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護衛の仕事で成り上がれ  作者: 肩ぐるま


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第36話 クエスト完了

「馬は、盗賊を倒したこちらのものだ。乗っていいとしても、それを貸してやるだけだ。王都に着いたら、当然、返してもらう」

「馬に乗せてもらえるなら、それで我慢しましょう」

トゥデラとホゾスが、馬が誰のものかで言い争ったが、結局、馬は俺たちのもので、王都に着くまでホゾスが乗ってもいいが、あくまでも貸すだけだという理屈に落ち着いたようだ。

「ついでに、この首も馬に乗せろ」

トゥデラが、腰からぶら下げている首も、馬に乗せろと言い出した。

首が一つでは、馬の背に乗せにくいので、ここで倒れていた死体の首を刈って、死体が着ていた服で包み、ヒスタンの首と振分荷物にして馬の背に掛けた。

そしてその前に、ホゾスが乗った。


王都までは、数日かかったが、その間、問題は起きなかった。

ホゾスが徴税官代理の法衣を着ているから、盗賊ですら恐れて襲ってこないし、街頭を行く人々からは、大貴族並みに畏れられた。ホゾスが馬に乗っているせいで、俺たち3人は徴税官代理の護衛と付き人に間違えられていた。護衛と思われているのは、勿論、トゥデラだ。

街に着くとホゾスは、街で最高級の宿屋にズカズカと入って行き、「徴税官代理である」と威光をひけらかせて、一番いい部屋にただで宿泊させろと強要する。

宿屋も恐れ入って、現在、部屋に泊まっている客を違う部屋に移してまで、最高級の部屋をホゾスに提供した。

俺とルージーは付き人と思われたので、使用人用の部屋に案内された。トゥデラだけは、護衛と思われて、ホゾスの部屋の近くの部屋を提供されたようだ。

ホゾスは、どの街でもこのような態度なので、いい加減にしろと腹を立てていたら、ようやく王都に着いた。

王都で、ヒスタンともう1人の賊の首を奴隷管理庁に提出したら、金貨40枚の懸賞金が貰えることになったが、ホゾスは律儀に、この生首の男が、徴税官代理である自分に暴力を振るったと証言してくれたので、懸賞金が跳ね上がったとのことだ。


さて、ナーシャだが、奴隷管理庁が主催する奴隷オークションに出されるということだったが、奴隷管理庁との橋渡しをしてくれたホゾスから提案があった。

奴隷オークションが始まる前に、懸賞金の金貨40枚分と相殺することで、ナーシャを俺の奴隷にする手続きしてくれるということだった。

トゥデラが稼いだ懸賞金を全部つぎ込んでしまうことになるので、俺としては後ろめたかったが、トゥデラが了解してくれたので、ホゾスに手続きを頼んだ。


翌日、ホゾスに呼ばれて奴隷管理庁に行くと、2階の個室に案内された。

そこにはナーシャも居て、俺を見ると深々と頭を下げてきた。

「この度は、ありがとうございました。ホゾス様から、私を身請けしてくださったと伺いました。末長くお仕えさせて頂きます」

と感謝された。

「えっ、身請け?」と俺が戸惑っていると、ホゾスが俺の側にやって来て、

「先に手続きを済ませてしまおう」

そう言って、ナーシャに後ろを向かせる。

ナーシャが、腰まである長い髪を掻き分けて、うなじを見せると、首の後ろに黒い紋様が刺青されていた。

「そなたの血を一滴、この奴隷紋に擦り付けてくだされ」

俺はホゾスから小型のナイフを受け取り、手の平を切って血を出すと、その血をナーシャのうなじの紋様に擦り付けた。すると、奴隷紋が一瞬光った。

「これで、ナーシャは、リュート殿の奴隷となった。手続きはこれで終わりですぞ」


ナーシャの奴隷手続きが済んだとき、ステータスにクエスト完了という文字が現れて、俺の固有スキルの奥の手が再び使えるようになった。


最初は、権威を傘に着た嫌味な奴だと思ったホゾスだが、意外と義理堅くて、面倒見がいい面があったので見直した。


「奴隷庁では、主が居なくなった奴隷を定期的に回収しておりましてな。今回、たまたまナーシャが回収されることになって、吾輩が立ち会ったのですが、思わぬ邪魔が入りましたな。いやはや、そなたがナーシャに惚れ込んであそこまで追いかけて来なかったら、吾輩もどうなっていたことかと思うとぞっとしますぞ。とにかく、これでナーシャはそなたのものじゃ。思いを遂げられてよかったのう。いや、目出たい、目出たい」

と、最後は大きな声で俺を囃し立てた。


『ナーシャに惚れ込んだから、追いかけたわけじゃないのだが・・・』と思いながら、

「ナーシャを攫った奴らのことは、何か分かったのか?」と聞くと、

「賊は徴税官殿が成敗なされた。賊が逃げ延びたかもしれぬというのは、吾輩の憶測に過ぎぬよ。そんことを徴税官殿に言えば、吾輩の首が飛ぶ。ヒスタンとかいう賞金首もトゥデラ殿が討ち取ったことだし、もう、ナーシャに手を出す者はおるまいよ」


ホゾスを見直したと云ったが、前言撤回。

自己保身のために、危険の兆候があっても、見て見ぬふりをする奴だった。

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