第26話 ペナルティをくらった
スキルは加護によるものであり、そのため、善因善果・悪因悪果というような因果関係まであるらしく、その加護をもたらしているのが信仰だという、衝撃的な話を聞かされた。
善因善果・悪因悪果という原因と結果が、自動的に結び付けられるわけはない。何者かが、善と悪の振るい分けをしていないと、成り立たないものだ。
しかも、その何者かというのは、信仰の対象ということだから、それは神?つまり、この世界には神がいるっていうことになるのか?
しかも、スキルのあり様が国によって違うらしく、その理由は、国によって信仰の対象が異なるからだという。
例えば、アルディリア王国で信仰されている神と、ロイヒリン王国で信仰されている神は違う。だからスキルのあり様も異なる。このことは、この世界に神がいるということを裏付ける、かなり有力な根拠となる。
もっとも、神がいなくても、まだ誰にも知られていないスキル自体の法則があって、善因善果・悪因悪果が現れたり、現れなかったりするのかもしれない。
しかし、もし、神が実際にいたとしたら。俺が特殊なスキルを持っていることや、スキルの成長が異様に早いことに、神が関係していることになる。いや、それどころか、俺が異世界らしいこの世界に召喚?されたことにも、神が関係しているかもしれないことになる。
ベッドに寝ころびながら、そんな思いが頭の中で渦巻いている中、ステータスを見て驚いて飛び起きた。
スキル 奥の手使用不可
短剣術4、盾術3、戦斧術3、弓術7、剣術5、槍術3、大盾術2、気配察知7、生食5、身体強化5
ペナルティ解放条件
クエスト:ナーシャの救出
「ルージー、トゥデラ、大変だ」と大声で叫んでしまった。
眠っていたルージーとトゥデラは、
「何ですか?」
「敵か?」
と飛び起きた。
「ルージー、トゥデラ、すぐにあの村に戻らないといけない」
俺は自分のベッドから降りて、服を着始めていた。
「落ち着け。何があった。説明しろ」
トゥデラが低い声で、俺をしかりつけた。
おかげで、俺は少し落ち着いて、着替えの手を止めた。そして低い声で、
「神の知らせらしきものがあった。ナーシャを助けないといけない」
俺が早口に伝えると、
「とりあえず、灯りをつけましょう」とルージーが蠟燭を灯してくれた。
「何があったか、落ち着いて説明しろ」とトゥデラのドスの利いた声が、俺を落ち着かせてくれた。
俺はベッドの端に腰を掛けて、
「スキルが使えなくなった。スキルが使えるようになる条件が、ナーシャを助けることらしい」
「スキルが使えなくなった?何故、そんなことが分かる?」とトゥデラが問い詰めてくる。
俺は、「それは分かるだろう」と答えてから、この世界の住人は自分のスキルを確認する手段を持っていないらしいことに気が付いた。
「そうか、普通は、自分のスキルは、確認できないのだったな」と言葉を足すと、
「主殿は、何らかの方法で、自分のスキルが確認できるのか?」
「そうだ。トゥデラは、どうなんだ?」
「私の知る限り、自分のスキルを確認できる奴はいない」
不味いことをバラしてしまった気がする。だけど、この2人は俺の奴隷だ。俺が誰にも話すなと言えば、逆らえない。それに、こうして一緒に暮らしている以上、いつかはバレることだ。
「これから言うことは、絶対の秘密だぞ。誰にも言うなよ」と命令すると、
「分かりました」とルージー。
「勿論。誰にも喋らない」とトゥデラ。
「俺には、自分のスキルが見えている」
この言葉を聞いて2人はポカンとしている。
「見えているって、どういう風に?」とルージー。
「目の前に、スキルの名前が文字で浮かんで見えるんだ」
「スキルの名前が見えるのか?」とトゥデラが驚きを隠さずに呟く。
「その通りだ。だけど、今回は、それだけじゃなくなった」
俺はそこで言葉を切ったが、ルージーとトゥデラは何も言わずに、俺が続きを離し始めるのを待っていた。
「実は、スキルの他に、ナーシャを助けろというクエストが現れた」
「「クエスト?」」と2人が同時に聞く。
「クエストという言葉を知らないのか?」
頷く2人に、
「クエストというのは、結果を求める冒険とかいうようなものだ。クエストというからには、結果が求められる。それがナーシャの救出として俺に示されている」
「う~む、神の啓示のようなものか?」とトゥデラ。
「そこが問題なんだ。ナーシャを助け出すまで、俺のスキルが使えなくなっているんだ。これは、神の啓示かもしれないし、何者かの命令かもしれない」
「旦那様は、心当たりはないのですか?」とルージー。
「心当たりか・・・。ないこともない」
俺のあいまいな返事に、ルージーとトゥデラが顔を見合わせた。




