表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
名残りの雪  作者: yukko
52/59

美咲は三日間会社を休んだ。

翼も会社を休もうとしたが、美咲が嫌がった。


「病院へ行くよ。俺も!」

「いいわ! 一人で行くから……。」

「俺は一緒に行って、美咲の身体が大丈夫か直接、先生に聞きたいんだ。」

「………私、もう子どもじゃないわ。」

「そういう意味じゃなくて……心配だから……なんだ。

 もし途中で具合が悪くなったら……その時に俺が傍に居ないのは嫌なんだ。

 だから、二人で行こう、な。」

「私、一人でも大丈夫よ。」

「美咲ちゃん!」

「何時までも大人になれてないような………心配してくれるのは嬉しいの。」

「だったら!」

「でも、一人で行きたいの。お願い!」

「駄目だ!」

「駄目って………じゃあ、お姉ちゃんに頼むわ。」

「お義姉さんって……仕事してるだろ?」

「じゃあ、お母さんに頼むから、ね。いいでしょう?」

「お義母さんなら……絶対に!だよ。」

「うん!」

「……なぁ、美咲、病院での結果は必ず俺に教えてくれ。頼むよ。」

「うん、分かった。」


翼に美咲は昼食時にメッセージを送ったら、直ぐに翼から電話が架かって来た。

美咲は翼に嘘を吐いた。

一日、家に居てベッドで横になっていたのに……嘘を吐いた。


「先生が少し貧血気味だから、ゆっくり休みようにって……。」

「貧血? 原因は? 病名は?」

「病名!………あの……前から……その……貧血だったの。」

「前から? そうだったのか……。

 食事で良くなるのか? 少しでも改善できる?」

「うん、鉄分を多く含む食事を心掛けなさいって。」

「そっか……鉄分、か。

 買い物をして帰るから、食事も洗濯も掃除も全て俺がするからね。

 美咲は何もせずに寝てて! いいね。」

「うん、ありがとう。」

「まだ、俺、何もしてないよ。」

「……嬉しいから……。」

「そっか、じゃあ、今日はなるべく早く帰るから、食事を作ったりせずに待ってる

 んだよ。いいね。」

「うん、待ってる。」


美咲は「三日間、安静にして下さい。」と言われた通りに軽い家事だけをするつもりだったが、翼は美咲に何もしないように言った。

食事の支度も翼がして夕食後には、美咲を直ぐに休ませた。

美咲が初めて翼に嘘を吐いた。

それは苦い思いだけが残った。

一生吐き通す嘘だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
https://furansugonosekai.com/the-nightingale-and-the-rose/
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ