目利きの授業は前途多難
もう一方のゴブレットは同じ色の宝石が埋め込まれているけど、これ使う時絶対に邪魔でしょう…部屋とか、棚とかに飾るだけの物なのかな?
『にゃう、こっちにゃ!』
俺がじっくりと見ていると俺の肩までするりと登って、スミレがちょい、と台に顔と前足だけを覗かせるようにぶら下がり、左前脚だけでたしたしとゴブレットの乗っているふかふかのクッションを叩いて見せた
…器用だね、スミレ…って、そうじゃない
え、いいの?スミレ、それ明らかに偽物だよ?
『にゃん、いいからみゃーの言った方を本物にして〇つけるにゃ!』
?はいはい、わかったよと頭の中で返事をしておいて、俺たちは自分の席へついて机の上に配られてある紙に【ゴブレット A B】と書かれている物に、俺は明らかに偽物だと思ってスミレが〇を付けろと言ったBの方に〇をつけた
うーん、あれはどう見てもそんなに価値のありそうに見えなかったけどなぁ??
スミレは自信があるのか、ふん ふんと胸を張って、尻尾をピンっと立てておすましをしている…
なんだ、その自信満々の顔と態度は…
くそう、もう〇をつけてしまったからどうしようもないけれど、ないけれど!!
ルネア君が俺の紙に書かれている〇を見て驚いた顔をして不安そうにしている
俺はきっと心の中でスミレの自信にかけてしまったけれど、早くもちょっぴり後悔をし始めている
「…あ、あの、え、えっと、うー…」
ルネア君がどういっていいのか戸惑っている
うん、俺も同じ気持ちだから、皆まで言わなくていいよ?
そう思っていても思うだけだから、ルネア君には聞こえないしわからない
意を決したのか、ぐっとこぶしを握ってルネア君は俺の答案用紙の、Aを指した
「あ、あの、こっちにした方がいいと思います、…よ?」
「うん、俺もそう思う。」
「えぇ、でもBに〇がついて…」
「スミレ、あ、俺の召喚した契約してる精霊がね、こっちにしろって。」
「あ、そ、そうですか。精霊さんが言うなら…えと、押しつけがましくてすみません」
「ううん、いいよ俺もそう思ってるからさ。」
いや、ほんと…俺以外の誰がBに〇なんかをつけているんだろうか
多分この教室の中にはいないんじゃないかな?えらい事をしてしまった気がするぞ
先生がゴブレットをそのままアタッシュケースのように頑丈そうな見た目の鞄に丁寧にしまい込み、次にクッションの上に置いたのは2本の短杖だった
「はい、続いては短杖です。先程と同じく前に来て見て、触れて見極めてくださいね」
先生がそう言ったのでまた最後に見ようとのんびり生徒たちの動きを見ていた
そして空いてきた時に、また三人で前に行くと今度はスミレが最初から俺の肩に乗ってきていて、重かった
なに、一緒にこの授業受けるの好きなの?と思考して聞いてみたらスミレはニャーと一鳴きして俺の頬をぺちぺちと叩いた
なんだよぉ、叩くなよ
「短杖…は、装飾の方が重大なのでしょうか、それとも中に含まれている、魔力量でしょうか」
「うーん、材料、素材なのでは?言っても、杖ですし」
ふむふむ、なるほどわからん!
杖は多分Bの方がいい奴なんじゃないか?ほら、なんかBの方が頑丈そうだし、叩いても壊れなさそうだしさ…どう思う?とさりげなくスミレに聞いてみたらスミレはAの方のクッションを指した
『あっちのもってみせるにゃ!』
はいはい、えーとAの杖はなんか白い木で作られていて、持ち手の所に石の飾りが2つついているようなシンプルな奴で、俺ら小さい子供の体でも持ち上げられる位軽い
長さは全体で大体文庫本を縦に二つ繋げたくらいの長さでイメージしてもらうとするなら某有名な雷の入れ墨した少年たちの使う杖に似た感じ
…あ、外見というか高さが、そういう感じね?
片やBは色が鼠色で、木というよりはどちらかというと気にスプレー缶を吹き付けたかのようなまだらになっている色がなんだかペイント感がある物の、持ち手の所にいくつもの宝石や杖の中間の所までらせん状に青い宝石と白い真珠らしき物が装飾されていた
魔力を通したら、きっと宝石に蓄えられるのかな?と思うし殴ればいい所に宝石が当たりそうで致命傷を与えられそうだ
どっちが高そうかという点では、やはりBだと俺は思うけれどね
スミレがどう思うのかはわからないし、Aをじっと見てはいるけど…
『Aの方に〇つけて欲しいにゃ』
…はいはい、そうしますよーっと
スミレ様のおっしゃる通りにしちゃいますよーッと心の中で若干ふざけつつも言うとおりにAの方に〇をつけた
スミレは満足そうにうんうんと頷いて俺の首元に丸まった
襟巻状態になっているけれど、その場所が落ち着くらしい
俺も文句はないけれども若干太ってr
『にゃ!太ってにゃいにゃ!』
ばっちり思っていたことが聞こえたのか思い切り頬をべちっと叩かれた
女性に失礼だったか…それは済まなかったとは思うけれども実際少し重t
ガリッと思い切り頬を引っ掻かれてしまった…痛い
ヒリヒリするから爪は後で切ろうな?(強制)
先生が次にクッションの上に置いたのは、奇麗な装飾のされた成人男性用の靴だった
そんなところに装飾を入れる必要性は全く感じないと思うほどキラキラ、ぎらぎらと靴の一面に宝石や金が張られている
なんだろうか、あの悪趣味の塊
遠く離れている席にいてもあの靴は目立っているのが分かった
嫌な意味で目立つ……成金っぽくて。
スミレが早く見せろと言わんばかりにしっぽで俺の頬を叩いているのを無視して皆がいくのを優先しておいてから後でのんびり見に行くとスミレが嬉々として、Bの靴の方に行ったがAの方は見向きもしなかった
なんで、そっちに行くのかと聞いたらスミレはキョトンとした表情をした
『にゃんでって、こっちのは精霊石使ってるにゃ!あっちのは、ただの石ころにゃ』
精霊石というのは精霊が好む石で、精霊術を使う人たちにとっては大事な交渉材料だったりするものだ
めったに市場に出ないことで凄く高価な物だと本で見た
たった5グラムの石ころに見える物を削って奇麗な加工を施し百万の価値になるという…
じゃ、杖は何で判断したのかを聞いてみた
俺には見分けがつかなかったからスミレの言う通りにしたけれども何が違ったのだろうか気になるのだ
最終的には自分でも見たりしただけでわかるようになりたいしね!
ぜひとも鑑定する時に必要なことは教えて欲しいな
『にゃ?杖は魔力伝導率で良しあしが決まるにゃ!ニャーは土属性の精霊にゃから、そういうのはわかるにゃ。』
じゃ、ゴブレットは?あれが一番納得いかないんだけれども?
『コップはあれ、魔道具にゃ。』
魔法道具?ゴブレットが?
『にゃ。あれは一度水を入れると周りにある魔石に反応して色々と変わるにゃ。金属にもにゃるにゃ。お薬の水にもにゃるにゃ。』
なにそのゴブレットまさに魔法のゴブレッ(げふん げふん…
水を金属には流石の俺も出来ないことをやってのけるとかすげぇゴブレットだったらしい
そういうのもあるのか、流石は異世界
とりあえずは靴の選択にBを選んだ
その後先生が、全員が考えているのを黙ってみている姿を見ながら俺はぼんやりスミレがいてよかったなと考えていた
絶対に外れていたもんな、ゴブレット
否だって、あれが魔法道具だなんて素人目でわかるもんか
全員が書き終わったらしく段々と机をペン先が滑る音がやみ、かさかさと紙の擦れる音がするのみとなった頃先生が一人一人の机を回って紙を集めだしたそしてそのまま赤い色のペンで〇や×をつけていって、何度か繰り返していたのだが、最後の一枚だろう紙を見てピタリと驚いて手を止めた
「ショージ様…なぜゴブレットはBにしたのでしょうか?」
「…す、スミレがこっちにしてっていうから…です」
「…なるほど、精霊の…ショージ様、次からは精霊に頼らずに、ご自分でお考え下さいね」
「すみません、スミレが嬉しそうにしていたので…」
「いえいえ。精霊は召喚主の役に立とうとしてしまうので仕方がないですね。スミレ様にはキチンと言い聞かせておいてくださいね」
「は、はい」
スミレに聞いたりして、狡い事をしてしまったのは理解しているから、しっかり反省した
アドバイスをくれただけのスミレが悪いわけではないから、先生に叱られたと勘違いしているのかしょんぼりしているスミレを撫でて慰めてあげた
『駄目だったにゃ?』
うーん、皆も、精霊がいない状態でわかるようにって勉強しているから、俺も同じじゃないとまずいっていう話だよ、きっと。ね、だからそんなに落ち込まなくってもいいからね
そう言い聞かせるように心の中で言って、そっと慰めているとスミレは少し元気になってくれた
先生は手元の紙に〇を3つつけてからペンを置いた
俺の書いた紙を魔法で大きくして、黒板に張り出すと(なんていう公開処刑w)俺の答案紙を手本にしてそのまま授業を始めてしまった
スミレに相談はもうしません、だから先生公開処刑を止めてください
いや本当に、勘弁してくださいお願いしまう…
スミレが恥ずかしそうに頭を俺にすりすりしてきたり肉球をぺシペシと押し付けさせたりしてくるんですけれど…くすぐったいわぁぷにぷにしてるわ…
大変なので、直ちにやめてあげて
「えー、この答案紙のように、答え自体はこうなっています。」
先生は何の嫌がらせなのか、堂々とそのままで解説を始める
実際にゴブレットを鞄から出して持ち上げて、教室にいる全員に見せるようにした
魔法で黒板にゴブレットを二つ並べたものを描いてある絵を俺の答案紙の隣に広げた
「えー、このゴブレットは、魔法道具であり、Bが正解です。では普通のゴブレットと魔道具である物の見分けるポイントですが、最初に見るべき所は、この魔法語で刻まれた魔術です。このBのゴブレットには、足の部分にうっすらと何かが彫られているのが分かるでしょうか」
そんなところに文字なんかがあったんだ?!知らんかった
周りの生徒達も驚いていたことから俺だけが気づけなかったと言う訳では無かった様だ
スミレはみんなが知らなかったことを知っている子供の様にやや自慢げに、ぴくぴくと耳とひげを揺らした
ちょっとだけ機嫌が戻ったようでよかった
更に先生は青いペンで絵の中のゴブレットの淵を楕円形で囲み、手にもつ指示棒のようなものでさした
いつの間にか指示棒を持っていた先生に少しだけ驚いたけれども、とんとんと黒板に張り付けた絵のゴブレットの淵のあたりを叩いた
「さらに、このうっすらとした銀色の縁取りが、魔法の効果を長期維持するための魔法陣が錬られています」
先生が宝石の部分一個一個に〇をつけた
「そしてこの宝石には、使用者が望む分だけ液体が出るようになっている魔法陣が…」
使用者の望む分だけ液体が出るというのならば、うっかり俺が使い、液体窒素とか出して欲しいと思ったら異世界の物の液体でも出るんだろうか
…そんなことしたら先生に怒られそうだから試す気にもならないが、一寸だけ興味深いな
「では、それを踏まえてもう一度皆さんには前に来て見比べてもらいます。こういうのはよく観察して目を養わなければいけませんからね。ショージ様も今度は精霊抜きで、ご自分の目で見てくださいね」
「…はい」
しっかりと釘を刺されてしまい、恥ずかしくて俯いた
するとスミレも頭を前足で隠すようにぎゅっと抑え込んでなんとも反省してます、と言いたそうにニャーと小さく鳴いた
耳が前足で潰れて、へちょッとなっていて可愛らしい姿だった
少しスミレの姿に癒されて、今度こそ自分だけでよく観察してみた
しかし俺にはゴブレットの淵だとか、支えている足の部分だとかに魔法が組み込まれているというのはわからなかった
「ショージ様、違い分かります?」
ルネア君が俺にこっそりと耳打ちしてきたが俺は両手を肩まで上げて溜息をついて見せた
「さっぱり。」
俺がそういうとなぜか皆はほっとした表情へ一気に変わった
なぜ俺の反応を一々気にするんだ?そしてなぜ安心するんだ
ルネア君もカフィーユ君も二人してほっとしているけれど俺はなんだか一人仲間外れにされた気分を味わいながらまじまじとゴブレットを見た
んー…なんかこう、ルールウド君の“鑑定眼”のような、なんの魔法が重なってどうなってるかわかる魔法がない物か…
取説みたいな何かが、こう…品物の横にウィンドウででたりしn
…俺の掌に、ポン、と軽い音を立てて【ゴブレット(魔道具、レア度3)取扱説明書】と【ゴブレット 成分分析書】がでてきてしまった
あー、うん…ありがとうございます、でもこれあったら授業にならない気がする!
激しく、目利きの授業の意味がなくなる気がする!これ駄目だって!絶対ダメだって!
「ショージ様、それは一体なんですか」
「……紙です」
「そうですね。なかに記載されているものは何ですか」
「……」
俺は先生に、すっと二つの折りたたまれた、便利であろう取説と分析書を渡した
先生は本当にわからないみたいだったけれども、中に書かれていることを見てまじまじと俺を見て、ゴブレットの取説見て、本物を見て、もう一度俺を見た
なおその間俺は視線を逸らしているだけだ
そして先生はもう一つの折りたたまれた紙、分析書を読んで目を大きく見開いた
「こ…これはっショージ様これはなんですか」
「……」
「…あぁ、怒ってはいないですが、此れには私の知らないことが書かれている物で、つい」
「……」
「ショージ様、ここに書かれているのは私の見間違いの無い物でしたら、使われている魔法から、どんな効果が出る物なのか、どう作用されるものなのかが書かれていると思うのですが。」
俺は顔を反らしたまま、頬を掻いた
うん、それであっていますよ、とは言えない
魔法って、ちょっと「こうだったらいいなー」とか「こういうの何とかならないかなー」って思ったら何とかしちゃうんですけれど、何とかなりませんか?せめて、魔法が出る前段階でこんなの出来ますよ、実現しますか~的なワンクッションを置いてほしいのですが
あ、戦闘中は除く。
スミレがやや強めにぺし!ッと叩いてきた(若干痛かった)
『にゃ!そんにゃ都合よくにゃいにゃ!第一ショージは魔法を勘違いしてるにゃ!』
勘違い?ルールウド君に色々と聞いていたし、本を色々と読んでそれなりに理解はしているぞ?これでも4年間で結構本を読んだから、そこは少し自信あるぞ?
『魔法事態そんにゃに便利にゃ物じゃにゃいにゃ。想像したものがしっかりした形のある物を形作るときは、その物がどういう物なのかを理解して、どういう形で出るのかをイメージできてにゃいとだめにゃ!』
うん、知っているよ?だからこそ、この取説や分析書は出たんだからね?
『それにゃ!』
どれにゃ? ☆(ゝω・)v
あいた、一寸ふざけたら猫パンチが飛んできた
スミレの猫パンチが鋭いので俺は今日だけで結構ダメージを追っているのですが…
『ショージの魔法はショージにしかできにゃい魔法にゃ。』
お、おうそうだな?俺以外に自転車やゴムが作れない位だし、まぁそうなるよな?
ルールウド君が同じようにゴムを作り出そうとしたけれども出せなかったから、そういう物だととっくにわかっているよ
『ポコポコ出しているのはショージがそう使っているからにゃ』
お、おう?まぁ、よくよく考えればそうだよな?
う、うん…?で、それが、なんです?
『ショージが思い浮かべたようにしかできにゃいの!だからこれはショージがこうしたいって思った結果にゃの!魔法使いたいって思うのはショージにゃ、魔力は素直にゃの!我儘にゃ!』
…うん、そうだね?
『第一誰に魔法を使いたい時に聞きたいにゃ?』
いや、誰って…わかんないけど、こう…ナレーションさんとか?
『誰にゃ?』
……………あー、うん成程、そうだよな
誰に相談する気だったんだろうな
よく異世界転生物で頭の中にいるであろう人格~とか、スキルで会話が可能な物凄い何かの思念体とか…
そういうのを期待して、言った(実は心の中でスミレと会話してるだけだけど)のであって具体的にどういうのとかは確かに想像していなかったかも?
『そんな漠然としてるのは魔法万能じゃにゃいから出せる訳にゃいにゃ!第一にショージはもう一人ショージがいても、同じように困って文句言うに決まってるにゃ』
………なるほどねー そっかー
具体的に想像ができないなら魔法として具現化できないし、万能属性である無属性先輩も働くわけがないでござるww
更にいうなれば俺が考えて出しているわけだから俺の想像しているような、いわゆる思念体とかもう一人の俺とか魔法を詳しく熟知しているサポーター的なのは出せる訳もなく…
賢者さんとか、そういうのもないわけで…ふぬぬ…
『そうにゃ。にゃから、この魔法はショージが考えて思い浮かんだものを一番具現化させやすい形でだしたにゃよ!それはそういうものにゃ!それにゃのに魔法を使っていいかって誰に聞かれるとかむりにゃ』
はい、そうですね
生意気言いました
申し訳ありませんでした
なお、スミレと会話している間は先生が困惑しているままだ
俺が黙ってうつむいてスミレに説教されているから、すっかり悪戯をされてしかられている子供に見えなくもないのだろう、先生も俺も黙っているのでしーんと静まり返ってる
「ショージ様、怒っているわけではないから、この紙の内容をですね…」
「…なんか、こう…一目でどんな魔法が使われてるとか、分かれば…いいなぁって考えてたら…その、勝手に…えと、ごめんなさい。授業の意味がなくなるような事して」
しょんぼりしながらも言うと先生は頭を抱えてしまい、そして少し考えた後魔法ランクを見せてくれと言ってきたので俺は素直にカフィーユ君に見せたものと同じものを見せてさらに白目になって呻いた
「…ショージ様、一寸本日の授業が終わり次第お話がございます。」
「……はい」
なんだか、先生に気苦労をかけて申し訳なくなってきた
しょんぼりしながらも席に戻っていいと言われたので席へ戻ると先程やった魔法はどうやったのかとカフィーユ君とルネア君に聞かれて、どうやったのかまではわからないと言ったら無意識で出せるのかと驚かれた
そう、無意識で変なことを魔法でできてしまうのが困るんだよねー…
うっかり「そうだと良いなー」でできてしまうから…なぁ
『それはショージが魔法ランク上げすぎるからにゃのにゃ!』
魔法ランク上げすぎるとそうなるの?
『そうにゃ。魔法をいっぱい使っているとレベル上がるにゃ、だから魔法ランク高いとそれだけ笑いたいと思ったら笑うように、思った時には勝手にできちゃうにゃ。そういう物にゃ』
ほー…そういう物なんですかー…
……ってことは、やはり俺は自業自得でちょっと具体的ありそうなものを想像しただけでほぼ反射的に魔法を使ってしまうと、そういう事ですか、ほぉー…
よし分かった
原理も理解した
反射的ならもう仕方ないよね、あきらめましょう
コーラを飲んだらげっぷが出てしまう位に確実で、反射をコントロールなんてできる訳ないのは当たり前だ
ではどうするか、でたら解除をするしかないよね!
うっかり出してしまったら、もう誰にも気づかれないように消す
魔法を出してしまうのも、解除も俺の任意なのだから無意識とはいえども具現化しそうという時は魔力が動くしさすがに俺自身それはやや遅れてだけれども気づくので解除すれば問題ないな
今度からはそうしたいと思います
まぁ今回は仕方ないよね、うん
先生にしっかりと怒られておきます
しょんぼり机に突っ伏してスミレがするりと首元から逃げて怒っていたけれども…
そんなの知らないって言いたくなるほど俺は落ち込んでいるのだ
『みゃーを潰すにゃ!』
だってこの後先生に怒られることが決定されているんだよ?
落ち込みたくもなるよ…はぁ
『にゃ?』
一人落ち込んでいるとルネア君が慰めてくれたので机から上半身を起き上がらせて、ちゃんと座った
その後杖と靴も同じように解説したが、俺はよく見るようにとかよく見比べるようにとかいうのは一切言われなかった
ただ前に出て杖を見ただけで、魔力が動き、具現化する前に解除して取説出してない様にしているだけで必死になっちゃったけれどもね…
分析書が出てしまって、慌てて解除したりしたら先生に生暖かい目で見られた
なんとも魔法とはコントロールが難しい物だ
先生が解説をする間俺は試しにスミレに聞いてみた
スミレは俺に丁寧に解説してくれたし、先生と同じことを言っているし先生が言わなかったことも教えて捕捉しながらもどういう物なのかを教えてくれた
それを踏まえてこっそりと今度は意識して取説と分析書を作り出し、中に書かれていることを見てみると…次のように書かれていた
(〇)A
【短杖(ゴザルデァ工房の一級品 レア度2)取扱説明書】
【短杖 成分分析書;魔法伝導率;秀 構成物質;シュンジュの樹6割、アイスクルードのキバ2割、魔法石2割 杖として優秀であるといえる。】
(×)B
【短杖(ロスルデァ工房の一級品 レア度 優)取扱説明書】
【短杖 成分分析書;魔法伝導率;普 構成物質;ローディ師長の育成樹7割、白墨玉2割、シン珠1割 杖として一般的であるといえる。】
(×)A
【リューロ靴(スワードダンジョン産 レア度2)取扱説明書】
【靴 成分分析書;ジャンル 飾り靴 構成物質;金7割、幸運石;5割】
(〇)B
【ヒューズオード靴(虹の袂迷宮産 レア度10)取扱説明書】
【靴 成分分析書;ジャンル 精霊石の靴 構成物質;ジュジュトの樹液;8割、精霊石;2割】
……レア度ってどうなってんだ?これ…基準が分からん
数字はなんとなく、大きい数字になれば、高い、高級だとわかるけど、優とか秀ってなんぞ?数字の方が感じ一文字のより価値が低いのか?それとも高いのか?
数字は何段階あるんだ?最高はどうなる?…適当に、片っ端から調べたい…(うずうず)
試しに俺は自分で作ったボールペンを鑑定してみる
【ボールペン(昇次産 レア度凡) 取扱説明書】
【ボールペン 成分分析書;一般的筆記用具、特筆するべきものはない】
おうおう、この成分分析書さんはこの俺が作り出した魔法のボールペンちゃんに喧嘩売ってんのかぁ?なんだよ、特筆するべき物ではないって!ひどくない?!確かにそうかもとか思ってしまったがわくわくした分期待を返せ馬鹿野郎め…ぐすん
凡って…凡って…ぐぬぬ…悔しいじゃないか!俺のボールペンは書きやすいんだぞ!
ガラスで構成されてるのに中のインクはだまになってボトボト落ちないし!
荒い繊維の羊皮紙にしっかり滑らかに書けるし!
最高の子なんだぞ!
苦労して生み出したんだからな!…ほんの2、3分で今の形に出来上がったけど
それを凡って…凡って…あんまりじゃないか
Heeeeei!!あぁぁぁぁんまりだあああああああ!
そんなことを心の中で思っていたら何故か分析書の文字がじわじわとインクが変化し、内容が書き換えられた
【ボールペン(昇次産 レア度超凡、木の枝並み) 取扱説明書】
【ボールペン 成分分析書;一般的筆記用具、作成者曰書き易さはある程度あるようだ。だが不良品】
……分析書は意思を持って居そうだと言う事が分かった
後こいつ俺の事嫌いだろ
不良品、だと…?ふざけんな、俺はボールペンを頑張って作ったんだぞ!
燃やしてやろうか、この分析書…
【キャハッ☆≪(^∀^)】
おい
おい!おまえを生み出した俺に向かってなんだその態度!
【 (;^人^】
顔文字で会話させんな!
はいはい、悪い魔法は解除しちゃおうねー
【ごめんなさいm(_ _)m】
仕方ないから許す、がお前ボールペンの事はちゃんと評価しろ
【ボールペン(昇次産 レア度凡) 取扱説明書】
【ボールペン 成分分析書;一般的筆記用具、特筆するべきものはない】
…断固として特筆することない、とか 凡とかだと言い張るのね…
この野郎…
【筆記用具(子供用、一般人用、一般商人用はすべて凡と記載される)】
あぁ、そういうことねーと若干納得いったので俺が悪いんじゃないのかと一安心した
するとスミレが迷いながらも声をかけてきた
『…に、…ニャー…ショージ、誰と話してるにゃ?みゃーが痛いとこにゃでにゃでしてあげようかにゃ?』
スミレが丸で可哀そうな人を見るような目で見てきた
ち、違うんだスミレ!ほらみて!ちゃんとみて!俺成分分析書と会話してるだけだから!
そんな『友達が出来なくて俺一人にしか見えない架空の友達を作って一人おままごとしているような哀れな子供』を見守るような顔して俺見ないで!
俺はスミレにもわかりやすいように成分分析書と取説を見せた
しかしスミレは…
『……ショージ、にゃれにゃい環境で、お手紙沢山来て、疲れたにゃね。みゃーのおにゃかにゃでにゃでするにゃ?』
分かってくれませんでした…生暖かい目を強めて俺を見てきました
更にすりすりして俺の手に自分から頭を擦りつけて撫でろアピールしてきました
…ぐすん
ちらりとスミレに見せたままを見てみると、分析書には
【ボールペン(昇次産 レア度凡) 取扱説明書】
【ボールペン 成分分析書;一般的筆記用具、特筆するべきものはない】
と書かれていただけに納まっていました、この野郎…
決めた!決めましたよぉ?もう決めた!
もう分析書さんはホイホイ使ってあげない!
【昇次は理不尽に怒った】
止めなさい、どこかのナレーションみたいにいうのは!
【話していない】
煩い、会話しているんだから、そうなの!
【(´・ω・`)】
くそむかつく!とんでもない魔法を作っちゃったよ…本当に、どうしようか…
しかもこいつ文字として出るから、スミレから見たら俺が独り言言っていると言うね!
なんて奴だ!もう怒った、今日からお前の名前、分ちゃんだ!




