表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
底辺職の風俗嬢は異世界に行って本気を出す  作者: miguel92
第四部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

84/108

第84話.ロマンスグレーのお方

 銀行員、彼らは抜け目がないです。



 スリーローズ商会に帰ったわたしはレオポルト商会の資産をザックリと書きだして自分なりの評価額をつけてみた、数年前まで奴隷商会の中枢にいたのだし、今でも密接な取引があるのよ。


 ▼


「突然の訪問をお受け頂きありがとうございます、頭取」


「これはミヤビ様、お待ちしておりましたよ、我々の依頼をお受け頂けるのですね、アンフェタの発明者を探すなんて一筋縄ではいかないとは思います、精一杯の協力はさせて頂きます」


「頭取、アンフェタのお話の前に確認したい事がありまして、お時間宜しいでしょうか?」


「はて、わたくしに確認とは一体何でしょう」


 レオポルト商会とわたしの関係なんてとっくに調べ済みだろうに、露骨にシラを切るとはさすがは銀行員。


「レオポルト商会、ご存知ですよね」


「ああ、昨日は大変でした、未だに新大陸は危険な場所ですね、レオポルト商会は残念な事になってしまいました。

 目の血走った借金取りが押し寄せない様に当行から衛兵を派遣して警備しておりますので、ご安心を」



 レオポルト商会から資産を持ちだせない様に閉鎖しているのに、借金取りから守る為とは、これくらい面の皮が厚くないと頭取にはなれないのかしら。



「そうですか、銀行が守ってくださるなら安心ですね、ところでレオポルト商会はこれからどうなるのでしょうか?」


「そうですねぇ、何らかの形で借金は清算しないといけませんよね、このままでは銀行が損失を被る事になってしまいますし」


「何か具体的な方法はお考えでしょうか」


「それはこれから話し合いでしょう」


 話し合いと言ったけど、誰と話し合うかを言わないあたりが二枚舌の銀行員よね。


「わたくしなりに提案があるのですが、宜しいでしょうか?」


「敏腕経営者ミヤビ様のお話しでしたら是非ともお聞かせ願いたいですね」


 頭取のペースに乗せられない様に、あえて無視して話を続けるわたし。

「まずは売却処分をしないで頂きたい、理由は売れるものが意外に少ないからですよ、まずは土地家屋です、あの辺り新街道と連絡され路線価が上がっている地区ですが、レオポルト商会は賃貸物件です、ご存知ですよね」


「ほう、左様ですか」


「それから従業員ですが、出向者が多いのですよ、商会の中枢に行くほどその比率が増えます、もちろん出向者は売却できませんよね」


 わたしはそう言いながら従業員のリストは優雅に差し出す。


「左側に赤丸の印が付いているのが出向者ですよ、ちなみに出向元はルードルフの経営するアルトナー奴隷商会です」


「ルードルフとはレオポルト様のお父上ですね」


「その通りです、そしてレオポルト商会で一番の換金資産は奴隷ですが、他の奴隷商会も破産するでしょうから、奴隷の価格は暴落、売値は下がりますよね」


「銀行は時価ではなく、簿価で計上していますので、相場は気にしていないのですよ」


「ですが、簿価との差が大き過ぎたら問題でしょうし、何よりも頭取がそれを望まないのではないでしょうか?」


「いやはや、貴重な情報を頂けてありがとうございます、さてミヤビ様は負債返済に何かお考えはおありでしょうか」


「わたしは冒険者ですので難しい方法は考え付きませんでした、今まで通り奴隷商会の営業を続けて半期ごとに借金を返済していく形にするのがお互いの為によろしいのでは」


「それでは完済するのに25年はかかりますよ、ミヤビ様」


「宜しいではないですか、銀行とすれば25年間安定的に収入が有るのですから、利息も一緒にね」


 それまではわたしの言葉にノータイムで返しを入れていた頭取だが、ここへ来て黙ってしまった。


「レオポルト商会をこのまま存続させた方が双方にとって利益は大きいとのご意見、拝聴させていただきましたミヤビ様、ですが責任は取らないといけませんよね」


「レオポルト商会の経営者の首を挿げ替えると言う事ですね」


「ミヤビ様は話が早い、まぁ、その通りなのですが、こういう場合は銀行から役員を出向させて経営の立て直しを図るのですが、今の当行は人手が足りません、いかがでしょう。

 ミヤビ様がレオポルト商会のトップに座ってみては?」


「25年間借金を返し続ける経営も魅力的ですね」

 皮肉たっぷりに返したわたしよ。


「アンフェタの件をお受けして頂けるのなら、負債は減免いたしますよ」


「頭取、どうしてそこまでアンフェタの発明者にこだわるのでしょうか?」


「そうですねぇ、どこからお話ししたものか、わたし達銀行員は常に先を見据えて行動する必要があるのですよ、これから伸びるのは薬学産業ではないかと思っているので先行投資だと思って頂きたい」



 こちらの世界に来て思った事は技術が進んでいるのか遅れているのか良く分からない点よ、社会制度とかは別にしてね。


 魔法の力でお湯を沸かせるポットや、食品を冷やして貯蔵できる冷蔵庫、蛇口を捻るだけでお湯のシャワーが浴びられるわ、お金持ち限定だけどね。

 その代わりに電気が無いからスマホもテレビもパソコンも無いわ。


 そのせいなのか化学分野は未発達、エアーマットは手に入れたけど、あれは塩化ビニールじゃないしね。


 治癒魔法があるからか薬学もあまり進んでいない、日本の江戸時代レベルじゃないのかな、昔の事は知らないけど。


 治癒魔法が使えるのはお金持ちだけ、そうじゃない人達は風邪を引くと怪しげな丸薬を飲むらしいのよ。

 牛の糞を乾燥させた丸薬からは卒業しなきゃね。


「分かりました、アンフェタの件、引き受けましょう」


 結局銀行の手の平で転がされているわたし達だ、アンフェタの元売りを探しだすと言う荒事を任されてしまった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ