エピローグ
理世は学校に復帰していた。
クラスは変わってしまったが、誰もいじめる人はいなかった。確かに事件の事でヒソヒソ陰口をいうものがいたが、「ハッキリ言ってくれない?」と睨むと、何も言ってこなくなった。
死ぬかも知れない状況を体験し、トラウマになるどころか、一皮剥けたようだった。
別に新しいクラスでは友達はできなかったが、麹衣村に帰れば環奈や百合名もいるので、関係なかった。
お互いに漫画の原稿を送り合い、環奈や百合名との関係も続いていた。あまり漫画に興味が無かった理世だが、ポーズ集や背景素材なども取り寄せ、充実した趣味の時間も送っていた。
勉強の方だが、礼央の大量の宿題を出してもらっていたので、成績の方も問題は無かった。
ただ、大人には不信感はあるので、勉強については、学校の先生に聞くより礼央にテレビ通話を繋いで教えて貰う事も多かった。特に陰謀論者が語る歴史の内容は、なかなか独自で教科書とは全く違って面白かった。
こうして季節は、春から初夏、そして夏へと変わり始めていた。
都会での生活は、事件もなく平和そのもので、麹衣村の生活が少し懐かしくなってきたところだった。
そんな折、石子から手紙が届いた。手紙はタバコ臭くて嫌な予感がした。
愛する理世へ
そっちでの生活はどう?
都会では卵が値上がりすているんですってね。こちらは立花さんが卵くれるから、全く問題ないわ。
ところで、理世ちゃん。夏休みはうちに来ない?
環奈ちゃんや百合名ちゃんは女子達でパジャマパーティーでもしたいって言ってるわ。村では新しく住人も増えてワイワイ騒がしいし、そろそろ都会での綺麗な生活も飽きてきたところじゃない?
ふふ、私は退屈よ。またヘビースモーカーに戻ってしまったわ……。やっぱり理世がいないと抑止力が効かないみたい。
グランマの禁煙の為に、夏休みはこっちで過ぎさない? 鬼頭さんから教えて貰ったレアチーズケーキを作って待ってるわ。名探偵グランマ・石子より。
理世は、苦笑しながらタバコ臭い手紙を読み終えた。今年の夏休みは、去年とは全く違うものになるだろう。そんな予感が胸を占めていた。




