第99話.肉欲のしもべ
ダ・デーロとかラテン系の名前が出てきますけど、地形と言うか、風景は運河が張り巡らされた、オランダみたいな北ヨーロッパをイメージしてください。
わたしは買い取り遠征の帰り道よ、今回も娼婦やメイドの適正の有る子が大勢、戦闘能力のある子が一人もいなかったけど、帰る頃には新大陸からの船が着いているはずだから、獣人奴隷で探しましょう。
貧農から娼婦の適性のある娘を選んで買いたたき、術の力で美人さんにしたら、しっかりと教育する、もちろん閨の作法もね。
買い取り値のからは信じられないくらいの値段で娼館に売りつけるの、分かりやすく言うと、数十万円で仕入れて、1000万以上で売っているのよ。
買い取りは馬車で行くのだけど、この世界と言うか、この国は大きな河がたくさんあって、それらをつなぐ運河も発達している、重量物は船で運ぶ世界よ。
転生前の日本、川はたくさんあったけど、船が運航している川は無かったわよね、観光船は別よ。
目的地がしっかり決まっていれば船旅でもいいのだけど、買い取り遠征の目的は貧乏な農村の娘を買い叩くことなの、脇道が目的地みたいなものなのね。
今、馬車の車列は最後の運河に差し掛かったわ、これを超えるとダ・デーロまで一本道よ。
運河って言っても、すごっく広いのよ、反対岸が霞んでいないかしら。
そんな広い運河に橋をかけるのは大工事だし、帆船も行き来するから、下手な事をすると舟運が滞る。
そんなわけで、奴隷商会の車列はバージって言う、平底の船に乗せられて、反対岸に渡るの、まぁ、渡し船よ。
わたしは馬車に乗ったままバージに乗せられる、ちょっと揺れたから、もやい綱が放たれたのね。
心地よい揺れと、水面のさざ波を楽しんでいるわたしに、エルフの娘マハテルトが声をかける。
「ミヤビさま、ロウシェと同期が取れました」
「わかったわ、いらっしゃいマハテルト」
ペコリとお辞儀をすると、わたしの膝に入って来た、エルフ少女って言うか、幼女?
ほんのり温かい体温と、子供特有の甘い香りを感じると、段々と感覚が代わっていく。
身体が火照った感じがして、なんとも居心地が悪い、また、食べていたのね。
すぐ目の前に整った顔の女性、ちょっと前までベリーショートの修道女だったけど、術の力で、腰まで届く髪。
ルクレチア・ヘンダーリン子爵令嬢、10代半ばにして、女性としての尊厳を奪われ、世をはかなんで、自ら神の道を選んだ彼女。
ずいぶんな金貨を喜捨して、更に知り合いの娼館には、娼婦を身請けしたと言う、架空の履歴まで作ったのよ。
彼女で4人目とは言え、手間と暇と金がかかったわ、けどそれ以上の効果が有るの。
貴族級の魔力が有ればエルフと感覚同期が出来て、どんなに離れていても、リアルタイムで情報がやり取りできるの。
商会は情報が命だからね。
「ミヤビ様、本日午前中に港湾地区に行ってきました」
「あら、まだ獣人奴隷は検疫が終わっていないのではないかしら?」
「何か、商売になるものが無いかと、自分なりに考えたのです」
「それは、良い心がけね、それでルクレチアの目に止まった物はあったかしら?」
商会としては、感覚同期さえしてくれれば充分なのだけど、ルクレチアは商会の仕事を覚えようと熱心に動いているわ。
「 …… 魔晶石は量も純度も並みとの事でした、それよりも気になったのが、曲がるガラスです。
なんでも新大陸にはガラスが無い代わりに、曲がるガラスを窓枠に止めているそうなんですよ、布みたいに柔らかいのに、ガラスみたいに透明なのですよ。
あっ、現物を見た方が早いですね」
ルクレチアが曲がるガラスをエルフのロウシェに渡すと、わたしが曲がるガラスを持っている様な感覚になる。
何かしら、これってビニール、プラスチック、セルロイド、前の世界にはふんだんに有ったけど、こちらの世界では初めて見るわね。
「ルクレチア、これを買い付けて来なさい、値段は調べてあるわよね」
「いえ、ミヤビ様、すいません、実はギングリッチ兄弟商会に全て買い取られてしまいました、次の航海の時に予約をするしかないと思いますけど」
ギングリッチ兄弟商会、聞きたくもない名前が出て来たわね、彼らの商売としての才覚は別格よ、すぐれたビジネスマン。
だけど、性癖が致命傷なのよ、幼い子にしか欲情しないと言う最低な兄弟なのよ。
逆に言うと、そこを突けばこちらにもチャンスがあるわよね。
「 …… それとですね、ヒルベルタ様がいらしたそうで、市民ホール建設の件で伝えたい事が有るとの事でした。
具体的な事は本人に直接お話しすると言っていましたけど、なんか気を詰めた感じでしたよ」
「そうなの、帰ったら、面会ね」
「それと、秘書のショーティーと言うお方が来られました。
主人のエステファニアさんが体調不良なので、次のトライトンの夕餉は欠席するとの事です」
あら、美魔女のエステファニアさんが、どうしたのかしら、キレイで若作りをしているけど、それなりの歳のはず、デトックスでも勧めようかしら?
そうそう、トライトンの夕餉って言うのは、街の名士の集まりよ、人脈は育まれるけど、神経がゴリゴリ削られる集まりと思ってね。
「分かったわ、今から手紙の代筆をお願い出来るかしら」
「かしこまりました」
……
○ルクレチア ○
何とも不思議な体験だ、ドネッセラ奴隷商会の執務室にいたのに、馬車の中でミヤビ様と直接お話しをして、手紙の代筆までした。
今はまた、奴隷商会の執務室、膝の上には小さなエルフの女の子。
テーブルに乗せられたフルーツ皿からイチゴを取りだすと、ロウシェの唇に押しつける。
赤い果肉が変形して、果汁を滴らせて、幼い唇に押し込まれていく。
「 …… あの、ルクレチア様、わたし、ご奉仕をしたいです」
無垢なエルフの少女は、熟れた果肉に健気なご奉仕。
奴隷商会では百合の花がたくさん咲いています。




