授業が平穏に終われてよかったね
つくづく、教えるのは大変だねと思ってしまうがそれを俺に求めないで欲しいのですが
俺はただの一生徒であって、特別教員とか先生とかじゃないんですが、それは…
あ、そうだ
俺は思いついたことをやってみようとプラスチックの子供用のコップとスコップ、更に玩具の入れ物を入れた子供用のバケツの、砂場遊びセットをだした
「それは何ですか」
「砂場遊びセット。」
「すなばあそび…?」
そこはやはり庶民と貴族の差なのか、すぐにわかるような事はなかったようだった
因みに町の子供たちは喜んでいたぞ?出した途端に俺から砂場セットを奪うようにとり、思い思いの道具を手にとって公園に行き、砂遊びをし始めるくらいには…すぐに理解したしさらに自分で工夫して水をかけてお城やらトンネルやらを掘って遊んでたぞ
まぁ貴族の子供たちだし、これを出された所でパッとは思いつかないのも納得だ
汚れるし、砂場遊びをするようなところにあまり行かないのだろう
公園とか海辺の砂浜とか。
「ここに砂を入れるでしょう?」
「?」
「入れてみて」
「は、はい」
ファイハルト君は俺に言われるままに砂でバケツを満たした
俺はそのバケツの中に少しの水を入れて、スコップでザクザクと混ぜたものをひっくり返して練習場の白線の中で泥遊びならぬ砂遊びをして見せる
砂をペタペタと弄っている俺の不思議そうな目で見ているファイハルト君と、他の生徒達がしばらく見ている中俺はその砂を型に入れて砂を圧して型から外した
そしてそのままファイハルト君にそれを渡した
キョトンとしているファイハルト君に、俺はというと…
「これをイメージしてみて?」
「こ、これですか?」
「そう、これ、砂の塊だよ?出来るでしょう?」
「え、え、と…が、がんばります!」
ファイハルト君は俺が作った砂の塊をじーっと見て水を使わずに砂を圧縮するように自分で生み出した砂をみてうんうん唸っている
簡単に言えば、水の代わりに魔力を使えば固まるんだがなぁ…
「さっき僕は水を使って砂を押して形を作ったでしょう?」
「あ、はい!確かに、水を入れていました」
「それの代わりに、魔力を入れて、ギューッとしてごらん」
「…は、はい!」
ファイハルト君は魔力を動かして砂の中にしみこませて、そのまま砂を固めてみせた
そこが出来なくちゃ問題外だから、無事に固められてよかった
「よかった、そこまでは出来るんだね」
「は、はい。でも的に当たりませんよ?」
「砂を固く出来たし、形が変えられるのはわかるでしょう?」
「は、はい」
「じゃ、次はねー」
俺は砂から色々なものが混ざった土を作って見せる
そしてその土から小石とか草とかを含む土と砂を分けて、更にその砂から砂鉄をだしてみせる
「これを、作ってみて~?」
「なんですか、その黒いの!?」
「鉄だよー?」
「え、えええええええええええ?!?!」
正確には砂鉄だけどね、などと思いながらも分けるよう言ってファイハルト君にやり方を教えてあげた
何とか鉄を取り出して三つに何とか分ける事が出来たところで授業は終わってしまったけれどファイハルト君は自分で生み出せた鉄(正確には砂鉄)を不思議そうにしながらもとって置きたいので入れ物をくれと俺に言ったから俺がその場で出してあげた小瓶に入れた
そんなに驚くことだろうか
後砂鉄の面白さを教える為に磁石でも作ってやろうかとか一瞬思ってしまった
分ちゃんが却下してきたのでやらないけれど、どうやら鉄は特殊な種族にしか扱えないものと教わっているらしい
嫌誰でも出来ますよーって叫びたい
取り出したり加工したり簡単…ではないかもしれないけれどある程度素人でもできますけど?!なーんて思うのは異世界人の俺だけみたいです
さてさて鐘が鳴り響いて教室に戻ると俺はファイハルト君に教えたように次魔法の授業があるときに教えてくださいと再び詰め寄られて、仕方なしにファイハルト君が土属性の魔法で的を撃てるようになったら、次の人に教えてあげるから、順番を決めてと冗談半分で言ったら皆、自分の周りをそれぞれ見だした
気の強い子は周りにいる子達を睨むように見たり、自信がないのか周りを不安そうに見たりしているのがはっきりと態度に出ていてそれでも俺なんかに魔法を教えて欲しいと言う事が見て取れるほどだった
そんなに俺凄くないんですけどねぇ…
そんなに俺、魔法の事を理解も出来ているとはいいがたいのですがねぇ…
さっきだってよくわからない内に分ちゃんという新たなお友達作り上げてしまったほどですけれども…そんな俺が先生差し置いてこんなことしていいのでしょうかねぇ…
そんなことを思っているうちに先生が次の授業は校庭でやるので従者の人に着替えをさせて貰ってくれと皆に言い聞かせるように言ったことで一時的には、だろうけれども俺は子供たちの集団から解放された
キューリャさんが苦笑しながらも水を差し出して疲労をねぎらう言葉をかけてくれた
「お疲れ様です、ショージ様」
「あぁ、ありがとうございます、キューリャさん」
「お着替えさせて頂いてもよろしいですか」
「あ、はい、おねがいします」
キューリャさんが指を鳴らし着替えがあっという間に変わる
制服のブレザー(レース付き)とは打って変わって、シックな格好の、動きやすいが地味ではない恰好になった
黒いタートルネックのような首元までばっちりとしたアンダーに、腰上?へそ位の長さまでしかない、青色と白の清潔そうな上着、装飾などは一切なく、あるのは胸元に小さいポケットと、そのポケットに小さく薔薇が刺繍されているだけ
下は汚れてもいいように黒いズボンと、白いベルト、膝まである長いブーツに、魔法で体重を軽くするよう魔法陣が傍目かわからないように小さく靴に施されている
魔法の刺繍糸で構成されているベルトと、恐らく衝撃から身を守るよう出来ているであろうスライムの液体とファルディックという魔物の核を組み合わせた衝撃吸収体を裏に敷き詰めた鉄製の膝と肘あてを服とズボンの上から装着した
俺の髪の毛は縛ってある(勿論ミーチェちゃんのくれたリボン)けれども一瞬で帽子をすっぽり被せられた
これで頭から落ちても平気ってわけだ
…まあもっとも、魔族は皆羽をもっているわけで、いらない処置だとは思うし、皆意外に体は頑丈なわけで、ここまで厳重なのはいない訳だけど…
「なんで帽子被ってるんですか?」
「当家のショージ様はハーフエルフであり、よく倒れられるので。」
「…頭打っちゃうと大変だからね」
「…?は、はぁ」
ルネア君は不思議そうにしていたけれど、実際に何度か俺ドラゴンパパさんに強く抱きしめられて気絶した時に頭打って長時間寝ていたことあったからなぁ…
まぁ転ばぬ先の杖、備えあれば患いなし、っていうしね
そして俺以外は帽子抜きで、同じような格好に一瞬で着替えた
先生が全員着替えたのを見てから校庭への案内をしてくれた
エレベーター(板)を降り、渡り廊下を左へ進むと扉があり、そこを開けると校庭に出た
「すぐそばの、この扉の方を開けると医務室になります。もし怪我をしたらここに担ぎ込まれることとなりますので、昨日も言いましたが大事なので覚えるように。」
「「「はい先生」」」
まぁ俺の薬の入っているスカーフか、材料と火の精霊がいれば問題なくエリクシェード作れるけどね…エリクシェードは万能薬なので、骨折から気絶、はたまた病気なんでも治せるんだけれどね?まぁそんなのは置いておくとして…医務室は大事だからきちんと覚えておいて問題はないよな、うん
そして先生はそのまま校庭の端っこの柵に囲まれている所へ案内した
そこには牧場のように、馬が自由に走れる広さと、馬が10頭馬小屋に入っていた
俺がその柵の内側へと一歩入ると大人しくして体を休めていたであろう馬達が嬉しそうに嘶いたり地面を掻いたり…凄く興奮している様子だった
…なんだろう、この…動物たちに大人気っぷりは…
中には扉を飛び越えて俺の元までやってきた馬が、勢い余って俺を押し倒したりした
「あだ!」
「しょ、ショージさま!?ご無事ですか?!」
「あ、大丈夫です、尻餅ついただけだから問題はないです」
俺を押し倒した馬はショボーンとして俺の前から退いた
すっと姿を現したスミレが俺を心配そうにニャーニャー言って鳴いた
『ショージ大丈夫にゃ?!』
大丈夫だよと心の中で会話するとスミレは少し安心したようにはふーっと一息ついて、額にかいてもいないのに、汗を拭う仕草をして見せた
…はいはい可愛い可愛い、と思いつつも和んでいると馬が精霊語で話しかけてきた
『ごめんね』
キャアアアァアアアアアアアアアアッシャベッタアアアアアアアアアアアア!!
驚いたし、凄く意外だった為思わず馬の顔をまじまじと見てしまった
馬自身は目を伏せつつも反省してるよ、許して欲しいな、みたいな表情をしていた
う、この馬も結構可愛いなぁ
『にゃ!反省しにゃいと、駄目にゃ!』
『うぅ…してるよぉ、ごめんね?大丈夫だった?』
『ショージ、怪我するところだったにゃ!め、にゃ!ショージに飛び掛かっていいのはみゃーだけにゃ!』
うん、それはお前自身もやめてくれ
以外とスミレ自身も飛び掛かってくるから困るんだが…まあスミレは体が小さいからいいけれど、それでもそれなりに驚くし身構えるんだからな、全く…
馬に精霊語で気にしなくていいと言うと馬は嬉しそうに俺に頭を下げつつ撫でてもいいと言ってくれた
「しょ、ショージ様、大丈夫でしたか?」
先生が恐る恐ると俺に怪我はないか聞いてきたので俺は立ち上がってズボンの土を払った
そして俺は平気だと言うと少しほっとした表情になった
「えーと、飛んだ事件が起こってしまいましたが一人一頭の前に立ってください」
俺は馬が自ら来てくれたのでせっかくだからこの馬にしてみることにした
皆が一人一人馬の前に移動した
びくびくしている生徒たちに、馬達はケロッとしているようで、俺の方ばかり気にかけているようだった
…なんで本当にこうも動物に懐かれているんだろうな、俺は
先生が言い辛そうに馬の前にある扉の取手にかけてある手綱を今から取り付けるから、馬の手綱を引いて柵の中だけだが外に出すようにといった
なぜ言い辛そうにしているかなんて俺の前にいる馬を見ている事から察してくださると嬉しいです
俺の前にいる馬には手綱、いる?と聞きたくなる位だった
嫌人権ならぬ馬権が侵害されないと良いなという意味でね?
普通に俺に飛び掛かってきたこの馬は、手綱も何も無いのに俺の言う事を聞いてくれそうだったので、試しに戻ってくれるかと聞いた
すんなりと戻ってくれた
なんか、馬は自分の鼻先で扉を開いて、自ら入り、扉を器用に閉めていった
…器用だったので思わずちゃんと自分の部屋なのかはわからないが、馬ごとに違う個室に入る所をまじまじと見てしまった
そして個室の中で方向転換をして大人しくしょんぼりしている
なんだか可愛そうなので馬の鼻を撫でてあげたら嬉しそうに蹄で地面を掻いた
なんだろう、本当にこの子に手綱いるのだろうか…
先生が手綱をつけて回るとスミレが何をしているのか聞いてきた
なに、と言われても見たまま手綱をつけてるだけだが…スミレは猫だし、精霊なのでつける必要のない物なのかもしれない
「猫で言う首輪みたいなものだよ、たぶん」
『ニャー…あのよくわからにゃい首飾りにゃ?』
「うん、そうだと思うよ。」
後猫に首輪をつけるのは保健所に連れていかれないためやら万が一轢かれて死んだ場合でも飼い主が分かるようにだとか色々とあるんだろうけど、スミレに言っても理解はされないんだろうなぁ…
まずここ異世界だから、保健所みたいな所があるのかすら、わからないけどね
「では次に、馬を柵の内側、何処にでもいいので馬小屋から手綱を引いて出してみてください」
俺の前にいる馬は体全体が青く、尻尾や鬣≪たてがみ≫?…背中の辺りまである髪の毛が藍色だった
え、なんで急に説明しだしたか?
…手綱持とうとしたら勝手に自分から出てきちゃったから言う事なくなったんだよ
察して下さい
そしてほかの生徒たちが怯えながらも手綱を引いているのに、馬達は平然としていて、全くいう事を聞かないみたいだ
「馬達は感情に敏感なのでこちらが怯えていると言う事を聞いてくれませんよ」
先生がそんなことを言うけれども急に馬が一生徒に飛び掛かってきたのを見てすっかり委縮していると思うのですが、それは良いのでしょうかねぇ…
俺は馬を撫でながら、皆に怖くないよーって知らせてあげた
「大丈夫、馬って本来大人しい性格だから、僕の時みたいに飛び掛かるなんて事はないよ?」
「…本当に、飛び掛からないのですか?」
「大丈夫だよ?」
近くにいた、青い色の髪の毛の子に手綱を持たせて馬を引かせた
すると今度はすんなりと馬は馬小屋からでて、青い髪の子に顔を擦りつけた
「わわっ、…あ、あれ何もしてこなかった」
「そんなに怯えなくても大丈夫だよ」
俺と青い髪の子…名前なんだっけ?一日や二日で名前なんて覚えられないよ
【青い髪の子はエントラー・ゴディモ。その隣の釣り目の、金色の目と耳がエラみたいになっている子が、メメトル・チャンバー。いっぺんに言ってもわからないと思うから後で本人が話しかけてから、個別に枠をだして教える】
分ちゃんナイス!
しかも分ちゃんが教えてくれた子たちは、名前だけだけれども自分の頭上にうっすらと出ているのでこれはわかりやすい!助かる!よくあるオンラインゲームの名前表示の様になっていると思ってもらえれば分かりやすいと思う
此れならば問題なく名前を呼べるよ
俺はスミレが青い馬と話しているのを聞きながらも先生の指示を待つことにした
俺とエントラー君のやり取りを見てからようやく馬を馬小屋から出す生徒が多く、全員が馬小屋から馬を出すのを先生が待って居るため、自然と俺は暇になったわけだ
暇と言ってもそんなに時間が多くあるわけでなく、5分もしない位の、一寸した空き時間だから、スミレの様子を見ていただけなのだけれどね?
「はい、じゃあ次は馬に慣れるために、馬の頭を触ってみましょう」
嫌先生俺はそれ必要ですか
馬が自ら頭触らせてくれているし、何なら俺に乗ってと言ってきているし…と思わなくもないが授業だし、他の生徒たちに合わせてあげることにした
相変わらずびくついている生徒達だったが、俺はすんなりと撫でてあげた
周りにできている生徒がいるのかと思って見回してみるとカフィーユ君とルネア君も、あっさりと馬を触っているのが分かった
何とか触って、従者さんの背後に隠れちゃうような子も何人かいたり、逆に従者さんに自慢げに何度も馬の顔を触ってあげる子もいた
ふふふ、なんだか微笑ましい限りだ
「では次に、鞍を取り付けてまわりますので馬に乗ってみましょう」
おおう、いきなりハードになったぞ?大丈夫か?
と他人事みたくいうけれど、俺も初めての乗馬だ
とても緊張してきた
先生が馬達に鞍をつけて、従者さんたちに声をかけて回るのを見ながらも俺は馬君に話しかけた
『俺乗馬初めてなんだ。下手に乗って体を痛くしたら、ごめんね』
『いいよ、さっき飛び掛かって驚かせちゃったから、お相子だね。』
『そうだね』
俺がどう乗ったらいいのだろうかと思っていたら、キューリャさんに体を持ち上げて貰ったのですとんと馬に乗れた
成程、乗ってみるというのは自分から乗り込むのではなく従者さんにのせて貰ったりしてもいいという事か…俺はてっきり、一人で乗り込んでみろということなのかと思い切り勘違いしていたよ
なんだろう、子供用に開催されている、ふれあい動物系の乗馬体験的な何かを感じさせた
馬に乗ってみる景色はなんかすごかった
キューリャさんが俺を見上げているのがなんだか新鮮で、スミレなんかは馬の頭へと座り込んできょろきょろとあちこちを見ている
そして生徒たちが全員従者さんたちに馬にのせられた後先生が微笑ましそうにしながらゆっくりと柵の中の校庭を歩かせてみようと言ったのでキューリャさんが手綱を持つように言ってきた
俺がしっかりと手綱を持つと、キューリャさんが馬の口元から伸びている丈夫そうな紐を引いてゆっくり馬を歩かせ始めた
これは凄いな、結構視界が高いので、見晴らしもいいし何よりキューリャさんがゆっくりと率いてくれているので全然怖くない
むしろちょっと楽しいかも!
その後馬が調子に乗ったらしく、俺とスミレを乗せて走りたそうにしていているのをスミレが抑えるよう言ってくれたり
のんびりした授業が無事に終わった
馬が俺と離れたくなさそうにしていたり、次は俺も載せてあげたいとほかの馬が言ってきたりはしたけれどもこの乗馬の授業は先生が思わず笑顔で安心しきった表情に成程平穏に終わった
よかったね、先生(平穏に終わらないことの大半は俺な気がするけれど、気のせいだね)
教室まで先生が案内してくれて、軽く今日あったことを話して明日の授業に必要なものを伝えた後は自室に戻っていいというので俺も自室に帰ろうと思ったら先生が呼び止めてきた
…チッ、誤魔化されなかったか
「ショージ様、ご自身の部屋に行く前に、私と共に来て欲しい所がございます」
「……………はい」
「あぁ、別にそんなに畏まる必要もないですよ?ただ授業中に出した魔法について、教えて頂きたいだけですよ?叱ることもないので、安心してください」
「は、はい」
叱られるのでないのならなんで俺を残らせるんだろうか
不思議に思っていると先生はついてくるようにと言って俺とキューリャさんを連れてエレベーターに乗り、ボタンを押した
試しに階層だろう窓の明かり取りから漏れる光を見て階層を大体おおまかだけれども見ていた
…教室の廊下からエレベーター(板)に乗りそこから5階位暗い所(多分降りられる階層がある所)と明かりとりの窓が見えた
どこだかわからないけれども随分と高い階層に来たものだ
「つきました、ここの一番奥の部屋の、銀色のプレートがかかっている所の廊下で待って居てください」
「は、はい」
なにそれ、こんな所に置いていく気なの?
幼気な子供に、散々揶揄われて胃を痛めつけられるからってステフィム先生…
こんなことをするような人とは思わなかったよ、先生…




