表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『役立たずと追放された「魔力譲渡」スキルの俺、実は美少女騎士団の「聖魔力源」だった件』  作者: 常陸之介寛浩 本能寺から始める信長との天下統一


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
32/46

第32話『三行目は、まだ歌じゃない』

 ノエルが次に白銀聖騎士団へ来る日は、朝から雨だった。


 激しい雨ではない。


 細く、静かで、石畳を濡らすだけの雨。


 王都の屋根を淡く曇らせ、訓練場の土を黒く湿らせ、白銀聖騎士団の詰所にも少しだけ落ち着いた空気を運んできた。


 面談室の窓には、細かな雨粒が並んでいる。


 レオンはそれを見ながら、机の上の白い札を確認した。


『今日はここまで』


 前回と同じ場所。


 すぐ手の届く位置。


 ただし、今日の面談室には少しだけ変化があった。


 机の上に、小さな布が置かれている。


 白い布。

 何の変哲もない、柔らかい布。


 レオンはそれを見て、首を傾げた。


「これは?」


 リーネが花瓶の位置を整えながら答える。


「もしノエル様が聖歌集を持つ手に力が入りすぎた時、代わりに握れるようにと思いまして」


「ああ、なるほど」


「聖歌集を強く握ると、本人も『読まなきゃ』という気持ちになってしまうかもしれませんから」


 ミラがその布をつまみ上げた。


「柔らかい。これなら握っても痛くなさそうね」


「はい。クラウディア様のハンカチの報告を参考にしました」


「支援室、どんどん細かくなってるわね」


 ミラはそう言いながら、どこか嬉しそうだった。


 エルザは記録板に今日の項目を書き込んでいる。


「本日のノエル様面談確認事項。一、三行目を読むかどうかは未定。二、発声の有無を評価しない。三、白札による中断権継続。四、神殿側同席者はシスティナ様のみ。五、ミラの声量管理」


「五番!」


 ミラが即座に反応した。


「私、最近ちゃんと抑えてるでしょ!」


「通常時に比べれば抑制傾向はあります」


「褒め方が硬い!」


「褒めています」


「なら、もう少し柔らかくして!」


 リーネがくすくす笑う。


「ミラさんは、ノエル様にとって大事な“神殿っぽくない空気”ですから」


「それ、褒めてます?」


「もちろんです」


「……ならいいけど」


 ミラは少し照れたように、白い布を机へ戻した。


 セリアは窓際に立ち、外の門の方を見ていた。


 今日はいつもより警戒が強い。


 神殿は、ノエルの声を成果として扱おうとした。


 それは一度止めた。


 だが、完全に諦めたとは思えない。


「神殿側から追加の連絡は?」


 レオンが聞くと、セリアは振り返らずに答えた。


「今朝の時点ではない。システィナ殿からは、予定通り本人のみ来訪と連絡があった」


「本人のみ?」


「付き添いはシスティナ殿だけ、という意味だ」


「ああ」


 ミラが腕を組む。


「前みたいに若い神官がくっついてきたら、今度は門前で止めるから」


「前回も止めた」


 セリアが言う。


「今回はもっと早く止めるの」


「頼む」


 セリアが短く言うと、ミラは少しだけ胸を張った。


「任せて」


 レオンはその姿を見て、思わず言った。


「ミラ、最近本当に頼もしいな」


「だから急に言うなってば!」


 ミラは耳まで赤くした。


「しかもノエル来る前に! 心の準備が!」


「褒めるのに準備がいるのか?」


「いるの!」


 エルザが記録板を少し上げる。


「ミラ、直球評価への耐性は依然として低め」


「書かない!」


「善処します」


「それ残すやつ!」


 笑いが起きる。


 その笑いの中で、セリアが小さく言った。


「いい空気だ」


 全員がセリアを見る。


 セリアは少しだけ目を逸らした。


「ノエル殿が来る前に、部屋の空気が硬すぎない方がいいという意味だ」


 ミラがにやりとした。


「団長、今の照れ隠しですね」


「ミラ」


「はい、でも今日は言う価値ありました」


 雨の音が、窓の外で静かに続いていた。


    ◇


 ノエルの馬車は、予定より少し早く到着した。


 門前で出迎えた時、ノエルは傘を差していなかった。


 システィナが慌てて傘を差しかけているが、ノエル本人は雨に濡れることをあまり気にしていないようだった。


 淡い灰色の外出着。

 今日は白いリボンではなく、細い青い紐で髪を結んでいる。

 腕には、いつもの聖歌集。


 ミラが駆け寄る。


「ちょっと、濡れてるじゃない!」


「雨だから」


「そういう問題じゃない!」


「神殿だと、雨の日は外に出るなって言われる」


 ノエルは空を見上げた。


「でも、今日は出たかった」


 その声は静かだった。


 ミラは何か言いかけて、少しだけ言葉を飲み込む。


 そして、持っていた布をノエルの肩にかけた。


「風邪ひいたら次来られないでしょ」


「……ミラはうるさいけど、こういう時は優しい」


「毎回それ言う!」


 ノエルの口元が少しだけ上がった。


 システィナは深く頭を下げる。


「本日もよろしくお願いいたします」


 セリアは周囲を確認した。


「神殿側の追加同行者は?」


「おりません」


「よし」


 ノエルはセリアを見る。


「今日は門で止めない?」


「必要がなければ止めない」


「そう」


「嫌なら、ここで帰ってもいい」


「今日は行く」


 ノエルは、少しだけ聖歌集を抱き直した。


「三行目は、まだ決めてないけど」


「それでいい」


 セリアの返事は短い。


 でも、その短さがノエルには合っているようだった。


「団長は、今日も短い」


「必要なことだけ言っている」


「嫌じゃない」


「そうか」


 ミラが横で小声で言う。


「団長、ノエルに懐かれてる」


「懐いてない」


 ノエルが即座に返す。


「聞こえてたの!?」


「ミラは声が大きい」


「エルザに言われるより刺さる!」


 雨の中でも、空気は悪くなかった。


 ノエルは自分の足で、白銀聖騎士団の門をくぐった。


    ◇


 面談室に入ると、ノエルは最初に白い札を見た。


 次に、机の上の白い布を見る。


「これ、何?」


 リーネが説明する。


「聖歌集を持つ手に力が入りすぎた時、代わりに握れる布です。使わなくても大丈夫ですよ」


「私用?」


「はい」


「また変なもの用意してる」


「嫌でしたか?」


 ノエルは布に触れた。


 指先で少しだけ押す。


「嫌じゃない。変だけど」


「変だけど嫌じゃない、いただきました」


 ミラがなぜか得意げに言う。


「ミラが用意したの?」


「発案はリーネ」


「じゃあミラは得意げにしないで」


「辛口!」


 ノエルは少し笑い、前回と同じ出口に近い席へ座った。


 聖歌集を机に置く。


 今日は、すぐには開かなかった。


 レオンは斜め前の席に座る。


「今日は、どうしますか」


「分からない」


「分からないままで大丈夫です」


「知ってる」


 ノエルはそう言ったあと、少しだけ視線を落とした。


「でも、知ってても怖い」


「何が怖いですか」


「三行目を読めなかったら、戻ったと思った声がまた消えたみたいで怖い」


 システィナの指が少し動いた。


 だが、今日は何も言わない。


 リーネも静かに見守っている。


「読めたら読めたで、次は四行目って思われるのが怖い」


「ここでは、そう思いません」


 レオンが言うと、ノエルは顔を上げた。


「本当に?」


「はい。三行目を読んでも、読まなくても、今日はここまでで終わっていいです」


「声が出ても?」


「はい」


「出なくても?」


「はい」


「途中でやめても?」


「もちろん」


 ノエルは白い札を見る。


 そして、机の上の白い布へ手を伸ばした。


 聖歌集ではなく、布を握る。


 ぎゅっと。


 それから、少しだけ息を吐いた。


「今日は、布から」


「はい」


 レオンは頷いた。


 エルザが記録する。


「本人、聖歌集開封前に布を使用。緊張緩和目的」


「記録の人」


 ノエルが言う。


「はい」


「今のは書いていい」


「承知しました」


 ミラが小さく吹き出す。


「ノエル、エルザの扱い慣れてきたわね」


「記録されるなら、こっちも決める」


「強い!」


 ノエルは少しだけ口元を緩めた。


 そして、ようやく聖歌集を開いた。


 一行目。

 二行目。


 前回、声が出た場所。


 彼女の指が、そこをゆっくりなぞる。


 部屋の中には、雨音だけが響いている。


 誰も「頑張れ」と言わない。


 誰も身を乗り出さない。


 ただ、待つ。


 ノエルの唇が少し動く。


 声はまだ出ない。


 彼女は一行目を目で追い、二行目へ進む。


 そして、三行目の頭で止まった。


 指が震える。


 握っている布が、少し潰れる。


 ミラが動きかける。


 だが、レオンは首を横に振った。


 まだ、ノエルは自分で止まっている。


 助けを求めてはいない。


 ノエルはしばらく三行目を見ていた。


 そして、小さく息を吸った。


「……」


 声は、出なかった。


 唇だけが動いた。


 音にならない。


 前回のような小さな声もない。


 ノエルの目が揺れる。


 失敗した。


 そう思った顔だった。


 彼女はすぐに白い札へ手を伸ばそうとした。


 けれど、その前にレオンが静かに言った。


「読んでいました」


 ノエルの手が止まる。


「声、出なかった」


「はい」


「読めてない」


「俺には、読んでいるように見えました」


 ノエルはレオンを見る。


 不満そうで、不安そうな目。


「音がないのに?」


「音がなくても、目で追って、息を止めて、三行目の前に立っていました」


「立ってた?」


「はい。今日は三行目の前まで来たんだと思います」


 ノエルは黙った。


 握っていた布を、少しだけ緩める。


 ミラが小さく言った。


「声が出る日と、出ない日があってもいいんじゃない?」


 ノエルがミラを見る。


「ミラは、槍を毎日同じように振れる?」


「振れない」


 即答だった。


「体が重い日もあるし、手に豆ができる日もあるし、気持ちが乗らない日もある。そういう日は基礎だけやって終わる」


「終わっていいの?」


「終わるわよ。無理して崩す方が嫌だもん」


 ノエルは聖歌集へ視線を落とした。


「歌も、そう?」


「たぶん。私は歌わないけど」


 ミラは少し困ったように笑った。


「でも、何でもそうなんじゃない? 今日はここまでって決めるの、逃げじゃないでしょ」


 ノエルは白い札を見た。


『今日はここまで』


 そして、ゆっくり札を倒した。


「今日は、ここまで」


 声は出た。


 聖歌ではない。


 でも、はっきりした自分の声だった。


 システィナが両手を強く握る。


 泣かないように。


 リーネがそっと頷く。


 エルザが記録する。


 セリアが静かに見守る。


 レオンは、ただ言った。


「はい。今日はここまでです」


 ノエルは、少しだけ目を伏せた。


「声、出なかった」


「聖歌の声は、出ませんでした」


「うん」


「でも、今日はここまでって言えました」


 ノエルの目に涙が浮かぶ。


「……それも、私の声?」


「はい」


「そっか」


 ノエルは布を握ったまま、ぽつりと言った。


「じゃあ、今日はそれでいい」


    ◇


 面談は、そこで終わらなかった。


 白い札を倒したので、聖歌集の話は終わり。


 だが、ノエルはすぐ帰るとは言わなかった。


 彼女は聖歌集を閉じ、机の上に置き、雨の窓を見た。


「少し、雨を見ていたい」


「いいですよ」


 リーネが答える。


「話さなくても?」


「はい」


 ノエルは頷き、窓の方を見た。


 部屋の中に、雨音が戻ってくる。


 しばらく誰も話さなかった。


 その沈黙は、重くなかった。


 ノエルが自分で選んだ沈黙だったからだ。


 やがて、彼女がぽつりと言った。


「神殿だと、沈黙も祈りになる」


「ここでは?」


 レオンが聞く。


「ただの雨の音」


「それでいいですか」


「うん。今日は、それがいい」


 ミラが小声で言う。


「何か、今日のノエル、詩人みたい」


「違う」


「即否定!」


「雨を見てるだけ」


「はいはい」


 ノエルが少しだけ笑う。


 その笑い声は小さかった。


 でも、聖歌ではない。


 ただの笑い声。


 それが、この部屋では一番大事だった。


    ◇


 帰る時、ノエルは自分から白い布を手に取った。


 リーネが尋ねる。


「持って帰りますか?」


「いいの?」


「もちろんです」


 ノエルは布を少し握った。


「次も、これ持ってくる」


「はい」


「三行目は……まだ分からない」


「分からないままで大丈夫です」


 ノエルは頷いた。


 それから、ミラを見る。


「ミラ」


「何?」


「今日は、声が出なくてもいいって言ってくれて、ありがとう」


 ミラの顔が赤くなる。


「べ、別に。槍と一緒に考えただけだし」


「ミラは、やっぱりうるさいけど優しい」


「もうそれ定型文になってない!?」


「なってる」


「認めた!」


 ノエルはほんの少し笑った。


 次にセリアを見る。


「団長」


「何だ」


「雨の日も、ここに来ていい?」


 セリアは迷わず答えた。


「本人が望むなら」


「短い」


「必要なことだけ言っている」


「うん。嫌じゃない」


 そして最後に、レオンを見た。


「レオン」


「はい」


「今日は、三行目の前まで来たって言ったこと、覚えてて」


「覚えています」


「次、忘れそうになったら言って」


「何回でも言います」


「ずるい」


「よく言われます」


「うん。ずるい」


 ノエルはそう言って、システィナと一緒に面談室を出た。


 白い布を、大事そうに握ったまま。


    ◇


 ノエルを見送ったあと、支援室では記録の書き方を相談した。


 エルザが筆を持ったまま言う。


「本日の記録。聖歌集三行目に視線到達。ただし発声なし。本人は一時不安反応を示すも、白札により聖歌関連面談を終了。その後、雨音を聞く時間を希望。白布を持ち帰り」


「発声なしって書くと、失敗みたいに見えない?」


 ミラが言う。


「記録上は事実です」


「でも、言い方」


 エルザは少し考えた。


「では、『聖歌としての発声は行わず』にします」


 リーネが頷く。


「その方がよいですね。代わりに『今日はここまで』を本人が発声できたことも記録しましょう」


「はい」


 エルザが書き加える。


 レオンも追記した。


『今日は三行目の前まで来ました。声が出ない日でも、本人が終わりを選べたことは前進です』


 セリアがそれを見て、静かに頷く。


「いい」


「本当に?」


「ああ。今日のことが、正しく残る」


 その言葉で、レオンは少し安心した。


 記録は盾。


 今日も、その意味を感じた。


    ◇


 その日の夕方、近衛騎士団からアリアの報告が届いた。


 痛み申告、十段階中四。

 訓練量、前日と同じく軽度。

 剣の封印予定、治療当日より実施。

 本人コメント。


『白銀の支援室に倣い、痛みを記録することにしました。少々屈辱ですが、必要なことなのでしょう。ミラには、まだ怒られたくありませんので』


 ミラはそれを読んで、顔を真っ赤にした。


「何で私の名前出すのよ、あの金髪きらきら!」


「効いてるんだな」


 レオンが言うと、ミラはそっぽを向いた。


「知らない!」


 セリアは少しだけ口元を緩めた。


「よい傾向だ」


「団長まで!」


 エルザが予定板のアリア欄に追記する。


『痛み記録継続/ミラ効果あり』


「その書き方やめて!」


「簡潔です」


「簡潔だけど!」


 支援室に笑いが広がった。


 ノエルの面談のあと、少し湿っていた空気が明るくなる。


 こういう流れも、支援室らしくなってきた。


    ◇


 夜。


 ノエルは神殿の自室で、白い布を握っていた。


 聖歌集は机の上に閉じて置いてある。


 今日は開かない。


 三行目は読めなかった。


 声も出なかった。


 でも、「今日はここまで」は言えた。


 レオンは、それも私の声だと言った。


 ノエルは布を握り、窓の外の雨を見る。


「三行目の前まで来た」


 小さく呟く。


 その言葉は、不思議と胸を苦しくしなかった。


 進めなかったのではない。


 そこまで来た。


 そう思うと、少しだけ息がしやすくなる。


 扉が開き、システィナが入ってきた。


「今日は、聖歌集は開かないのですね」


「うん」


「それでいいと思います」


「システィナ様も、変になった」


「白銀聖騎士団の影響です」


 ノエルは少し笑った。


「悪くない影響」


「はい」


 ノエルは白い布を握ったまま、静かに目を閉じた。


    ◇


 白銀聖騎士団詰所の夜。


 レオンは報告書を読んでいた。


 ノエルの三行目。

 声が出なかったこと。

 でも、「今日はここまで」と言えたこと。

 アリアの痛み記録。

 クラウディアのハンカチ報告への返事。


 全部、小さなこと。


 でも、どれも大切だった。


 壁の向こうから、いつもの声がした。


「まだ起きているのか」


「起きてる」


「寝ろ」


「今日は雨の音で眠れそう」


「なら寝ろ」


「正論だ」


「正論しか言っていない」


「時々、感情も混じる」


 少し間が空いた。


「……そうだったな」


 レオンは笑った。


 報告書を閉じる。


「今日は、ノエルに何もしてないのに疲れた」


「何もしないことは疲れる」


「前にも聞いた」


「何度でも言う」


「ノエル、三行目は読めなかったけど、前まで来たんだよな」


「ああ」


「それでいいんだよな」


「いい」


 セリアは即答した。


「今日は、そこまで来た日だ」


「うん」


「そして、自分で終わりを選べた日だ」


「うん」


「十分だ」


 その言葉で、レオンの胸が少し軽くなった。


「セリア」


「何だ?」


「いつも、最後にちゃんと十分だって言ってくれるの、助かる」


 壁の向こうで、少し沈黙。


「……私も、そう言いながら確認しているのかもしれない」


「何を?」


「私たちのしていることが、間違っていないか」


 その声は、いつもより少しだけ柔らかかった。


 レオンは静かに答えた。


「間違ってないと思う」


「そうか」


「うん。少なくとも、ノエルはまた来るって言った」


「ああ」


「それで十分だ」


 今度はレオンが言った。


 壁の向こうで、セリアが小さく息を吐いた気がした。


「……そうだな」


「おやすみ、セリア」


「ああ。おやすみ、レオン」


 雨の音が続いている。


 ノエルは三行目を読めなかった。


 でも、三行目の前まで来た。


 それを失敗にしない場所が、白銀聖騎士団にはある。


 支援室は、今日も誰かの小さな前進を守った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ