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人形の魔女  作者: バテンサン
第1章
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7/13

幕間1

「この前はごめんね」


白い熊が鼻を鳴らし、アルエットの組んだ手に鼻先をコツンと当てた。

もう大丈夫だ。


 熊は唸り声を上げ、ついてくるように合図した。

向かう先はカルムの町だ。

アルエットはグィオットにもたれかかった。

一人なら、体力が残っていない自分を責めたかもしれなかった。

でも今は彼がいた。


 グィオットはアルエットを抱き上げ、うとうとする彼女をずっと運んでくれた。

夏の夜明けはまだ数時間先だった。

春の名残である夜の冷え込みを心配し、彼はスカーフをお腹にかけてくれた。

アルエットは礼を言い、しがみついた。


 なぜ「死の魔女」なのか?

過去の自分が固執していたのか、それとも別の力がその親和性を与えたのか?

二人は静かな旅路で考えを巡らせたが、手掛かりのない謎だった。


 グィオットは咎めなかった。

今は大切だと認識した少女を守ると誓い、運び続けた。


 数時間歩き、地平線から微かな陽の光が覗いた。

アルエットは浅い眠りを繰り返していたが、やがて遠くに温かな街灯と瓦屋根を見つけた。


 熊は二人を町の中心へと導いた。

広場を過ぎた先に、家でもあり博物館のようでもある三階建ての建物があった。

前足を上げ、熊は文明的な市民のようにドアノッカーを使ったが、その動きは――まあ、熊らしく不器用だった。


 まるまる一分と、十数回のノックが必要だった。

ボサボサの砂色の髪をした男が、あくびを噛み殺し、片眼鏡とゆったりしたローブを整えながら出てきた。

コウ・フレンの衣服は大陸では優雅な装いとされるが、だらしなく着た単衣の寝間着姿は、いささか見劣りした。


「110号? どうしたんだい?」


彼は熊に尋ねた後、二人に気づいた。


「おやまあ。何があったんだ?  大丈夫かい?」


 その温かい瞳を見て、少女は感情を抑えきれなかった。

彼からは死の匂いがしない。この町もそうだ。

心が弱っていた彼女は、まるで命そのものにすがりつくように彼へと身を乗り出した。

グィオットはそこで止まると思ったが、アルエットは手を伸ばし続けて篭手から滑り落ちた。

悲鳴も上げず、彼女は肩から石畳に叩きつけられた。


 驚いて、グィオットと男が彼女に駆け寄った

男は痛むかと聞き、一体何をしようとしたのかと尋ねた。

アルエットは首を振り、彼の袖を掴んで泣きじゃくった。


「普通の人だ。普通の人だ!」


とむせび泣いた。

最初は数滴の涙だったものが、号泣に変わった。

混乱、苛立ち、恐怖。安堵と感謝。

すべてが一気に押し寄せた。


 この世界で、この男を躊躇させるものは多くない。

しかし、この少女の涙は過去の鏡像を映し出していた――祭壇の階段で待っていた、ギ・ユンという名の少年の姿を。

カルトの地下室の独房で待っていた姿を。

運命の秋の日まで、誰かが救ってくれるのを何年も待ち続けていた姿を。


 今度は自分が誰かを助ける番だ。

もちろん、あの不機嫌な爺さんよりも上手くやってのけるさ。


 優しい手がアルエットの肩に置かれ、体を離すと、安心させるような笑みが見えた。

彼は心配するグィオットの腕に彼女を戻した。


「私はそれでも魔女だよ、お嬢さん。判断するのはもう少し待ったほうがいい」


 ローブの皺を伸ばし、彼は博物館のドアを開けた。

揺らめく光と、奇妙な骨董品たちのささやき声が漂ってきた。


「私はアーティファクト。どうぞ、くつろいでくれ」


挿絵(By みてみん)

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