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護衛の仕事で成り上がれ  作者: 肩ぐるま


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第34話 ついに現れた徴税官

茂みの向こうから3人の男が駆けて来た。

先頭を駆けて来るのは長身で厳つい顔の男。その後ろからさらに2人の男が駆けて来る。

するとその1人、長身の男が立ち止まって叫んだ。

「貴様は、血塗れトゥデラ。くそっ、よりによって、奴隷庁が貴様を抱え込んでいたとはな」

その男はトゥデラを知っているようだ。だけど血塗れってなんだよ。

『トゥデラよ、なんて二つ名で呼ばれていたんだ、お前は』

なんてことを思っていると、

「貴様はヒスタン。まだ生きていやがったのか。こいつは私が片付ける。そっちの2人を頼む」

トゥデラは、最後の方を俺たちに向けて叫ぶ。

「片付けられるのはお前の方だ」

と言うなりヒスタンはトゥデラに斬り掛かった。

徴税官代理の護衛を一瞬で倒した凄腕の剣だったが、トゥデラの剣には及ばない。

「貴様、いつの間に腕を上げた?」

ヒスタンは悪態をついたが、次の瞬間、トゥデラの斬り上げが決まり、ヒスタンは脇腹から肺までを斬り裂かれて、内臓を零しながら倒れた。

手下の1人は既に俺の矢で倒れており、もう1人を俺とルージーで押さえ込んでいたが、トゥデラが加勢してきて、男の頭を剣の柄で殴り、勝敗は呆気なく決まった。

トゥデラが

「こいつらを見張っていろ」と言うなり、抜き身の剣を持ったまま、藪の向こう側に駆けて行った。

俺は、矢が腹に刺さったまま倒れて唸っている男に近付き、剣の先を喉に突き付けて

「攫った女をどうした?」

と聞こうとしたが、男は唸るばかりで答えない。

「こいつらを縛り上げよう」

とルージーに声を掛け、荷物の中から縄を出して、倒れている2人の男を縛り上げた。


トゥデラが茂みの向こうから戻ってきた。

白くて長いマントのような服を着た男を1人連れている。顔が血塗れだ、トゥデラにやられたのだろうか?と考えていると、

「徴税官代理殿のようだ」と紹介された。

徴税官代理といえば、ナーシャを連れていった奴隷商と一緒に村に来たという、あの役人か?

「貴殿らは、あの奴隷を追いかけているのか?」と徴税官代理が聞いてくる。

鼻に手を当てながら喋っている。鼻が痛いのだろう。

「その通りだが、怪我は大丈夫か?」と聞きながら、傷薬を渡してやる。

「かたじけない」と徴税官代理は傷薬を受け取ると、掌に注いで顔の怪我に塗りつけた。

「だいぶましになった。礼を言う」

徴税官代理は、俺たちが縛り上げた賊を見ながら、

「罪人を捕えましたな。管理庁から謝礼が出ますぞ」と言った。

「管理庁?ああ、奴隷管理庁のことか」とトゥデラ。

「ナーシャは、何処に行った?俺たちはナーシャを追いかけるぞ」と俺が言うと、

「何、もう捕捉されておるでしょう。この賊どもは、管理庁を甘く見過ぎた」と言いながら、近くあった倒木に腰を掛けて、寛ぎ始めた。

「もう捕捉されているというのは、どういうことだ?」と俺。

「徴税官は、どこまでも追い掛ける。巷に言われている言葉は、的を得ていましてな。この国では、奴隷を攫って逃げることは不可能ですぞ」と、くくくっと笑う。

「それではナーシャは無事なのか?」

「奴隷はこの国の宝。奴隷を保護するのが奴隷管理庁の仕事ですからな。保護された奴隷は、王都でオークションに出されることになるでしょうな」

「オークションだって。それは困る。俺はナーシャを買う必要があるんだ」

「それならオークションで落札されればよろしい」

奴隷は国の宝だと言いながら、財産としてしか見ていないことが丸分かりな言葉だ。この徴税官代理、どうも好きになれない。しかし、いまは、ナーシャに関する情報が大事だ。

「ナーシャが何処かへ連れ去られてしまうことは考えていないのか?」と問いただすと、

「この国では、奴隷が何処にいるか、奴隷管理庁が全て把握しております。逃げることも、誤魔化すことも出来ません。そして、私のような代理ではなく徴税官は、奴隷のいるところなら何処にでも現れますぞ」

分かりにくい言い方をしているが、奴隷紋には、GPSのような位置発信機能があり、徴税官はその信号を目印に、奴隷の居る場所に転移出来るということのようだ。


その頃、ナーシャを攫って逃げ出した2人の男は、馬を倒されて地面に投げ出されていた。

何者かの魔法が、金髪の男たちが乗っていた馬を転倒させたようだ。

「奴隷は金のなる木。いや、違いますな。国の宝です。それを横領しようとした者は死罪ですな」

馬の背から地面に投げ出されて、まだ立ち上がれない金髪の男たちの前に、1人の男が現れた。

男が片手を挙げて、

「ギルティ」と唱えると、倒れている男たちの下から石の槍が突き出して、2人の男の腹を貫いた。

「では、この奴隷は回収するとしますか」

男は、そう呟くと倒れたナーシャに近寄り、片手で抱き抱えるとその場から消えた。

男が消えると地面から突き出していた石の槍が消えた。石の槍に腹を貫かれた男の1人は息絶えていたが、金髪の男はまだ息をしていて、腹を押さえながら、腰のポーチから回復薬を取り出して飲み干した。

金髪の男は腹を押さえながら立ち上がり、

「くそ、忌々しい徴税官め」

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