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トーマスさんの意外な趣味が発覚…?

そしたらドラゴングランパさんがグランマさんにアイアンクローを喰らって吹っ飛ばされていたという変な所に遭遇してしまった


俺とレシェルナさんが下にいたときに一体・・・何があったんだろうか


そう思っているとミーシェちゃんが俺とレシェルナさんに気付いたらしく、笑顔で駆け寄ってきた


「ショージお兄ちゃん、お薬出来たぁ?」

「うん、本当に簡単だったからできたよ」

「私飲んでも良い?」

「いいよ、はい」

「わーい!あ、スミレちゃんも飲んでも平気?」


スミレは精霊だから飲んでも害はないと思うけれど・・・どうなんだろうか

少しなら大丈夫かな?不安になったのでレシェルナさんを振り返ると微笑まれて頷かれた

これはきっと大丈夫だと言うことだろう

スミレもわくわくしているのかどこか落ち着きなくそわそわしている

くるくるとその辺を回っている


小皿を一枚貰ってその小皿に栄養薬(もどきとかドリンクっていうの面倒くさくなったので略した)を一寸だけ出してスミレの前に置いてみた

スミレは嬉しそうにぺろぺろと小皿を舐めて栄養薬をのんだ

そして全部の液体を舐め終えるとスミレの体が黄色く光った


「ちょッスミレ大丈夫?!」

「光ってるよ」

「大丈夫よ。ほら。」


レシェルナさんがそう言うとスミレの体から出ていた光は瞬きしている間にスッと消えて元の猫に羽根がある姿のままでキョトンとして首を傾げていた

変化があったのは、どうやら一時的に眩しかっただけかと思っていたらルールウドくん達が目を見開いて驚いていた


「?どうしたの?」

「・・・猫だ」

「?スミレちゃんは、最初から猫ちゃんだよ?」

「いや、そうじゃなくて、契約も召喚もしていないのに、僕達にも猫に見えるから・・・」

「可愛らしい、猫に見えます」


メニーさんでさえスミレの姿が猫の時に見えているようだった

凄い、栄養薬を精霊に使えば皆にも見えるようになるのか・・・

ふむ、ならば・・・

俺はもう一度栄養薬を小皿に入れて、今度は子犬に上げてみた


『わふ!』


嬉しそうにぺちゃぺちゃと音を立てて子犬は小皿を舐めるように舌を出して舐めだし、盛大に床を濡らしながらも舐めて綺麗に飲んでくれた

すると飲み終えた途端にスミレの時と同じく黄色く光った


『?くぅーん』

「わぁ、かっわいい!」


そう、栄養薬を精霊が飲めば精霊の姿が見えるのならばこの子犬にも同じ事が言えるのだと思ったのだ(そして事実ミーシェちゃん達にも見えるようになったようだ)

ミーシェちゃんが嬉々として子犬を抱き上げて撫でた


子犬は不思議そうにしながらも首を傾げて、少しミーシェちゃんに撫でられていたがミーシェちゃんの手をぺろっと舐めた

ミーシェちゃんがくすぐったそうに笑ったので子犬ももっとミーシェちゃんの手や顔を舐め出したり甘噛みをしたりして嬉しそうに尻尾を振った

すると、普段は嫌がるくせにスミレはミーシェちゃんの前まで言ってミーシェちゃんの膝の上に飛び乗った


『にゃぉん、にゃー、にゃー!』

『わんわん』

『にゃぁ!ミーシェ、遊ぶにゃ!コイツよりみゃーと遊ぶにゃ!!』


露骨に子犬に嫉妬しているスミレに、思わずその場にいた人達の表情が緩んだ

俺が子犬くんを取り上げると喧嘩になりそうだから、スミレの方を抱っこしてあげると一寸だけ不満そうにしつつも首の下辺りを撫でてあげるとすぐにごろごろと鳴いて大人しくなった

更にスミレの好きな毛糸を出してあげたので目を輝かせた


毛糸を転がすとすぐに追い掛けて毛糸にじゃれつき可愛かった

しかし丸い物は子犬も好きなので子犬も参戦しだして二匹とも毛糸玉を追い掛けたり、じゃれてみたりと遊びだしてしまった


「ショージお兄ちゃん、ミーシェもスミレちゃんと何か遊びたい」

「んー、猫じゃらしでも出そうか?」

「だしてー」

「いいよ、はい。」


猫じゃらしを出してあげるとミーシェちゃんはすぐに猫じゃらしに飛びついた

ミーシェちゃんによって翻弄するスミレがなんとなく嬉しそうにみえた

今度は子犬の相手をしてあげようと思い子犬の好きそうな玩具を出してあげることにした

鈴入りのボールを転がしたら子犬は喜び勇んでボールの元へ走って行き咥えて俺の方に持って来た


『わふ!わふわふ!』

「よしよし」


俺が子犬を撫でるとやはり一寸スミレが面白くないと言わんばかりの表情でしっぽをぺしん、と一回ならしてミーシェちゃんが宥めたけれどカジカジと猫じゃらしに噛みついて不満なのをアピールした

可愛いなぁ、うちのこ・・・めっちゃくちゃ気にしてるよ

俺が子犬を構うとそれだけで何とも言えない不機嫌なのが態度に出る

だからといってミーシェちゃんが子犬に構うと今度はそれが原因で不機嫌になる

あーもう、下の子にお母さんお父さんをとられた子供が拗ねるのを見ているようだ


まぁ傍目から見たら可愛いのだが、本猫はとても気が気じゃないみたいな感じみたいだ

俺とミーシェちゃんの間を視線がうろうろ、いったり来たりしている

その反応も含めてからかって遊んでいるように見えるかも知れないが、可愛らしくてついつい子犬を可愛がってしまうんだよなぁ


『にゃぁ・・・』


ついに、しょんぼりと肩を落としてスミレが今まで見えてなかったからあまり遊んでくれたことのなかったルールウドくんの足下へと行って、丸まってしまった

あらら・・・完全に拗ねちゃったみたいだ


俺は子犬を撫でながらもにゃおちゅーるを出してミーシェちゃんにあげた

切れ込みから着ることが出来ると教えるとミーシェちゃんはにゃおちゅーるを開けて、スミレに差し出した


「ほらスミレちゃん、ショージお兄ちゃんが美味しいおやつ出してくれたよぉ?」

『にゃぁ~・・・にゃあん』


渋々と言った感じでぺろっとにゃおちゅーるを舐めてやはりあらがえなかったのかすぐさま熱心に舐めだした

すると子犬の方がスミレを羨ましそうに見て俺の方を見てきた


『ワン、僕もアレ欲しいわん』

『だめにゃ!これはみゃーのにゃ!おにゃーには一個もあげにゃいのにゃ!』

『わんわん!』

『にゃー、ふーーーー!』


あぁとうとう喧嘩になりだした

と言っても一方的にスミレの方が怒っているけれど、子犬の方もにゃおちゅーるが欲しいみたいだ

どうしようもないので俺はビーフジャーキー(子犬用)を出してあげた


「これで我慢してね」

『わふ!』


子犬は尻尾を振って駆け回る勢いで喜び、その場でジャーキーを食べ出した

スミレはやや気にくわない、と鼻を一鳴らしして引き続きにゃおちゅーるをぺろぺろとなめるのに集中しだした

これで喧嘩は終わったかなとホッとしているとスミレがチラッと俺の方を見てきた

俺がささみを出すと尻尾がぴんと立って、俺の足下までやって来た


「にゃおちゅーるはもういいの?」

『それもすきにゃ!あとショージ、もう此奴に特別なおやつあげちゃ、いやにゃ!みゃーのショージにゃ!ショージの特別にゃおやつはみゃーのだけにゃ!』

「・・・わかったよ」

『にゃらこんかいだけゆるしてやるにゃ!』


やはり拗ねていたらしく釘を刺されてしまった

仕方ないのでもう子犬におやつは上げたりしないことを約束してあげた

その上でスミレにささみをあげると今度こそ上機嫌になった


機嫌が何とか直ったようで何よりだ


栄養薬をルールウドくん達全員にあげるとかなり喜んでくれたのでそんなに期待するような物では無いんだけれどな・・・と思ったが、黙っておいた

中身は何であれ孫や子供に貰えれば嬉しいんだろうからね

キューリャさんにもあげたら真っ赤になって、顔を逸らして受け取った後すぐに消えてしまったけれど・・・何だか具合が悪かったのだろうか


ルールウドくんは肩をすくめて首を傾げた

何時もの照れているだけだよといってから俺の作った薬を軽く振った


「うん、上手に出来てるね。」

「本当?よかった、ルールウドくんに言って貰えると安心出来るよ」

「ふふ、ショージは本当に器用だね」

「そうかな、普通だと思うけれど?」


器用と言うほどの複雑な行程はなかった薬だったけどな・・・

エリクシェード、だったか万能薬の方がずっと複雑だったぞ

まぁそれも化学の実験や料理みたいで面白かったけれど三歳児並の小さいからだにはとても大変だった方だしそっちの方をキチンと出来ているか見て欲しい位だ


ドラゴングランマさんが俺を呼んだのでそっちに行くとわしわしと力強くまた頭を掴んで撫でてきたのでまたかと思いつつも力を抜いて好きにさせていた

俺が大人しくしていたらドラゴングランマさんが俺のひょいとつまみ上げるように片手で持ち上げて自分の膝の上にのせた


「ショージは小さいなぁ、この小さい体で良くアイスクルードや羽根老人達から身を守りつつこの里に来れた物だ。何日でこられたんだ?」

「えーと、2日くらいでなんとか。夜に病院抜け出して、ルールウドくんの出してくれた家に一回泊まって、えー・・・アレ、意外に早く来れましたよ?」

「「・・・・・・」」


何故か目を見開いて驚かれた

?実際そうだったからなぁ


「・・・ショージは、元人間だよな?」

「そうですけど、なにか変ですか?」

「否、人間ならばそんなに早くこの森や山を通りこのフロストエルフの里に来るのは難しいのでは無いか、とな」

「あぁ予想外に自転車が速くて何とかなったんですよ」


俺がそう言うと皆さんして(ミーシェちゃんとルールウドくん除く)が首を傾げて自転車の名前を呟いた

やはりこっちでは自転車はなかったようだ

俺が土魔法で自転車を作り上げて実物を見せるとすぐに不思議そうに首を傾げた


「コレはいったいどういう物何だい?」

「乗り物です。ルールウドくんによると馬とそこそこ同じくらいの速度だとか。」

「「これが馬と同等?」」


自転車を見せると色んな角度で見ようとしているらしくうろうろと遠巻きに見ているドラゴングランマさんとグランパさん

レシェルナさんが不思議そうに手をサドルの方に置いているけれど乗りたいのだろうか


「これ、土属性の様々な魔法で出来ているのね。」

「見ての通り、金属とゴムで出来てますから」

「「ごむってなに?」」

「・・・・・・・・・・・・・・」


ゴムってなんて言えば良いんだ?

えーと、確か前にゴムは何かから出来ているとかって・・・

えーと、なんだったっけな


スマホで見てみるか

スマホ、スマホッとって、ないんだった

いかんいかんついついスマホで調べようと思ってスマホを探してしまう

ゴムって何が材料だったかな・・・何か木の一部だったかなと、そんなことを思っていたら掌に収まる程度の小さいメモが出てきた


メモを見てみると【異世界の物を呼び出せる魔法は魔法レベル5からです。貴方の望む異物は今の貴方の魔法レベルでの召喚は命に関わります】と書かれていて一瞬ビクッとなってしまった


命レベルなのかよ、スマホ!こっわ!

まぁ多機能だしなぁ、アレ・・・写真撮ったり加工したりネット見たりAIに聞いたり・・・

アプリでゲームも出来るし、・・・色々とできたからなぁ

そんなことを思って若干遠目になっていたらグランマさんが不思議そうに手に何かあるのかと聞いて来た


「え、えっとメモが・・・」

「メモなんてもっていないでは無いか。」

「え?」

「なんて書かれているの?」

「えっと、魔法レベルが足りないからさっき思い付いた異世界の物《おれのせかいのもの》は出せない、って書かれてます」

「メモなぞもっていないように見えるがなぁ・・・」


成る程、このメモは俺にしか見えないのか

裏表ひっくり返してみても、他には何も書かれているような物はなかった

何処からこのメモが出たんだ?いやスマホを探していたのは俺だけれど、まさか返答がメモという形で現れるとは思わなかった

見ていたらそのメモがフッと風に吹かれるかのように掌から攫われて、どこかへと消えた

目で追っていたら空中で消えたので、よく分からないメモだったなと思っていたらグランパさんに掌を突かれたり見られていたりした


「何も無いように思えるがなぁ」

「あ、メモはさっき飛んで消えて言ってしまったんですけど」

「メモが、一人でにか?」

「はい・・・」


皆さんも不思議そうにしているが俺だって訳が分からん

ルールウドくんも首を傾げていることから、鑑定眼でも見えていなかったようだ

うーん、何だったんだろう

そしてふにふにとドラゴングランパさんが指で俺の掌を突いたり揉んだりしているのを誰かどうにかしてくれないかな

くすぐったいんだけれど・・・


「柔らかくて小さい手だな・・・」

「幼子特有の手だな。」

「うむ、こうしていると昔を思い出すなぁ」

「うむ、ランドが幼子の時もふにふにしていたなぁ」


ランド、と言うのがドラゴンパパさんの名前かな

それともランドが愛称かな?ミドルネームとかって言う可能性もあるかも知れない

ランドさんかぁ、なんかランドって言うとパッと思い浮かぶ物は夢の国的な物にありがちな、テーマパークとかの名前にありがちな名称だよなぁ・・・

まぁ異世界だし、気にしたら駄目だな。名前だし

そして本当にふにふにと突きまくっているのは何とかならないのだろうか

くすぐったい・・・


「くすぐったいので止めて貰って良いですか?」

「うむ、すまないな。つい昔を思い出してしまった」


漸く手を突いたり揉んだりするのを止めてくれた

その間ずっと自転車をまじまじと不思議そうに見ていたトーマスさんが自転車についてなんか聞いて来た


「所でショージくん、これはどういう仕掛けでどう動くんだい?何だかこう・・・凄く好奇心を刺激させられる形をしているね」

「・・・どうって・・・言われましても・・・」

「一回動かしてみて貰って良いかな、私はこう言う不思議な物、からくり、そういうのに目がなくてね。人間さんの魔導機械とか言う物にも興味が」

「貴方、ショージちゃん達が驚いているわよ。」


トーマスさんが意外にもそういうのが好きなことが判明した所で自転車は屋内で乗る物では無いからと断りさっさと魔法を解除した

途端に土に戻りスッと消えた自転車にトーマスさんは凄く残念そうにしていた

そんなに残念そうにしなくても・・・と思わずにいられないくらいには、落ち込んで見せたのでエルフママさんが苦笑して妥協案を出してくれた


「パパ、そんなに見るからがっがりしないでよ。そんなに気になるならショージに遊びに来る度にさっきの出して貰えれば良いじゃない?ショージ、お爺ちゃんにさっきのを少し貸してあげてくれないかしら。お祖母ちゃんとお薬作りにくるでしょう?」


お薬を習いに来ることは確定なんでしょうか、と思いレシェルナさんの方を見てみたらとても生き生きとして張り切っていらっしゃるようで、胸をたたかれてしまった

もれなく確定のようですね、はい。


「は、はい、その位なら・・・」

「ね、これで良いわよね、パパ」

「勿論だよ。唯一寸一旦解体してみても良いかな」

「土に戻りそうだけど、まぁ・・・良いと思います」


魔法一つにそんなに興奮しなくとも良い気がするんだが・・・

まぁこの世界には無いみたいだから珍しいんだろうな

勝手にそう思って納得しているとグランマさん達が時計を見て残念そうにため息ついてから俺を降ろして帰宅しないといけないと言った


「あらあら、もうそんな時間かしら」

「そうだね。もう夕食時になるかな。何時でもいらして下さい、ルドルフ殿」

「うむ。また機会があれば寄らせて貰おう。またな、孫と息子と嫁」

「ばいばーい」

「あらミーシェちゃんショージちゃん偉いわねぇ」


ミーシェちゃんがグランパさん達に向かって手を振って、ルールウドくんもあまり頭を下げないと言っていたのに頭を少しだけ下げてみせた

俺も一応挨拶しておこうと思ってミーシェちゃんと同じように手を振ってみると二人して嬉しそうにしてくれた


「また近い内孫を連れて遊びに行くぞ」

「それならば楽しみにしている」


ドラゴンパパさんがグランパさんにそう言っているのを聞きつつも、二本の木の門の所まで降りて見送りをした

龍の姿に一瞬でなり、二頭の龍は山の方へと飛んでいってあっという間に見えなくなってしまった

・・・流石に、早いな


『にゃー、折角出来たお薬アルトのとこに届けにゃくてもいいにゃ?』

「あ、アルトくんのお兄さんの所に届けてくれる?」

『にゃー、いいにゃよ!一寸行ってくるにゃ』

「あ、手紙を書くから、まって!急にお薬だけ届けたら困るだろうからどういうお薬かとか書くから」

『にゃー』


スミレは頷いてくれたので俺は手紙を二つ書いた

一つはアルトくんのお兄さんに宛てた物で薬のことを詳細に書き、どんな効能があるのかざっくりと書いて、更に一緒に作ったレシェルナさんの事も書いておいた

もう一つはアルトくんに宛てて今からお兄さんが俺の作ったお薬をくれると思うと言うことや今回のプチ冒険をしたことを書いた

楽しかったけど、この後怒られることを思うと怖いとも書いておいた


これで少しでも和んでくれたりするかなと言う思いもある

余談かも知れないが、それを隣で見ていたミーシェちゃんとルールウドくんが、メニーさん達を見て頷いてくれた

やはり叱られるのは恐ろしいぞ、と言う子供らしいことを抱くのは仕方ないよね

メニーさんには微笑まれたけれど・・・これは後々怖いぞっと・・・ははは(遠目)


スミレに手紙を届けて貰ってから少しレシェルナさんが薬に関する本をいくつかと子供でも使えるような調合用の道具を俺達三人にくれたりした

名前を書くようにと言われてマーカーを渡されたので色んな道具にシールを貼りその上から自分の名前を書いた


片手鍋から、乳鉢、棒から複数在るスプーンを一束に纏めてあった物にも名前を書き、その他本当に細かい物に様々なシールを貼り名前を書いたので何だか小学生の時に新学期に持って行くための私物に名前を書いているときのことを思い浮かべた


「これで最後よ。」

「これなぁに?お祖母ちゃん」

「これはねぇ、簡単な薬品の貯蔵庫よ。ここに作ったお薬を入れることが出来るの。」

「へぇー、それっていっぱい入るの?」

「そうねぇ、キチンと入れていれば、一億は薬の入れた瓶や器が入るわよ?」


レシェルナさんはそう言って俺達にスカーフをくれた

一見何の変哲もないスカーフの何処に、入れ物としての機能があるのだろうかは不明だが、レシェルナさんがそう言うのだから、それなりにキチンと入るのだろう

それにしても一億とか凄ぇな

入れたい放題じゃん

キチンと管理って整理整頓をある程度していれば問題ないかな?


薬の材料とか他の物もここに入れて、それとは別に薬を一億入れられると言うことかな?

うーん、何だかわくわくするなぁ

だってこれを身につけて持って行けば何時でも応急手当で薬が出せるじゃん

そしたらきっと街に行けないほどの遠い村の人とか、医者にかかれるほどのお金が無い一とか遠慮している人とかの怪我とか病が治るよ!


まさに国境なき医師団、みたいな!


かっけぇ!何時でも何処でも簡単な医療限定で、病とかが診に行けるとか凄ぇ!

なんて思っていたらスミレが呆れたように溜息をついて突っ込んできた


『ニャ・・・ショージ、それやりたいにゃら王様とか国のお偉いさん達に許可貰わなきゃいけにゃいにゃ。確かに凄い事にゃけど、お偉いさん達も旅してるだけのショージ達にそれされたら色々困るにゃ。』


一瞬なんで困るのかとか思ったけれど、すぐにそれもそうだなーとか思いなおした

色々と、と言うのだからかなり困ることになるだろうし、止めておこう

でも、旅をして知り合いとか友人に怪我人が居たら治療してあげることくらいは良いよね


その後少ししてからレシェルナさんが作って用意してくれたお菓子を食べてから雑談をしてトーマスさんに自転車のことを聞かれて、種類がいくつかあるといったら見せて欲しいと言ってきたので魔法、土属性を使って自転車を幾つか作った


ママチャリ(籠付き自転車)とかロードバイクとか、マウンテンバイクとか、電動自転車、スポーツバイク、折りたたみ式自転車、それと思い付いたからスクーターとか作って見せたらトーマスさんが凄く溌剌として一台欲しいと言ってきた

勿論、レシェルナさんとエルフママさんの二人に軽く注意していたけれど、懲りないな、トーマスさん・・・


スクーターを作ったらスミレがそれ以上は作ったら倒れるから止めておくようにと注意されたのでもうここまでにした


「そんなに魔法使って平気なの?」

「土属性と水属性の魔法は両方が得意な精霊のスミレちゃんがいるから軽減してくれるのよぉ?でも使いすぎは注意してあげてね。」

「スミレちゃん、ショージお兄ちゃんの役に立ってて凄いねぇ」

『にゃっふー!そうにゃ、そうにゃ!もっと頼るにゃ!』


そうか、土属性の適性があるから少なくて済んでいる物だとばかり思い込んでいたけれど・・・スミレも少し、力を貸してくれていたからだったのか

スミレには今度箱を上げるかな

猫、箱が好きで良く入っているからな


等と思い、手短な物で紙袋を出して床に口を開けたままで置いてあげた

スミレは紙袋を見るなり行き成り駆け寄り、ズザー~~~~―っとスライディングして紙袋の中へとすっぽり入った


『にゃーにゃー』

「スミレちゃん何してるの?」

『にゃ!?にゃんかこうしたい気がしたにゃ!ごろごろ・・・』

「それは、紙でできた入れ物?」

「そうだよ。猫は箱とか紙袋が好きなんだ」

「「へぇ~・・・」」


スミレがもぞもぞと動いて紙袋ががさがさと音を立てて動く

体制を変えて、入り口から顔を出し、恥ずかしそうに顔を前足で舐めながらも拭っている


「スミレ、居心地良い?」

『にゃー!いいにゃ、最高にゃ!』

「よかったねースミレちゃん」

『適度に狭くって良い感じにゃ!』


スミレが嬉々として居心地が良いと言ってくれたがそれは唯の紙袋だ

流石は猫

次は箱を用意して開けておいてみよう、と俺は決めた

トーマスさんが俺とミーシェちゃん、ルールウドくんがスミレの行動について和んでいると自前の工具を引っ張り出してきて、色々と弄って自転車をバラしてしまった


「一寸、パパ!ショージの出してあげた物壊さないで頂戴!」

「いやぁ、つい、気になってしまって・・・直せると思うから、待っててくれよ?えーと、これはこっちのがくっついていたような・・・」

「あらあら、ちゃんと直さなくっちゃ駄目よ、貴方」

「あぁ、こういうのは得意だから大丈夫だよ」


・・・いつの間に、バラされていたのだろうかと一瞬呆けてしまった

確かに解体は許可を出したし良いのだけれど・・・、トーマスさんに色んな自転車を出して欲しいと言われたときにはまだ工具はなかったはずだからやはりスミレとじゃれているときについついバラしてしまった、と言う事だろうな・・・うん


解体は許可してあげたけれど流石に許可貰ってから速攻で数分の間に即座に自転車をバラさないで下さい

本当に好きなんだなぁ、アレか、機械おたくってやつか?

自転車は機械に入るのだろうかは不明だけれど・・・


「おっとこっちのはこうなっているのか、成る程ね~ふふふいやぁ、おもしろいなぁ」

「あー・・・また新しいの壊してる!一寸パパってば!ショージ、ゴメンね?」

「・・・好きなんですねー。大丈夫ですよ、土系の魔法で新しく作り出せるしこの位部品が丁寧に分解されているなら修復できますから」

「「え」」

「こうすればばっちりです」


俺が服を着替えさせる魔法の応用で、指を鳴らすとすぐにぱぱっと細かい部品事に別れていた自転車が何事もなかったかのようにスッと自動で組み立てられた

ふふん、無属性の魔法には自信があるからね

すぐに服を着替えられる魔法を応用してこの位は出来るよ

極度に変形されていたり、欠けている部分がなかったら出来る


するとトーマスさんが目を輝かせて俺を急に抱きしめてきて頭をぐりぐりと撫でてきた

OH・・・なんだこれ

いや、まあ・・・グランパさんやグランマさんの撫でるよりはずっと優しいんだけれどさ、俺は余程撫でやすい頭の形状でもしているんだろうか・・・

もしくは撫でたくなるような頭の形状とかか?何それ怖い

俺はハーフエルフになったばかりだからかな?


「ショージちゃん、嫌なら嫌と言って良いのよ?」

「ま、まぁ撫でられているだけですから・・・ハハハ(汗)」

「貴方、ショージちゃんが嫌だと言わないからってそんな撫で方はどうかと思うわよ?」

「すまん、すまん。ついな。ショージ、君の魔法の使い方は凄いね、すばらしい!特にこの・・・じてんしゃ?だったか?」

「は、はい・・・」


呆れるほど目を輝かせてぎゅーぎゅー抱きしめてくる、トーマスさんは、何だか子供っぽくて少しだけ笑いがこみ上げてくる位だった

魔法がすばらしいって言われても、指を鳴らして自転車を元通りに組み立てるのは無属性の魔法での“服を一瞬で着替える”魔法の応用だよ?


自分が生み出した訳でも創造した訳でもないのに・・・そう言われてもぴんとこないんだけれどなぁ(苦笑)まぁ自転車はそもそも俺の生前ではメジャーな乗り物だったしスクーターや電車、新幹線を自力で部品一つ一つ、イチから作った訳じゃないからどう反応して良いのか分からないよなぁ


そんなことを思って何とも言えないような気分に勝手ながらなっているとトーマスさんが折りたたみ式自転車はどうなっているのかを聞いてきた

簡単に組み立てられるのでやってみせるとそこでもまた凄い凄いと連呼して興奮していた

あまりにもはしゃぐので俺はトーマスさんに一台だけならと言う条件付きで自転車をあげることにした


「い、いいのかい?!きっと私は貰ったら返さないけれど」

「良いですよ、いくらでも作れるし、土属性だからあまり魔力も使わないし」

「聞いたかレシェルナ、私の孫はなんてイイコなんだろうね。アア、どれにしようか、どれも良さそうに見えてしまうな・・・だがここは一度解体して内部構造が大体分かっているこれの方が良いだろうか・・・嫌でもこっちの未知な物でも良いな・・・あぁ、迷うな・・・いや、やはりここはこれを貰いたいな」


トーマスさんは凄く興奮しながらも一度解体したスポーツタイプのロードバイクを選んだ

まぁ選んだのはトーマスさん自身だし良いかと思いつつも乗り方が分かるのだろうかという不安も持ちつつも、そのロードバイクをトーマスさんに上げた


「どうぞ?じゃ他の自転車は解除しますねー」


サクッと魔法を解除したらトーマスさんが少し残念そうにした

トーマスさん・・・アレだ。おたくと言うよりマニアックだ

メカマニアだ、絶対にこの人にはPCとか自動車とか列車、SFとか見せたら駄目だ

・・・時計とか見せたらどうなるんだろう

試しに、土魔法を使ってみたくもあるが、数分前にスクーター出しただけでスミレが駄目って言ったので俺はやってみたいのを我慢しておくことにした


「さ、私たちも帰りましょう。子供達におしかり受けさせなくっちゃ。」

「あぁ、そうだな。その後慰めなくてはな。」

「ええぇえー」

「ミーシェ、屋敷中従者達が心配してお前とルールウドを探し回ったんだぞ?」

「そうよ、ショージも、お説教よ。病院を抜け出したんですからね」

「はい、反省しています・・・」


俺がキチンとそう言うとドラゴンパパさんはうんうんと満足そうに頷き、エルフママさんは目を細めて若干嬉しそうに微笑んだだけで深くはこの場で言わなかった

俺の態度を見てからミーシェちゃんは渋々と分かったという返事を返したのだった


「門の前まで見送りましょうね。」

「また何時でもおいで。特に歓迎は出来ないとは思うが、おやつを沢山用意して待っているよ。今度は是非、薬を上げたお友達のことも聞きたいね」

「あら、そうね。是非そのこのことを話しに来て頂戴な」

「ふふ、ショージ、良かったわね?」


嫌そもそもアルトくんが元気になったとしてこのフロストエルフだらけの里に連れてこれる気がしないのだが・・・嫌まぁアルト君達が来てみたいと言えば連れてくるけれど・・・

普通に病み上がりには山道きつくないかな・・・俺はそんなに体力おちるような病院生活していないから大丈夫だったけれど、十年間も弱った体でいたアルトくんには不安だな・・・

そうだな、もし連れてくるならここに来る前に実際にやってみたように人力車もどきに改造したリヤカーでも引いて自転車走らせるか


そう考えつつも木の門の前まで移動して二人に見送られながらも屋敷へと帰路につくことになった

尚帰りは執事さんが行者をしている馬車が二台あり、それに乗って帰るのだと言うことが判明した

そしてそれは黒くて羽の生えている蹄が青い炎を纏って浮いている黒馬が、二頭静かに馬車に繋がれていた

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