第42話 研究が全て
回復魔法の応用で姿を変えます。
先週来たばかりのヒルデがまたやって来たよ。
本人は楽しそうにお喋りしているけど……
「……それなのにフランチェスカはそんな事知らないって言い張るんですよ~」
コロコロ笑うヒルデだけど、ボクは何にも面白くない、術式展開の途中なんだから早く帰ってくれないかなぁ~
12歳の誕生日の夜を境にボクは人と会う事が嫌いになった、話をするのは家庭教師の先生達とオスヴァルトくらい。
ヒルデは数日毎にやって来てボクとお話しをするけど、以前みたく子犬の様に遊んだりはしなくなったよ。
女の子と一緒にいるより術式を勉強していた方が有意義だよね。
△
やっとヒルデが帰ったので自室に戻ると術式の展開を続ける、魔法陣と呼ぶこの図形に魔力を流すと色々な事が起きるのさ。
普通の魔法陣とは比べ物にならない複雑な図形、時間をかけて仕上げたらオスヴァルトを呼ぶ。
「何でしょうか?お坊ちゃま」
「オルガを呼んで来てくれ」
庶子の中では一番ブサイクな子を呼ぶとはどんな酔狂と思ったのか、それでも表情一つ変えないでブタ鼻の子を連れて来た。
「オルガ服を脱げ!」
ボクの容赦の無い命令に恐怖ですくみあがるブサイク娘、オスヴァルトに救いを求めるけど、無駄だよ彼はこっち側の人間さ。
少しずつ時間をかけて服を脱いだオルガ、目を真っ赤に腫らしているよ、ボクより一つ下のくせにお胸は大きく育っていて生意気だ。
左足の向こうずねに大きな傷がある。
「その足の傷はなんだ?」
「あっ、えっと8歳の時に木から落ちまして……」
ああ、思い出したボクが無理やり登らせた時に出来た傷だね。
「今から傷を治してやる、魔法陣の真ん中に立て」
大事なところを隠そうと物凄い猫背で立っているオルガに両手両足を揃えろと命令する。
“よし、後は魔力を流すだけ”
ボクの手から流れた魔力は魔法陣を青色に光らせると、オルガその物も光が包んで行く。
足の傷を綺麗に治すのは当然として、この子は膝が出ているからまっすぐの方が良いよね、太股は太すぎだから絞って。
お胸はどうしよう? 大きい方が良いよね、居間に飾られた母様の肖像画を思い出す、確か胸が寄って谷間が一本出来ていた様な。
顎が四角でかっこ悪いからシュッとした感じにして、鼻は小さい方が良いよね、それから髪は……
背筋がゾクゾクとして、身体が震えるくらいの寒気がする、それでいて汗がダラダラ流れている。
そして、胸の奥からこみ上げて来る吐き気。
「坊ちゃま、大丈夫ですか?」
気が付けばボクはオスヴァルトに支えられていた。
「…魔法陣は?」
「成功でございますよ、それよりも一気に魔力を流し過ぎです。
回復薬を準備いたしますね」
「あの~ レオポルト様、わたくし魔法陣を出ても良いですか?」
情けない声でボクに許可を求めて来たのはユーリアなんて比べ物にならない美人な子。
「出ても良いけど、服はまだ着るなよ」
「はい」
プルプルと大きな物を二つ揺らしながら歩いて来るオルガ。
「足の傷はどうだ?」
「えっ、はい……
ああ、傷は綺麗に治っております、ありがとうございましたレオポルト様」
「他にどこかおかしいと思ったところはないか?」
「いえ、特にありませんが」
「そこに鏡がある、自分の身体を良く見てみろ」
自分の身長よりも高い姿見の前に立ったオルガ。
「どうだ?」
「傷が治った以外は特に変わりはないと思いますよ」
「そうか、服を着たら帰って良いぞ」
急いで服を着るとボクにお辞儀をしてそそくさと部屋を出て行ったオルガ、
それよりも頭が痛いよ。
「坊ちゃま、回復薬でございます」
「ああ、オスヴァルト」
不気味な白い液体を我慢して飲み干すと、さっきまでの頭痛と寒気とダルさが吹き飛んだ。
「オスヴァルト、さっきのオルガは見ていたな、どう思う?」
「ただただ驚くばかりでございます、肝心のオルガは自分の変化に気が付いていない様子でしたのが不思議ですが」
「これはまだ秘密にしておくぞ、父様にも言わないでおいてくれ」
「かしこまりました」
△△
部屋に戻ったオルガを驚きの顔で迎えた異母姉妹たち、何を訊いても。
“昔の傷を治してもらっただけ”と言う言葉しか返って来ない。
“大人の階段を登った事を大きな声で言いたくないだけ”だと解釈した。
そして館では坊ちゃまのお手付きになると美人になると言う噂があっという間に広がった。
魔力回復薬は最初は黒色でしたが、白にかえました。




