嫌味な先生はお婆様とお母さまには勝てませんでした
俺はレシェルナさんに、鏡電話をつないだまま、もう一方の方を魔法でつないだ
レシェルナさんにつながっている方の鏡を持っている、あの文句しか言ってこない嫌味な先生が真っ青になっている顔色を土気色にしているのが見えた
俺は容赦なんていたしません(にっこり)
『あら、悪い子なのねー。まるでぷーちゃんみたい。』
「その方は学園の教員の方なのですよ」
『わかったわ、ママ頑張ってパパに言って首にしてもらうからね』
もうそこで限界になったのか、カフィーユ君とアルト君が口を押さえて笑い出してステフィム先生が口の端を切って血を流しながらお腹を押さえている
ルールウド君なんかひきつけ起こしているかのように過呼吸気味になりつつも必死に口を押えているしね?もうそこまで苦しそうにするならばいっその事、思い切り笑ってもいいんじゃないかなと俺は思うよ?
「いえいえ、この人なんですけどねー?お話してあげて欲しいんですよぉ」
『あら、合わせてくれるのね、よぉし、頑張っちゃうわ』
俺はレシェルナさんに笑顔の重圧を受けている、先生の元へ鏡を向けた
いっそ殺してくれと言いたそうな顔をしている先生がさらに呻いた
だが俺は知らないし止めないぞ?
『あらぁ、先生というのはぷーちゃんなのねー?もう、いつまでも母さんにかまって貰えないからって私やうちの子にちょっかい出さないで頂戴!』
『そうそう、寂しがり屋だものねぇ、プラムは。ほほほ』
『で、私に取り入ったとかって言っているのよね、ぷーちゃん?私は別にショージがお願いして無理やり私の家に来た訳じゃないし、むしろショージは私たちの大事な家族なのよ。』
『そうよねぇ?なんだったら私が今すぐそちらへ行って証明してあげましょうかしらね?なぜショージの種族がハーフエルフなのか、じっくり説明でも説教でもして差し上げますよ』
うん、俺がやっておいてなんですけれども、ニコニコ微笑みながら美人二人がお怒りな姿を見るのはとても恐ろしいといえるな
ちっともやめる気ないけれどもね!
だって先に仕掛けてきたのは向こうの方だもの、それに俺はよくしてくれる人や家族の悪口は絶対に許さないんだ
これは、正当防衛だと思うな?(にっこり)
「も、もうやめてくれええええええええええええ」
『『あらら、拗ねちゃったわぁ。まったく子供なんだから。ねー?』』
あーあ、可哀そうに…(爆笑)
先生はどこかへと走って逃げて行ってしまった
俺たちの通ってきた入り口とは反対の方の扉へと駆け出していってしまった
ちらりと見たけれど、キラキラと光っていたことから泣いていたとみる
ははは、人間よりも長生きな種族の人が女性に言い負かされて泣いて逃げたなんて良い様ですな、いやまったく。
「あははははははは!人の悪口言うからこうなるんだよ、あーいい気味!」
俺は笑いを隠しもせず、大声で笑って見せた
俺の笑いにつられて堪えていたのに笑いの決壊を起こした何人かが一気に笑い出した
堪えられなくなった人の中に、ルールウド君が入っていた
「しょ、しょーじ、くくくっ、ショージ、言いすぎ!ふくくく」
「だって最初にエフィールさんの事悪く言ってきたのは向こうの先生が先だもの!ふふふ。これに懲りてひどいことは言われないと思うしね」
ステフィム先生には悪いけれども俺、この件についてはちっとも反省しないよ?
だって本当に俺正当防衛だと言い張る気だもの!
仮にこれ以上にちょっかいをかけてくるのなら、どう出てくるのか逆に楽しみになってくるんで、あの先生には懲りずに家族の悪口以外でのちょっかいを掛けてきて貰いたいな
『あら、ぷーちゃんはしぶといわよぉ?』
「それでももう家計や種族の事は言わないと思うので、ひとまずはこれでいいですよ。」
『困ったことがあったらいつでもこれにつなげるのよ?』
「はい、朝から忙しい時に連絡してごめんなさい。」
『あらいいのよ。久しぶりにぷーちゃんに会えたからね。じゃあ切るわよ?』
「はい」
エフィールさんの方の鏡電話を切るとレシェルナさんの方にもお礼を言った
「レシェルナさんも、朝からすみませんでした、どうやら昨日、魔法の実力を見るって言われてうっかり闇と光の魔法を両方使ったら目をつけられてしまって。」
『あぁ…プラムは多重魔法が苦手で苦手で。多重魔法展開できるようになったのが、800年はかかったのよねぇ。だから、つっかかったんじゃないかしら。ふふふ、あれでいて負けず嫌いなのよ』
「えー、簡単じゃないですか」
俺がそう言ったら、なぜか周りが嫌々何言っているんだろうこいつは、というような視線で見てきたし、ステフィム先生が信じられないものを見るような顔をしてきた
ルールウド君から多重魔法をできるのは俺とルールウド君、ミーシェちゃん以外にはあの先生以外にはこの学園でまだ見たことないよと言われた
授業では習うけれど、中々実現できる人がいないらしい
別に難しい数学の問題を解けとか言っているわけじゃないのにな、と思っていると魔法を複数展開するには何の属性の魔法とどういう形が出したいか、しっかりイメージしながら魔力をそれぞれの属性に変化しながら実現実体化させるため難しいのだそうだ
そういうことが簡単にできている俺たちは家庭教師が良かったのだろうとステフィム先生に言われた
確かに、俺に最初、魔法の事を教えてくれたのはルールウド君だし、いい先生だったのかも知れない
その次に色々と教えてくれたのはレシェルナさんだったけれども、複数魔法を使って実演し足りして見せてくれたのはルールウド君だったしね。
「さすがルールウド君だね」
「?何がさすがなのかわからないけれど、たぶんショージが思っていることは違うんじゃないかな?わからないけれどね?」
ルールウド君は照れくさそうに苦笑して頬を掻いた
でも俺に魔法を分かりやすく教えてくれたのはルールウド君だし、変なことを思ったわけじゃない気がするんだがなぁと思いつつも意地悪な先生のちょっかいを掛けられてしまったせいでやや遅れた食事をとって、デザートもしっかりとった
食事をとりながらもカフィーユ君とアルト君に他にどんな薬がミーシェちゃんのブローチに入っているのかとか色々と聞かれたからちゃんと答えてあげた
ミーシェちゃんのブローチに入っている薬は気絶回復薬と、怪我した時ようにエリクシェード、お守りになるように外部からの異常状態の無効化させることのできる薬をちょっと入れてあるだけだと言って、何処がちょっとなのかわからないと言われてしまった
どれもレシェルナさんが必須になるだろうからという話で入れたのだけれども…二人によるとどこかが変だったらしい
うーん、ルールウド君のネックレスにも大体同じもの入っているんだけどなぁ
「ショージ様は学園に行かなくても十分やって行けそうですね…」
「第二皇子って大変なんですね…」
ルネア君とカフィーユ君がそんなことを言っているけれど、俺はまだこの世界に来て間もないのでこの世界での常識なんかは知らないわけで(知っていても付け焼刃だしなぁ)ましてや貴族の生活なんぞ平然とできるわけがないし、学園に通う事は必要だと思うのだが…それに皇子って言われてもピンとこないよなぁ
学園出たら商人になろうって思っているくらいだし、ドラゴニア家の人たちもさりげなく応援してくれているしそういう点ではあれだよな…
俺、貴族らしさ、いらなくね?とすら思っているんだけどなぁ…
ハーフって長生きだから商売途中でやめる時に必要になるかも知れないから学んでいるだけだし養ってくれているドラゴニア家のメンツ保つためと思ってやっている時もあるしな
なんて思いながらも皆食事を終えて、ルールウド君とミーシェちゃん、アルト君と別れた
ステフィム先生が自室に戻る途中の廊下で先程のぷーちゃん先生(エフィールさんが言っていたあだ名で俺もそう呼ぶことに決定した。もちろん、心の中だけで、だけれどもね。先程のように泣かれたらあんまりだし?あぁ優しいな、俺)の事を謝罪してくれたけれども、俺はレシェルナさん達直々に思い切り言い負かして貰ったので気にしてないと言った
「ところで鏡の中の人物は、本当に本人だったんでしょうか」
「本人ですよ?」
「どういう仕組みになっているのかをお聞きしてもいいでしょうか」
先生なのに、仕組みが分かっていないようだった
単純なので説明しながら実際に魔法を使って実演してあげることにした
ややこしいことは一切ない、無属性の魔法をちょいと使うだけだから簡単なんだけれどね?
「いいですよ?まず小さい鏡と、姿が移せる鏡をそれぞれ用意して、小さいほうの鏡に魔力を通します。そしたらその魔力をつなげたまま、姿が移せる大きな鏡に、同じ魔力をつなげてかんせいです。そのあとは、誰に話しかけたいかを分かりやすいように、鏡に繋げた時に呼び出して貰うため、無属性の魔法で、名前と同時に分かりやすい目安の音をつけ足して鏡の電話、出来上がりです!呼び出したい時に、鏡を取り出して、呼び出しの時に設定…目安の音を決めた、その音を思い浮かべながら鏡を開いて魔力を出すと相手と会話ができるって感じですかねー」
俺がそう説明しているとカフィーユ君が少し考えている表情と、顎に手を当ててからズバリこの鏡電話の弱点(というか改善点)を口にした
「でもそれって目安の音はどれくらい離れていても聞こえるものなのですか」
「それがまだまだ全然いい方法が思いつかなくて…廊下で言うと、ここから動く板までの距離のあそこの所まで届かない位なんだよね。だから、鏡のある所に居なくちゃ音が聞こえないんだ。あとね、姿見の大きな鏡って横がそんなに無いからちょっと外れて二人映そうとすると見切れちゃうの。」
子供だったら二人いても三人…はちょっと無理があったか。でも二人の姿はちゃんと入るのに、大人だと一人分しかちゃんと入らないんだよなぁ…
そこも改善出来たら両親と同時に鏡電話でお話しできるのにっていうミーシェちゃんのお願いもかなえてあげたいんだよなぁ…うーん…
「この大きな鏡から小さい鏡へ呼びかけることもできますか?」
「できるけど、大きい鏡と小さい鏡は一対で魔法をかけているから、別の鏡同士へ連絡はできないよ?あくまで、魔法をかけた時に無属性魔法でつなげた鏡同士をやりとりするものだからね」
「なるほど…同じ鏡であれば話しかけたい人が別でも平気ですか?」
「一応、通じるし、鏡に姿は移るよ。だけど鏡の所に呼びに行って貰わないとかな」
「これは便利ですね。いくつか不便なところもあるみたいですが」
「ねー。鏡だって用意しないといけないし、割れたらそこまでだし、また魔法を掛けに、それぞれの鏡のある所に行かないといけないし…なにより、大きな鏡のある部屋にじーっとしていないと音が届かないから、うかつに行動するわけにいけないからねー…」
カフィーユ君と俺がうーん、と首をかしげてどうしたら改善するかを考えているとルネア君とステフィム先生が驚いている
何かまた変なことをしてしまったのだろうか
「十分、便利だと思います」
「ぼ、僕もそう思います…」
「便利は便利だけれど…」
「もう少し、何とかして貰いたいところですね」
カフィーユ君は俺と同じ意見のようで、顔をしかめていた
おや…?なんとなく、カフィーユ君が俺と同じような反応をしてくれるので同じように不便だと思ってくれているみたいだ
俺も何とかして改善していけたらいいなとは思っているんだけれども、今の所現状での改善は難しいみたいなので、要検討中です
「カフィーユ君はすごいなと思わないの?」
「僕ですか?うん…思ってますよ?鏡を使ってまるでその人と会っているかのように姿を見ながら会話できるなんて、夢のようだと思ってますよ?僕にも一つ欲しい位です。」
「魔法だから、きっとカフィーユ君や、ルネア君にもできますよ?やり方も、簡単で鏡を置く場所さえあれば誰にでもできますよ。」
「ぜひ作ってみたいのでショージ様後で鏡を用意出来次第お声かけさせてください」
「あ、じゃあ僕も」
「いいですよ」
簡単な事なのであっさり良いと言うとルネア君はとても嬉しそうにはにかんだ
カフィーユ君はそれを見て微笑ましそうに目を細めていた
ステフィム先生がそのまま自室へと案内してくれた
大きな自室の扉の前に立ち、扉を開けるとスミレが俺の顔に飛びついてきた
「うわっ」
「どうなされました、ショージ様」
「スミレが飛びついてきた。もう、なんだよスミレ」
俺が思わず驚いて数歩下がり、しりもちつきそうになったのでキューリャさんが支えてくれたけれど、スミレはひしっと俺にくっついたままだった
心なしか震えている気がするので、スミレの様子をよく見ようとして、呼びかけてみた
「スミレ?」
『みゃぁ…手紙がいっぱい増えたにゃ!みゃーのふかふかベッドが手紙にとられたにゃ!』
「…???????」
「ショージ様、スミレ様は、なんと?」
「…手紙が、スミレのベッドにまで来たって…」
俺がそういうとキューリャさんが扉を開けて中をのぞいたら何度か頷いた
そしてキューリャさんが廊下で待って居るようにというので大人しくなっていた
暫くしてキューリャさんが重たそうな箱を抱えて部屋から出てきた
箱は、魔法で出したのだろう魔力を微量に纏っているもので、扉のすぐ横に置いた
「箱の中には何が…」
『手紙にゃ。』
「…うん、早く残りの人たちを誘って、チームの枠を埋めてしまおう」
『早く、今日中に決めるにゃ!ご飯食べるところでもう手紙送るにゃっていうにゃ!』
「これ上げるから許してね」
『みゃああ!にゃぁん、ゴロゴロ』
俺はお詫びとしてスミレにもんぽちを見せたら露骨に嬉しそうに、ゴロゴロと喉を鳴らしだし、俺の腕の中ですりすりとすり寄った
スミレはこれで許してくれるみたいなのでこれで良しとして、問題はやはり手紙の内容で書かれているであろう、チームメイトの事だろう
まさかそんな…こんなに大事になるであろうなんて思ってなかったし、そんなに重要視されていることだとは思ってなかったよ(遠目)
ため息つきつつも三人も決めないといけないので頭を抱えた
まだ知り合いもいないのに、しかも入学したばかりだよ?入学して、2日目だよ?
それなのに急遽3人もお友達を見つけないといけない、だなんて無理があるよね…はぁ
どうしたものかなぁ…と俺が頭を悩ませていたらキューリャさんが部屋の中から2つ目の箱を運び出していた
…本当に、早く見つけないとやばいのかもしれない
結局、箱一杯の手紙は4箱分もあった
4つの箱を廊下の扉の外へ排出して、ようやくキューリャさんが俺に室内に入ってもいいと言ってくれたので自室に行くとまだいくつか手紙がテーブルに積まれるように置いてあり、さらにはスミレのベッドとして出したふかふか毛布の敷かれている篭とスミレのお気に入りのキャットウォークの棚の上にも手紙が何通かあった
…スミレが手紙に追い出されたというのが分かった
チームメイトを早く決めないと、スミレにまで迷惑かけちゃうからこれは本当に急ごう
「そもそもそんなに急いで決めないといけないことなんですかねぇ…入学したてで右も左もわかってないような俺たちを捕まえてどうするんですかねぇ…」
「一年の後半期は生徒たちがダンジョンに潜って自分たちで狩りをしてチームで話し合いながら各自で、自分のお金や戦利品を山分けしますから。」
「…なるほど、自分たちの小遣い欲しさか…」
「その稼ぎを自分の家に仕送りしたり、ご自分の身の回りの装飾品に使うこともできますし、学費に当てるという方もおられます。なので必死なのでしょう」
苦学生になら俺の力を貸してあげるっていうのも悪くないけれど、そういう人達って絶対に周りに遠慮して言い出せないよね…特に、こういう貴族の人達の通う学園なんかはさぁ…と思っているとキューリャさんが苦笑して授業に必要な教科書とノートを鞄に用意してくれたらしく、俺の座るソファーのすぐ横に置いた
「あ、ありがとうございますキューリャさん」
「いえ、当然のことをしているだけですので。」
少しのんびりしていたらスミレが猫じゃらしを咥えて持ってきたので振って遊んであげた
しばらく遊んであげているとノックの音がしてキューリャさんが見に行くと先生だったらしくて、俺を呼びに来てくれた
鞄をキューリャさんが持ち、一緒に廊下へ行くとルネア君と従者さんが待って居た
そしてカフィーユ君を迎えに行き、教室に向かった
教室に着くとステフィム先生が席に着けというので昨日座った席に着いた
今日やることは初級魔法の勉強(座学)、レクリエーションを兼ねた得意な魔法をみせる(非攻撃性の魔法!と念を押された)(軽い物のため教室でやるらしい)、精霊術初級編(座学)その後は昼食をはさんで一時間後、またこの教室へと戻ってきて目利きの練習(座学)、魔法の練習(練習場へ移動)、乗馬(校庭へ移動)で、終わりらしい
うへぇ…貴族らしい授業がさっそく混ざっていますなぁ
なんだろう目利きって…乗馬って…すげぇなと思いつつもそれに対してどの教科書が必要だとか言ってステフィム先生が使うであろう教科書をだして見せた
俺以外の生徒が同じ教科書を出して確認しているのを横目に俺はのんびりとスミレの毛繕いしている姿をみていた
猫の毛繕いしている姿は可愛いと思う
『みゅ、ショージ、ショージ』
なぁに、とさすがに周りの人が雑談一つして居ないので俺が急にスミレと会話するわけにはいかないので心の中で、返事をしてみた
声を出してないので傍目から見たら一人で呆けているだけに見えることだろう
スミレに呼ばれたので返事をしたらスミレが一言驚くことを言った
『毛繕いはじっと見ちゃ、駄目にゃ!おんにゃのこの、身だしなみにゃから、じーっと見ちゃ駄目にゃ、猫精霊のまにゃーにゃ!』
…ごめんなさい
し、叱られてしまった
思わずしょんぼりしたらスミレが今度からは気をつけてくれれば今回は許すと言われてしまったので今度からは注意しようと決めた
まさか、スミレにマナーとやらを教わるとは…うん?でも俺屋敷にいる時や遊んでる時にスミレの毛繕い何度もじっと見ているんだけど、それはいいのか?
『朝の時の毛繕いは、おにゃの子がそばにいる時をのぞいて基本じっと見ちゃ駄目にゃの!ミーシェがいたから今までは我慢してたにゃ、けどみゃーはおにゃの子だから恥ずかしいのにゃ』
あぁ、うん、ごめんね
女の子の化粧みたいなものかな?それは可哀そうだな、うん
俺がスミレに謝るとスミレは頷いて毛繕いを再開するのであまり見ないでねと注意した
ならこんなところで毛繕いするなよと一瞬思った物の、俺はステフィム先生が授業をし始めたのでそっちに集中しだした
今後は気を付けてあげることにしようと少しだけ思いながら、周りの生徒たちが教本を開いて授業を聞きノートは羊皮紙のごわごわした紙を束上に束ねて、紐で縛ってある物で、とても書き辛いのを我慢してインクツボからペンにインクをつけて書くのを横目に俺も教本を開きステフィム先生が黒板に書いている言葉をノートに書き写す
非常に効率の悪そうなペンをみんなが使っているので俺はひっそりと無属性の魔法を使ってインクを加工し、インクをペンに入れたいわゆる万年筆やボールペンを使った
インクツボからインクを浸して書くとか途中でインク乾いてすぐ使い物にならなくなるし何より書き辛いので気を配りながら文字を書くので俺は早々に自分に合うような形のペンを魔法で代用品のボールペンなんかを作り出しています
筆箱にはすでに何本か万年筆と万年筆用のインク、ボールペンを3本、ボールペンの替え芯が4つも入っている
俺は何食わぬ顔でそのボールペンでザリザリしている羊皮紙に同じように黒板を写した
【魔法の基本的な属性】
【火】「ありとあらゆる物を自然発火させたり、火種が無いのに火をつけたりできる魔法属性です。火属性の魔法は基本的に魔力消費量がそのまま威力につながりますので、魔力をうまく調節しましょう。また、火属性の魔力を武器に付与させることで相手の魔物に火傷、焼け爛れを引き起こせると言う事も出来ます。」
【水】「あらゆる場所で水を生み出すことができ、水を清めたり、軽い治療を行うことができる魔法属性です。水属性の魔法は川や泉、海や地下水などの水がある所に近ければ近いほど力を増します。逆に砂地や水の無い所においては精密な魔力の制御を要します」
【風】「空気を操り、風を操作できる魔法属性です。風を身に纏って身を守ったり風の流れを読み、遠くのものを感じ取り、それが生きて動いている物かそれともただの置物なのか、察知できる魔法属性です。当然ですが、暴風を作り出し魔物を高く持ち上げる事も出来ますが、その場合には周りに人がいないかを注意しましょう」
【土】「砂や土、泥などの地面にある物を操り壁や段差、地形を変える魔法属性です。それだけ聞くとほかの属性よりパッとしないように感じるかも知れませんが、土属性の派生であり同じ属性の魔法で金属を生み出す魔法や、木をはやしたりする魔法があるので馬鹿には出来ませんよ?そして何より地面というのはどこにでもある物ですからね。」
「これら4つの属性は魔法の中でも基本属性と呼ばれるものです。この魔法はそれぞれ、弱点の属性魔法があり火は水に弱く、水は土に弱い。土は風には弱く、風は火に弱いとなっています。逆に言えば風に火属性の魔法、水を風に、と相手の使う魔法属性を見極めて弱点の魔法を使い分けていきましょう。」
誰だこんなのを真面目腐って教えとして残しているやつ…
ミーシェちゃん達のご先祖様、何とかしてくれてもよかっただろうに…
水や風に対してだってやりようによっては強いぞ、土魔法!
水をせき止めるのは土や砂を使った堤防だし、風と土なんて…あー…まぁ何とかきっとなるぞ!今は思いつかないけれど!思いつかないけれど!!
「この基本的な4つの属性はまとめて緑属性とも呼ばれることがあります。また、緑属性の特性として自然の力を借りることの多いため精霊達との連携もとりやすくなります。」
スミレも自分の事を言われたと思ったのか、にゃ?と呟き顔を上げた
その後何もないと思ったのかすぐに丸くなってぴすぴすと鼻を鳴らしながら眠っているけれども、ちょっとだけ可愛いとか思った
【空】「空を飛んだり、天候魔法もこの属性です。この魔法属性の魔物は風属性の影響も受けやすいので、叩き落してから安全に退治しましょう。味方に風属性とこの属性の魔法をそれぞれ持つ友達がいたら十分に影響を及ぼさないように気をつけましょう」
ステフィム先生は、この空属性の魔法をあまりよくは思っていないような苦々しい表情をしているので過去に何か嫌なことがあったらしい
先生は風か空の魔法属性を持っているようだ
【光】「この魔法属性は本当に希少でありいまだ未知な部分のある魔法属性です。詳しくは光魔法属性の得意な先生がいるので後でその先生からお聞きしたいと思います。」
ちらっと先生が俺を見たので生徒たちの何人かが俺の方を見たのを視線として感じ取るものの、俺は黒板を見て無視した
気分はパンダか珍獣か…
俺はそんな珍しいのかと問いたい、いやマジで…
朝っぱらから酷い目に合った事だしな!
【闇】「影を操り見えている周りを暗くしたり、影の中に潜んで闇に隠れるような魔法が多い属性です。かといって卑怯な魔法と思わないようにしてくださいね、ダンジョン内は暗いので、闇属性の魔法で夜目を利かせる事も出来ますし、魔族や亜人族の中でこの属性を得意としている方も多くいます」
「えー、光、闇、空の魔法属性は黄魔法と呼ばれています。黄魔法はダンジョン以外にも需要が多いため、冒険者や一般人から人気な属性が多く、必要としている職業も多くあります。ですが先ほども言ったように光属性は少なく、闇属性は一般的に多く、空属性は風属性と相性がよくありません。それぞれの特徴を覚えておいてくださいね。特に空属性は、絶対に風属性の得意な方と一緒にしないことを重点的に!覚えましょう」
先生、明らかに教育方針が偏っていますよ…
何があったんだろうか、過去に…
先生の過去が気になるが、授業はそのまま続いていくのだった
【無】「基本属性に入らない魔法は大体無属性の魔法となります。そのため、一番需要や魔法の種類が多い属性が無属性です。職種によってはこの魔法が使えないと話にならないと言っても過言ではないという人もいます」
「はい、では基本属性の魔法で、初級の魔法を教えます。いいですか、それぞれの魔法は得意不得意を10段階で表せます」
退屈な授業に、思わずスミレとともにあくびが出てしまう
だってそれはルールウド君にずっと前(数えるなら5年も前)に聞いたことだったからだ
俺はスミレの姿が見えないのをいいことに、スミレを撫でて過ごした
黒板に書かれたことを書き写したあとはひたすらスミレを撫で、じゃれさせてみたりして過ごした
キューリャさんにはばっちり見えてたのか、少し注意をしたそうな顔をしていたけれど、俺は退屈なのが悪いと思う
『にゃー、にゃ、にゃん!にゃう!』
スミレが猫じゃらしに必死に捕まえようと翻弄されている姿の方がずっと面白いのが悪い
大袈裟に大きく手を上げたりできないけれど、細かく左右に振って遊んだ
すると退屈なのが紛れたのかスミレは必死に追いかけだしてにゃーにゃ―言いながらも両前足で捕まえようと目で必死に追いかけ、猫じゃらしに食いついている
うーん、つくづく羽が生えているだけの子猫だなぁ…
精霊っぽさが特筆することなくないんだよね
「…ショージ様、聞いていますか」
「あ、はい、聞いていません」
クスクスとどこからか笑い声がするが正直に聞いてないというしかないね
呆れた表情をしたステフィム先生が苦笑をしてちゃんと聞くようにと注意してきた
だが断る!とっくに知っているのを聞いている時間ほど退屈な時間はないんだぜ
うん、考え方が若干ひねくれてて自分でも思うが、不良生徒だ、これ
一寸はバレない様に誤魔化しつつ退屈を紛らわせねばならないな
ふむ…
などと考えているうちにまたスミレと遊びだす俺がいた
キューリャさんがさりげなく机や俺自身の視界に映る所を叩いて気を逸らし、前を見るよう注意してくれるけれども数分見上げて黒板に新しい事がなかったらやはりスミレの方に意識がいってしまうのだった
「(ショージ様、先生が授業をなさっているのです、スミレ様と遊ぶのはよくありませんよ)」
「(だってルールウド君が教えてくれていた所だもの…詰まらないじゃない。)」
「(魔法の基礎ですから仕方がないのではないかと。)」
「(そうだね。でももうとっくにわかってるって顔、皆もしていて退屈そうだよ)」
「(スミレ様、ミーシェ様の方へ行っていてくださいませんか)」
『ミャ…いいにゃよー?ミーシェのとこ行ってくるニャー』
あぁ、非情なりキューリャさん…
せっかくの遊び相手であるスミレはさっさとどこかへと行ってしまった
恐らくも何も行先は一つしかない訳だけれどもキューリャさんはこれで俺がまともに授業を聞くとでも思っているのでしょうかね
フフフ、俺は次に退屈しのぎで自分の影を操り、影遊びを始めた
「(…ショージ様、いけませんよ)」
「(教卓からは見えない位置でやっているので問題はないですよ)」
「(そういう問題ではございません)」
ふふふ、態とキューリャさんを揶揄って遊んで、これ以上怒らせては大変だし、素直にやめておくことにした
影を消して、まともにあくびが出そうな授業を聞いて教本を眺めることにした
揶揄うのは少しだけ退屈を紛らわせられたので、この位でやめてあげることにした
数分後
かくんっと頭が腕の上から落ちて慌てて起きた
ウググ…ね、眠い…退屈な授業というのは何でこう眠気を誘うんだろうか…
まさかこの年になって子供たちと混ざって授業を受けるとは思ってなかった数年前にも電車の中での眠気やら会議での眠気対決をしてきたが、敵の睡魔が強すぎるんだよなぁ…
しかも内容が内容なので、復習状態だし…とにかく、眠気がすさまじい
俺が眠い眠いと目を擦っているとチャイム代わりの鐘がなってくれた
た、助かったぜぇ…寝落ちするところだった
というか落ちた
完全に惨敗です、眠いんだから仕方ない
「はい教本をしまってください。次の鐘がなるまでに席についていてくれればいいので、今の内にお手洗いを済ませておきましょうね。次はまたこの教室で簡単に魔法を見せ合いします」
先生がそう言って俺の方を見て心配そうに見てきたけれども俺は曖昧に微笑んでみた
そんなに警戒されても困っちゃうなぁ、俺…(にっこり)
そこまで期待されたら派手にしたくなってしまうじゃあないか
いや、やらないけどさ
俺は念のためにキューリャさんにどんな魔法ならば無難なのかを聞いた
キューリャさんは少し考えた後初級魔法のライトアップで十分なのではないかと言ってきたので、そうする事にした
ただ俺のライトアップでは明るいと目立たないのでブラックアウトも使わないといけないのだがそれはどうしたらいいのだろうか…あ、そうだ透明になる魔法も光魔法だった
それは駄目かなとキューリャさんに聞いたらライトアップなら初級なので誰でも一応は聞いたことがあるし一度俺は皆にも見せたこともあるので安心できるだろうと言われた
成程ね、ではそうしよう
それなら先生も問題がないよね、なんせ一度は見せているわけだしと思って俺が念のために先生に次の皆が魔法を見せる時にライトアップとブラックアウトでいいかと聞いてみた
すると先生が微笑んでそれで構わないし、一度見ているからそれで充分ですよと言ってくれた(なおめちゃくちゃ安心したような表情だった、とだけ言っておく)
…何だ、俺はそんなに問題児か?問題児のような行動に心当たりはないのですがねぇ?
お手洗いに一応行く生徒たちを尻目に俺は自分の席へ戻って不服だが途中眠気に負けて文字が歪んでいる紙の上にのたうち回っている文字を魔法で正しい文字の形に戻した
「ショージ様、ここはちょっとだけ間違えて記載しております」
「うぇ、あ、ほんとだ。ありがとうございます」
キューリャさんに指摘された部分を指で撫でて文字を浮かせて正しい文章にしてから書き留めた
退屈だったし眠かったから間違って黒板を写していたようだった
危ない危ない…
その後鐘がなる前に生徒たちが戻ってくるのをぼんやりと眺めてから先生が席に着くように言って、鐘がちょうどなった




