第48話 穴潜り
中二病の男子は使う事の無い武器に憧れるものです。
ダ・デーロの街の工房街、大勢の職人が集まり、技を競い合っている場所。
迷宮都市と言う側面も持っている街なので、武器工房は特に盛ん。
「……こちらの短剣などいかがでしょう?薄いけど硬度はしっかりしていますし、返しの部分が独特の形をしております、目立つ事この上ないですよ」
「うーん、ちょっと軽くないか」
「これはまだ“こしらえ”が無い状態です、我が商会ではお客様だけの唯一の刃物を売る事を信条にしております」
「わかった、これにしよう」
ミヤビが農村から買い取って来た娘が戦士の適正があると言われたので、ボクの引率で迷宮に入る事になった。
国の中に幾つかある迷宮、中に入ると恐ろしい魔物が出て来るけど奴らを倒すと素材や魔核と言う魔力の塊が手に入るので、比較的少ない投資でお金を稼ぐ事が出来る場所さ。
だけど迷宮に奴隷だけで入るのは禁止されている。
以前の魔物退治は貴族の仕事だったけど、次第に平民の冒険者に任せる様になった、それを奴隷に任せるのは貴族としての矜持に関わるかららしいけど。
本当は自分が安全な場所にいて奴隷だけに金を稼がせるのを禁止したいだけじゃないかな。
迷宮用の短刀を注文したボクはウキウキした気分で帰り路、戦闘奴隷と言っても所詮は女の子、凶暴な魔物に苦戦してピンチになったところを、スラリと短剣を抜いたボクが助ける。
女の子達はボクにお礼を言いに来るけど。
“主人の務めを果たしただけだ”
カッコ良く言うと、もっとボクに寄って来る。
男だったらこう言った妄想した事あるよね。
▽▽▽▽
初めて潜る迷宮は薄暗くてひんやりしている、2人の戦闘奴隷が先を行き、ボクはその後ろ、直衛は美少女になったカタリーナ。
まだ小さな女の子なのに戦闘力は折り紙つきだよ、時々ボクの方を見上げて来るから、笑って返すと向こうも満足そうな顔になる。
女の子は10歳くらいが一番だよね。
肝心の迷宮ではボクの出番はまったく無かった、プリスカとオザンナ、2人の戦闘奴隷は5階層まで何の苦戦もする事無く進んで行った。
もっともボクは新調した短剣をサン・ホセに取り上げられたから、どうせ出番はないけどね。
今は5階層のボスの部屋、5の倍数毎にボス部屋と言う場所があり、そこを通らないと先に進めない様になっている。
ボスと戦っているのはプリスカとオザンナ。
ボクは壁際に立たされ、その前にはをレイピアを構えたカタリーナが守ってくれている。
お荷物と言う言葉が頭に浮かんでいらつく様な、力が抜ける様な気分になってきた。
階層主を倒すと“切符”と呼ばれる魔石を手に入れた。
この魔石を転移陣に組み込むと地上に戻れるそうだ。
更に次回は地上の転移陣から5階層の出口まで転移出来る、初心者と一緒に弱い魔物を倒す必要なないわけだ。
切符を使って地上に戻って来たボク達、ミヤビは他の冒険者やギルド長と色々話し込んでいて、ボクは空気みたいな存在。
レンタル奴隷だってそうだ。
娼館から使いものにならないクズの娼婦を二束三文で買い叩いて、ボクの術で田舎娘に戻して、隷属スキルで過去を消し去り迷宮の荷物持ちにして売りさばく。
術もスキルもボクしか使えないのに、ミヤビは上手な利用法を思いついて金を稼ぐシステムを作り上げる。
戦闘では女の子に守られ、商会はミヤビにジワジワと乗っ取られ、ボクはいてもいなくてもどうでもいいのかな?




