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連れてこられた先には…

こんな幼気な子供に何する気?確かに少し調子に乗って新しい魔法とか作っちゃったけどさぁ…

【言いがかりです。ただ待つよう言われただけであり、この後説教が待って居るとは思えません。あとどちらかというと何かお願いしたい事があると言うような感じを受けました】

…分ちゃんが突っ込んできたし、先生が俺に頼み事があるみたい…?

なんだそりゃ、と思いつつものんびり廊下で待って居た


部屋の前に書かれている銀色のプレートには【ノブレ】と書かれたものが飾っていた

ノブレ、なんて変な名称の部屋だな…

普通、会議室とか、校長室とか何に使われているのかわかりやすいというのに、まるで俺たちの寮の部屋とかの個室の持ち主の名前を記載したような名前のプレートだ


なんだろーなーと暇なのでスミレにおやつのささ身を上げながらもずっと廊下のカーペットを見ていた

カーペットの端っこにはきれいな深緑と金色の模様が刺繍されている

白い糸と、薄い浅葱色の刺繍も何となくおしゃれな感じがしている


【それはナシミエントと呼ばれる、いわゆる民族刺繍です。アンバル族と呼ばれる民族が“誕生”した命を祝う時にその家族と新たな命に祝福を送る時に織る物です。刺繍の色に一つ一つ意味があり、深緑が、健康、安全、金色が幸運、白い糸は平穏、薄緑は成長という思いを込めています。】


へぇー、ナシミエント、ねー…なんか、葉っぱとか花とか、鳥っぽいのとか模様が色々と描かれて織ってあるからきれいな絵としても見れそうでいいなぁ


「ショージ様、何をしていらっしゃるのですか」

「あ、すみません。カーペットの模様が奇麗だから見てて」

「あぁ、そうですか。随分と待たせてしまったようですね。」


そんなことを言いつつ先生が一歩扉に近づくと分ちゃんが頭の中のウィンドウは青色なのに、パソコンの画面上の下枠にあるような感じに文字が出てくるのに、今回はポップアップのような灰色なウィンドウが出てきた


【ステフィム先生の後ろに、透明になっている魔法を使っている人がいる。】


……うん、いた

俺にもうっすら見えている

なんか、クリーム色のロングワンピースっぽい、ローブっぽい裾が長く足元まである服を腰のあたりにあるベルト代わりの紐で止めて、杖をついているよぼよぼな爺さんだ

ただ、その人は温和そうな顔をしているのに…なんだろうこの違和感は

なんか、凄く…本来はもっと違う姿をしているのに、態と変装しているような…


…下に別の絵を描いた上に奇麗に油絵でぬりたくって別物にしたような…


【透明になる魔法と幻覚魔法を使用しています。本来はもっと違う姿です。】


そう言って分ちゃんが見せた(なんか画像を脳内にぱっと映し出された)画像には、…にっこりしながら目は一切笑っていない、筋骨隆々の筋肉質の若々しいおじいさんがいた

うわぁ…元大工です、とか鉱山夫ですとか言われても違和感ない様な筋骨隆々のおっさんが年とってもまだまだ筋力有り余ってますよ―的な感じのする人だ


ドラゴンなのか、分からないが目は爬虫類の細長い目、頭にはぐるりと金色の冠のような物がはまっているし、服装は上半身に裸にジャケットを着ていてジャケットの中には何も着ていなかった

ズボンは先程の模様に似たような模様が刺繍されてあり多分同じ民族の刺繍なのだろうと思った


「?ショージ様、どうしました」

「…いえ。」


俺はにっこり笑ってスミレを抱きかかえるとステフィム先生と、その透明になっている人の後ろに続いて部屋に入った

部屋の中には質素な数点の家具、壁一面に本棚、本が沢山詰まっている

ソファーがテーブルを挟んで対に置いてあり、そのテーブルとソファーの向こう側、扉の正面には遮るように衝立のつもりなのか、奇麗なすりガラスとエッチングガラスが組み合わせられて向こう側が見えなくなっている


俺はステフィム先生がなぜここに連れてきたのか改めて不思議だった


「ショージ様、そのソファーへどうぞ座ってください」

「はい」


俺がソファーに座ると意外にもふわふわだった

小さい体の重みをあっさり跳ね返しつつも、柔らかく受け止めてくれた

思わず何度も跳ねたくなるが我慢してステフィム先生を見上げた


「先生、僕に何のようなんですか?」

「ショージ様は、多重魔法が使えますね」

「はい使えます」

「分析魔法も、使えますね」

「はい授業中は我慢します…」

「これを、鑑定してみて欲しいのです」


先生はそう言って、布に包まれているポケットに入っていた小さなものを出して見せた

指輪ケースのような入れ物に入っている、小さな箱が布から出てきた


「開けてみていいでしょうか」

「どうぞ」


俺の持たされている小さな箱を、キューリャさんが持ち、ふたを開けてまじまじと見て、俺の耳に直接魔法石の原石のようだと伝えてきた

…そんなものどうしろっていうんだ?


「分析してもらえませんか」

「…ハァ、いいですけど…」


分ちゃん、お願いね

【任せろ!バリバリ】

バリバリすんな、破いたら先生に見せられないだろ

【冗談。はい、分析結果。】


【魔法石 原石(リリックタット迷宮最上階産 レア度15)取扱説明書;暗所保管推奨】

【魔法石 原石 成分分析書;光属性の魔法石8割、赤雷土2割 魔法石を削りだせば使い物にならない為加工はこのまますることを勧める】


なんだそりゃーと言いたいのをぐっと我慢して、取説と分析書を先生にあげた

こんな加工できないこと前提の石をどうする気なんだろうかと、そんなことを聞いちゃいけないのだろうなと言う事は俺でもわかる

先生は俺に貰った成分分析書と取扱説明書を後ろの透明な人にも見えるような角度で広げて目を大きく見開いた


「…すみませんショージ様、この暗所保管推奨、とは?」

「え?あー…暗い所で保管しないといけない、そのままの意味だと思います…よ?」


ね、分ちゃん

そこのところどうなの

【魔石は基本的に暗所保管推奨、と言っているだけだぞ。明るい所で保存すると劣化するからな。特に、原石は土や周りの石が10時間も強い日光の光にさらすと崩れる】

まじか、意外に脆かった


「…えーと、なんか…日光の光に?当て続けちゃうと劣化するみたいなんで…?」

「そうなのですか?」

「原石なんかは、周りの土とかが脆くなって、魔石の効力も落ちる…?みたいな」


それでいいんだよね、分ちゃん

【それで略あっている。ただし、加工の時に合わせる物質によって、変化させられる。その物体によって保管場所が変わるから注意。この魔石の場合、周りを削ってしまうと逆効果なのでこのまま杖とかにしないといけない加工技術がゆえに、レア度が跳ね上がっている。】

…なるほどね、そこまでして加工する必要あるのか、この魔石


【貴重な光属性の魔石、それなりに金や技術が必要だがうまく加工すれば、あるいわ。】

そんなに大変な思いしないといけないのにこの魔石を保持し続けるメリットは何だろうか

【権力の誇示、または見栄、またはそれなりに子息を預けても安心できるという保証。】

こんなに貴重な物も手にできるよ、だから安心してねってこと?

【そう】


ほーんまぁ俺には、興味ないね

俺がそう思ってスミレを撫でているとスミレも興味なさそうに俺の手を舐めてきた

一寸くすぐったいけれどまあ猫だし仕方ないね


「(……どう思いますか)」

「(なるほど、これは正確な鑑定じゃ。不正な物もない純粋にあの子供の魔法じゃ。わしの看破の目にもそう映っておる。次はあの子にこれを見せてみろ)」

「(わかりました…って、教頭、これは最近ダンジョンから発掘したばかりの、まだ用途不明な物じゃないですか)」

「(わしの看破の目で見破れんものじゃな。どうなるか、気になるのぉ)」

「(…ハァ。分かりました、見せてみます)」


ステフィム先生は後ろの透明の先生と小声で話しているけれどハーフエルフの俺にはばっちり聞こえていますよ、といいたいね…いわないけれどね

そのままステフィム先生がごそごそと透明な先生から(なんか教頭とか言ってたけれど、本人がちゃんと自己紹介してないしね、自己紹介するまでは俺は透明な先生と呼ぶよ)渡されたものを受け取り、それを俺の方へと向けて見せた


キューリャさんが首をかしげながらも受け取りそれを俺に渡してき…

クッションの上に置かれたそれは紛れもなく、俺の世界にあった電話だった

電話と言っても携帯電話じゃない。固定電話の、子機だ

……え、ナニコレをどうしろと?


「?」

「鑑定してもらえますか?」

「……………はぁ、いいですけど」

分ちゃんヨロ

【了解。】


【電波会話受信器、子機(レア度★1)取扱説明書;現段階では一点物、国宝級の珍品】

【電波会話受信器、子機 成分分析書;機械10割

概要;電波に乗せてはるか遠くまで声を届ける、機械。これ単体では使い物にならない、ただの機械の塊だがこの世界ではだれも一人として仕組みを理解できない。(例外;昇次)これの他に、親機である受信機本体、安定した電波、通信機が必要】


…………………これは酷いww

え、此れギャグ?笑っていいの?

思わず吹き出さなかった俺を誉めてくれ


俺は笑いそうになるのをこらえてステフィム先生に分析結果を渡した

ステフィム先生は首をかしげて読むが、透明な人とほぼ同時に首を傾げた

もうこれ笑っていいんだよね

読んでもこれこっちの世界の人にはわかんないだろ的な意味で、笑いたくなるんだけど


俺はクスクスとこらえきれなくなって笑ってしまった


「(これの詳しい事を理解できるという例外は)」

「(おそらく、例外はこの子だと思われます。この子の名前はショージ様で)」

「(なるほど、この文字は“ショージ”と読むのか)」


クスクスと笑い声を押さえて笑っていたらスミレがニャーと鳴いて呆れた顔をしたので素直に笑うのを止めた

ごめんよ、だって面白かったんだ

電話の子機を片手に、あれこれ真面目な顔をして話しているこの人達がシュールでね…


「(この物体の事を理解できると書かれているな…わしにもわかるように使って貰えんだろうか…)」

「(…どうでしょうか…これは足りないものがあると記載されてますし、無理ではないでしょうか…一応、聞いてみましょう)ショージ様、これをもしお使いになられるのでしたら、今、この場で使って見せることは可能でしょうか」

「無理です、ごめんなさい。ふふふ」


だってそれ子機だもん

親機もないし、電波もない

使える訳ないじゃないwww


「(やはり無理だそうです)」

「(むぅ、此れの機能を見てみたかったのだが…)」

「使えないのなら仕方ありませんね。ショージ様、どうもありがとうございました」


透明な人は残念そうに子機を見つめ、ため息をついた

ステフィム先生は苦笑をして俺に礼を言って教室へと送ろうとした


「それに似たようなこと、僕もうステフィム先生に見せてるんですけどね。」

「なに!?」

「え?!」

「じゃ、ステフィム先生、教室に戻りm」


ガシッと透明な人に肩を掴まれ立てなくされた

…痛い、強い!そして何より早い!

透明な人はテーブルを挟んで俺と反対方向に、しかもステフィム先生の後ろにいたはずなのに一瞬で俺の肩を掴み、上から押さえつけてソファーに戻した


「…っつ、なん」

「きょ、教頭先生!何しているんですか、彼はまだ小さな生徒なんですよ?!」


ステフィム先生が慌てて俺の目の前にいる透明な爺さんを取り押さえようと必死だが爺さんは梃子でも動かない

改めてこの爺さん、ただもんじゃねぇな

俺は一瞬抵抗して魔法を使おうかと考えたが、分ちゃんがやめとけと警告音を頭の中にガンガン鳴らしているため、魔法での抵抗を諦めた


素直に、何も知らないのに動けない幼気な子供を装う事にした


「先生、なんか体が…肩が重たくて動けないです」

「あぁ、すみません、ショージさま!ただいま大人の事情と申しますか…教頭先生、一旦離れてくれませんか?えーと、教頭先生という、先生の纏める先生と言いますか…偉い先生が君を教室へと返したくないみたいなんです…申し訳ありませんが、もう少々、先程の事を私と教頭先生にもわかるよう言ってくれると助かるのです、ショージ様」


あ、これ言うまで話さないとかそういう…?

そういう感じ?痛いってば

どんだけ力強いんだこの爺…


「わかりました、教えます!痛いので放してくれませんかねぇ!」

「うむ、観念したか。」


俺はなんも悪い事してねぇし、観念してねぇよ!

てめぇが姿先に見せろよ!てめぇはこそこそと(してないけれど、見せてないんだから同じだろ)隠れといて俺に観念したとかいうんじゃねぇし!


「人に物を頼むとき位は姿見せろよ、くそ爺」

「おぉ、生意気にも歯向かってくるか?いいぞ、男たるものそうじゃあないとな!あははははは!威勢がいいのは嫌いじゃないぞ、小僧」


そう言ってパッと姿を現したのは、やはり分ちゃんが見せてくれた筋骨隆々の方じゃない方の、俺が最初見たよぼよぼの爺の姿だった


「年寄りの振りしてんじゃねぇ、本当は違う姿なんだろ」

「ほぉ…?よもやそこまで見破るとは…」


そう言ってよぼよぼの爺はにやりと笑い、人を食ったかのように、くかかかと笑うと(どういう笑い方だよ…)次の瞬間分ちゃんの見せてくれた現役バリバリの筋肉だるま状態の爺がそこに居た


「わしの名はダーティ。小等部と中等部の、教頭先生なんぞを任されて居る。」

「はぁ、どうも…ショージ・ドラゴニアです」

「うむ。わしの子の姿を見破ったのは、お主で二人目だ。一人目はルールウド・ドラゴニア第一皇子だったな。主の、兄だ」


なんとルールウド君がこの爺の幻術(仮)を見破ったとな!

流石はルールウド君、ハイスペックですな…

で、なんでこの筋肉爺は俺の肩から手をいまだに放してくれねぇのかね?

【逃げ出さないように、じゃないかな】

最初から逃げられる気がしないんですが、それは…


「それで、ショージとやら。この物体に似たような事が出来ると言ったな?」

「…魔法で、似たような事が出来るだけですよとっとと放せ、いてぇんだよ馬鹿力か」

「がははは、それはすまねぇなぁ、わしは年寄りだからかすっかり忘れとった!」


嘘だ、この筋肉だるまわざと俺の肩掴んだままなのはわざとだ

言うまで放さない気だな、こいつ

俺はそのままどうしようもないので黙ってジトリと筋肉だるまを睨む

するとそれすらも面白いと言わんばかりににやにや笑って俺の頭をガシ、と掴んできた

あ、これは嫌な予感がするぞと思ったらやはりそのままグリグリと(本人的には)撫でまわしてきた


ぐらんぐらんと視界が揺れる

頭はわしづかみにされて圧迫される

く、首がもげる、死ぬ!俺は思い切り黒い影の手を出し、筋肉だるまに黒い手を両方組み合わせて筋肉だるまの頭に振り下ろした


「おっと、ははは!」


…………………筋肉だるまは俺の黒い影の手、しかも両手の組み合わせ振り下ろしたのを片手で羽虫を払うように払って、かき消した

ば、ば、化け物だ

両手の影の手を一瞬で払いのけ、消した…なんて奴だよ

両手でぐっと振り下ろす、この攻撃はあのアイスクルードでさえも頭蓋骨陥没、全身骨折させ、魔石さえも欠片を残さず砂にするというのに…


俺は影を作り出し、筋肉だるまの影と自分の影を繋げてそのまま影を奪いと……れなかった!本当なら奪い取れるはずなのに!


ぐぐぐ…この爺、強い!


因みに奪い取ったら影は実体化して俺の思いのまま操れる人形になる

影は本体を表すものだから、影と本体は自由を失い動けなくなるというのに!!

俺は影を奪い取るのを止めた後、影に手を突っ込んでズルッと引き出したるのは黒い炎を纏うバリスタ(超重い)


筋肉爺は面白いおもちゃを見た子供のように目を輝かせて、ステフィム先生は顔面蒼白、唇が面白いように土気色になった


「しょ、ショージ様その禍々しい物は何ですか!明らかに子供のおもちゃではありませんよね!!!というか兵器ですよね!!」

「はっはっは!面白い!!そのデカ物でわしを倒そうっていうのか?」

「なに楽しんでいるんですか!教頭!!」


筋肉だるまは笑いながらもバリスタに自ら向かい合って両手を広げた

いかにもさあ打てるもんなら打ってみるがいいと言わんばかりだ


「さあ打てるもんなら打ってみるがいい」


うわ、本当に言ったよこいつ

物本の化け物、しかもバトルジャンキーっぽい怖い

まあ打てと言われたら打つけどね!!


ドゴーンと音とともに、筋肉だるまに向けられる黒煙と黒い炎、そして火花

ギュルルルルという音を立てて何かの金属音、だろうか…何かを削る音

そして黒煙と変な臭いを立てて、巨大なバリスタの弾を素手で・・・・・・


こいつ何したら死ぬんだよ

ギャグマンガか何かなの、この世界…

次、もうショットガンやランチャー出したろか?

そう思って混乱しながらも俺は影の中に隠れた

もうこの倍くらいの兵器…ミサイR


「ショージ様、お小言を言いにマクスェルとルールウド様がお見えになります」


あががががががっ!!?

そりゃ一大事だ!よし逃げよう、透明化をしなくてh


無情にもバタバタと駆け寄る足音が数十人分、聞こえた後コンコンとノックの音がしていそいだような声で扉が開けられるのと同時に、色んな人が入ってきて固まった


「『教頭、ご無事でsなんですかその物体はあああああああああああ!?!?!』」

「はっはっはっは!面白いだろう?」

「きょ、教頭、この巨大な物は、いったい…」


筋肉だるま基い教頭先生は笑って魔法だと応えてしまった

暫くするとマクスェルさんが先生なのだろう大人たちを押しのけて通してくれるよう言う声が聞こえる

俺はますます深く影の中にもぐって、更に透明化まで使った

こ、これで影は消えたはず!!筈!そうだと言ってよバーニー!!


【外見的にはうっすらとした影が出来ているだけに見えるはず。だがしかしルールウドの生まれ持ったスキル“鑑定眼”の前には無駄なあがき】


うんそうだろうね

だって、…だって


「先生方、ショージがお騒がせしました」


ルールウド兄さまご到着なされた早々に、俺の影を見て早々に先生たちに眉を顰めながらも謝り、俺の隠れている陰に手を突っ込み、俺を現段階でずるりとひきだしているもの・・・


「お、お兄様…?」

「ショージ、何があったかは後でゆっくり聞くよ。でもお仕置きはあると思ってね」

「お、お慈悲を…」

「悪い子に慈悲なんて言葉、僕にはないよ。」

「か、勘弁して!反省してます!もうチョー反省するから!」

「駄目!マクスェル、お願いね」

「仕方ありませんね。」


お、俺、俺もこうもりになって消えたい!

もしくは霧!!陰に隠れたい!!

【諦めろ】

やだぁあああ!うぎゃああああああ

マクスェルさん、堪忍をおおおおおおおおお!

・・・・・・・・・

・・・・・

・・・

ぐすん(´;ω;`)

しっかり泣くまで叩かれた上に、更にバリスタを消すよう言われ、消したら次は問答無用で何があったのかを白状させられた


「この人が悪い」

「そうじゃなくって、何があったのか聞きたいの。それと、人に向けていい武器の大きさはショージの両手を広げた大きさ以上の物は禁止と言ってあるでしょう!」

「この人が打っていいって言ったんだ。面白い、打って来い!って」

「ショージ?」

「…………ごめんなさい」


俺はそんな無駄な抵抗をしつつも、しっかりと怒られた

なので一から物事をすべて俺はありのまま言うことにした


「俺、授業中に、新しい魔法作っちゃったの。ルールウド君みたいな、物の本意や魔法陣や術が使われているのが分かればいいなーって思ったら、此れが。」


そう言って俺は分ちゃんを適当な物を鑑定して生み出した

それはとても装備し辛そうな石だらけの指輪だ


【宝石(原石)の指輪(キキーラ迷宮産 レア度2)取扱説明書】

【宝石(原石)の指輪 成分分析書;硬度;3 傷つきやすく、繊細に扱うべし 防熱魔法付与、防火魔法付与、衝撃緩和魔法付与 一般的な宝石の付いた貴金属に指定される 備考;装備すれば防火耐性10、物理衝撃緩和17が付属する】


分ちゃんを見たルールウド君が大きく目を見開いて俺に石だらけの指輪を見せて欲しいと言ったのでルールウド君に渡すとさらに驚かれた


「僕だってそんな…防火耐性?物理衝撃緩和する魔法…指輪を身につければそれがつくなんて…わからないのに…」

「分ちゃん凄いから」

「………ぶんちゃん?」

「魔法に名前つけたの。分ちゃん、意思もあるんだ。」


俺がそういうと、分ちゃんがルールウド君の手の中の紙の文字を使って、自分の意思を伝えるために文字を動かした

ルールウド君はそれを目を見張るようにじっと見る


【“私”は解析や、分析をする魔法。正確には『解析魔法』ですが魔法から精霊術、宝石類、更には歴史的価値のあるものか似せて作る贋作か、はたまた、食事に薬が使われているか、何でもわかります。昇次の元居た世界の事も、こちらの世界の事も把握できております。ですがあくまでも『私』は昇次の想像と魔力で生み出される現象の一つです】

【そして“私”は『分ちゃん』などではありません。昇次につけられたあだ名です】


分ちゃんの文句を見てルールウド君は目を擦る位には驚いた

ルールウド君以外の、先生たちも驚いた

そして分ちゃんを何度も見て目を擦ったり頬を抓ったりした


「……ふ、ふふふ!はははは、ま、魔法に意志!?そ、そんなことまで?!あはははは!」

「こ、こんな、こんなことが、本当にあり得るのか?いや私は夢を見ているのか?」

「ふぁああああああ!気が狂ったのか、俺は!」


なんだか大騒ぎになってしまったので、怖くなったので俺はスッと透明化して影の中に隠れた 怖いよ、発狂している人たちがいるよ

しかし俺のその無駄の抵抗はすぐにルールウド君にズルリと引き出された


「ごめんね、少し驚いちゃった。でも面白い発想だね。一々潜らないでくれると助かるんだけれどね?」

「あう、ごめん…でも、その…怖い」

「ショージにも恐怖はあるんだね」


一寸俺の評価はどうなっているんだと聞きたくなるような言葉が聞こえたんですけれども?!俺はちゃんと恐怖を人一倍感じやすいよ!元人間だからね?!


「あるよ!?この筋肉爺も怖い!」

「…………………………ショージ、人の悪口はよくないよ」


ルールウド君は俺がさした筋肉だるま先生を見るなり遠目になって目を反らした

反らしたと言う事はルールウド君も怖いんだね


「で、魔法に自我があるのはわかった、けどそれでなんであんなにでかいのをだしたの」

「ステフィム先生が、授業中この魔法を出したのを見て授業が終わったらこの部屋に連れてきたの。」

「?それで?」

「この筋肉爺が透明化してこっそりついてきたからこの部屋の持ち主かなーって思ってなんも言わなかったんだけどね?」

「…う、うん」


ルールウド君は眉をひそめて米神に指をあてた

筋肉爺という呼び名が気に入らないらしいがそんなのは大事じゃないしスルーだ


「あれこれ見せて分ちゃんに分析してって言ってきたから全部して見せたら」

「うん」

「これが結果ね」

「…うん、ん?これ何?僕でもわかんないんだけど」


ルールウド君がさしたのはやはり子機だった

俺はすぐに分ちゃんの子機の分析結果を見せてあげた

しかしそれでもわからなかったらしく首を傾げた


「よくわからないよ。…この、例外ってショージの事だよね。ショージはこれがどういうのかわかるってこと?」

「うん、勿論。これ単体だったらただの置物だよ、ふふふ」

「なにするもので、どういう仕組み?」

「それと似た機能の物、ルールウド君も似たようなもの持っているよ。」

「…………………?僕が?これ知らないよ?」


キラリ、と筋肉だるま爺の目が光ったかと思うとがばっとルールウド君をとらえ、強制で座らせた

しかしルールウド君はケロッとしている表情で、難なく普通にソファーに腰かけるみたいに座っている…押さえつけられているのに、ただ肩を置かれているように平然としている

…多分、ドラゴンだからかな?めっちゃ俺痛かったんだけど


「痛いですよ、教頭先生」

「すまん、加減は苦手だ。ルールウド、お前も持ってるのか?これは国宝級とあるぞ?」


どうやら多少は痛かったらしい


「そんな大それたものないですよ?!それにそれは僕見たことないです」

「む…だが似たような物があるといったではないか」

「…うーん…ショージの話を最後まで聞いてからでいいですか?」

「むむ…しかたないな!」


何がしかたない、なんだかわからないな

そして何がそんなにこの筋肉だるまを駆り立てるんだ?

ただの電話の子機なのに…珍しいからな?


「それで、ショージは何をどうしたの」

「今のルールウド君みたいに押さえつけられて強制で座らされた」

「…………あー、そっか、それで抵抗しちゃったんだね」

「うん。影の手で殴ったら解放してくれると思ったのに、虫を払うみたいに片手で追い払われて消されて、一寸カチンときたからバリスタだした。」


ルールウド君は頭を抱える様に前かがみになって溜息をついた

俺は反省なんてしてないけどね

だっていきなり押さえつけてきたの、この筋肉爺のほうだし

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