いた笑いを出して苦笑した
【HP;600/600 MP;1300/2700 異常状態;無】
「……………ルールウド、どういう教育してんだそいつ」
「いたって普通ですよ。…多少、想像力が豊か過ぎて、…魔力量が多いだけですから」
ルールウド君がコントロル君となんかどこか遠くを見ている眼でそんな会話をしている
そんな、ペットの粗相を飼い主が管理しきれないから呆然としている的な感じを出されても俺はなんともできないんですけどね?
そんな二人のやり取りを見つつも俺は席を立ち、アルト君の所に行こうとした
そしたらルールウド君に思い切り、手首を掴まれ止められてしまった
「ちょっと待ってショージ、何処に行くの?」
「?アルト君のとこ。チームメイトになってもいいって言ってくれたから遊びに行こうかなーって。そのついでに生徒会の事も話しておかないと」
「…………僕も行くよ。それと今後ショージは僕から絶対にはなれないでね」
「????」
「僕とショージ自身が思ってた以上に、ショージは凄かったってこと。苦手属性の火、風の魔法、しかも人の創作魔法を見ただけでまねできるなんて予想外だよ!なんで話してくれなかったの」
「?????みんなが出来ると思ってたんだもの。」
俺がそういうと、ルールウド君が頭を抱えた
だって当たり前だと思っていたら一々そんなの言わないでしょう?
それに俺はマネできるかどうかわからないときは分ちゃんに聞くしね
「ルールウド君、アルト君の所行こう?」
「…ハァ、そう、だね。常識と思えば、聞かないよね…。ハァー…ショージ、アルト君の所はお預け。ちょっとおいで。座って。」
お、おう・・・
何故か怒られてます、何故
俺はストン、と椅子に逆戻りして、ちゃんと座った
ルールウド君は俺の隣に座って、俺に向き合って座っている
「いいかい、ショージ。まず、第一にね?魔法は苦手属性の魔法でも多少は使えるでしょう?」
「…うん。」
「でもね自分の適性魔法以外の魔法を見ただけでそっくりそのまま、真似なんかできないんだよ。」
ルールウド君にそう言われてしまったけれど、俺は出来ているからなぁ…
事実火と風の魔法は加減こそ必要なものの、そこそこ似たような物が出来る
「それに、創作魔法を真似する魔法なんて聞いたこともない」
「原理が分かっていれば大体わかるよ。」
「いいかいショージ。原理が分かっていても直ぐにそれを自分の魔力と適合させて、出力し、真似たまんまの魔法として現象に起こすなんてほぼ不可能だ。そんなことしたら、大概の人は魔力がコントロール出来なくて不発、もしくは魔力爆発を起こすの。」
「………?」
俺が首をかしげるとルールウド君は頭を抱えた
うん、できるから今一ピンとこないんだ、ごめんね?
「…こう考えて。ショージにできることを僕が真似しようとするでしょう。」
「うん」
「実際に、ショージの目の前で何度かやったことあるけど、ショージの魔法を真似してゴムとかジテンシャ出そうとしたことあるよね。」
「うん」
実際に、ルールウド君に一から教えた自転車の作り方は金属とゴムに分けて細かく懇切丁寧に教えたことがある
土属性魔法一つでポンと出す自転車は、金属政策と、ゴムとでざっくり別れられるけど、なぜかルールウド君は出来なかったのだ
「僕は、ゴムをショージに教わって土魔法から作ろうとしたでしょう。でも出来なかったよね。」
「うん」
「ちゃんと原理も、やり方も、魔力量、全てを気にかけていたけれど、出来なかったよね」
「…うんそうだね」
なんでなんだろうね、決してルールウド君の理解が及ばない範囲の魔法や魔力が足りない、なんてことはない筈だったのに、どうしても駄目だったんだよね
本当、魔法って色々と謎だよね
「それはね、ショージの創作、オリジナル魔法だからだと僕は納得したよ。オリジナル魔法は、その人本人だけでしか作れない、使えない魔法なの。ショージのお友達や僕にだって、ショージだけの魔法は使えない。」
…そうなのか?
…そういうものなんだ、と納得するしかないかもしれないけれど…出来る事は出来ちゃうんだもんなぁ…いまいちよくはわからないよ
「ショージはそれを真似できたのは…謎だけど、でも基本的にモノをまねて作るんじゃなくて、魔法そのものを真似する魔法はそうそうない物だよ。いいかい、これから先魔法をまねるのは禁止。普通に基礎魔法とかだったらいいけどね、創作魔法が真似されたら驚くし、…敵も作ることになるんだからね?」
「…わかった。真似しないよう頑張る」
「うん、どうしてもっと早くに言っとかなかったのか、僕は後悔してるよ…」
ルールウド君は頭に手を当ててため息をついた
そんなに頭痛いなら薬飲めばいいのに、とか思ってても原因は俺だと判明しているから言わないでおこう…気苦労させてしまったのはちょっとばかり反省するけどね
「あ」
「…今度は何?」
「あのね、レシェルナさんが言ってたの。スミレがうまい事カバーしてくれているから多少苦手な属性の魔法でも人並みに出来るよって。」
「……………うん、でもねショージ。いくら精霊使いでも、創作魔法は真似できないからね、それは、今関係ないんじゃないかな?」
「そっか。」
ルールウド君は疲れたような顔をして大きくため息をついた
そして子供に言い聞かせる様に俺にゆっくりと理解させようとしているように言った
「人の物を盗ったりしちゃダメなように、創作魔法、オリジナル魔法は複写できないのが当たり前…いいかい、絶対にダメだからね。何度も言うようだけど!できそう、だからという理由で簡単にまねしたら駄目。」
「わかった。」
「あと本当に、生徒会に入ろうか…何やらかすかわかったもんじゃない。せめて僕の目の届く場所にいて欲しくなってきたよ…」
なんだか、ルールウド君はぐったりしていて、その姿はいつもの頭を抱えているステフィム先生を見ているかのようだった
事実、ステフィム先生が同類を見るかのような目でルールウド君を見ているよ
ルールウド君のお説教、というか軽く忠告が終わると、とててとブルローネ君が俺の席にやってきて机の端っこにちょこんと頭を乗せ、しゃがみこんだ
「ショージ君の創作魔法はどんなのが多いの?攻撃系?それとも日常系?それとも、補助系?」
「うーん…?」
「さっきボクにくれたのは、玩具?それとも、移動を助けてくれるもの?それともあれでスピード出して攻撃手段を増やすもの?」
「んー…?その中で選ぶならおもちゃだけど…」
しいて言えば、と付くような気がする…
スケートボードは移動の助けにもなりそうだしそう答えてもいい気がするけど、やっぱり一種のおもちゃだよな
スポーツ、っていう人もいるだろうけど
「じゃあ他にできる物は、何系が多い?」
「んー…日常系、ってことになるのかな。まだそんなに…はっきりとそれに偏ってるってわけじゃないから何とも言えないけど…」
「ふふ、そっか!ボクの創作魔法も、日常系だよ。もちろん攻撃魔法もあるけどね」
今一、意味が分からん
それを聞いてどうしたいんだ
そうこう思っていたら再び授業の鐘がなった為ブルローネ君は席へと戻っていった
「はい、では引き続き非攻撃性の魔法を見せてもらいましょうね…」
ややぐったりしている様子のステフィム先生がそう言って、手を叩いた
キキョウさんの後の席の上級生の自己紹介という名のパフォーマンスが始まった
教卓の前まで行き自己紹介したのは茶色の鎖骨まである髪を後ろで一纏めにして白衣っぽい裾の長めな制服の下に、Yシャツとネクタイを身に着ている子供だった
ぱっと見で研究者っぽい格好だな、と思った
よくあるじゃん、ドラマとかで研究者や科学捜査の人が身に着けている様なあんな感じ
ぴちっとしたような几帳面そうな恰好に、白い手袋をつけている格好だった
「カサロと申します。適性魔法属性は水、火の以上です。上級魔法でできることはその二つ関連に偏りますが同時展開位は何とかできます。非攻撃的な魔法はまだ未熟なので習得していません。」
そう言って手袋の上から手首を触った
この子、絶対に転生者だ
だって白衣なんて着ているんだもの
そしてついにコントロル君とルールウド君の自己紹介する番になった
コントロル君がガタッと席を立ち教卓の前に立って(凄く面倒めんどくさそうだったけど一応行くんだね)面倒くさそうにだらーんと立った
「あー、コントロルでーす。魔獣使いっすねー、得意な属性は闇、無。幻術が得意。さっさと生徒会に入ってくれねぇと困るなー、暴れっちまっても責任取れねぇなー、以上。」
やはり面倒くさそうにだらだら歩いて席に戻った
こ、こいつ面倒だからって適当に言って帰って来やがった
ステフィム先生も唖然としているよ、どうしてくれる
そして最後にルールウド君が席を立ち教卓の前に立った
「これ僕もする必要あるのかは謎ですが、まあ知らない人もいるだろうから…。僕の名前はルールウド・ドラゴニア。ショージの兄です。適性魔法属性は火、闇、無の3つです。生徒会のチームでは一番年下で若輩者ですが…闇と火を多重展開できます。…えーと、魔法ですよね。こんなのが出せます」
ルールウド君はそういうと小さな黒いドラゴンが火を纏いグルルと唸り、ポッと火を噴いてみせた
す、すっごーい!ドラゴンミニサイズだ!
か、可愛い!いいな、欲しい!
「ふふ、そんな目で見られると流石に恥ずかしいかな。先輩方の魔法には全然かなわない些細な魔法だしね…まぁ、僕の魔法は以上です。」
俺は思わず拍手してしまった
だって可愛かったんだもの!ミニドラゴン!!
俺の真似してまばらだけれども拍手をしだしたクラスメイト達に、ルールウド君は真っ赤になって慌てて席に戻ってきた
「ショージ!何してくれてるの、恥ずかしいじゃないか!」
「だってミニドラゴンが可愛くて!もう一回出して!」
「やだよ!あーもう!あーもう!!」
ルールウド君はパタパタと羽をはばたかせて恥ずかしがっているアクションをしている
あーもうルールウド君のそういうとこ可愛い
真っ赤になって頬を両手で隠し、パタパタ羽が羽ばたいている
「ねー、もう一回ドラゴンだして?」
「駄目!やだ!////」
「あれって闇魔法でドラゴンつくったの?」
「っ~~!っあのね、闇属性の魔法と火属性の魔法は相性がいいんだよ」
「面白そう!俺もしたい!」
「…そう簡単に出来たら魔法の授業はいらないよショージ」
ルールウド君はいったん落ち着いたらしい
羽をフッと消してコホン、と咳ばらいをして苦笑した
可愛かったのだが、俺には無理じゃないかといった
俺は少し考えて分ちゃんにミニドラゴンが作れるかどうかを聞いてみた
【可能ですが、なにか】
「ドラゴン出来るって!」
「…そっか、出来ちゃうんだ…僕あれ結構…フゥ…いや、なんでもない。」
?よくわからないけれど、少しだけ落ち込んでる気がする
ドラゴン作るのは結構難しいのかもしれないな
俺の苦手な方の火属性の魔法だしなーんて考えていたらステフィム先生が苦笑してから手を叩いて注目を集めた
「はい、以上が上級生で生徒会のメンバーさんたちの自己紹介でした。時間が微妙に残ってしまっていますので、ここから次の鐘の鳴る時間まで、えー…軽いレクリエーションをしたいと思います。生徒会メンバーの方々にはリボンをつけてもらい、それを皆さん新入生が魔法を使ってもいいので取る、という遊びです。生徒会のメンバーの方たちは魔法を身体強化さえも禁止で、行ってください。教室内だけで、お願いします」
お、おう…圧倒的に有利に思えるがそれはそれでいいのか?
そう思っていると何故か、前の席にいる生徒が後ろ、俺の方を向いてぐっと両手を握り、頑張ってくれというような顔をした
「ショージ様、頑張ってください!」
いや、実際にそう言われてしまった…
俺は頑張らないように頑張るぞ?
きっと俺が魔法何でもありでやったらさすがに大変だろうから適度に気を抜くぞ?
ステフィム先生もそう思ったらしく、更にルールを決めてきた
「なお、このレクリエーション中にショージ様は魔法を土魔法だけしか使ってはいけないこととします。よろしいですね」
おいおい土魔法以外を使うな?…それ使えるようにしちゃあかんやろ
無属性、でも…駄目だな、有利過ぎる。光…妥当だな
闇なんて土と同じくらいクラス上だから当然使えるならバリバリで生徒会メンバーをいい所まで追い詰める自信があるぞ?
それを考えたらやはり光が妥当だと思うんだが…なぜに土魔法…
まぁよくよく考えればまだ魔法をちゃんと的に当てられないであろう新入生諸君が生徒会メンバーというトンデモ集団に勝てる訳もないから、パワーバランスを取っての事なのかもしれないが…よりによって土属性OKとな?
「はい先生」
「なんでしょうかショージ様」
「万が一、リボンをたくさんとったらご褒美ありますか」
「……そうですねー…ご褒美として、何か後で考えておきましょうか。レクリエーションとはいえ、先輩にあたる方たちからリボンを取るのは大変でしょうからね。さ、リボンを身に着けてもらいましょう」
先生がそういうとそれぞれの従者さんたちがリボンを取りに行き、思い思いの場所にリボンを付けた
ルールウド君は羽の付け根に着けて、とり辛そうにした
コントロル君は右手首に巻き付けて、何回か縛っていた
その他も手首や足首、自分の頭に鉢巻きにしたり、腕に着けたりして好戦的に俺を見ていた…ナズェミテイルンディスカネェ…
カサロ君だけは、少し嫌そうにリボンの端っこを持ち、リボンを布で拭いた後手袋の上から小指に着け、更にそのリボンを布で拭っていた
…?その行動に何の意味があると言うのだろうか
「では今からスタートです」
ステフィム先生がそう言って手を一回パン、と叩いた
俺は土属性の魔法で、自分の分身を3体作った
「ちょ、ショージ手加減してよ!?なんで分身作る必要があるの?!」
「土属性なら何でもいいんでしょう?ならこうした方が手っ取り早いもの!大丈夫、分身も今回は土魔法しか使わないようしてあるから」
「全然大丈夫じゃないよ!」
ルールウド君はそう言って、ひょいッと壁を上った
天井の明り取りの窓のへりに足を乗せ、俺に抗議をしている
ハハハ、高い所に居れば安全?いいえ、一時的にはそうかもしれないけれどそれはきっと間違った選択だよ
俺本体がルールウド君の相手をしている間に俺の分身は他の生徒たちに魔法をどの程度使えばいいかとか役割をこっそりと決め、指示をした
分身Aに指示された風魔法を使えるファイハルト君が教室の中の気圧を少しだけ上げて他の子で風を使える子が生徒会メンバー以外の子の周りに空気の層を作り、気圧の変化から守る
分身Bが直接生徒会メンバーの足元にだけ木の根っこを生やして足を固めてさらに動きを障害する
ルネア君とカフィーユ君は分身Ⅽに言われた通りに影を操って生徒会メンバーを翻弄しつつリボンを取る…まぁ大分動けないはずの生徒会メンバーさん達にはそれさえも問題にならないのか躱されているけれども…
「とった!」
「残念それは偽物だ」
「えええええ!」
…いいように翻弄されているのはこちらかも知れない
ハダスさんとルネア君とカフィーユ君が頑張っていちゃついているので俺の分身Aは『楽しそうで何よりです』と言いたそうな顔をして見ている
いやお前分身だけどさぼるんじゃないよ
はいそこ!
今お前が言うなと思ってないかい?
さぼっているんじゃないんだ、土属性の魔法での分身は、竹の根っこでいくつもの子供や自分を増やす感じに似ているんだよ。つまり俺は動きたくても動けないんだ
え、やっぱりさぼりじゃないか?
土魔法で援護してるから問題ないです
どう援護しているか?木の枝を使って生徒会メンバーのリボンをピンポイントで狙ってるんだよ、今現在進行形で!!他の生徒たちも頑張っているけれど、俺は名前知らないし分ちゃんに教えて貰ってるけどみんな動くせいで俺そっちに意識割けないし、分身を三体も出しているから操作大変だしこれでも忙しくしているんだぞ?
キキョウさんとかブルローネ君とかすばしっこいし!くそったれ、なんで動けるんだ!
蔦とか枝とかで足とか体を巻き取っては身体能力だけで躱されているという現状…
流石に上級生だからか、発動する前にすでに躱されたり、している時すらある
でもこんな硬直状態が続くわけもなく・・・・・
「とった!」
「…負けた。」
一番最初にリボンを盗られたのはソルシエ君だ
リボンを取った子は俺の分身Bと共にソルシエ君を挟み撃ちにし、同時に魔法を使ったうえで、何とか奪い取ったのだ
えらいぞ!えー…と
【あの子はエントラー】
エントラー君、頑張った!
「あんらぁ、ソルシエ君負けちゃったのねん。」
「ん、疲れた。持久戦、苦手…。」
「あぁ、お疲れ様、おっとと」
「あららん、捕まっちゃったわぁ」
不意打ちのはずだったのだがそれでもシェンフ君には躱されてしまった、残念だなー
キキョウさん用に投げた草の蔓でできた投擲網にはシェンフ君は引っかからず、キキョウさんとソルシエ君、そしてエントラー君が捕まった
「エントラー君、そのままキキョウさんのリボンもとっちゃって」
「え、あ、は、はい!えい!」
「んもう、仕方ないわね。どうぞ。」
「と、とれました!ショージ様ありがとう!」
エントラー君に指示したの分身だけどね
エントラー君が喜んでいるようなので良しとしますか
投擲網を消してエントラー君とソルシエ君とキキョウさんを解放してあげるとソルシエ君は疲れた、という表情でその場で座り込んだ
俺(本体)がパチンコを出すとルールウド君とステフィム先生が二人してギョッとした表情をした
「ショージ様いけません!」
「ショージ、それだめ!」
ルールウド君が思わず飛び降りて闇魔法を使い、俺の手を縛って止めた
「いたた!」
「ショージ、こんな狭い所で、しかも教室で!ぱちんこは駄目だよ!」
ルールウド君がそう言ってパチンコを俺の手から奪い取った
ステフィム先生がほっとした表情でその場で座り込んだ




