友人を兄妹に紹介
主治医が食事前の健康診断を軽くして異常がなかったかと聞いて来たのでないと応えると微笑まれた後にお決まりの医者凄いだろ的な本を貸され、食事も運ばれた
基本的には良い人なんだろうけど、進めてくれる本が・・・なぁ・・・(遠目)
一寸、裏にある思考が露骨に出てるからなぁ・・・
スミレはとても嬉しそうにして本の前に座り込みニャーニャーと鳴いた
誤魔化して本を読んで貰って俺のご機嫌を取ろうとしているのだろうか、ちらちらと俺の方を見てニャーニャーとかわいこぶって鳴いている
俺はスルーしているけれどスミレは何回もニャーニャーと鳴くので、仕方なしに許してあげることにしてあげた
もうクローゼットの服を笑うなよ?次笑ったら煮干し一本しかおやつに上げないぞ
『にゃー・・・わかったにゃ・・・』
スミレに言い聞かせておくとスミレはしょぼくれたように頭を下げて、弱々しくも『ニャぅ』と鳴いたからもう笑われることはないだろう・・・と、思いたい
クローゼットの中には中性的な服しか残っていないし今着ている服も一寸・・・スカートっぽくなっているから恥ずかしいんだけれど・・・
まぁそこは、我慢するしかない、我慢だ・・・
少し読書をしていると扉が開いて女性の意思が食器を回収してくれたとついでに来客がそろそろ部屋に来ると教えてくれた
どうやら今玄関口についたらしく、数分後にこの部屋に通されるだろうといっていた
ルールウドくん達はそんなに早く来てくれたのかと思い分かったと告げると頭を下げて退出していった
5分後くらいにノックの音がして、何故か室内からキューリャさんの声がした
ど、どこから?!と見渡すも、キューリャさんの姿は見えなかった
「ショージ様、ルールウド様とミーシェ様がお付きになりました」
「へ、あ、はい?」
「入れても良いですか?」
「は、はいお願いします」
何処に、とか、いつから、とか思っていたらすぅ、と姿を現したキューリャさんは扉の前にぴちっとした燕尾服に、皺一つないシャツをきて立っていた
俺が驚きつつも頷くとキューリャさんは扉を開けた
ルールウドくんとミーシェちゃん、ジョアンさんとメニーさんが扉の前に立っていたので病室に入れてあげるとミーシェちゃんがスミレへと真っ先に駆け寄り抱き上げた
・・・スミレはミーシェちゃんにさっきの出来事を話して文句をたれているが残念ながらも俺とミーシェちゃん以外にスミレの姿と言葉を聞ける者はいない
少しだけ、ざまーみろ、と思っているとミーシェちゃんは俺に意地悪をいったら駄目だと言ってきた・・・スミレがどうだ、と言わんばかりにふふんと胸をはるので、俺はスミレに向かってわざとらしくも、後で煮干し一本に決定しようと心の中で呟いた
『にゃ?!にゃー!にゃー!』
「どうしたの、スミレちゃん」
『ショージが意地悪にゃ!にゃー!煮干しキライにゃ!』
お前猫だろ、何故煮干しがキライなんだよと思っているとスミレが文句だけを不満そうにニャーニャーいって精霊は動物の姿をかたどっているだけで、その動物そのものになる訳じゃないから、とか、煮干し丸ごとは固くて苦手だ、とか、あんな一寸じゃ足りない、とか、かりかりタイプのおやつやささみじゃないと嫌だとか言った
・・・一寸甘えさせすぎたかな?否、本当に。
ミーシェちゃんが何か言いたそうに俺を見るが、躾は大事だから、仕方のないことだから、少しは分かって欲しいなと言う想いを込め、首を傾げてみる
「・・・ショージお兄ちゃん、スミレちゃんが可哀想だよ?」
『もっと言ってやるにゃ!』
「甘やかしすぎると、わがままで手が着けられなくなるし、言うこと聞かない悪い子になるから、適度に叱らないといけないんだよ」
それが例え、服のことを笑うことだとしてもな!どっちが主人だかちゃんと教えないといけないだろ?・・・決して恥ずかしいからだけじゃないぞ!違うんだからね!と俺が誰に言うまでも無く言い訳がましいことを思っているとスミレが不満そうに一鳴きした
ジョアンさんがミーシェちゃんの足下にいるスミレの尻尾をふみながらミーシェちゃんに近づいた
「「あ」」
『ふにゃああああああああ!!』
「うわ?!わ、わ!・・・・・・・あー、何か、ぐにッとした」
そりゃあ踏んだからね、思い切り・・・猫の姿に近い、スミレの尻尾を!
慌てて足をスミレの尻尾からどけているとは言え、思い切り踏んだからかジョアンさんは柔らかくて気持ち悪かった感触がしたようで、眉をひそめている
「スミレちゃん大丈夫?!」
『いたいにゃ!ふーーーーーー!!』
「ジョアン、め!スミレちゃんの尻尾踏んじゃったら可哀想でしょ!」
「うえぇ?!しっぽ?」
ジョアンさんには見えてないだろうから仕方ないだろうけれどね?うん・・・
少しいたそうに涙目でぺろぺろと尻尾をなめているスミレを見ると、ね?
少しばかり可哀想になるね
さっきまでおやつをなしにしようかなとか煮干し一本にしてやろうかとか、思っていたのを据え置いて『金の皿(やや高い値段のかりかり)』を出してやろうとか思ってしまうくらいには、可哀想だった
俺はそっとスミレに触れて尻尾を回復させてあげた
スミレは俺が触ったところから痛みがすこしでもひいたのか、俺の手を舐めてくすぐったかったがお礼を言われたので全て許した
ジョアンさんをメニーさんが咎めるように睨むとジョアンさんは逃げるようにミーシェちゃんの方からキューリャさんの後ろへと回り込み、キューリャさんを盾にするようにしてメニーさんの視線から逃げるようにしゃがんで身を隠した
うん、それは意味のないことだと思います
メニーさんは眉をひそめてふう、と溜息をつくと俺達の見守る中、ジョアンさんが後ろにいるキューリャさんの元まで行った
するとキューリャさんが何も言わずにスッと一歩だけ左に避け、すぅっと消えた
うわぁ、凄い、本当に姿を消してどこにいるのか分からない
「後ろに隠れる人物を間違えたようですね、ジョアン。」
「そ、そんなぁ~」
哀れなくらい情けない声を出し、ジョアンさんはメニーさんに襟首を掴まれて引き猾るようにしてさっさと廊下に出ていった
・・・数分後、ジョアンさんの暴れているであろう音だけが扉の奥から聞こえてきた
「何時もみたいに、悲鳴が聞こえないね?」
「・・・ここ、一応病院だからね?」
「あぁ、そっか。気を遣ったんだね」
「多分、そうだと思うよ?」
先程までキューリャさんのいた方を見るけれど、全然姿が見えない
ミーシェちゃんが夢の中で言っていたことは確かなんだなぁと思いながら周りを見渡した
するとルールウドくんがミーシェちゃんの隣のスミレの方を向いてキューリャさんがそこにいると教えてくれた
なんでも、魔法やスキルによる姿隠しの方法も、鑑定眼にはバレているようです
ますます凄いなぁ、本当に羨ましいよ、鑑定眼
「ショージ様」
「ふぁ?!あ、は、はい」
ヤバ、滅茶苦茶変な声出た
慌てて口を塞いで見たけれど、ミーシェちゃんが笑い出してしまった
・・・ついでにスミレも笑ってた
さっき許したばかりだがイラッとしてしまった俺は先程までの同情をすぐに棚に上げ、忘れることにした
「・・・ぷ、く、ふふふ!」
『にゃふふ!』
「ふふふ、変な声!」
「う、何も無いところから声が聞こえて驚いたんだよ、笑わないで欲しいな・・・」
「だって、ふぁ?っだって!ふふふ!面白い!」
「・・・~~~~」
ミーシェちゃんに笑われてしまった
リアル三歳児に笑われるとは・・・スミレも若干馬鹿にしているようだし・・・己・・・
「驚かせてしまって申し訳ありません・・・」
キューリャさんが困ったように眉を潜ませて煙が晴れるかのようにスッと姿を現した
俺を驚かせないようにか、姿がぱぱっと出るのでは無く上半身からゆっくりと現れた
申し訳なさそうに眉をひそめたので俺は慌てて気にしなくて良いです、といった
キューリャさんがそう言えば俺に何か言いたそうにして呼んでいたなと思った
「キューリャ、何かあったの?」
「はい、あの・・・差し出がましいかと思うのですが、鑑定眼に似たような事が出来る魔法具がございます。宜しければご用意しますが・・・?唯、子供用ではありませんので御注意下さい」
「「そんなのあるんだ」」
ルールウドくんも俺と同じく驚いているところを見ると知らなかったらしい
キューリャさんは懐から眼鏡ケースをとりだした
ミーシェちゃんもルールウドくんも身を乗り出してキューリャさんの手元を覗き込む
キューリャさんが一寸困惑したように、眉を少しだけ寄せて、俺に優先的に見えるようにケースから綺麗な縁の眼鏡を出して見せた
「わ・・・何だか、淵が細くって、緑ね!」
「凄いね。精霊術が組み込まれているみたいだ」
ルールウドくんとミーシェちゃんは目を輝かして眼鏡ケースの中にある眼鏡をみてる
銀色の薄い眼鏡の縁に、眼鏡の蔓の部分は緑色の眼鏡はルールウドくん曰く精霊術が組み込まれているそうだけれど、俺には普通にありふれている眼鏡に見える
これをかければ、鑑定眼みたいに何でも分かるのか・・・凄いな
「キューちゃん、これどんなのみえるの?」
「ルールウド様の見ているモノに近い物が見えるかと。魔力の流れから、物の名称、効果、ある程度の物の価値も見れます。私のよく使う、姿隠しの魔法も完全に見破れる鑑定眼よりは若干効果が期待できませんが、これをかけ、魔法を使われると違和感を憶えるそうです」
この眼鏡は凄い物のようです
良くこんな眼鏡を持っていたなキューリャさんと思っているとミーシェちゃんが不思議そうに首を傾げて覗いてみるようにしゃがんだ
しかしそれではキチンと見えなかったのか、手に取り眼鏡を覗きだした
「わ、すごーい!ぐにゃぐにゃ!」
うん、それは普段眼鏡を掛けていない人が眼鏡を覗いたら誰でもそうなるよね?
俺は苦笑しているとキューリャさんが俺に眼鏡を掛けてみるようにと言ってきた
試しに言われたとおりに眼鏡を掛けてみる、と何も変わらないように見えたので首を傾げてみた
「特に、変わったことはないように見えるよ・・・」
「今、眼鏡を外して私の姿を見ると消えているはずですが。」
「お、おお!」
試しに眼鏡をずらしてキューリャさんの居た所をみて姿がないのを確認しつつ眼鏡のレンズを通すとキューリャさんの姿がうっすらとだけれども、どこにいるのかが確認できるようになっていた
キューリャさんの姿が見られるのを見て何度も眼鏡をずらしてつけてを繰り返すくらいには面白かった
ミーシェちゃんが俺をキラキラした目で見てくるのを見て、貸して欲しそうだと思った
なので眼鏡をミーシェちゃんに貸してあげると玩具をゲットした子供のように眼鏡を俺と同じように掛けて、ずらしてキューリャさんの姿を見てはしゃいだ
「キューちゃんが消えたりいたりしてる~!面白~い!」
「・・・ミーシェ様も面白い事をなさってますよ。」
「えー?」
「眼鏡を動かしすぎて、勝手にずれ墜ちてるのを何度も直しているようです」
「でも面白くって!良いなぁ、これ欲しい!」
「駄目です。ミーシェ様は、落として割りそうですから。」
一寸だけ、確かにそうかも知れないと思ってしまった
それに、三歳児の体の俺やミーシェちゃんには眼鏡自体が大きいので弦の部分か、どこかを抑えていないとすぐに眼鏡がおちそうだ
「もう少し体が大きくならないと、眼鏡は駄目だね。」
「むぅー、欲しいのにぃ~!」
「・・・此方の眼鏡は、子供用の物はございませんから・・・」
「うん、そうだろうと思った。だってショージにと持ってきたにしては大きめだものね。」
「はい。唯、こう言う物もございます、とだけ。」
まぁ、そうだよな。眼鏡とか通常でも結構高額だし?そこに来て更に精霊術が組み込まれていると言ってルールウドくんが珍しがっているし・・・
相当すると思うから、そうそう気軽に買えないものだよな
ミーシェちゃんが落とさないうちにルールウドくんが眼鏡を外すように言い聞かせて、外した後キューリャさんに慎重に返していた
キューリャさんが眼鏡をケースに戻しフッと安心したように口角を少しだけ上げた
そりゃ子供に高価な物を渡したんだもの、緊張するよな・・・
「それで、ですね。この眼鏡を上げることは出来ませんが旦那様に言えば幼児体用に作って頂けるかと思うのですが・・・」
「幼児体用?」
「100歳未満の子供のことだよ。教えたでしょう?」
「あぁ、そっか。」
幼児って何だろう、とその時思ったんだよね、確か・・・
人間なら、幼児って言うよりもうそれ老人じゃね?とも思ったものな・・・種族差、凄すぎ
まぁ200歳でもまだ子供なんだから、よくよく考えれば人間で言う50歳とかだったら彼らには赤ん坊も良いところ何だろうか・・・
恐ろしい・・・人間で60歳以上、というと病気とか、老いとかで悩んで来たりするというのに・・・そんなのが、幼児扱いだもんな・・・ははは(遠目)
「まぁ人間は寿命が短いからね。その感覚がまだ実感できないのは仕方ないけどね。」
「あ!そう言えばショージお兄ちゃんお手紙で変な事書いてたよね。」
「え?」
そんなに変な事を書いただろうかと一瞬首を傾げてしまったがルールウドくんに宛てた手紙のことを言っているのだとすぐにわかった
「ステータスで、エルフになってたって!ミーシェだって種族はそう簡単に変わらないのくらいは知ってるよ?本当に、エルフになってたの?」
「あぁ、うん。そうなんだ。ほら・・・」
俺は紙をとってステータスの魔法を紙に写して、ミーシェちゃん達にも目に見えるように使った
――――――――――――――――――――
朝間雫 昇次
種属;ハーフエルフ(霊体)←new
職業;精霊使い←new 魔法レベル;Ⅰ
体力;120(+30)
魔力;410(+30)
筋力;35(+5)
耐久力;35(+15)
敏捷;70(+30)
知識;120(+30)
教養;160(+140)
閃き;200(+130)
精神力;40(+20)
幸運 ;90(+82)
適正属性;土、光、闇、無
不属性;火、風、空
――――――――――――――
「わぁ、変なの!本当に、種族がエルフになってる!」
「正確に言うとハーフエルフだね。」
ルールウドくんとミーシェちゃんが俺のステータスの書かれた紙を覗き込むようにして見ている
職業も、精霊使いになっているし・・・何か、色々と疑問になるよなぁ・・・
「恐らくですが、エフィール奥様の血液を輸血に使用し、魔力を定着させるために精霊の秘術を使った影響かと・・・あくまでも、推測、憶測ですが・・・。」
「そう言えば、母さんがエルフの血液には治癒効果が少しあるからと輸血にするよういってショージに輸血していたね。確かに、その影響かも知れない」
あぁ、エルフママさんのおかげかも知れないのか・・・
ソレはそれで、何だか・・・嬉しいような、迷惑掛けて申し訳ないような・・・
「あ、そういえばキューリャさんいなくなった俺を見つけてくれたんですよね。その節はありがとうございました。おかげで助かりました。」
俺が遅らせながらお礼を言うとキューリャさんは目を見開いて、目をそらすように斜め下のカーペットを見るように視線を俺から外し、ボソボソと何かを呟いて、すうっと消えてしまった
・・・・・アレ?
何で消えたんだろうか・・・
「あー・・・ショージ、キューリャのことは気にしなくて良いよ。照れているんだ。」
ルールウドくんは何故か額に手を当て、呆れたようにキューリャさんの消える前にいた所に視線を向けていた
・・・???ま、まぁルールウドくんが気にしなくて良いというならばそうなんだろう
キューリャさん、意外にも照れ屋だったのかな?俺は彼に知らず知らずのうちになにか悪いこと口にしたのだろうか・・・?
あ、そうか、お礼が遅かったから、気を悪くしたのかも知れないな
俺はスミレをまた玩具にして撫で始めたミーシェちゃんに尋ねてみた
「お礼を言うタイミングが悪かったのかな?遅すぎた?」
「うーん、キューちゃんは照れ屋さんだからね。きっと、急にお礼を言われて恥ずかしくなっちゃったんだよ。多分!」
「・・・そうなのか・・・助けてくれたのを今の会話の流れで思い出したから、お礼を言ったんだけれど・・・それに、お礼をいうのにあまり遅くなるのは良くないと思ったんだけど・・・」
「きっと、照れただけだよ~」
「そっか~・・・(苦笑)」
もっと早くに言えば良かったかなぁ・・・照れ屋なんだと言われたけれど、お礼は大事だし、俺自体凄く助かったんだし・・・後で、キューリャさんのために何かハンカチとか送ろうかな
ハンカチなら、邪魔にならないよね?それともやっぱり他の物の方が良いかな?
「キューリャさんにお礼したいんだけど、ハンカチとか上げたら良いかな?」
「あぁ、うん。ハンカチなら喜ぶんじゃないかな?」
「うん、ハンカチで良いと思うよ!」
二人に聞いたらハンカチでも喜んでくれるというので俺は今回助けてくれたお礼にハンカチを送ることにした
売店でハンカチを買っても良いのだが、それだと結局支払いは俺じゃないので却下だ
かといって、今の俺は子供だから外に出たことも無いし、所持している金もない・・・
と、なるとどうするか?
そんなのきまっているじゃないか
「所でショージ、ハンカチを送ると言ってもどうするの?ここは病院だよ?」
「作るんだよ。ハンカチの大きさより少し大きく切って、端っこを縫って。」
「・・・・・・・・・・・・まさか、イチから作るの?」
「裁縫、昔はよくしてたからね。簡単な刺繍なら何とか出来るよ」
田舎だから、自分の物は良く繕ってたりしたんだよなぁ・・・
しかも、実家が農業だからか結構手伝だったらあちこちに穴空いたり、ボタン取れたりしたからその度に縫ったりしていたから以外かも知れないが些細なことくらいだったら出来る自信はあるぞ?こっちに来てからは裁縫針や糸は持ったことないけど、何度か練習すれば勘は取り戻せるだろうし、何とかなると思う
何故か二人に驚かれたけれど、なんでだろうか
・・・あぁ、貴族だからそんなに針仕事する機会自体ないのかな?
でも、ミーシェちゃんは憶えた方が良いんじゃないだろうか
一応、貴族の子女だしね?全く憶えていない、やり方知らない、よりは憶えといて少しでも出来るようにして置いた方が良いと思うな
「裁縫できるんだ、凄~い!ミーシェにも教えてー?」
「え?あ、うんいいよ?」
「ミーシェにはまだ早いと思うけれど・・・まだ3歳だし」
「布と針と糸用意しなくちゃね」
「わーい!」
「一寸、僕の話を聞いてる?ミーシェにはまだ早いってば」
「・・・そんなに早すぎるかな?」
俺がそう言うとルールウドくんが苦笑してせめてあと2年経ってからの方が良いと言ってくれたのでミーシェちゃんには2年経ってから教えると約束した
嬉々として頷いてくれたのでそれでも良いみたいだ
「それにしても、ショージが裁縫を出来るとは思ってなかったよ。」
「出来ると言っても、そんなたいした物は出来ないよ?精々、そう・・・簡単な物位だよ?」
「それは昔やっていたと言うことだよね?」
「そう。昔親が両方働いてて朝から夜まで忙しかったから良く自分で破けたりボタン取れたりしたら直してたし、簡単な布の袋だったら作れるよ?」
俺がそう言うとミーシェちゃんが今度刺繍をして欲しいと言ってきたのでしてあげる約束をして、それを聞いていたルールウドくんもして欲しそうな顔をしてた
そんなに上手くないんだけれど、いいのかな?ミーシェちゃん辺りは喜んでくれはしそうだけれども、ルールウドくん辺りならキチンとした職人さんとかが刺繍をしてくれた物の方が良いんじゃないかな?
幾ら一寸は刺繍が出来ると言ってもそこら辺の素人がする物なんて職人さんが作る物とは比べものにならない位なんだから・・・
あれ、それを言ったらやっぱり俺がハンカチを作るよりハンカチを買った方が良いのでは・・・い、いやでも俺お金ないしなぁ・・・布や糸とかなら、今の俺なら魔法で出せるかなと思ったんだよね
だからこその、“ハンカチを作ろうかな”と思い立った訳なのだけれども・・・
お金を持っている訳ではないから、手持ちと言っても良いだろうと思う、魔力や魔法を元にした物なら、と思ったんだけれど・・・駄目かな・・・?
「ショージお兄ちゃん、布とかどうするの?」
「布くらいなら魔法で出せるかと思って。ほら、俺こっちのお金もってないから・・」
「そっか、それで魔法で作ったハンカチ上げるんだね?」
「うん、そうした方が良いかなって思ったんだけど・・・」
「布は魔法で作り出すと今のショージには魔力不足になりそうだけど・・・」
「そ、そうかな・・・まぁ退院するまで色々と考えておくよ」
メニーさんとジョアンさんが部屋に戻ってきたので話はそこまでにして一端置いておいた
メニーさんに襟首を掴まれて部屋にやって来たジョアンさんは、涙目で頭を抑えていたが、頭にたんこぶを三個くっつけていた
あぁ、叩かれて文句でも言ってしまったのかな?
凄く、痛そうだし、ジョアンさんには悪い気がするが何だかシュールだ
「長くなってしまって申し訳ありません、坊ちゃま方」
「フフフ、凄いたんこぶだね。何か余計な事言ったの?」
「なんもおかしいこといってないんですよ?でもグーでやられちゃいました」
「ふふふ」
何も可笑しいことを言わないならきっとメニーさんはそこまで怒らなかったと思うんだけどなぁ・・・と思わず苦笑していると、ルールウドくんも同じく思ったらしく、苦笑していた
ジョアンさんが文句を言いたそうにしてメニーさんの方をちらりと見るけれどメニーさんと目が合うと途端にぱっと顔を逸らした
これ、屋敷に帰ったらもっと怒られるんだろうな・・・(苦笑)
「ショージお兄ちゃん、一緒に新しいお友達の所行こーよ?」
「あぁ、うん。じゃ、中庭に行こうか。唯、その子が具合が良いか分からないよ?」
「勿論わかってるわ、でも具合が良かったら会えるんでしょ?」
「そうだね」
ミーシェちゃんがせかすので俺はスミレを抱き上げてそのまま中庭へと行くことにした
途中で売店によってお菓子や雑誌、雑貨を昨日やったように指輪を使って購入してから中庭へ行った
中庭へ行くとスミレが俺の腕の中から飛び降りて芝生の生えているところへ行くと、体全体を伸ばして横になった
まるで、日の光を体全体で浴びているようだ
「スミレちゃん、気持ちよさそうね!ミーシェも一緒に寝たいなぁ」
「うーん、それは流石に駄目だよ。汚れちゃうからね」
「どうなっているのか分からないけれど、ショージが駄目というなら駄目だよ、ミーシェ」
「だってごろーんてしてて気持ちよさそうなんだもん」
「あー、そりゃ気持ちよさそうだね~、特に今日天気も良いし」
『にゃ~ぽかぽかしてて気持ちいいにゃぁ~』
俺は苦笑してスミレを放置して昨日と同じベンチに座った
ルールウドくんもベンチに座るとミーシェちゃんが先程購入した雑誌を朗読して欲しいと言ったので読み聞かせをし始めた
・・・雑誌の記事の内容は、あまり面白くない物で、有名な魔族の一家が再来年辺りにどこそこに入学するとか、協議に出るとか、魔法議員に誰が当選したとか・・・うん、子供の俺達には一寸ぴんとこない記事のようだ
まだミーシェちゃんに朗読してあげるのには雑誌より絵本の方が良かったかも知れない
退屈そうに、または分かっていなさそうに顔を困惑に染めながら取り敢えずで聞いているミーシェちゃんは、しだいに芝生で寝転んでいるスミレの伸びている背中を何度も撫でて退屈を紛らわせていた
途中でルールウドくんも苦笑して朗読を止めて同じく売店で買った雑貨の方をミーシェちゃんに渡した
普通のノートに落書きを施していくミーシェちゃんが面白そうとみたのか、ジョアンさんもいつの間にか一緒になって落書きをしだした
メニーさんは何かを言い足そうにしてはいるが、ルールウドくんがノートを出したからか、それともミーシェちゃんが楽しそうだからか、分からないけれど何も言わなかった
・・・唯、文句ありそうな顔をして眉をひそめているだけで静にしてルールウドくんの背後に立っている
俺はルールウドくんが先程まで朗読していた雑誌を貸して貰って読んでみる
やっぱり一割も分からないけれど、異世界だから仕方ない
国が違えば情勢も政治も変わるのは当たり前のことだし、異世界ならではの事とか在るだろうしね
そう言うことを除いても暇潰しで雑誌を読もうかなと思った
「ショージは、そういうの分かるの?」
「1/4もわかってないよ。だってこの世界のことをまだ実感していないことの方が多いからね。でもある程度基本的なのことはルールウドくんに教えて貰ってあるから少しは、分かるかなと思って。」
「僕にもその雑誌に書かれていること半分以上分からないよ?」
「まだ子供なんだから、それでも良いと思うよ?」
行き成り外国の情勢とかその国のことが一気に理解出来るような人は早々いないと思うし、頭が良すぎるだろ・・・少なくとも俺は無理だな
そんな事を考えているとルールウドくんもそう思ったのか、頷いた
まぁ流石に、100歳もこの世界にいて分からない事は無いのだろうけれど、俺は人間だったからそこまで生きていられる気はしないしなぁ・・・
今はハーフエルフらしいけれど実感ないからな・・・と思っていると背後から声をかけれた
「・・・今日は随分と沢山居るんだね。」
アルトくんがゆっくりと歩いて西棟からやって来たみたいだ
今日は昨日はなかった、杖をついている
・・・足でも痛めたのだろうか、左足を引き摺って歩いているみたいだった
「アルトくんに出会ったって手紙で書いたら、会いにきたって・・・」
「僕の事書いたの?・・・手紙、随分と早く届いたね」
「足の速くて道に迷わない、ゆうびんやさんがいるんだよ」
勿論、それはスミレのことだけれどね
そう思っていたらスミレの耳がぴくっと一、二回動いた
どうやら俺が自分のことを言ったと分かったらしい
「あぁ、・・・もしかしてそのゆうびんやさんって精霊?」
「うん」
「それなら確かにすぐに届くよね、高いけど」
郵便自体が一般的にあるとか凄く驚いたけれど、それよりも精霊が配達するのに違和感さえないという方も驚くな・・・スミレに手紙を頼んで届けて貰っている俺が言うのもなんだけれど、なんて思っているとミーシェちゃんが笑いながらスミレの方へいき、スミレを抱き上げてアルトくんの所にいった
「ショージお兄ちゃんがね、猫ちゃんの精霊さんを呼び出したの!スミレちゃんって言うのよ!ほら、この子!」
「あぁ、知っているよ?前ショージくんに紹介して貰って・・・でも、今の姿だと僕には姿が見えないけれどね。」
「ミーシェには見えるよ?」
アルトくんが首を傾げてミーシェちゃんの腕の中のスミレのいる辺りを見る
確かにそこにはスミレがいるけれど俺とミーシェちゃん以外の人達には見えない
スミレは人型になっているときには会っているんだけれどね?




