第10話 龍太郎に揶揄われる。
おはようございます。続きを書きました。良かったら読んでください。
「……おまえ下着、落としたぞ」
龍太郎が寧々の手から、絨毯の上に落ちたものをチラッと見た。
「えっ?」
視線を落とした寧々が、
「きゃあぁぁ!」
と叫んで、慌ててそれを拾った。
「おまえさ、案外派手なの穿くんだな」
龍太郎が寧々を見て、クスッとイタズラっ子のような笑みを浮かべた。
「~~~~! ち、違います! これあたしのじゃない。こんな紐パン、あたしは滅多に穿かない。いや、まったく穿かないです。これは部屋に準備してあったんです」
寧々が龍太郎の琥珀色の瞳に目をやる。
「……なるほど、母さんが言ってたお客様って、おまえのことか。いや、正しくは居候か」
龍太郎がジロジロと寧々を見てきた。
「お、おまえじゃないです。あたしには名前が……」
「葉山寧々さんだろ?」
龍太郎が少し口角を上げた。
「あ、覚えててくれたんだ……」
寧々の頬がほんのりピンク色になる。
「あいにくおれは、記憶力だけはいいんだ。おまえはおれを呼び捨てにしたけど、おれはきちんと"さん付け"したからな」
龍太郎が寧々の横をスッと通り過ぎて歩き始めた。
「あ、あれはその驚いたっていうか……呼び捨てにしてごめんなさい。龍太郎さん」
寧々が龍太郎の背中に語りかけた。
「……龍太郎でいいよ」
「えっ?」
寧々の目が大きく開く。
「だから呼び捨てでいいよって言ってんの」
龍太郎が振り向く。
「…………」
寧々と目線が合う。
「じゃあ、龍太郎……でいいですか?」
「ついでにその変な敬語もやめろ。背中が痒くなる」
「わかった」
「じゃあな」
龍太郎が再び長い廊下を歩き始めた。寧々と少しずつ距離ができていく。
「あ、あの龍太郎! お風呂場はどこ?」
寧々が龍太郎に話かけた。
「風呂場は突き当たりにある。露天風呂は三階にある。今なら誰も入ってないと思うぞ」
彼はこちらを振り向きもしなかったけど、その声はとても優しかった。
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