翼の気持ち
美咲が笑顔を見せてくれていることに少し安堵している翼だが、その笑顔は作ったものではないいかと不安にも思っていた。
ある日、夕食後に美咲が「翼さん、お話があります。」と言った。
話の内容が翼の不安を掻き立てた。
「………美咲ちゃん……どうした?」
「………り………。」
「り?…………!
その後の言葉はSTOPだ!」
「翼さん、聞いて!」
「嫌だ! 俺が思い浮かべた言葉なら絶対に聞きたくない!」
「翼さん、私は子どもを産めないからだです。」
「子ども? 美咲が居ればいい!
子どもが居なくてもいいんだ!」
「今は私が可哀想だから、そう思っているだけ。」
「違う! 美咲、俺と結婚したことを後悔してるのか?」
「ううん!」
「じゃあ、死が二人を分かつまで一緒だ!」
「翼さん、子どもが欲しくなるわ。」
「居なくても幸せになればいい、幸せになれるよ。二人で……。」
「翼さん……でも……。」
「美咲、俺が嫌い?」
美咲は大きく頭を振った。
「じゃあ、死が二人を分かつまで一緒!
いいね!」
「翼さん……。」
「離婚はしない! 求められても俺は嫌だ。
二度と言わない!と約束してくれ。
俺のことを好きだと思ってくれてるなら……。」
「私は……。」
「美咲! 生涯離さないから……もう一度言う。
二度と言わないと約束してくれ! 頼むから……。」
「………………。」
「愛してるんだ。」
翼に抱きしめられて、美咲は翼の腕の中で泣き続けた。
「子を授かるのが当たり前ではなく、授かるのは奇跡なんだ。」と優しく言う翼に身を預けながら、「夫婦だけで仲良く暮らせたら、それは最高じゃないか?」と翼は言った。
美咲が頷くまで翼は二人で歩む人生を如何に大切に想っているかを伝えた。
「美咲ちゃん……俺とこれからも一緒に暮らして下さい。
お願いします。」
「プロポーズみたい。」
「うん、プロポーズだ。二度目の…………美咲ちゃん、返事はOK?」
美咲は頷いた。




