カフィーユ君と兄妹はつ顔合わせ
紅茶を二杯お替りしながらも本を2冊読み終えるとスミレが悲しげな鳴き声で俺の足元をペシペシと叩いていた
止めてというように追い払おうとしても両前足を使い俺の手を挟み込み、まるで振り払うなんて何事だと言いたそうに文句ありげに鳴いた
俺はまだ本を読んでいたいのに、そんな鳴き声を出されても困るよ
「どうしたの」
『にゃぁああ…』
「なぁに」
『にゃああ!おにゃかすいたにゃ!ごはん!ご飯にゃ!』
ぺシペシと問答無用でスミレは俺の顔をたたいた
今何時だろうかと確認すると、スミレにいつもご飯を上げている時間に近く、仕方なしに俺はカリカリを出してあげた
ザララッと乾いた音を立てて餌皿をカリカリタイプの餌が覆うと待っていましたと言わんばかりに食いついたスミレがミルクも欲しいと口一杯に頬張りながら言ってきた
俺はスミレにミルクも上げた
よしこれで邪魔されなくなったぞと思ったのだが、今度はキューリャさんが俺を止めて夕食の時間になりますよと言ってきたので残念ながら本の続きを読むことを諦めた
ちょうど本を本棚に戻した時にノックの音がしたのでキューリャさんが確認しに行ったらステフィム先生だったらしい
昼間と同様、夕食をどうするかを聞いて回っているようだったのでアルト君やミーシェちゃん達に会えると期待して食堂に行くと返事するようにキューリャさんに伝えるとステフィム先生が少し待つように言って他の部屋の方々に聞いて回っている気配を感じた
…なんでそんな回りくどいことしているのだろう
さっさと廊下に待たせたり、自分で行かせたりすればいいのにと一瞬思わなくもないがすぐにきっとこれは新入生の一学期だけにみられるサービスか何かだろうと思い込むことにした
だってよくよく考えてみれば新入生って友達ができる前凄く気まずいものね
他の子を誘って食事したり移動したりとかは中々勇気いるし、道も間違えやすいだろうし
…そう思うと一時的にとはいえ、先生がこうして迎えに来てくれるとはいい話だよね
多分そういうことだよね
よし納得したと勝手に一人で疑問に思い、すぐ納得していると廊下に出ている人数の気配が二人分増えた
カフィーユ君とその従者さんの気配だ
俺の部屋へと気配が動きノックの音が再びしたのでキューリャさんと俺が部屋を出ると今回はこの階にいる子供は俺とカフィーユ君だけが食堂での食事をとるようだと言った
カフィーユ君とともに先生に続き板に乗り食堂に行くとミーシェちゃんとルールウド君が一緒に食事をとっている姿が見えた
俺はそこに近づき、二人に挨拶すると二人はすぐに俺に真ん中に座るように、左右にちょっとだけ移動して俺一人分の席を開けた
…そこに座れと言いたそうなので俺は頬を掻きつつも座ることにした
カフィーユ君を呼んで手招きして、俺の前の空いている席に着かせてもいいのか聞いてみたら二人して快く頷いてくれたので俺の目の前の席に座るように促した
カフィーユ君は素直に頷き俺の前の席に着いた
従者さんはメニューをカフィーユ君が席に着いたとみるや否や、メニューを渡した
カフィーユ君は当然のように受け取り開いてからすぐに従者さんにメニューの一つを指さしてどういうものなのかを聞いている
動じないとはさすがいいところ育ちだなぁと思っているとキューリャさんが俺にもメニューを渡してくれたのでおいしそうな野菜炒めらしい(昼間に聞いた)メニューを指してパンと野菜炒めにあうスープをお願いしますと頼んでみた
すぐに頭を下げて取りに言ってくれるキューリャさんに一寸悪いなとは思いながらもそれが普通っぽいので黙っておいた
「ところでショージさま、そちらの方々は?」
「あぁ、兄のルールウド君は先程紹介したよね。こっちの子は、一応妹の…」
「ミーシェです!えへへショージお兄ちゃんのお友達でしょ?よろしくねー?」
「ショージと同じ年の、ミーシェだよ。」
ミーシェちゃんとルールウド君が自己紹介したのでカフィーユ君もあいさつ代わりに自己紹介してくれた
「僕はモンドア伯爵が子、カフィーユ・モンドアと申します。どうぞお見知りおきを。」
おぉ、なんとなく格好いい
なんか自己紹介一つでもやはり貴族ってこういうのができないといけないのかな?
そっかぁ、貴族への道は遠いなぁ(遠目)
でも格好いいのはそうなんだけれど、なんか、○○が子って言い辛い…言い辛くない?
それをつっかえずにサラッといえるのがまた格好いいな
「そんなに畏まらなくてもいいですよ?」
「ですがドラゴニア第一皇子と皇女の前ですし…」
「だって私たちまだ子供だもん!いいよ?ショージお兄ちゃんのお友達の、カフィーユ君でしょ、ミーシェって呼び捨てにしてもいいよ?ね、ルー兄さま?」
「うん。いいよ」
…ま、うちはルーズだしなぁ(苦笑)
一応授業中は礼儀作法を重んじていたけどその授業が終わってしまえば舌の根も乾いていない内にその次には平然とそこら辺の子供と同じ態度をしていたくらいだったしなぁ
平気で尻たたかれたし、怒らせればメニーさんたちが雷落としていたし…
そんなことを思っているとカフィーユ君も苦笑して口調を崩すことを了承してくれた
食事中にカフィーユ君は色々と気になっていた事を俺やルールウド君に質問してきた
「ハーフエルフってどうしてそうなったのか聞いてもいいですか?」
「いいよ?と言ってもはっきりと原因が分かっている訳じゃないんだけれども…」
「そうなんですか」
「うん。ただ単純に、お母さんの血に引き摺られて、ハーフエルフになったんじゃないかと思っているっていうだけなんだけれどもね?」
「あぁ国王様の奥方様はフロストエルフでしたね」
カフィーユ君はうんうんと何度も頷いた
どうやら納得いったようで何よりです、と思っていると今度は他の質問をしてきた
カフィーユ君の興味は尽きないらしい
「先程の遊具は、ルールウドお兄様も作り出せるのですか」
「遊具?何を出したんだいショージ。」
「パチンコとブーメランを出したよ」
「僕には作り出せないものばかりだね。」
「まぁ俺が作るものは大体簡単な物だから誰でも出来るんだけれどね?」
「ゴムとか、色々とあるからなぁ…無理だよ」
簡単に出せる、できると言ってもゴムとか化学繊維とかが想像できる物じゃないからと今の所俺が作るしかないものになっている
だからゴムをどういう形に使いたいとルールウド君やトーマスさんに言われてそれをその形にしてから出すと言う事もしている(例えるなら自転車のゴムタイヤに入っている空気を入れるためにゴムの小さい筒みたいな物が欲しいと言われたときは空気入れをそのまま出したりしたり、水はけがいいのを見抜いたルールウド君にゴムで靴を靴ってほしいと言われ長靴を作って出したりした)
「じゃあなおさらショージ様はチームメイトに入れたい方ですね」
「「チームメイト?」」
「後半期にあるダンジョンや団体戦での同じチームを組む人の事ですよ。」
「「あぁー」」
ミーシェちゃんと俺が同じように納得するとアルト君がやってきたのが見えたから手を振って手招いた
直ぐにアルト君は俺たちの所へ来て、カフィーユ君の右隣のミーシェちゃんの前に座った
「ショージ君達は賑やかだねぇ。あれ、知らない人がいる。こんにちは、いやこんばんは?」
「こんばんは。カフィーユと申します」
「あらら、ご丁寧にどうも。僕はアルトと申します。」
二人して頭を下げたのでなんだかおもしろかった
そしたら思い切り、ルールウド君が横を小突いてきたのですぐに謝った
「ショージ君適正な武器何にした?」
「え?鞭だよ。投擲、弓とか得意な物禁止にされちゃったんだ。」
「えぇ、禁止ってまた…なんで?」
「…止むを得ない事情がございまして…」
「ショージ様は4つあった的をご自身の作り出したものでかなり遠くから粉砕したので禁止になりました」
俺は黙っているつもりだったのに、カフィーユ君があっさりと言ってしまった
俺は無言で顔をそらし、何処にも向いていない、知らないよという風を装う
口笛でも吹いてやろうかとさえ思うほど白々しいとは自分でも思う物の恍けようとした
しかしカフィーユ君はにこにこしながらさらっと人の汚点を教えてくれるよなぁ
まさか全部の的を粉砕するほどとは思っては思わなかったから比較的威力のないパチンコを出したのにね
「ショージ…」
「ショージお兄ちゃん…」
「うわぁ、粉砕とはすごいなぁ」
クスクスとアルト君はにこやかに言ってくれたけれども、ミーシェちゃんとルールウド君はジトリと俺を見たので俺はにっこり笑っておいた
うん、僕何のことだかわかんないなぁ?粉砕?何のことなのかなー?
「ショージ、初日からそんな物を出したら周りの子に迷惑でしょう?駄目だよ、怖がらせちゃうでしょう?」
「パチンコだけで4つ壊れちゃったんだもの。仕方ないじゃん?」
「じゃ仕方ないから鞭で我慢しようね」
「………………うん」
俺はしょんぼりとしながらも頷いた
皆のお付きの従者さんたちとキューリャさんが戻ってきたので食事をとりながらもチームメイトにだれを誘いたいかとかそういう話をしていった
後半期にあるというのに、初日の今日、夕食時にその話が出るとかすごく気が早くない?
え、そんな暢気なことを言えるのは俺だけ?
え、なんで?だって後半期なんでしょう?まだ初日だよ?
俺がそう思って驚いているとミーシェちゃんもそう思ったのか、不思議そうにルールウド君に聞いた
「ルー兄さま、まだにゅーがくしたばっかなのに、チーム決めるの?」
「そうだよ。友人になっておいて、いざという時にダンジョン内で力を貸して貰える為、必死なんだ。チームメイトは5年間ずっと固定だから一度決めるときにじっくり選ばないといけない。そして、光魔法と独創的な発想は何よりチームの力になり、魔法レベルも上がりやすい。成績も上がりやすいし、何よりも魔法属性が3つ以上ある特異なショージや僕、ミーシェみたいな人はチームメイトになっておいた方がいいとされているんだ。中々いないからね。」
「「へー」」
いわゆる今のうちに仲良く成っておいて、青田買いゲフンゲフン…
仲良く成っておいていざ困ったときに何とかしてもらおう的な物かな?
チームメイトってそれ、別のクラスの人ともなれんのかねと思っていたらカフィーユ君が教えてくれた
「別のクラスメイトともチームメイトを組むこともできますがチームメイトは大体同じクラスの人が推奨されていますね。ほら、クラスは貴族階級別なので。」
「へー。でも武器とか戦闘スタイルによってあうあわないありそうだけど、そんなの初日に決めていいのかねぇ」
「だからこそ、後半期に本格的にチームメイトを決めるのですがそれまでに友好的に接して相手を見極めるんですよ。いくら強くて魔力もある方でも性格が合っていなかったら喧嘩になりますし、前衛、中衛、後衛のどれでも行ける方というのもいらっしゃいますし…」
「へぇえ、すごいなぁ」
そんなことかんがえないといけないのかー、たいへんだなぁと思っていたらカフィーユ君が苦笑した
「魔法が得意で、中衛の方も…基本的には隊列上、どこにおいてもいいと言う事で、人気です、よ?」
ほー、そんな人いたっけなーと思っていたらアルト君が俺の事だよと言ってきた
「え?俺?」
「魔法って基本的に人によって何でもありでしょう?だから前で魔法を放って中距離でサポートするってこともありなんだよ」
「魔法って後ろでやるものだと思ってた…大変だなー、って他人事状態だったわー」
「だって探索魔法とかあるじゃない。」
「……………そっか。大変だねー」
「だから、ショージ君ただでさえ光魔法使えて、独自の魔法持っていて、それで得意属性を多く持ってるって…君、明日から勧誘されるんじゃないかな」
「まっさかー。だって俺授業中で的破壊したんだよ?たぶん怖がられるだけだよ」
なんて暢気なことを言っていたこともありました、なんてことになるとは思ってないこの時の俺を全力で殴ってぶっ飛ばしたいと思うのは、翌日の時の事でした
ルールウド君とアルト君が二人して溜息をつき、カフィーユ君がニコニコしていた、この意味をちゃんと考えておくべきでした(ガックシOTⅬ)
夕食時、アルト君とカフィーユ君がチームメイトにと言ってくれたので、冗談半分で気が早くないかと言いつつもいいよと言ってあげた俺はそこまで深く考えていませんでした
この学園において、食堂という場所でそんな話をしているのが…後々、こんなことになるとは露ほども思ってなかったのです
学園内において、チームメイトを決める、この最初の時がどれほど重要視されているのか、と言う事をもう少し考えればよかったなぁ(遠目)
夕食を取り終わった上にデザートのフルーツを食べているときにルールウド君とマクスェルさん、キューリャさんが頭を押さえていたのには気づいていたのだけれどこの時は単純に頭痛いのかなーとか疲れたのかなーと思っていたんだ
デザートを食べ終えるとなぜかアルト君が苦笑していた
「いいかいショージ君、明日チームメイトになろうとしてくる人には枠が3しかないよというんだよ?あと、僕の事言ってもいいからね。」
「???」
「枠が3つしかないというとどうしても戦闘スタイルが合う人を優先するから遠慮してくれる人が多いんだ。」
「?????????お、おう?」
よくわからないまま、気迫が強かったのでついつい頷いていた




