第7話 逃走の才能はチート級
マサオはヨワヨーワ王国から脱出できずにいた。金を得られなかったのでもうこんな所に用はないが自分が戦争に関わったという証拠をなるべく処分して脱出するべきだと思ったからだ。しかし騎士団作戦参謀である自分のせいでゲキツッヨ帝国に敗戦したという知らせが国王の耳に入るのも時間の問題だった。
マサオ「待機している団長を全員集めてくれ!」
マサオの指示で数人の団長が集められた。
団長A「おや? マサオ殿は戦の指揮を執っていると伺いましたが何故ここに?」
マサオ「ヨワヨーワ王国にとって重要な助言をするために戻ってまいりました」
集まった団長達にマサオは焦る気持ちを抑えつつ一つ目の助言をする。
マサオ「今すぐ戦争に関わる資料を処分するべきです」
マサオの言葉に団長達は一瞬何を言われたのか分からなかった。
団長A「マサオ殿? そ、それは一体どういう…」
マサオ「資料が敵に渡ると終戦交渉で不利になります」
マサオは続けて二つ目の助言をする。
マサオ「それと待機している騎士団全てに突撃命令を出してください」
団長B「そんな事をさせたら多くの被害が出ますが…」
マサオ「命を顧みない突撃で敵にヨワヨーワ王国の威厳を見せつけ交渉を有利にするのです。もちろん資料の処分と突撃作戦は現場の下級騎士に指示を出させて私や皆さんとは無関係です」
マサオの話を聞いて最初は疑問に感じていた団長達だったが暫くするとマサオの指示の意味を理解する。
団長A「…なるほど。確かにマサオ殿の言う通りだ!」
団長B「今すぐ取り掛かりましょう!」
時間が無いと判断したマサオはヨワヨーワ王国から脱出することにした。城を出たマサオだったがそこで見窄らしい格好の少女に話しかけられた。
少女「すいません。私の両親が戦争で死んでしまったので私は生活に困っています。あなたは城の方でしょう? 助けていただけませんか?」
マサオ「君の両親は自分の意志で戦争を望んで自分の意志で戦って死んだんだ。自分の事は自分でなんとかしなさい」
唖然とする少女を尻目にマサオは乗馬のチート能力で走り出した。城下町を駆け抜けていると敗戦の知らせが届き始めたのか町が慌ただしくなってきたようだ。
マサオ「くそっ! 地位も名誉も金も何も得られなかった!」
愚痴をこぼしつつ馬を走らせていると町の外に出たあたりでゲキツッヨ帝国軍の包囲網に捕まった。余計な事をしていたせいでマサオは逃げ遅れたのだ。
マサオ「しまった!」
なんとかチート能力で突破できないか考えているとゲキツッヨ帝国軍の指揮官らしい人物が話しかけてきた。
帝国軍指揮官「あなたがマサオ殿ですね。お話は伺っています。あなたのおかげで我々は勝利できたのでぜひこちらを受け取ってください」
マサオの手に大きな金貨の袋が渡された。おそらく数年は遊んで暮らせる金額だ。そして金貨は見覚えのあるヨワヨーワ王国金貨だった。
帝国軍指揮官「ではどうぞお気をつけて」
ゲキツッヨ帝国軍指揮官の命令でマサオのために包囲が解かれたので馬に乗ったマサオが走り出す。そのマサオの背中にゲキツッヨ帝国軍指揮官が声をかけた。
帝国軍指揮官「あなたはとても優秀な人だ!」
ヨワヨーワ城が見えなくなる所までマサオが離れた時、ヨワヨーワの城下町の上空に巨大な魔法陣が出現した。それはゲキツッヨ帝国が開発した一度で数万人の犠牲者が出る殲滅魔法だった。それを知る由もないマサオはこう言って今日の出来事を締め括った。
マサオ「証拠隠滅に時間をかけたおかげで儲かったな」




