第27話 クエストの真実?
「これだけは、絶対の秘密だから、誰にも言うなよ」と改めて念を押す。
2人が頷いたので、
「実は、俺は違う世界から来た」
俺としては、覚悟を決めて最大の秘密を打ち明けたのだが、聞いている2人の反応は意外に薄い。『何故だ?』と思っていると、
「違う世界から来ることは珍しくありませんよ」とルージーが思いがけなことを言った。
「えっ、珍しくないのか?違う世界からだぞ」
俺の話が分かっていないのかと思って念を押すと、
「私たち異種族と呼ばれる種族は、その昔に違う世界から来たと伝えられています」とルージー。
「人間の中にも違う世界から来た奴の伝説は幾つかあるぞ」とトゥデラ。
「それじゃ、違う世界からやって来るのは、珍しいことじゃないのか?」
驚いた俺が聞き返すと、
「珍しいことは珍しいんですけど、ないわけではありません」とルージー。
「主殿が、違う世界から来たことということと今、そのクエストとの間に、どんな関係があるんだ」
「クエストは、俺に対する命令のようなものだ。スキルを取り上げられたからには、従わざるを得ないだろう。だとしたら、誰が、俺にそんな命令をしているのかってことになる。この世界の常識では、スキルは神の加護なんだろう。そうすると、俺をこの世界に連れて来たり、クエストで命令しているのは、神ということになるじゃないか」
と、俺は一気にまくし立てた。
「なるほど、主殿が違う世界から来たことはそれほど問題じゃないが、主殿をこの世界に連れて来た者と、今回のクエストとかいう命令を出している者とは、同じ者だというのは考えられるな」トゥデラの言ったことにルージーも頷いている。
俺が一番重要だと思っていたことがあっさりスルーされたが、2人は俺が言っていることを理解してくれたようだ。
「それで、スキルが全部使えなくなったのか?」とトゥデラが、目の前の問題を指摘してくる。
「いや、俺の固有スキルっていうのかな?それが使えなくなったが、普通のスキルは使える」と俺は説明した。
「剣術は使えるのか?」とトゥデラ。
「ああ、使える」
「熟練度は、いくつだったかな?」
「5だ」と答えると、
「低いままだな。日頃の鍛錬を怠っていたな」と、トゥデラは渋い顔をして言った。
「いつも便利なスキルを使ってしまっていたからな」と俺は弁解する。
「言い訳にもならんぞ。剣術の熟練度が5では、護衛の仕事は無理だ。せめて6か7はないと命を落とすぞ」ときつい言葉で釘をさされた。
「だけど、弓術は7、気配察知も7、身体強化が5あるぞ」
「弓術が7もあるのか。それなら弓を持てば戦力になるな。それに身体強化が5もあれば、多くの荷物が持てる」とトゥデラが揶揄ってくる。
「身体強化は、荷物持ちのスキルかよ」と憮然として言い返すと、
「ははは、格闘には役に立つぞ。しかし、剣では、剣術が7か8以上ないと、身体強化は活かしきれない。剣術が5や6で身体強化を使っても、力まかせになるばかりで、力を抜くタイミングが分からないからな。それより気配察知が7あれば、森の中では便利だ。狩人としてもやっていけそうだな」とフォローにならないフォローをされた。
「私の棍棒スキルも7になっていますから、旦那様の弓とトゥデラさんの剣で、護衛の仕事を続けることが出来るんじゃないですか」とルージーが慰めてくれる。
「とにかく、急いでナーシャの村に戻らないといけない。早くしないと、俺のスキルが、このまま使えなくなっては大変だ」
「まあ、焦るな。朝にならないと動けないんだから、今は、夜が明けるまで待て」
さすが長い間傭兵をやっていただけあって、こんなことぐらいでは動揺せず、的確な指示を出した。
「馬車はどうしますか?」というルージーの心配を、
「金がもったいないから歩きだ」と、トゥデラが一言で切って捨てた。
「村まで3日掛かるぞ」と俺が言うと、
「その間に魔獣を狩りながら進む。主殿は、急いで剣術スキルを上げないといけないからな」
「んっ?俺は、弓をメインにするんじゃないのか?」と俺が疑問を口にすると、
「弓術は7もあれば、これ以上上達する必要がない。しかしだな、護衛の本分は剣だ。7は無理でも、6までは上げておけ。でないと、いつ死んでもおかしくないぞ」
「わかった。頑張るよ」
「なら、朝が来るまで、もうひと眠りだな。ルージー、灯を消してくれ」
そう言い残して、トゥデラは再びベッドに潜り込む。
ルージーが蝋燭の灯を消したので、部屋の中は真っ暗になった。
「おやすみ」と俺が言う。
「おやすみなさい」ルージーの返事を聞きながら、
俺は手探りで自分のベッドに潜り込んだ。
〈スキルの確認について〉
トゥデラが言うには、「私の知る限り、自分のスキルを確認できる奴はいない」ということです。
しかし、ルージーもトゥデラも、自分が持っているスキルとその熟練度はしっかりと把握しています。
この世界では、普通はスキルと熟練度は意識を集中すると頭に浮かんでくるということらしい。主人公のように、文字ではっきり見えるカタチで確認は出来ないということらしいです。(汗)




