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護衛の仕事で成り上がれ  作者: 肩ぐるま


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第38話 馬車の護衛はきつかった

『ナーシャの救出が俺のクエストになったのは、何故なのか?』

その疑問に対する答えは出ていない。


クエストを出しているのが超常的な存在ならば、ナーシャ自身が、超常的な存在にとってどういう存在なのか?

超常的な存在にとって意味のある存在だから、救出なんていうクエストが現れたんだろうけれど。

だけど、そのクエストが、何故、俺に課されたのか?

俺にとってナーシャは、どういう存在なのか?

俺がナーシャを、これからずっと護っていくことが、超常的な存在から求められているのか?

そして、また、ナーシャは俺の奴隷になったが、ナーシャの本当の気持ちはどうなのか?

俺とナーシャに、特別な繋がりがあるのだろうか?あるとしたら、それは何か?

もしかして、ナーシャも異世界人なのだろうか?

思いがとりとめもなく巡るだけで、どれだけ考えても、答えは何一つ出なかった。


疑問が尽きないにもかかわらず、ナーシャとは何も話が出来ていない。それというのも、ナーシャと2人きりになれないからだ。

というのも、王都で3人部屋を取った宿屋で、4人部屋に替えてもらおうと思ったが、他の部屋が全て埋まっていたので、3人部屋には、俺の代わりにナーシャが入り、俺は別の宿屋に泊ることになったのだ。


その上、王都を出発するまで5日間は慌ただしく過ぎた。

商業ギルドに行き、徴税官代理の護衛依頼を受ける手続きをしたり、鍛冶屋に行って、トゥデラとオレの剣の手入れをしてもらったり、俺は矢を買い足したり、ナーシャの服とローブを買ったり、野営はしなくても済むが、非常時の保存食を買ったり、ポーションなどを買い込んだりした。

そして、その合間に、トゥデラに剣の稽古でしごかれた。

王都を出るまでに剣術を7に引き上げておけとトゥデラに言われ、毎日、全身が打ち身でボロボロになるまでしごかれた。

とはいえ、そんなに簡単に剣術の熟練度が上がるわけがない。それでも、熟練度に小数点があれば、6.0だったのが6.4ぐらいには上達したと思う。


5日後、ホゾスの乗る馬車を護衛して王都を出た。

ラズラは、王都から4つ目の街になる。 

街と街の間には宿場街があるが、王都近郊の宿場街は、クライムなどの辺境にあった宿場村とは規模と質が違う。

街は石造りの高い壁で囲まれ、街の中には大通りもあり、その両側には、宿屋が何十軒も並び、一度に千人以上の宿泊客をこの街で収容することができる。宿屋のほかにも様々な商店が軒を並べており、旅の物資の補給が出来るようになっているし、宿屋に穀物や酒などを卸す卸売商の事務所や倉庫もあり、物流の中継地としても賑わっている。

宿泊するための中継点というより、小さな街といってよいほどだ。

ただし、幾ら人で賑わっていても、宿場街の人口の大半は、この街で一泊するだけの旅人と、物資を運んで来た商人とその使役奴隷たちだった。

生活の拠点となる街とは違い、行政機関もなく、宿場役人と数十人の護民兵が置かれているだけだ。

このような宿場街は、街から街への移動で野宿する必要がないように、馬車で1日の距離ごとに置かれている。


ホゾスの馬車を護衛して、王都を出発した。

従者の騎馬とトゥデラの騎馬が横に並んで先導し、その後に、ホゾスとナーシャが乗り込んだ2頭立ての馬車が続く。

その後に、従者2人の騎馬が続き、その後を俺とルージーが歩いて続く。

馬車や騎馬の並足は、人間の徒歩より少し速いので、俺とルージーは少し早足で着いていく。

徒歩で馬車を護衛するのは、これが初めてだったが、早足で50キロを歩くのは、恐ろしくきつかった。それも、昼食を食べる習慣がない世界なので、馬車は、たまに小休止をするだけで、まとまった休憩時間をとらないまま進み続ける。

この世界で生まれ育ったルージーは平気な顔をしているが。俺は、ルージーに話し掛ける気力もなくなり、黙々と歩くだけだった。

ホゾスの馬車には、奴隷管理庁の旗と、徴税官代理の旗が立てられており、盗賊の襲撃は考えられない。

ただし、ゴブリンなどの魔物の襲撃は、予期出来ないので、歩き疲れたからといって警戒を緩めることは出来ない。

ようやく最初の宿場街に到着して、1日目の行程が終わった。

その宿場街では、ホゾスとその従者たちは宿場役人が用意した役人専用の宿泊施設に泊まっているが、俺たち護衛は民間用の宿屋を斡旋されて、そこで泊まった。

この宿屋で、やっとナーシャと話が出来ると思ったが、3人の女は1部屋で、俺だけ別の部屋になり、またしても話が出来なかった。もっとも、俺は疲れ切っていたので、ナーシャと同室になっていたとしても話をする気力はなかっただろう。

ベッドに入り、封印が解けたスキルを確認しているうちに眠りに落ちた。


スキル 奥の手(短剣、盾、戦斧、弓、剣、槍、大盾、癒し魔法、風魔法)、短剣術4、盾術3、戦斧術3、弓術7、剣術6、槍術3、大盾術2、癒し魔法1、風魔法3、気配察知7、生食5、身体強化5

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