第9話 チート無しで成り上がる
牢番「釈放だ。出ろ」
牢獄を出たマサオは数ヶ月ぶりの陽の光を浴びて眩しそうに目を細めた。そこに見知らぬ女が話しかけてきた。
女「あなたの保釈金を払ってあげたのだけど余計なお世話だったかしら?」
マサオ「牢番が俺の食事を盗み食いする嫌がらせをしてて腹が減ってたから助かったよ」
女「詐欺で捕まったと聞いたけど何をしたの?」
マサオ「流行り病の特効薬を売っていたら詐欺師だと通報されたんだ。それより何で俺を牢獄から助けてくれたんだ?」
女神が旅行に行くと言ったきり音信不通なのでマサオはチート能力を変更できずにいた。女神が旅行から帰ってくるまで自力で立ち回らなければならない。因みに今のチート能力は人差し指からマヨネーズだ。警戒しつつ質問したマサオに女は答えた。
女「あなたの活躍は耳にしているわ。協力して欲しい事があるからついてきて」
女はある建物にマサオを案内した。
女「私はノエル。ここで役人をやっているのだけどあなたには私の仕事を手伝って欲しいの」
マサオ「俺に役人の手伝いだと?」
戸惑っているマサオにノエルは続けて説明した。
ノエル「このクーデッタ国には様々な問題があるの。不景気、治安悪化、犯罪者の処遇、政治家の汚職、周辺国との関係悪化、それらの対処にあなたの知恵を貸してくれないかしら?」
クーデッタ国の実情を聞かされたマサオはチャンスだと思った。持ち前の正義感でこの国を立て直してそれなりの役職や報酬を頂くのだ。
マサオ「分かった。詳しい話を聞こう」
ノエル「ありがとう。早速だけどやって欲しいことがあるの。この国を見て回って問題解決のヒントを探してくれないかしら?」
マサオは言われた通りクーデッタ国の調査を開始した。以前女神に言われた情報収集だ。町を巡り人の話を聞いてこの国の歴史が分かってきた。
マサオ「ヤベー国だな」
マサオは素直な感想を呟いた。そしてこの国が何故こんな状態になっているのか分かったので対策も思いつく。しかしマサオはここで考え込む。
マサオ「このクーデッタ国を立て直して良い国にする事は出来る。だけどそれだけじゃ俺はあまり得をしない。うーん…」
マサオは暫く考えると妙案を閃く。
マサオ「…この国は俺のものだ!」
役場に戻ったマサオにノエルが質問する。
ノエル「何か良い案を思いついた?」
ノエルに対策を聞かれたマサオは一つ目の助言をする。
マサオ「もう直ぐこの国で大規模な祭りが開催されるらしいな」
ノエル「ええ。この国にとって重要な歴史を持つ祭りよ。出店が並んで花火も打ち上げられるわ」
マサオ「その祭りに入場料を設定しよう。祭りの参加費を徴収したり花火を見るための高額な特等席を設置するんだ」
マサオの提案を聞いてノエルは耳を疑った。
ノエル「今まで無料だったのにお金を取るの?! そんな事をしたら国民が黙ってないわよ!」
マサオ「それぐらいは我慢してもらおう。その税収で国を立て直す資金の足しにする」
動揺したノエルだがマサオの言葉を聞いて渋々納得する。
ノエル「仕方が無いわね…」
準備に取り掛かろうとしたノエルにマサオが重要な事を付け加える。
マサオ「金を払っていない者が花火を見られなくするために壁の設置もやってくれ」
ノエル「そこまでやるの?! いくら何でもそれはやり過ぎよ!」
マサオ「いいからやるんだ」
そして祭りの日が来た。
国民A「え? 参加費を取るの?」
国民B「高額席を買わないと花火が見られないのかよ!」
案の定、有料化に国民が不満の声を上げた。そしてマサオが予想していた事が起きる。
国民B「この壁を登って見られないかな?」
なんと壁をよじ登って花火を見ようとする人が現れ始めた。さらにそれを見た人が高額席を買い始めた。
国民C「ほっほっほっ。花火より面白いものが見られそうですな」
高額席が完売したのを確認したマサオはニヤリと笑みを浮かべてこう言った。
マサオ「フフフ…。そうだ。そうやって国民同士で憎しみ合うがいい。そしてクーデッタ国に怒りを募らせるのだ」
そしてマサオは次の作戦に移る。




