第9話 同居開始
こんにちは。
少しバタバタしておりましたが、続きを書けて良かったです。
「ようこそ〜、我が家へ」
桃子が寧々たち一家をわざわざリムジンで迎えにきて、邸宅の中を案内してくれた。
白い要塞のような建物。横に長い三階建てだが、庭はとても広く噴水まであるようだった。
「なんだか悪いわね、桃子。まさかこんなことになるなんて」
母が困った顔をして見せた。
「あら、いいのよ。どうせ私は暇してたんだから。久々に百合花の顔が見れて嬉しいわ」
桃子が微笑む。母と同い年らしいが、桃子は高級ブランドのワンピースに身を包み、母より若く見えた。
(わぁぁ……おうちの中も高級ホテルそのものなんですけど。すごいなぁ……母と桃子さんは大学が同じだったって言ってたな……)
寧々は桃子のよく手入れされた巻き髪を眺めた。
桃子のすぐ後ろを歩くと、柔らかい香水の香りが寧々の鼻をくすぐった。
母と桃子の後を頼りない足取りで歩く父の姿。
(お父さん、いい人なんだけど、いつも頼りないんだよね……)
寧々は父の丸まった背中を見つめる。
「寧々ちゃんも大きくなったわねぇ……いつ以来かしら?」
女優のような笑顔で寧々に微笑みかける桃子。
「はぁ……いつですかね」
寧々はとりあえず笑う。
(こんな美人、知らないんだけど……)
「寧々は幼かったから、覚えていないんじゃないかしら。流石の私も桃子が大変な時に連絡なんてできないわよ」
母が軽く微笑んだ。
「それもそうね。あの時は大変だったから。でも今では可愛い息子として、きちんと愛情を注いでいるつもりよ」
ふふっと桃子が笑って見せた。
(うわぁ。なんか訳ありっぽい……大丈夫なの?)
寧々は桃子と母のやりとりを聞きながら、少し強張る。
「寧々ちゃんのお部屋はここね。私はリビングにいるから、困ったことがあればすぐに声をかけてね」
桃子が寧々に声をかけてきた。
「はい。今日から少しの間、お世話になります」
寧々は深々と頭を下げた。
「そんなに気を使わないでね。ず〜っとここにいてくれてかまわないのよ〜」
桃子が笑うと、背景に牡丹の花が咲き乱れた。
(わぁ。本当にきれいな人……)
寧々が頬を染めて見惚れた。
寧々は父と母と別れ、桃子が準備してくれた部屋に足を踏み入れた。
「うわぁ……」
思わず声が漏れた。
寧々に与えられた部屋はピンク尽くし。壁紙は薔薇で統一され、フリルやリボンがふんだんにあしらわれたカーテンや、ベッド。
家具までがアンティークに統一されていた。
透けて見えるベッドの天蓋が、お姫様気分にさせてくれる。
「きゃあ、かっわいい〜! なんて素敵なお部屋なの〜!」
寧々がスキップしながら、ベッドにダイブした。
彼女はしばらくすると、
「はぁ……今日は色々あったなぁ」
ベッドの上でおでこに手を乗せ、「ふぅ……」と息を吐き出した。
(さすがに疲れたな。お風呂に入ってゆっくりしたい……)
寧々は起き上がり、部屋の中をぐるりと見渡すと、着替えが一式準備されていた。
その着替えを持って、寧々は廊下に出た。
寧々には価値が理解できない絵画が飾られていた。
「お風呂場はどこだろう」
寧々がキョロキョロしていると、隣のドアが開いた。
中から長身の男性が出てきて、寧々とばっちりと目が合う。
「……なにしてんだ、おまえ。人の家で」
一度聞いたら忘れられない低音ボイスが廊下に広がった。
「りゅ、龍太郎……!!」
寧々は奇跡を目の当たりにして、思わず叫んだ。
(な、流れ星があたしと龍太郎を引き合わせた!!)
寧々の胸の奥が震え出した。
震える寧々の腕の中から、ピンクの下着がぽとりと落ちた。
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