表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
名残りの雪  作者: yukko
56/59

夕鶴

美咲はその後、子宮発育不全と診断された。

子宮内膜の肥厚が不十分で不妊症や流産となる場合に、子宮発育不全という診断名が下される。

美咲は泣いた。

そして思った。


⦅私のせいだったんだ。

 私のせいで……生まれられなかったんだ。

 ごめんなさい。ごめんなさい。⦆


⦅翼さん……貴方の子どもを……私では産めないわ。

 私では駄目………駄目なの……ごめんなさい。⦆


美咲は思い詰めていった。

思い詰めた美咲の頭の中に「離婚」の二文字が現れた。

美咲は⦅何時、話せばいいのか? 翼さんには、健康な人がいい。あの……人……なんていうお名前だったかしら?…………み……み……あの人なら翼さんは幸せになれるわ。きっと………。⦆と思うようになったのだ。



翼の隣で休んでも、なかなか寝付けなかった。

優しい翼を幸せに出来ない私――そう美咲は思い詰めている。

そのうちに闇が美咲を包んだ。


与ひょうは、ある日罠にかかって苦しんでいた一羽の鶴を助けた。

後日、与ひょうの家を「女房にして下され。」と一人の女性()()が訪ねてくる。

夫婦として暮らし始めたある日、()()は「織っている間は部屋を覗かないでほしい。」と約束をして、素敵な織物を与ひょうに作って見せる。

()()が織った布は、「鶴の千羽織」と呼ばれ、知り合いの運ずを介し高値で売られ、与ひょうにもお金が入ってくる。

その噂を聞きつけた惣どが運ずとともに与ひょうを(けしか)けて、()()に何枚も布を織らせる。

約束を破り惣どと運ず、さらには与ひょうまで、織っている()()の姿を見てしまった。

そこにあったのは、自らの羽を抜いては生地に織り込んでいく、文字通り"我が身を削って"織物をしている与ひょうが助けた鶴の姿だった。

正体を見られた()()は、与ひょうの元を去り、傷ついた姿で空に帰って行った。


その()()は美咲だった。


「さようなら……私は、もう去るしかありません。

 さようなら……幸せに……幸せになって……。」


⦅本当は別れたくない! 別れたくない!⦆


悲しくて来るしくて辛い――その時、美咲は目を覚ました。

まだ外は暗かった。

それからは、一睡も出来ずに朝を迎えた。

美咲が寝たのは、短い時間だった。

『夕鶴』は、木下順二作の戯曲で、「鶴女房」(内容は鶴の恩返し)を題材としています。(Wikipediaより一部抜粋転載)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
https://furansugonosekai.com/the-nightingale-and-the-rose/
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ