まさか2日目からこんなことになるとは…
~翌日~
ベッドから起き上がって、キューリャさんへの挨拶をして、顔を洗って目をこすっていたらキューリャさんが手紙だと言って紙の束を持ってきた
誰からだろう、知り合いと言ってもそんなにいないはずで、俺の知り合いで手紙を書かなくちゃいけないのはドラゴニア家の方々と、二組のおばあさまたちだけれども、その方々にはもう昨夜送って返事は今日の夕方スミレにとりに行ってもらう約束になっている
さて誰からの手紙だろーなーと思って俺はカフェオレを自分で出しながらも一番上の手紙を開いてみた
知らない名前の人からの手紙で首を傾げ内容はざっくばらんに言うなら……チームに入れてあげるという手紙だ、それも内容からすると、なんと上級生からだった
内容を見てみると一人分の枠が空いているからチームに入って一緒に勉強をしてみないかというものを上から目線の言葉を真綿でくるんだような文章だった
エラそうな態度が透けて見えるが当然入ってくれるはずという思考が見え隠れしている
この文章の書き方を何とかして貰いたかったなと妙に上から目線で却下し、次の手紙を見てみるとやはりこれも同じように上級生、しかも俺より4年も上の先輩方からの手紙だったので嫌な予感がしながらも全部の手紙の送り主は4年上の先輩方ばかりだった
「なんでこんなに上級生たちが、新入生の俺に手紙よこすんだろう」
面識だってないはずなのにと思っているとキューリャさんが教えてくれた
「それは昨日、ショージ様やミーシェ様が食堂で光属性がお使いになられる事や得意属性が3つ以上あるという話をしていたからだと推測されます。さらに原因を推測するに、6年になると中等部への昇格試験と言う物がございまして、それに首席や準首席で合格なさるとそのチームメイトに各自お好きな褒美、さらに家には金一封が王国より貰える手筈となっております。親御様からの期待もあり、皆主席、並びに準首席を取る為チームメイトを選択なされるので必死になります。なお、中等部に昇格できなかった方々は補習として長期休暇中にもう一度テストを受け、そこで昇格できなければ、もう一度4年生からやり直しを強制されるというものがございます。チームメイトに優秀な方、また優秀になるであろう方、またはショージ様のような光属性の方を狙っての勧誘は後半期までに決めなければならないと焦っている4、5年生が特に多いかと…」
………………( ゜д゜)ってなったよ
リアルに、顔文字みたいなあほらしい顔をしてしまったよ
しかも生前でもしたことの無いような表情だよ
一言思ったこと言うならば、幼気で何も知らないような下級生誘うんじゃねぇよ!
てめぇの褒美欲しさに俺を巻き込むんじゃねぇ!と手紙を送ってきた上級生方に言いたい
もう切実に、お願いしたい
「…あー…えっと」
「更に言わせて頂けるのであればまだまだ、この勧誘活動は続くものと思われます。」
「まだ続くの?!」
「はい。親御様からの期待を背負って学園に来ていらっしゃる方もおりますし、また成績が優秀なチームメイトを誘い上手くいったからと言って浮かれている間教員へと正式に申請する前にそのチームメイトを攫い、強制的に自分のチームへといれてしまうということもあります」
「 」
なにそれこあい…リアル人さらい、魔族の貴族って恐ろしい…
貴族って…一体…(白目)
ステフィム先生が、言っていた、紳士らしい紳士とは一体…
俺は朝からトンデモナイ物を、寄越された気がしてそっと手紙の束をテーブルに置いた
なんか朝からちかれた…
「ショージさま」
「…あ、はい?」
「おそらく、本格的な上級生方からの勧誘はまだ続きますが、一つ。それを断る方法がございます」
「?」
「先に、新入生たちだけの、チームメイトをお決めに成られる事です。上級生方の勧誘は大体、この時期にご自分たちも新入生だった時からチームメイトをお組になってお決めに成っていた方々がいるはずです。ダンジョンなど危険地帯に行くときに命を互いに預けあうチームメイトは、即戦力、即連携とはいかないものです。ですので、あと一人しか入れ替える枠がないと書かれている方が多いのです。だから、アルト様やカフィーユ様があと3人しか枠がないと言ってくださったのです。」
…………なるほど、昨日夕食時に食堂に来た人たちはそこで諦めてくれる人も、いなくはない、と…ホウホウ…
でも、じゃあ、この手紙の数は一体?
ざっと見て30はあるぞ、この手紙束…
「ですので、こちらも新入生だけで6人のチームメイトを早くお決めに成り、先生方に申請を早めにしてしまえば丸く収まるのではないでしょうか」
「え、でも、それチームメイト?って、後半期に決めるって…」
「それは、後半期までに、決められない方々がいれば、教員の方でお決めに成るのですよ」
「余った子同士で組まされる、ってやつなのか…」
体育で二人一組になってー
先生、○○君が一人余ってまーす
かーらーのー
じゃ、先生が決めるかー…的な感じなのかな
うわぁ…うわぁ…(絶望)俺ははぐれ物じゃないけれど、ないけれど!!
それだけは嫌だなぁ…目立つじゃないか
そんなことを思いながらも着替えていると廊下から人の気配とノックの音がしたのでキューリャさんが見に行くと二言三言言葉を発して、扉を閉めてしまった
????誰だったんだろう、と思っていたらキューリャさんが戻ってきて手紙を俺に渡してきた
手紙の、追加、お代わりだってさ、ハハハ…はぁ(ゲンナリ)
「ショージ様、お手紙にございます」
「……はい。見ればわかります」
「…紅茶をご用意しましょうか」
「お願いします」
「畏まりました、すぐにご用意します。」
キューリャさんが頭を下げてキッチンルームで紅茶を入れてくれる音がしている中、スミレが呆れたように手紙の山を踏んでいた
スミレ、その手紙を俺より年上の、貴族のお子さんたちが書いて送ってきたものだから、そんな風に足蹴にしちゃだめだよ
…気持ち的にはいいぞもっとやれとか思ってないよ?本当だよ?
手紙を開封して読んでみるとやはり上級生からの手紙で、今度は女性の方からだった
男女別なんじゃないの、特にダンジョンへと一緒に向かうなら男女別な気がするんだけれど…なんで女子生徒からの手紙?
まぁいいや、内容は…と読んでいくとやはりというかなんというか…
ほとんど、みんな同じだった
30枚もの手紙の内容はほぼ同じ、チーム勧誘だったよ
紅茶を飲み終えて大きくため息をついていると再び人の気配がして、ノックの音
嫌なデジャブを感じつつもキューリャさんの背中を視線で追うと、再び二、三話して扉を閉じたその手には手紙を持っていた
うん知ってた、分かってた(にっこり)
その後も、何度も人の気配を感じてはキューリャさんが色鮮やかな手紙を片手に戻ってくるという行動を繰り返して、俺の目の前にある大きめのテーブルにはいつのまにやら手紙の山が出来上がっていた
ざっと数えるならば60以上はある
ラブレターだったらよかったのに、残念ながら、非情ながら!!
これは上級生のチームメイトにという勧誘の手紙だ
そして残念なことに気づいてしまった俺がいます
そうこれはまだ、まだ!
上級生達からだけでしか、ないのです
同級生からの手紙や誘いが来るかもしれない、と言う事を俺は、気づいてしまったのです
ノイローゼになりそう…というか手紙嫌いになりそう…
朝からこれとかキッツい…
何の嫌がらせでしょうか、と思っているとノックの音がしたのでスミレが威嚇している
キューリャさんは苦笑をして、扉へと向かった
「おはようございます、ステフィムでございます。お食事の方はどちらになさいますか」
セ、先生だったあああああああ!
先生、先生ではないですか!あああ、嬉しい!
手紙じゃないのがこんなにうれしいとは!
「ステフィム先生、おはようございます!」
俺が余りにも嬉しくて思わず駆け寄るとキューリャさんとステフィム先生が目を見開いて驚いた後微笑みを浮かべてくれた
「おはようございます、ショージさま。ですが従者様が誰何をお訊ねしている時に出てはいけませんよ。」
「朝から手紙を従者の方が届けに来てくださっていたのでショージ様は参ってしまったのです」
「……そうでしたか。ですがショージ様後半期、夏季休暇前の数か月は、もっと勧誘が激しくなりますよ?今からその後様子で…大丈夫ですか?」
「しりたくなかったです、そんなこと…っ!」
ステフィム先生とキューリャさんが苦笑して、スミレは俺と同じ悲しい顔をしていた
ステフィム先生が苦笑いをしたまま、今日の朝食は部屋でとった方がいいのではとアドバイスまでしてくれた
俺は頷きたかったけれども我慢して首を左右に振った
だってミーシェちゃんの事やカフィーユ君やアルト君が待って居るかも知れないし、と思えば我慢できるので行くと応えた
「では、少しお待ちになっていてください、もう一度訪ねますのでその前に出掛けられる用意をなさって下さい」
そう言ってステフィム先生が頭を下げて隣の扉…カフィーユ君の部屋の扉へと行ってしまったのが分かった
俺はスミレにご飯とミルクを与えて、部屋で待って居るようにと言って頷いてカリカリとミルクを一生懸命に口にしているスミレに行ってくるねと挨拶したらニャーと一鳴きしたので立ったらすぐにノックの音がした
そしてそのままキューリャさんとともに部屋を出ると廊下にはステフィム先生とルネア君、カフィーユ君が従者の方々と待って居た
「おはよう、カフィーユ君、ルネア君」
「あ、おはようございます、ショージ様」
「ふふふ、おはようございます、ショージ様。随分と朝から来客が多いようで。」
「あぁ、えっと…はい。」
やはり、カフィーユ君達には隣室だから聞こえていたのかと思わずがっくりと頭と肩を落とすとルネア君が不思議そうに俺とカフィーユ君を見てきた
「えっと、朝から来客って…何だったんですか?」
「朝から、ダンジョンの授業などを一緒にこなす、チームへのお誘いが来てまして…」
「そ、そんなものがあるんですね…。」
ルネア君はのんびりと微笑み、そう言ってくれた
うん俺も昨日まではそう思っていたし知らなかったからね、仲間だね
カフィーユ君が笑いながらも、ルネア君に耳打ちするように何かを言って、ルネア君は目を見開いて驚いた
「朝からショージ様が、上級生達のチームメイトにと誘われているんですよ」
「えぇ、そんな…だって、まだ学園に入ったばかりですよ?」
「だから、何も知らないような子を先に確保しようとしているんですよ。」
「えぇぇ…」
ぼそぼそと俺に聞こえないように気を付けつつも小声で話しているのだろうけれどもばっちり聞こえています
ハーフエルフって耳いいからね
ばっちり聞いています、はい
俺もねー、まだそんなに躍起にならなくていいと思うんだぁ…(遠目)
食堂へ行き、扉があくと同時に何故かズラリと上級生の従者さんたちだと思われる方たちが扉の両サイドを固めて、どこぞのドラマのように待って居た
え、ナニコレと思って呆けていると一斉に従者さんたちが頭を下げた
中には女性の従者さんもいる
俺はそのまま引き返したくなってきた
「しょ、ショージ様顔色が悪いですよ?」
「ルネア君も、顔が引きつってますよ?」
「お二人とも、まだまだ序の口ですよ。さぁ食事にしましょう?」
「「なんでカフィーユ君は平然としていられるの!?」」
「僕逃げようと思えばもう逃げられるし、ショージ様直々にチームメイト候補に入れてもらっているので。後あらかじめ知っていたので。」
カフィーユ君はある意味図太い神経しているのかもしれない…(遠目)
こんな人たちに囲まれているのに、平然とそんなことを言っていられるなんていっその事すごいと尊敬すら抱けるよ…はぁ
俺と、ルネア君は二人してびくつきながらも従者さんたちの間を通り、カフィーユ君に追いつくように足早にその場から逃げようとした
「ショージ様」
「ひゃい」
うわ、呼び止められてしまった!つい反射的に返事までしてしまった!
振り向いて、誰が呼び止めたのかと思ったけれどもどの従者さんも俺を見てにこやかに笑って見せた
お前らは劇団員か何かなの?!こわいよ!
俺に声をかけてきたのはなんと女性の従者さんで、一歩前に出て頭を下げてきた
「お呼び止めして申し訳ございません、ショージ様。私、ラソン家にお勤めさせて頂いて居りますメイドにございます。」
「は、はぁ(困惑)」
「当家のお嬢様のチームメイト様方は、魔法にお詳しい方がおられず、生傷が絶えないのです。どうか、お嬢様のチームへ入る事を一考して戴ける様お願い申し上げます」
頭を下げたメイドさんが顔を上げて、懇願しているような顔色で俺を見てきた
そしてその言葉を皮切りに、次々と周りにいた従者さんたちが一斉に我先にとチーム勧誘の事とかを話し出した
ステフィム先生、助けてと思いつつ振り返るとステフィム先生はにこにこしながら見るだけで助けてはくれませんでした
なんか、毎月恒例な行事を見守るような目で見られてしまったのですが、小一時間文句を言いたい
暫くしてキューリャさんが俺の腕を掴んで透明になってくれたのでその場から隠れつつ逃げることが出来た
因みにちゃんとルネア君とカフィーユ君は先に逃げ出せていたらしく、ルネア君が心配そうにしていてくれたのが唯一の救いでした
あ、朝からひどい目に合った…(ぐったり)
「だ、大丈夫?」
「………うん」
「ははは、お疲れ様ですね、ショージさま。」
「食堂に来ただけなのに、凄く疲れた」
なんで朝からこんなに疲れないといけないんだよ
誰だ、光魔法は意外に使える人がいるんじゃないかとか言ったやつ
…俺です、ごめんなさい
俺の周りに2人も光魔法を使えるという人がいたから、もっといるんじゃないかとは思っても仕方なかったんだよ、ママン…(遠目)
そんなに必要とされている魔法とは思ってなかったしね
なんで朝からこんなに人(魔族とかの方が多いけど)に囲まれて次々とどこの家の誰という従者さんが使えていらっさるお家のためにチームに入ってほしいとかうんたらかんたら聞かされなくちゃならないんでしょうかね…
「まだまだこれからですよ?」
「「えぇぇ…」」
「ははは!ショージ様、嫌ならば早く他のお三方を決めた方がいいですよ?」
カフィーユ君はにこやか~に、笑いながらもとんでもないことを言った
期待したような上級生さん達からの視線や、釣られてんのか知らないけれど同じクラスや他クラスの子息さん達からの視線が一気に俺の方へ…
「い、いや、えっと!まだ入学したばかりだから!ほら、俺弓矢使うし!ま、的とか平気で爆発させるから!危ないし!?」
苦し紛れで何言っているのかわからないが俺はそういって視線から逃れようとした
しかし現実は非常である
「ならば丈夫な人が前線に居なくてはいけないな!わたしとか!」
「盾役なら俺が買ってやれるぞ」
「守りの術は、得意ですわ!」
あばばばばば…一斉に自分が有利だと口々に言いだす上級生の熱気に俺はくじけそうです
たすけて…
「あのー、そこまでにしてもらっていいですかね、先輩たち」
ルールウド君がそういうとピタリと声がやんだ
わああああ、先程までの自己アピールの嵐を止めるなんて!!!
ルールウド君凄い、でも出来るなら最初からそうやって止めてほしかった!!
ルールウド君は困ったように眉をひそめて頬を掻いている
「ショージは僕の弟なので、それ以上泣かせないで上げてくださいね?」
泣いてないよ!泣きかけてすらもいないよ!
と思ったけれどもルールウド君が何かを合図して、頷いたキューリャさんが俺の目の下とか目に素早く目薬を付けてきた
びっくりして思わず目を閉じたら従者さんたちと上級生たちが申し訳なさそうにして引き下がってくれたけれど、これ目薬ですよ!なんて古典的な手を取らせるんだ…
というか堂々と目薬を付けたの、見えなかったのかな?
「ショージ様、泣かなくてもいいんですよ?」
「(目がしぱしぱする…)え、あ、う、うん」
ルネア君が心配そうにして俺をルールウド君の座っている席にまで連れて行くように手を引いて歩いてくれた
目薬は子供用の奴であまり痛くない様にしている物を使ったみたいだけれども急に目薬を点されたので目がしぱしぱした
瞼を擦りたいのを我慢して何とか瞬きで誤魔化しているとルールウド君がわざとらしくも堂々とこれ以上泣かせたら怒りますよー的なことを言っているけれど、これ目薬です
しかし周りはすっかり騙されてしまったのらしく、誰もがしょんぼりして小さな子供に叱られているのを聞いている
ルネア君なんか俺を必死に泣き止ませようとしているしね?
お兄ちゃん何してくれてんねん(笑)え?よくやったとか思ってないよ?本当だよ?
「ほら、ショージ、座って。かわいそうに」
全然可哀そうじゃないわ。わざとらしすぎないか、これ?
笑いもろこらえるマクスェルさんとミーシェちゃんを何とかしなよ
あぁ、カフィーユ君なんて笑い堪えるのに肩が震えているよ
この野郎…と思いたくもなるけれども俺を一応庇ってくれたのだろうから許してあげよう
まぁルールウド君だしね、仕方ない
ルールウド君の隣に座るとキューリャさんが何喰わない顔で俺に朝食用の軽い物だろう食べ物の名前を並べてあるメニューを平然と差し出してきた
本当に悪びれること一つもしてなさそうな顔して急に目薬点けてきた人と同一人物かと問いただしたくなってくる
俺は納得できないままにメニューに目を通し、クロワッサンに似たパンとコンソメスープ、それに温野菜たっぷりのサラダにフルーツポンチを注文した
俺が注文したことにより何故か周りの上級生達や、ルネア君がほっとした表情になった
こんなに騙されやすくて困らないのか?
まぁいいけれど、カフィーユ君いい加減笑うの我慢しようか
アルト君もいつの間にか来て、俺に向かって手を挙げているけれど、笑っているのが隠しきれてないからね!
「朝から大人気だね、ショージ君」
「アルトお兄ちゃん、オハヨー」
「ふふ、おはよう。朝からにぎやかなのはチームのこと?」
「そうみたい!先輩たちがショージお兄ちゃんに沢山話しかけてるのよ」
「ふふふ、みたいだね。ミーシェちゃんも早くショージ君のチームに入れて貰うなら入れて貰わないとあっという間に枠がうまっちゃうよ?」
くふくふとミーシェちゃんは笑った
笑うっていうだけなのに、他の人たちの笑顔と違う、自然な笑みを見せた
あぁ、なんかこっちの笑顔のほうがずっと落ち着きます
この世界でも意図の透けて見える笑みは怖いとはっきりわかんだね
「ミーシェはねー、クーちゃんとシェリーちゃんとチーム組もうと思うの!」
「あれ、ミーシェちゃんはショージ君と組まないの?」
「うん!ミーシェにはお守りがあるもん!」
「?お守り?」
「ショージお兄ちゃんがね、作ってくれたお守りだよ!ほら、これ」
ミーシェちゃんが引っ張り出したのはブローチにしてあるカプセル型のエリクシェル
粉末の薬と、水薬の二択しかないこの世界の薬は子供には飲みにくい物でしかなかった
そこで俺とレシェルナさんはオブラートやカプセルを開発した(主に俺がアイディア、実際に作るのは二人で工夫しまくって生み出した)
そして出来たカプセル剤は寿命の短かった水薬の長期保存ができるとすごく褒められた
実際試しにわざと時間をおいての経過観察をして水薬を入れたカプセルを2年間置いておいたものを成分が同じか調べたり(やや劣化していたがこれは誤差と言ってもいい位と言われた)どんなことに注意した方がいいのかとかいろいろと調べたり実験してみたりした
おかげでなんとコンパクトになりました薬ができました、ミーシェちゃん達に上げました、今ここ。
ブローチは、レシェルナさんが作ってくれたよ
物を中に入れるのはエフィールさん事エルフママさんが作ってくれたよ
ちなみに学園にもあの例の沢山薬草や薬が入るストールは持ってきています
ドラゴングランマやグランパ達は入学祝だと言って沢山ドラゴンシードやら薬草の元になる物を俺にくれました
なんでも、役に立てることができそうだからと言ってくれた
ミーシェちゃんには竜の鱗から作られた大きな盾や防具、さらに手鏡を上げていた
孫の溺愛っぷりが凄まじいのですが何とかなりませんかね
入学祝と言いながら1か月前から大量に荷物に入れてたり送ってきたり、直に渡しに来たり薬の調合中に来てストールの中に入れたり丸い球を渡してきたり…
なんか、すさまじく贈り物ラッシュをされた
と、まぁそれは置いておいて…
ブローチの中には薬がたくさん入っているからお守りにすると受け取ってくれたミーシェちゃんは嬉々としてアルト君に見せていた
「ブローチ、奇麗だね?」
「うん、中に物が入ってるの。これにねショージお兄ちゃんが作ってくれたお薬入ってるから怪我も大丈夫なの!」
「へぇ、どんな薬入れてあるの」
「エリクシェードだよ」
「えりく…しぇーど?」
アルト君は不思議そうに首をかしげている
俺は苦笑したけれども、アルト君やルネア君は首をかしげていた
カフィーユ君もわからないみたいで、つくづく認知度がない薬の名称みたいだった
ルールウド君がフフフと笑って可笑しそうにしながらもアルト君に自分の病気を治してくれた薬の名称でしょうと言われて驚いて椅子から落ちた
「えええええええええええ!」
「大丈夫?椅子から落ちたりして」
「その小さなブローチの中にあの薬入ってるの?!ショージ君なんてもの持たせてるの」
「そう?変な事かな?おばあさまがそうしろというから。」
「ルー兄さまのネックレスにも同じ薬入っているよ?」
「………………」
ルールウド君がにこやかに、自慢げにネックレスを見せてきた
やめて、しまって!と思わず顔を隠したくなってくるくらい自慢そうにしていた
ネックレスの先にあるのは小さな藍色の宝石で、その宝石の中に薬が4つカプセルに入っているし、錠剤で2つも入っているレシェルナさんの作ったものだ
「ショージは薬作れるからね、沢山の薬をこの中に入れて貰ったよ。」
「そ、そうなんですかぁ」
「どんな薬なんですか、エリクシェード、って。」
ルネア君がそう聞いてきたので俺が答えようかと思ったら俺たちの席へと近づいてきた大人らしい気配がした
そしてその大人は…
「一口で言うならば万能薬だよ。傷は骨折から擦り傷に、異常状態は死亡判定さえもその薬を使えば治せる。一滴なめれば風邪ひかないし、眠気だってなくなり、病気を完治させられる」
偉そうに薬の事を説明してきたが俺は あ、あの嫌な先生だ としか思わなかった
練習場で出会って俺にエフィールさんの悪口言ってきた先生だった
今すぐ影送りしてやりたいけれどもここは食堂だから変なこと言わない限りは勘弁してやろうと思って黙っておいた
俺は嫌いな、あの先生が目を光らせてカツカツと厭味ったらしくも靴を鳴らして近寄ってきた
「それで、その君に教えたという“おばあさま”の事を詳しく聞きたいのだがね」
「そんなに知りたいならば、本人にお聞きくださいよ、先生」
「おやおや、さすが元は人間なのに王家に取り入って入った方ですなぁ?その図太さでお慈悲を買うたのですかな?」
あ、そういうこと言っちゃう?いっちゃうんだねー、フーン
と俺が思って懐から懐中時計みたいな大きさの小さな鏡を出す
そして、その鏡に無属性の魔法を使うと…
「どうせあのお妃さまに取り入ったのだろうなぁ、さすがは元人間ですなぁ」
『おやおや、ずいぶんとえらいことをお言いになっているのねぇ?』
「ひぇっ」
そうこの鏡は俺の世界の人なら誰でもわかる、テレビ電話です
姿見の鏡をつなぎたい向こうに置き、その姿がこの小さい鏡と無属性の魔法でつながっていて、魔力を流した時だけ姿見の鏡の前にたつ人を映し出し、姿を見たまま会話できる
便利だろう?昨日嫌な先生がレシェルナさんの事を誉めているのにその娘のエフィールさんを馬鹿にしているようなので、今日は対策として鏡を持ってきたのだ
嫌味なあの先生は鏡を見てレシェルナさんがいるのを見て変な顔で固まった
ハッ、ざまぁ!(にっこり)
「れ、れ、れ……っレシェルナ様?!?!な、え、わ、これはに、偽物に違いな、ない?」
『いいえ、本人ですわ。プラム、お久し振りですわねぇ。1200年ぶりかしら?もうおねしょや泣き虫は治ったのかしら?』
「そ、それはっ、あーいや、えっと」
うっは、慌てふためいているよ、ざまあないな!
さっきまで眉をひそめていたルールウド君や露骨にいやそうな顔していたミーシェちゃんが肩を震わせて笑うのを我慢しているよ
俺はレシェルナさんに、鏡電話をつないだまま、もう一方の方を魔法でつないだ
『あらショージ、どうしたの、朝から。』
「おはようございます、エフィールさん」
『朝から連絡するなんて珍しいのね。なにかしら』
「いえ。ただ、俺の事をエフィールさんに無理やり取り入って家族に入れて貰ったと言い張る方がいらっしゃるもので。」
俺がそういうとレシェルナさんにつながっている方の鏡を持っている、先生が真っ青になっている顔色を土気色にしているのが見えた




